【無料】マンガで学ぶマネジメント公開中!

D2Cとは?メーカーが直接市場に参入するメリット・デメリットを分かりやすく解説!

D2C(Direct to Consumer)戦略は、メーカーが、中間業者を通さず、直接市場に参入する戦略として急速に普及しており、実際に、多くの企業がD2C戦略を採用しています。

D2Cでは、製造から販売、ブランディングなど全てを自社で行います。

そのため、D2C戦略を採用すると、生産者と消費者の間の障壁が取り除かれ、生産者が自社のブランド、評判、マーケティング、販売戦術をより自由にコントロールできるようになります。さらに、D2C戦略では、生産者は顧客と直接関わることができるので、顧客からフィードバックを得られるのもメリットです。

 

<<あわせて読みたい>>

「ファンベースマーケティング」とは?「パレートの法則」との関係も徹底解説!

 

新型コロナ禍がD2C企業の追い風に

 新型コロナ禍で小売店の売上が伸びず苦戦を強いられるなかで、D2C戦略と呼ばれる直販の形態を支援するサービスの充実にも拍車がかかっています。Amazonや楽天市場といった大規模モールに頼らずに、小売業者ごとの個性を打ち出した最先端のECサイトを誰もが手軽に運営できるようになったことは、D2C戦略を採りたい企業にとっても追い風となりました。

 今や、商品の調達、注文、発送のすべてを、自宅のコンピュータで行うことが可能となっています。これにより、大企業ではなく、個人で独自のD2Cストアを作ることがこれまで以上に容易になっており、新興企業や既存企業が新しい製品ラインを立ち上げて、自社の製品を宣伝する際の参入障壁が低くなっていることも、D2C戦略が市場を席巻するようになった理由です。

 この記事では、そんなD2C戦略についてわかりやすく解説していきます。

<<あわせて読みたい>>

メタバースとは?メタバースの語源や意味、具体例をわかりやすく解説!

DXとは?なぜDXと略すの?デジタルトランスフォーメーションの意味や定義をわかりやすく解説

【D2Cが話題になったワケ】なぜD2C企業が市場を席巻しているのか

 従来のビジネスモデルにおいて、企業のサプライチェーンには、サプライヤー、メーカー、卸売業者、流通業者、小売業者などが含まれているのが普通です。

 このビジネスモデルでは、生産や配送の各段階で長い交渉が必要になることが多く、製品の発売までのリードタイムが長くなってしまい、お客様からのフィードバックのループが始まるまでの時間がさらに長くなってしまいます。

新時代の新しいビジネスモデル: D2C戦略

 しかし、D2C企業は、卸売業者や流通業者といった中間業者を排除し、代わりにクラウドの力と電子商取引の台頭を利用して、最終消費者に直接製品を販売するビジネスモデルを採用しています。

 D2C企業は、新しい製品を考え、生産し、ウェブサイトを構築し、人々に購入してもらうことができれば、数ヶ月のうちに新しい消費者ブランドを想像し、製品を発売し、ブランドのストーリーをコントロールし、ゼロから100万ドル規模のD2Cブランドを構築することも夢ではありません。

【D2Cのとは?】D2C企業のビジネスモデルを解説!

 伝統的に、製品を製造している企業は、製品を小売店に販売して、その小売店がお客様に販売するというビジネスモデルを採用してきました。このビジネスモデルは、お客様が実店舗に足を運んで商品を購入しなければならない場合にはとても有益なビジネスモデルでした。

 通販カタログでも直接販売することはできましたが、直接通販で自社が作った製品を販売するためには、多くの企業が利用できるインフラを整える必要だったため、ほとんどの通販カタログは、依然として大手小売企業によって運営されています。

 しかし、企業のWebサイトから直接購入できるようになった今、実店舗への依存度は低下しており、中間業者を介さずにお客様に直接販売することが現実的になっています。

【D2Cのメリット・デメリット】D2Cモデルは、従来の小売業と何が違うのか?

 ここからは、なぜ企業がD2Cモデルに切り替える価値があるのかを説明していきます。D2Cモデルには、中間業者を排除するという明確なメリットがありますが、それ以外にも多くのメリットがあります。

サプライチェーンを短縮できる

 D2Cでは、お客様との間に小売業者が介在しないため、サプライチェーンが少なくとも1本は短くなります。これにより、企業は、顧客獲得からロイヤルカスタマーとの永続的な関係構築まで、カスタマージャーニー全体をよりコントロールできるようになります。

 お客様との間に存在する様々なビジネスを排除するということは、お客様の利益を奪っている存在を排除するということも同時に意味しています。

サプライチェーン短縮の具体例

 たとえば、Tシャツを販売しているビジネスでは、その商品をさまざまな卸売業者や小売業者を通じて販売したい場合、卸売業者が再びマークアップしてお客様に再販できるだけの低価格で販売しなければなりません。

 それは、商品のコストに対する利益の指標をパーセンテージで表したものである利益率に反映されています。したがって、製品を世に出すために支払わなければならない中間業者が多ければ多いほど、各顧客の生涯価値は低くなります。

 具体的に言えば、1枚のTシャツを作るのに5ドルかかり、それを卸業者に10ドルで売って20ドルに値上げしてもらった場合、利益は5ドル(10ドルから5ドルを引いた額)で、利益率は50%(5ドル÷10ドル)と計算することができます。

 しかし、卸売業者を通さず、最終的に同じ価格で最終購入者に直接販売する方法を見つけた場合、利益は15ドル(20ドルから5ドルを引いた額)、利益率は75%(15ドル÷20ドル)と計算することができるので、サプライチェーンを短縮した方が利益率が高くなることがわかります。

市場投入期間を短縮できる

 サプライチェーンが短縮されることで、小売店の意向に左右されずに行動できる自由度が高まり、製品をより早く市場に投入することが可能になります。また、お客様との直接的なフィードバックループを構築し、市場の動向をより的確に把握することができます。

 さらに、D2Cモデルでは、上記のような中間業者をすべて排除することで、市場投入までの時間を短縮することができます。ウェブサイトを開設して製品を販売すれば、発送能力があれば、技術的にはどこでも販売することができます。

長期的な顧客関係の強化につながる

 人と人とが直接取引をすると、その結果、関係が強化されます。中間業者を排除することで、お客様との関係をより緊密にし、お客様の生涯にわたる価値を高めることができます。

 自社製品の販売を他社や代理店、小売店に依存していると、自社ブランドにとって貴重なデータを得ることができない場合があります。実際、デジタルネイティブな企業にとって、顧客データは最も重要な資産の一つとなっています。

長期的な顧客関係の強化の具体例

 たとえば、あなたがまだTシャツを小売店で販売しているとしましょう。そのTシャツを販売しているデパートから得られる情報は、売れた量、返品された量、将来の需要など、在庫に基づいたものだけとなるのが普通です。そうした情報は、在庫管理には適しているかもしれませんが、商品を手にとってくれる実際のお客様のことはあまりわかりません。

 では、同じTシャツを自社のウェブサイトで販売するとしましょう。この場合、お客様の一人一人にチェックアウト時に追加の商品を提示して、既存のTシャツと相性の良い商品を伝えることができます。他にも、A/Bテストを行なって、価格設定の余地があるかどうか、または価格を下げた方がより多くのTシャツを販売できるかどうかを判断することができます。

顧客からのフィードバックが充実する

 お客様にアンケートを送り、Tシャツが気に入ったかどうか、商品が時間通りに届いたかどうか、期待通りだったかどうかなどを確認することができます。Tシャツが返品された場合は、何が悪かったのかを正確に把握するために、無数のキャンセル方法があります。そして最後に、商品開発の参考にするために、Tシャツの色やサイズ、スタイルについてお客様に質問するフォローアップメールを柔軟に送ることも可能です。

ブランディングの管理強化につながる

 従来の販売戦略では、自社のTシャツを全国的なブランド、あるいは世界的なブランドにしようと思ったら、卸売業者に自社の製品をアピールしなければなりません。そのためには、数年かけて商品を販売する地元や地域での存在感を示し、全国規模の販売代理店を見つけなければなりません。海外での展開についても同じことが言えます。はじめに成功を示し、新しい関係を見つけて拡大していく、その繰り返しが必要です。

 顧客のマインドシェアを獲得するには、何年もかかるかもしれません。

 小売店では、ブランディングのガイドラインが設けられていることが多いものの、D2C戦略を採用している企業ではそれが不要になります。また、店頭で販売している商品を独自に宣伝することも可能です。

 D2Cでは、マーケティング戦略を自社でコントロールすることができ、新しい顧客を獲得するためのクリエイティブな方法を開発できます。

自社製品の管理可能性が広がる

 自社のTシャツを第三者である配送業者に送ったり、小売店に販売を依頼したりすることは、自分のブランドをコントロールすることを放棄することにつながりかねません。

 有名な4つのマーケティングPのうち、価格(Price)、プロモーション(promotion)、場所(place)の3つは、D2C企業であれば、直接コントロールすることが可能です。価格はA/Bテストが可能であり、ビジネスの経済性に応じて価格を上げたり下げたり、好きなように設定することができます。

 D2C企業であれば、卸売業者や流通業者に合わせて価格を設定する必要はありません。また、自社の顧客データに応じてプロモーションを行い、さまざまな販売戦術を駆使して販売の流れをコントロールすることも可能です。

 商品はあなたのウェブサイト上で発売・販売されるので、どこに置かれているか、お客様にどのように提示されているか、どのように受け止められているかも把握できます。

デジタル中心の販売戦略でマルチチャネル化できる

 D2C企業は、売上をインターネットのトラフィックに大きく依存しているため、ソーシャルメディアを利用したインフルエンサーマーケティングなどのデジタルマーケティング戦略を積極的に活用します。

 従来のサプライチェーンでは、製品の販売を少数の大規模な販売店に依存することがほとんどでした。多くの場合、それは独占契約や限られた価格の柔軟性を意味します。たとえば、ある小売店でTシャツを販売していて、フラッシュセールを実施したいとします。そうすると、できることが限られてしまうかもしれません。

 また、新製品のベータテストを行い、お客様からのフィードバックをすぐに得たい場合はどうでしょうか?同じ小売店でも、新製品を小ロットで販売したいとは思わないのが普通です。

多様なマーケティング手法を展開できる

 つまり、D2Cとは、プッシュ型、プル型など、様々なマーケティング手法で製品をコントロールすることができます。D2Cとは、自分のサイトや、販売するさまざまなチャネルを通じて製品をコントロールできることを意味します。ウェブサイトだけでなく、ソーシャルメディアやメールキャンペーンなども活用できるなど、管理の幅も広がります。

 D2C企業であれば、自社のサイトをクリックするだけで、営業であれ、カスタマーサポートであれ、お客様とのやりとりを行うことができます。今や消費者は、何か問題があったときにすぐに対応してくれることを期待しており、すぐに対応することができれば、より良いカスタマーエクスペリエンスを生み出すことができるはずです。

デジタル(ECサイト)からリアル(実店舗)へ

 D2C企業であることは、単にデジタルであることを意味するだけではなく、マルチチャネル・リテーラー(複数のデジタルチャネルで販売する)であるということです。D2C企業とは、デジタルだけではなく、マルチチャネル(複数のデジタルチャネルで販売する)だけでもなく、デジタルマーケティングチャネルと実店舗の両方を活用するオムニチャネル・リテーラーでもあることができます。

 実際、実店舗を持つことは、高額な初期投資や長期間の賃貸契約、人事やスタッフの複雑さなど、非常に困難です。しかし、D2Cモデルでは、デジタルネイティブなブランドとして、成功、製品と市場の適合性、顧客のロイヤリティを最初に証明し、実店舗の効果を確実にすることも可能です。

サブスクリプションベースの価格設定ができる

 急成長している価格設定モデルの一つに、サブスクリプション型の価格設定があります。D2C企業は一般にサブスクリプション方式を採用しています。これは、ビジネスに一貫した収入源をもたらし、DTC企業の成功に極めて重要なリテンションに焦点を当てているからです。

D2Cモデルに切り替えるためのトップ5のヒント

D2Cモデルに切り替えるためのトップ5のヒント

 競争が激化し、1つのカテゴリーに何百ものブランドが存在する現代において、小売業界はますます競争を迫られることが予想されます。そして、潜在的なコストも高くなっていきでしょう。

 したがって、既存顧客への新しいアプローチ方法や、現在直面している地理的・経済的な制約を超えて新規顧客を獲得する方法を模索しているなら、ビジネスモデルをD2Cモデルへと移行していくことは素晴らしいアイデアになると考えられます。

 D2Cモデルへと切り替えるためにはないが必要でしょうか。ここでは、満たすべき5つの要素をについて説明していきます。

(1)現在の市場の状況を調査する

 現在の市場の状況を見て、顧客に対する価格設定の方法に改善する余地はあるかをまずは確認します。D2C企業へと移行するためには、現在の市場の状況を調査するためには、以下の項目をチェックすることが必要です。

 ・どの程度、顧客と直接コミュニケーションをとっているか?

 ・顧客は変化を期待しているか?

 ・現行の商品は手に入りにくかったり、購入しにくかったりしないか?

(2)シンプルさにこだわる

 必ずそうでなければならないというわけではないものの、D2Cというビジネスモデルを採用して成功している企業の製品ラインナップは非常にシンプルです。複雑な製品ラインナップを用意してしまえば、それだけ販売チャネルの多様化が必要となり、それが足かせになります。

(3)データを受け入れる準備をする

 消費者に直接販売するD2C企業であるということは、データについて考えることに多くの時間を費やす必要があるということを意味します。製品データと顧客データを統合したプラットフォームを構築し、どの製品をいつ、誰に販売すべきかを把握しなければなりません

 収集するデータの例として、年齢層、性別、地域別の購買行動(コンバージョン率)、曜日や時間帯別のエンゲージメント、購買者タイプ別の返金データなどを挙げることができます。

(4)好みのCRMを見つける

 CRM(Customer Relationship Management)のためのソフトウェアは、企業が顧客や潜在顧客とのやり取りを管理するのに役立ちます。市場には様々なCRMがありますが、自分のビジネスに最も適したCRMを見つけ、その機能を最大限に活用して自社ブランドに役立てる方法を考えることが重要です。

(5)顧客サービスに真剣に取り組む

 D2C企業で、カスタマーサービスに力を入れていないブランドはありません。ブランドに忠実な、そして時には熱狂的な顧客を作ることは、口コミマーケティングに不可欠な要素です。また、新規顧客を獲得し続けるよりも、リピーターやリテンション(定額制ビジネスの場合)の方が、はるかに経済的に売上を伸ばすことができます。したがって、D2C企業を目指すのであれば、カスタマーサポートチームを雇う準備をし、彼らに成功の鍵を教えることを惜しむことをしてはいけません。

まとめ D2Cのメリットを活かして、コロナ禍を乗り切ろう!

まとめ D2Cのメリットを活かして、コロナ禍を乗り切ろう!

 ビジネスモデルとしてD2Cを採用することには多くのメリットがありますが、最大のメリットは、自分でコントロールできる範囲が広がるということです。

 従来の伝統的なビジネスモデルでは、製品を卸売業者に出荷して、その卸売業者が最終消費者に届ける必要がありました。しかし、サプライチェーンが長ければ長いほど、問題にさらされる可能性が高くなります。1つの問題が発生すると、次の段階のすべての人に遅れが生じるなど、派生的に問題が生じてしまうという課題もあります。

 D2C企業となれば、サプライチェーンにおけるリスクを最小限に抑えるようにコントロールすることができます。どんな企業においても重要な要素となる、製品の価格、製品のプロモーション方法、製品の販売場所を自在にコントロールすることができます。

 新型コロナウイルスが世界のサプライチェーンに大打撃を与えている昨今では、これはかつてないほど重要なことではないでしょうか。アフターコロナの時代に求められるのは、D2Cのように、自社の製品やサービスを消費者に直接届けるようなビジネスモデルであるはずです。

 

<<あわせて読みたい>>

「データドリブンマーケティング」とは?「データドリブン経営」が必要な理由と導入事例を徹底解説!

 

書籍『数値化の鬼』の要約解説図をプレゼント!
書籍『数値化の鬼』図解要約資料

株式会社識学 代表取締役社長 安藤広大の執筆した書籍『数値化の鬼』が、なんと発売後 約1か月で12万部を突破しました!

この感謝を皆様にも還元すべく、株式会社識学では、『数値化の鬼』の図解解説資料を作成いたしました!

一度書籍をお読みになった方も、まだお手元にない方もどなたでも満足いただける完成度となっています!

眺めるもヨシ、印刷して目の付くところに飾るもヨシ、使い方は自由自在!

是非、こちらからDLしてくださいね!