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部下が自発的にPDCAを回せる評価で過去最高益に|株式会社NEXT ONE 代表取締役 斉藤 徹 氏

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概要

大手通信会社の代理店として営業代行を中心に事業展開し、豊富な営業ノウハウやマーケティング手法に習熟したプロフェッショナル集団。それが、株式会社NEXTONEだ。

2007年に北海道札幌市にて設立・創業した同社は、わずか1年弱で事業拡大のため本社を東京都へ移転。以降、順調に事業成長を続け、人員・支店を着実に増やしていった。そんな同社を創業以来牽引してきたのが、代表取締役の斉藤 徹氏だ。

卓越した経営手腕を発揮し、組織を大きくすることに成功した斉藤氏がなぜ、識学のトレーニングを受けることを選んだのか。そして、識学のトレーニングを受けたことで、どんな変化があったのか。同氏の講師を担当した識学の山下との対談を通じて紹介したい。

伸び悩んでいた時期に評価されていたのは
「顔色を伺うのが上手い人」

山下 斉藤社長が識学を知った経緯について、改めてお聞かせください。

斉藤 僕、MBAの資格を取るために2013年から2016年まで大学院に通っていたんです。その時に同じクラスだったのが、ある出版社の取締役を務めている方で。彼は以前、神戸製鋼のラグビーチームで副キャプテンを務めていたそうなのですが、その時キャプテンだったのが、現在識学のスポーツ事業部を任されている後藤さんだったんですよ。

それで、その社長さんの紹介で後藤さんと引き合わせてもらった時に、後藤さんから識学の理論を使って女子ラグビーチームを監督として日本一に導いたという話を聞かせてもらったんです。元々、識学自体は知り合いがすでにトレーニングを受けているという話を聞いていたので何となくは気になっていたのですが、後藤さんのひと押しで「自分も受けてみよう」と決めました。

山下 それで、私が講師を担当させて頂くことになったんですよね。最初にお会いした時に「20の質問」をさせて頂いた上で、斉藤社長は「自分自身のどの部分が欠けているのかをちゃんと認識されていて、変わろうとしているという変化意識のものすごく強い方だな」という印象でした。実は、こういう斉藤社長のようなタイプは識学のトレーニングを受講すると一番伸びる方の特徴でもあるんですよ。
斉藤 当時、自分の組織運営に対して一番課題を感じていたのは「評価」の部分でした。識学のトレーニングを受ける前の僕の会社は、一般社員までは評価制度やインセンティブが決まっていたのですが、事業部長以上は僕がいわゆる「鉛筆を舐めて決める」みたいな状況で。

だからそこには明確な基準が設けられていないし、言って見れば僕が数字判断したときの気分で決めていたみたいなところがあったんです。そうすると、働いている役員や事業部長からしたら、先が見えない状況になってしまう。なので、離職も当然ありますし、今から考えてみれば役員や事業部長はパフォーマンスが上げ切れていませんでした。

今振り返ると、当時はわざと評価を曖昧にしていた部分があったなぁと思っています。「インセンティブがもらえるから、評価されるからってお前は頑張ってるの?違うよね?」と、自分に近しい人には求めてしまっていたんですよね。なので、自分に近い役職の人ほど、評価をわざとうやむやにしていた。

だから、評価基準を書面で起こすのも抵抗がありました。でも、その結果どういう人が僕の会社の中で評価をされていたかというと、「僕の顔色をよく伺っている人」だったんですよね。そりゃあ、「僕が次やろうとしてることが何なのか自分で考えろ」って指示をしたって、考えられるはずないですよね。自分により近い考えを持ってきた人を評価してたわけですから。……というのが、前の組織の状態。だめですよね、そんな組織は…(笑)。

山下 熱くて部下思いの社長さんほど、こういう問題が起こりやすいんですよね。

「自分がいなければ成り立たない組織」は
「良い組織」ではない

山下 斉藤社長のトレーニングを担当させて頂いた時に印象的だったのは、識学の理論に対する理解のスピードの速さでした。

斉藤 それはもう、山下さんの話が「ああ、確かに」と思えるところしかなかったので、むしろそこに異論が発生しなかったんですよ。
より具体的に知りたいと思って質問をすることがあったとしても、聞いた上で「いや、それはそうじゃないだろ」と思ったことはトレーニングを受けている期間中、一度もなかったです。

山下 これまでのマネジメントと真逆のことを私から言われた時にも、抵抗感はありませんでしたか?

斉藤 全くなかったです。なぜかというと、僕の以前のマネジメントは、「僕がいなければ成立しない」ものだったから。それって、全然良い組織じゃないと思うんですよね。そう考えを改めることになったきっかけは、MBA取得のために大学院に通っていた頃、僕が現場を離れることが増えた結果、徐々に業績が悪くなっていったから。大学院修了後からまた会社に関わる時間が増えて、「本来であれば経営者は経営者としての仕事をしなければならないのに、いつまで現場に降りてマネジメントに介入しないといけないんだろう」と思い始めていたんです。ちょうどその時期に識学に出会うことが出来たので、とても良いタイミングでした。

識学が教えてくれるのは「経営者が現場にいなくても組織が上手く回っていくための方法論」だったので、今後の会社の成長を考えたら確実にこのやり方の方が自分に合っていると思い、山下さんから教わったことはすぐに実践しました。

 

山下 斉藤社長は識学を理解するスピードだけでなく、実践するスピードもものすごく早かったですよね。以前、役員・事業部長の方々が集まる会議の見学をさせていただいた時も、会議中に部下の方の発言が識学の理論から外れた時の修正の仕方が、識学の講師なんじゃないか思ってしまうくらいにちゃんとできていたのを覚えています(笑)。「それって完全結果になっていないよね?」とか、「『頑張ります』じゃなくて、具体的にどう変えるの?」という突っ込みの入れ方、完璧でした。

評価が明確だと部下は自発的にPDCAを回せるようになる

山下 識学のトレーニングを受ける前に課題だとおっしゃっていた、「評価基準の明確化」に対しては、どのように変えていったのでしょうか。

斉藤 役員は今までは役員になったら毎年給料は上がっていくという仕組みになっていたのですが、それはもちろん廃止しました。そして、支店長や役員の評価は「目標の利益を達成できたかどうか」の1点だけをSS・S・A・B・Cの5段階で半年に一度評価することにしました。

今までは、おそらく僕の期待してることが何かっていうことを考えさせてしまっていたため、お互いの認識に差が生まれていました。例えば、僕が求めているのは「利益の最大化」なのに、部下は「事業拡大したいからたくさん人を増やしてほしいと思っているんじゃないか」と判断し、拡大するとします。

でも、生産効率の悪い人を増やして拡大しても、結局会社にとっては損失になってしまうわけですよね。それが、結果設定をちゃんとすることによって、役員幹部はどのようにしたら達成できるのかってことを自発的に考えて、PDCAを回せるようになったのが、大きな変化かもしれません。その結果、ほとんどの部門が目標を達成して、過去最高の利益を出すことができました。

山下 営業部門以外の評価はどのように変えたのでしょうか。

斉藤 定性的な評価を限りなく排除しました。例えば、今までだったら「経営理念に沿って、この理念により近しい行動しているか」みたいな評価項目がありましたが、識学のトレーニングの中で山下さんから「『徹底』とか『一生懸命』とか『努力』といった言葉を排除した方がいい」とよく言われていたので無くしました。

例えば人事部門も、「いくらの予算で何人採用して一人当たりいくら以下のコストで採用することができたら君を評価します。手段は自分で考えてね」といったような評価にしました。その中で、もしも自分の意志決定が間違っていたら評価は下がるし、良い判断ができれば上がる。本人に考えさせて、成功も失敗も両方経験させてあげる方が、現場の成長につながるのだということが、実際にやってみてよく分かりました。

山下 マネジメント手法が変わったことで、部下の方々から反発などは無かったのでしょうか?

斉藤 むしろやりやすくなったと感じているみたいです。やり方に口を出されなくなったり、自分で考えられるようになるのは、仕事の愉しみにつながりますから。僕自身も、今までは僕がやった方がいい仕事だと思っていたことが、「あ、やらない方がよかったんだ」と思えるようになりました。

山下 「やった方がいい仕事」だと思っていたこととは?

斉藤
 例えば、ある地点から目標地点まで到達させるのに将来の計画を僕が引いた時に、そこに辿りつくにはどうするかまで僕が考えていたのですが、そこは結果を設定されている本人達が考えた方がよっぽど近づくスピードが速いんじゃないかと、識学のトレーニングを経て気づかされたんです。

正解が明確だから、組織の問題で悩まない

山下 今、斉藤社長には経営者のご友人を何名かご紹介いただいていますが、どんな経営者の方にお勧めをされていますか?

斉藤 業種は全く関係ないので、今組織を持っていて、成長しようと思っていたり、今の組織から脱却しようと考えているような経営者の方には識学をお勧めしています。

山下 識学をお勧めする理由についてお聞かせください。

斉藤
 識学が自信を持って人に薦められる学問だと思ったからですね。僕自身が実際にやってみて、自分自身や組織を変えることができたので、自分の近しい人にも変わってもらえたらと思って。あとは、自分が識学の考えを忘れないために……という意図もあります。


近しい人が識学を学んでいれば、同じ共通言語でコミュニケーションができるので、インプットとアウトプットが続けられて、より識学を理解していけるんじゃないかと思っています。識学は非常に良い学問ですが、先ほども話した通り、解釈を間違えてしまうと結果が出ないんですよね。だから、なるべく復習できる場が欲しいんです。
 

山下 斉藤社長はMBA取得のために経営学を学ばれていましたが、MBAの大学院で学んだことと識学の共通点・異なる点をそれぞれお聞かせください。

斉藤
 一番大きな違いは、「正解が明確かどうか」です。大学院では組織行動学やマネジメント学などを通じて、「勝ちに行く定石」を学ぶことはできます。しかし、その定石の中で自分自身がどうするか、どんな手を打つのかは、人によって違うので正解がない……というのが経営学での理論。一方、識学はより具体的な方法論のところまで踏み込んで学ぶことができるので、何か問題が起きたとしても課題の解決方法がはっきりと見えるようになるんです。だから、僕は識学を学んだことで組織の問題で悩まなくなりました。その分、次の事業戦略をどう立てていくかといった経営者としての時間を増やすことができています。

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