仕事をしていると毎日社内外に多くの人とコミュニケーションを取っています。コミュニケーションが円滑に進むかどうかで仕事の出来が変わることも少なくありません。今回の記事では、ビジネスに必要不可欠なコミュニケーション能力について、コミュニケーションの基本的な部分からコミュニケーションを円滑にする法則やテクニックまで紹介します。
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目次
コミュニケーション能力を高めるメリット
コミュニケーション能力を高めることは日常生活はもちろん仕事において多くのメリットがあります。コミュニケーション能力を高めることが、いかにビジネスにおいてメリットをもたらすか説明いたします。
人間関係が円滑になる
人間関係は日々のコミュニケーションの積み重ねです。そのため、コミュニケーション能力を高めることで人間関係が円滑になります。職場の人間関係や取引先との人間関係が円滑であれば、仕事もスムーズに進めることができます。
情報を正しく伝えることができる
コミュニケーション能力は自分の言いたいことを正しく伝えることとも言い換えられます。コミュニケーション能力を高めることで、情報を正しく伝えることができるようになります。情報を正しく伝えることは、一見当たり前に聞こえるかもしれませんが、ビジネスの世界ではコミュニケーションミスにより、様々な問題が生じます。そのため「情報を正しく伝えることができる」のはビジネスマンにとって重要な能力なのです。
周りの協力を得やすい
コミュニケーション能力が高ければ周りの協力を得やすいというメリットもあります。先ほど説明したように、コミュニケーション能力が高ければ普段から人間関係が円滑になります。さらに、情報を正しく伝えることができるので、どんな内容においてどんな役割を協力して欲しいかも伝えることができます。その結果、周りからも協力を得やすくなり仕事も円滑に進めることができるでしょう。
年収と相関性がある
コミュニケーション能力と年収には相関性があると言われています。ハーバードビジネススクールが行った研究によると、コミュニケーション能力がある人は、ない人の1.85倍の年収を得ていることがわかりました。
コミュニケーション能力が仕事の成果につながり、仕事の成果が年収アップにつながると考えられます。
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2種類のコミュニケーション
私たちは日常多くの場面で当たり前のようにコミュニケーションをとっていますが、コミュニケーションは大きく2種類に分けることができます。言語コミュニケーションと非言語コミュニケーションです。それぞれの特徴や違いについて説明します。
言語コミュニケーション
言語コミュニケーションとは、言葉を使ったコミュニケーションのことです。コミュニケーションと聞くと多くはこの言語コミュニケーションをイメージされる方が多いのではないでしょうか。話す以外にも文章など書いて伝える場合も言語コミュニケーションになります。
非言語コミュニケーション
もう一つのコミュニケーションが非言語コミュニケーションです。非言語コミュニケーションは言葉を用いないコミュニケーションであり、「ノンバーバル・コミュニケーション」とも言います。
具体的には、「表情やしぐさ」「ジェスチャー」「声のトーン」などのことを指します。コミュニケーション能力を考える時につい言語コミュニケーションばかりに目が行きがちですが、時に言語コミュニケーションよりも非言語コミュニケーションの方が多くの情報を伝える場合もあります。
「人は見た目が9割」という一見極端に思える言葉もありますが、実際に非言語コミュニケーションが言語コミュニケーション以上に印象を与えるという研究もあります。コミュニケーション能力を考える際は、言語コミュニケーションだけでなく非言語コミュニケーションについても重要な要素として頭に入れておきましょう。
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コミュニケーションは2つの能力に分けられる
コミュニケーション能力というどんな能力を思い浮かべるでしょうか。なんとなくのイメージはあっても、具体的にどんな能力かというと難しく感じる人もいるはずです。コミュニケーションは大きく2つの能力に分けることができます。
伝える能力
1つ目は伝える能力です。自分が伝えたい内容を正しく相手に伝えることはコミュニケショーンにおいて欠かせない要素です。伝えたいことを正しく伝えるためには相手や状況によって、コミュニケーションを変える必要があります。臨機応変にその場その場で適切なコミュニケーションを取れる人は伝える能力が高いと言えるでしょう。
聞く能力
コミュニケーション能力のもう1つ能力が聴く能力です。コミュニケーション能力というと伝える能力が注目されがちですが、聴く能力も大切な要素です。相手が言いたいことを正しく聞くことで、意思疎通ができ、円滑なコミュニケーションが可能です。
人は自分の話をしっかりと聞いてもらえるとそれだけで安心感を感じることができます。コミュニケショーンを通じた承認により、信頼感にもつながります。
つい忘れがちですが、人の話を傾聴する傾聴力を高めることもコミュニケーション能力を高める上で必要不可欠です。「聞き上手」はコミュニケーション上手と言えるでしょう。
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コミュニケーションの大前提
コミュニケーションの能力を高めると、自分の言いたいことを正しく伝えられ、相手の言いたいことも正しく聞くことができるようになると説明してきました。ただし、他人である以上完璧な意思疎通は難しいという前提は持っておいた方が良いでしょう。
私たちはそれぞれ異なる環境で育ち、異なる経験をしてきています。そのため情報としては同じ情報を話したり、聞いたりしていても、100パーセント完璧に同じものとして捉えることは難しいものです。そういった違いを大前提として、コミュニケーションの難しさや限界を知っておくこともコミュニケーション能力を高める上で重要となります。
「誠意を持って伝えれば必ず伝わるはずだ」と思ってしまうと理解してくれない場合に相手を責めたり、否定してしまったりすることにもつながりません。伝わらないのは自分や相手にコミュニケーション能力がないからだ、と不必要に悩む原因にもなります。
一人ひとり別の人間であり、完璧なコミュニケーションは難しいと理解した上で、お互い分かり合えるよう努力していく姿勢がコミュニケーションでは必要なのです。
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コミュニケーションの4つのステップ
コミュニケーション能力を高めるためにはコミュニケーションにおける流れやステップを知ることが大切です。コミュニケーションの4つのステップについて説明します。
人間関係を築く
まずはコミュニケーションの前提となる人間関係を構築するステップです。相手と話そう、相手の話を聞こうという姿勢がなければ、そもそもコミュニケーションはできません。人間関係の構築や基本的な信頼関係の構築を無視して、一方的にこちらの欲求を通そうとしたり、説得したりしても望む成果は得られないものです。
お互いが信頼できるように、人間関係を構築することがコミュニケーションのスタートラインになります。コミュニケーション能力を高めたい人は、まずは相手と良質な人間関係を構築できるようになりましょう。
相手の話を聞く
人間関係を構築し、基本的な信頼ができるようになれば次のステップに移ります。次のステップは「相手の話を聞く」ステップです。コミュニケーション能力といえば伝える能力というイメージも強いかと思いますが、まずは聞く、傾聴する能力が大切です。伝える能力の前に聞く能力を磨くようにしましょう。
自分の主張を伝える
十分に人間関係が構築でき、相手の言葉を受け止められるようになった段階でやっと伝えるステップになります。ここで初めて伝える能力やうまく伝えるためのテクニックなどが有効となります。しかし、伝えるためにはその前に「信頼関係を築く」、「相手の話を聞く」という重要なステップがあることを忘れてはいけません。
お互いに理解する
お互いに話を聞き、お互いに自分の伝えたいことを伝えた先に相互理解があります。相互理解まで到達すればコミュニケーションは成功したと言えるでしょう。
コミュニケーションの流れやステップを理解することで、コミュニケーション能力を高めるために必要なことや普段のコミュニケーションにおいて自分に足りていないものが自ずと見えてくるでしょう。
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コミュニケーションを円滑にする心理学の法則
コミュニケーションの4つのステップでも紹介したように、まずは人間関係を築き、信頼してもらうことがコミュニケーションを円滑にするためには重要です。コミュニケーションのスタートラインとなる人間関係を築くのに役立つ心理学の法則について説明します。
メラビアンの法則
メラビアンの法則とは、コミュニケーションにおける相手に与える印象の要素の割合について説明した法則です。この法則を提唱した、アルバート・メラビアンの名前から「メラビアンの法則」と呼ばれています。その内容から「3Vの法則」や「7-38-55ルール」とも呼ばれています。
まずは「3V」について説明します。「3V」とはコミュニケーションにおいて情報を得ることができる、「言語情報( Verbal)」、「聴覚情報(Vocal)」、「視覚情報(Visual)」の3つの頭文字を取ったものです。
メラビアンの法則によると、人の印象への影響度は「視覚情報」が55%、「聴覚情報」が38%、「言語情報」が7%であるとされています。3Vの影響度の数字から「7-38-55ルール」とも呼ばれているのです。
メラビアンの法則から、言葉で説明よりも態度や表情、声のトーンなどの方が圧倒的に印象に関わるということがわかります。例えば、いくら言葉で「楽しい」と表現しても、表情や声のトーンが暗ければ相手には暗い印象が伝わります。
メラビアンの法則は、非言語コミュニケーションの重要さがよくわかる法則です。
類似性の法則
「類似性の法則」とは、自分と共通点を持つ人に親近感を覚える心理を指します。例えば「出身地が同じ」「趣味が同じ」など共通点があると初対面の相手でも話が弾みます。共通点が多い人とは、すぐに打ち解けられたという経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。そのほかには言動や学歴、性別なども類似性の要素として考えられます。
出身地や学歴などは偶然の要素もあり、意図的に作り出すのは難しいでしょうが、普段から相手の話をしっかり聞き、共通点がないか普段から意識するだけでも人間関係構築のためのヒントになります。
また、属性は真似できなくても言動であれば真似することができます。例えば相手がよく使う言葉を使う、相手が話したことを繰り返す、身振り手振りや相手の動作を真似するなどです。不自然にはならないように気を付ける必要はありますが、類似性の法則を活用したテクニックはいくつかあり、人間関係構築の助けになります。
類似性の法則を活用することは、相手に関心を持つことにもつながりますのでコミュニケーションの促進につながるでしょう。
返報性の法則
返報性の法則とは、相手から何かもらった時はお返したいいと思う心理のことです。例えば何かプレゼントをもらった場合は、お返しをしないといけないと感じる人も多いでしょう。これも返報性の法則が当てはまります。ギブ&テイクという言葉があるように、まず「ギブ」することで見返りを得ることができます。
日常の様々な場面で返報性の法則は活用されています。例えば、スーパーで店員に勧められるままについ試食をしてしまい、商品を買ってしまったこと経験がある人も多いでしょう。試食したことで店員さんに借りを感じ、お返しとしてたとえあまり欲しくない商品でも買ってしまうのです。
また、返報性の法則は好意以外でも当てはまります。例えば、交渉の場面でよく使われる「ドア・イン・ザ・フェイス」というテクニックも返報性の法則を活用したものです。「ドア・イン・ザ・フェイス」は簡単に言えば、はじめに断られる可能性の高い要求をし、あえてそれを相手に断らせることで、断った事による罪悪感を抱かせ、本来の要求を受け入れらやすくするのです。これは譲歩の返報性を活用したテクニックです。
そして、忘れがちなのが敵意にも返報性の法則が当てはまるということです。つまり、自分が敵意を持っている相手には敵意を持たれやすいということです。相手に嫌われているな、距離を置かれているなと感じる場合は実は自分自身がそう思っているのかもしれません。
ザイオンス熟知性の法則
ザイオンス熟知性の法則は、繰り返し接することで相手に好意をいただくようになる心理です。「単純接触効果」といった言葉でも表現されます。心理学者である、ロバート・ザイオンスが提唱したことから「ザイオンス熟知性の法則」と言われています。
コミュニケーションだけでなく、マーケティングなどにも活用されています。例えば広告もそうです。テレビCMやネット広告などを通じて、ある商品に何度も触れることで親近感や好意を持たれやすくなります。
様々な場面で活用できるザイオンス熟知性の法則にも注意点があります。それはもともとマイナス評価されている場合やネガティブな印象を持たれている場合は、逆効果になってしまうことです。その場合は、単純に接点を増やす前にまず相手の根本の印象や評価を変えなければいけません。
ザイオンス熟知性の法則を活用する際は、まず現状相手にどういった印象を持たれているかを確認しておきましょう。
開放性の法則
開放性の法則とは、プライベートな部分など自己開示してくれる相手に対して好意や親近感をいただきやすくなる心理のことです。仲良くなりたい、信頼関係を築きたいと考えるならばまずは自分のほうから情報を開示していくと良いでしょう。返報性の法則から考えると相手も自身のことを話しやすくなり、親密な関係になるきっかけにもなりやすくなります。
ビジネスの現場では上司や部下とのコミュニケーションや取引先の相手とのコミュニケーションにも活用できます。仕事の話ばかりではなく、たまにはプライベートな部分も開放することで親近感が沸き、円滑なコミュニケーションにもつながるでしょう。
知っておきたいコミュニケーションの7つのテクニック
コミュニケーションを円滑にする法則について学んできましたが、ここからは今日から使える具体的なテクニックを7つ紹介したいと思います。
傾聴する
これまでも説明してきましたが、傾聴することはコミュニケーションにおいて非常に重要です。これから様々なテクニックを説明しますが、まずは相手の話をしっかり聞き、傾聴するという意識を持ってコミュニケーションを行いましょう。
ミラーリング
ミラーリングとは、相手の言動や身振り、しぐさに自分も合わせるテクニックです。ミラーリングは先ほど説明した法則では、類似性の法則に基づくものです。ミラーリングをすることで、相手が親近感を持ちやすくなります。
具体的には、相手が飲み物を飲んだら自分も飲み物を飲む、相手がうなずくタイミングでうなずく、楽しい表情で話しているときはこちらも楽しい表情で話すなどです。
ミラーリングはコミュニケーションに活用できる代表的なテクニックですが、自然に行うことが重要です。ミラーリングをやりすぎたり、相手にミラーリングをしていることが伝わってしまったりすると逆に不快感を感じてしまう場合もあります。
あくまで自然に相手に悟られないレベルで実践してください。
ペーシング
ペーシングは、相手の話し方や呼吸のペースに合わせることです。ペーシングもミラーリング同様に類似性の法則に基づくコミュニケーションの手法となります。
ミラーリングが具体的な言動や仕草を真似るのに対して、ペーシングではさらに細かく話し方や相手の状態、呼吸などに合わせます。
例えば相手が悲しい声のトーンで小さな声で話すのであれば、自分も同じように悲しみを含んだ小さな声で話します。相手がゆっくり話す人であれば、こちらもゆっくり話すと良いでしょう。
ミラーリングもペーシングも何も考えずに真似るのではなく、相手のことをよく観察する、相手に関心を持つということが基本的な姿勢として大切になります。
バックトラッキング
バックトラッキングとは、相手の言ったことを繰り返すテクニックです。日本語では「オウム返し」と表現するのが意味としては近いでしょう。バックトラッキングを行うことで、しっかりと話を聞いていることを相手伝えることができ、安心感を感じてもらうことができます。先ほど説明した傾聴のテクニックの一つです。
バックトラッキングには単に相手の言葉を繰り返すだけでなく、少し表現を変えて伝えたり、内容が長い場合は要約して伝えたりするバックトラッキングもあります。
5W1Hを意識する
伝える時は5W1Hを意識しましょう。ご存知の方も多いと思いますが、5W1Hは、Who(誰が)、What(何を)、When(いつ)、Where(どこで)、Why(なぜ)、How(どのように)の頭文字をとったものです。
5W1Hが重要なことは十分わかっている方も多いと思いますが、日常のコミュニケーションでは意識できていないものです。意識するだけでずいぶんわかりやすく伝えられるので、今一度基本の5W1Hを意識してみましょう。
例え話や比喩を活用する
自分が詳しくないものや自分が体験したことがないものは理解しにくいものです。5W1Hを意識して、わかりやすく伝えていてもどうしても相手に理解してもらえない場合もあります。
そんな時は例え話や比喩をうまく活用しましょう。例え話や比喩を使うことで、相手がイメージしやすくなります。特に専門用語や専門的内容は伝わりにくいので、例え話や比喩がうまく使えるとコミュニケーションが円滑に進むでしょう。
相手の立場で考える
相手の立場で考えるというのもコミュニケーションで重要なポイントです。何かを伝えようとする時どうしても自分の主張や自分の立場で話してしまいがちですが、相手や状況次第ではうまく伝わらないことも多いです。
そんな時は相手の立場に立って、自分の伝えたいことがなぜ伝わらないのか、どうすれば伝わりやすいのか考えてみましょう。伝える側にとっては当たり前と思っている内容が受け取る側にとっては知らない内容であったり、理解することが難しかったりする場合もあります。
いくら例え話や比喩をうまく使い、5W1Hを満たしていても相手を考えないコミュニケーションは伝わりません。自分が話したいように話すのではなく、相手の立場に立ってわかりやすく伝えることを意識しましょう。
ビジネスコミュニケーションのポイントを押さえよう
コミュニケーション能力は円滑にビジネスを進めていく上で非常に重要です。コミュニケーション能力を高めることで、仕事も円滑に進み、成績にも良い影響がもたらされるでしょう。
コミュニケーションの前提を押さえた上で、コミュニケーションで使える法則やテクニックを活用してより良いコミュニケーションを行いましょう。
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