【無料】マンガで学ぶマネジメント公開中!

【わかりやすく】ハイコンテクストとは?意味や会話例を解説!今、ローコンテクストが必要性な理由

ハイコンテクストとは、暗黙のルールが多い日本文化のことを指します。

例えば、行間を読む、空気を読むといった言葉は、端的に日本文化がハイコンテクストであることがわかるでしょう。

しかし、テレワークが一般化した今、仕事においてはハイコンテクストではなく、ローコンテクストの姿勢を取るべきと指摘されるようになりました。

なぜ、今ローコンテクストが必要なのか、以下実例を踏まえて解説をします。

おすすめ記事:半導体とは?その仕組みや歴史、メーカーを解説

ビジネス書としては異例の30万部突破!
書籍『リーダーの仮面』の図説資料
をプレゼント!
リーダーの仮面図解

株式会社識学 代表取締役社長 安藤広大の執筆した書籍「リーダーの仮面」は、結果の出せるリーダーになるために必要なテクニックをまとめたリーダーシップ本の決定版!

優れたマネージャーに、才能・人間力・経歴は一切必要ありません!

誰でも実践できるマネジメントの原理原則PDF17ページにググっと凝縮!

ぜひ、DL頂き、皆さまの日々のマネジメントに生かしてください!

ハイコンテクストだから起きる「すれ違い事件」

ハイコンテクストの罠

先日、クライアントからの相談を受けながら、ふと「言葉のすれ違い事件」を思い出しました。

それは、ある会話で使われた「大丈夫」という言葉に、筆者が翻弄されたことです。

筆者の仕事は、社労士とライター。

日々、クライアントや関係者とコミュニケーションをとりながら、業務を遂行しています。顧問先のなかには、契約から現在まで、一度も対面したことのない社長もいます。

物理的な距離が原因の場合もありますが、実際に、「対面する必要がない」というところが最大の要因です。

とある日、いつものようにSNSで仕事の確認をしていました。

相手は、筆者の原稿をチェックする編集長で、こちらも直接会ったことはありません。

筆者から、新規の原稿について、

「この内容で執筆できれば、貴社の評価向上に貢献できると思う」

という趣旨のメッセージを送りました。

すると編集長から、「大丈夫」と、返信がありました。

このとき筆者は、「大丈夫、キミでは無理だから」と受け取りました。しかし編集長は、「大丈夫、もう十分貢献してもらってるから」というつもりで、返信したそうです。

ライター業は、基本的にメッセージのやり取りのみで完結します。編集長からの指示は的確なため、業務上の支障はありませんが、筆者の決意表明ともとれる発言を一蹴された「すれ違い」に、ひどく心を痛めたものでした。

テレワークが進む昨今、フィジカル環境ではなく、デジタル環境下でのやり取りが急増しています。
文字や文脈に依存する傾向を踏まえ、これからの傾向と対策を考えてみます。

<<あわせて読みたい>>

KPIとKGIの違いとは?目標達成に重要な指標を徹底解説!

テレワークにおける「単語事件」

テレワークにおける「単語事件」

システム開発会社を経営する顧問先の社長から、雑談を兼ねて、テレワークでの失敗談を聞いた時のことです。
システム系の仕事は比較的リモートワークがしやすいため、コロナの影響が拡大する前に、テレワークへと切り替えていました。

「うちの仕事は、わりとドライに進められます。業務も、指示書や設計書で作業の指示をしますし。
ですから、ウェットな環境はこれからも必要ないかもしれません」

システム系の仕事は、知識集約型産業と思いきや、労働集約型産業の側面が強いものです。
豊富なITナレッジを持ったシステムエンジニアたちが作業をしますが、積もり積もるとマンパワーという結論に至るからです。
多数のSEを抱える社長は、コミュニケーションのすれ違いから起きた、ある出来事について話してくれました。

「つい先日、女性社員とその上司から謝罪を受けました。ちょっとしたITツールの作成を依頼したのですが、『期日までに出来上がりませんでした』と」

話を聞くと、社長から依頼を受けた上司が、部下へ「社内向け集計ツール」の作成を指示。
しかし、終盤に、部下から変更の提案を受けたため、提案された内容への変更を承諾しました。
ところが、出来上がったものは当初の指示通りのものだった、という内容でした。

なぜ部下は、承諾された変更を無視し、当初の指示通りに進めてしまったのでしょう。

実はその部下は、筆者の友人でした。
友人から、リアルタイムでその「ミス」について相談を受けていたため、手に取るようにミスの発生過程が理解できました。

「何度もテストしながらそのツールを作成したの。私の解釈が合ってるのか不安だったから、上司に、『これはルール上Aだと思うので、Aで作りました。しかし、過去を参考にすると、今後のためにはBにしたほうが良いかもしれませんが、どうしますか?』ってメッセージしたの。
上司の返答は、『いいです』だった」

この「いいです」の一言が、すべての元凶となりました。
友人は
「提案されたBはいらない、当初のAでやる」
と受け止めたのです。

その結果、期日までに仕上げた「ITツール」は、上司が要望したツールではなく、仕事としては「失敗」に終わったのでした。

<<あわせて読みたい>>

半導体不足はなぜ起きた?いつまで続く?半導体不足の影響や原因、解消の見込みについて

半導体とは?その仕組みや歴史、メーカーを解説

ハイコンテクストは空気を読む文化

ハイコンテクストは空気を読む文化

日本には「空気を読む」という文化があります。
「言われなくても感じて行動する」という「ハイコンテクスト文化」が根強く存在します。

ハイコンテクストは、コンテクスト(知識、文化、価値観、言語)が共通認識となっている状況を指します。
「以心伝心」の言葉に表されるように、言葉にしなくても理解し合えます。

一方、コンテクストの共通項が少なく、より言語に依存してコミュニケーションを行う状況が、ローコンテクストです。
お互いの「当たり前」が通用しません。

これらコンテクスト文化は、アメリカの文化人類学者エドワード・T・ホールが、世界の文化を「ハイコンテクスト文化」と「ローコンテクスト文化」に分類し比較したことで有名となりました。

日本社会はこれまで、ハイコンテクスト前提で成長してきました。
企業においても同様に、カルチャーフィットする人間で、会社が組織されてきました。
ハイコンテクスト社会では、組織する人たちの知識や価値観が近いため、多くのコミュニケーションを介さずとも、意思の疎通が図れます。
そこから、お互いを思いやる気持ち、いわゆる「おもてなし」の文化が根付いたといえます。

しかし、ここへ来て、テレワークやリモートワークという「新しい働き方」へ舵が切られつつあります。
その結果、「空気を読む」ことも「察する」ことも困難となります。
つまり、今後はローコンテクストでのコミュニケーションがマストとなるのです。

実際に、緊急事態宣言解除後に実施したテレワークの実態調査によると、全国平均で25.7%の正社員がテレワークを実施しているという結果が出ました[1]。
これは、3月上旬の実施率と比べ、約2倍の増加です。

また、企業規模別(従業員数別)のテレワーク実施率をみると、従業員数が多い企業ほどテレワーク実施率が高くなっています(図1)。
テレワークが進み、デジタル環境下での就労が当たり前になると、コミュニケーションに対して、これまで以上の努力と工夫が必要となるでしょう。


図1:パーソル総合研究所/第三回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査「企業規模別(従業員数別)テレワーク実施率」
https://rc.persol-group.co.jp/research/activity/data/telework-survey3.html

そして、今後、テレワークが加速されると予想される裏には、若年層や女性の「テレワーク継続希望」率の高さがあげられます(図2)。
約7割の正社員が、今後もテレワークを希望しており、前回調査(4月前半)から比べても16.2%の上昇となりました。


図2:パーソル総合研究所/第三回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査(テレワーク継続希望)
https://rc.persol-group.co.jp/research/activity/data/telework-survey3.html

働き方改革やダイバーシティに象徴される、「働き方の多様性」や「多様な人材の積極的な活用」につながるテレワーク。
一緒に仕事をするメンバーは、年齢、性別、国籍、はたまた文化や宗教など、一人として同じ人はいません。
自分の当たり前が、相手の当たり前とは限らないことを理解し、「ローコンテクスト重視」の作業方法を身に着けることが必要となるでしょう。

<<あわせて読みたい>>

メタバースとは?メタバースの語源や意味、具体例をわかりやすく解説!

DXとは?なぜDXと略すの?デジタルトランスフォーメーションの意味や定義をわかりやすく解説

まとめ ローコンテクストがテレワークでは一層大切になる

まとめ ローコンテクストがテレワークでは一層大切になる

企業というものは、そもそも「ゲゼルシャフト(機能体組織)」を基本とします
企業という組織自体に目的があり、そこで働く人は企業の利益のために活動します。

ゲゼルシャフトに対し、家族や友人といった、本質的に結合する集団を「ゲマインシャフト(共同体組織)」と呼びます。
これらの概念は、ドイツの社会学者フェルディナント・テンニースが提唱しました。

つまり、「仕事をする=目的を達成する」ために集まった労働者や関係者にとって、感情的な結びつきは求められていません。
あくまで、与えられた業務を遂行することが目的なのです。

しかし、ピーター・ドラッカーはこう言います。
「働く者が満足しても、仕事が生産的に行われなければ失敗である。
逆に仕事が生産的に行われても、人が生き生きと働けなければ失敗である[2]」

やはり、仕事へ取り組むにあたり、やりがいや喜びを感じることは大切です。
相手の顔が見えないデジタル環境において、唯一の接点となるのは「文字」です。
相手が必要とする情報を、適切な表現で提供することは、双方の信頼関係を築くだけでなく、スムーズな業務遂行へとつながります。

前出の友人と、例の上司について議論した結果、
「いいです」
ではなく
「B、いいですね」
と返答してくれていたら、あのミスはなかったという結論に落ち着きました。

しかし、
「その前に、私が確認すればよかった。それまでの流れから、つい、Aでいいのだと決めつけてしまった」
と反省する友人の意見も、そのとおりです。

時間的、空間的自由を手に入れられる、テレワークという働き方。
そのためには、「見えない相手に、正確に伝える」というマインドが必要となることを、お忘れなく。

関連記事:パーキンソンの法則とは?仕事と生活で役立つ対策法をわかりやすく解説します!

関連記事:【ドラッカーの名言】マネジメントやイノベーションの本質から学ぶ企業が取るべき指針とは?

[1]パーソル総合研究所/第三回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査(緊急事態宣言が解除された後のテレワーク実施率)https://rc.persol-group.co.jp/research/activity/data/telework-survey3.html
[2]引用:Peter F. Drucker/マネジメント(エッセンシャル版)p57

書籍『数値化の鬼』の要約解説図をプレゼント!
書籍『数値化の鬼』図解要約資料

株式会社識学 代表取締役社長 安藤広大の執筆した書籍『数値化の鬼』が、なんと発売後 約1か月で12万部を突破しました!

この感謝を皆様にも還元すべく、株式会社識学では、『数値化の鬼』の図解解説資料を作成いたしました!

一度書籍をお読みになった方も、まだお手元にない方もどなたでも満足いただける完成度となっています!

眺めるもヨシ、印刷して目の付くところに飾るもヨシ、使い方は自由自在!

是非、こちらからDLしてくださいね!