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【批判される】SDGsウォッシュとは?見せかけのサスティナブルにしないための対策や事例

SDGsウォッシュとは、実態がないのにも関わらずSDGsに取り組んでいるように見せかけること。企業価値の向上やブランディングのために、SDGsをポーズとして利用してしまうことです。

CSR(企業の社会的責任)としてリサイクルや節電など環境への配慮、あるいは地域への貢献、従業員の安全確保などへの取り組みを進める企業が増えています。
また近年では、対象を地球規模の問題解決にまで拡大した「SDGs」を、CSRの一貫に盛り込む企業が増えつつあります。

しかし、「良いことだからやってみよう」という程度の動機しかないのなら、それは批判を浴びる材料になりかねません。

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SDGsと「SDGsウォッシュ」とは?

SDGsと「SDGsウォッシュ」

「SDGs」は国連が採択した、地球規模の問題を企業の努力によって解消しよう、というものです。環境問題をはじめ、貧困や飢餓、人権問題の解消など、最終的には「誰ひとり取り残さない」という理念で世界中の国に努力が求められています。

大企業であれば緑化運動や、自社技術による海外での水源確保、自社内での性差別の解消、その内容は様々です。何らかの形でSDGsに取り組むのは「良いこと」です。

SDGsのもう一つの側面に、「そのような取り組みをしている企業に価値を感じ、投資してもらいやすい」「企業のPRになる」ということがあります。

しかし中には、「SDGsウォッシュ」として批判を浴びている取り組みも少なくありません。

注目を集めたり、PRしたりすることがメインの目的となり、「良いことをしている会社っぽく見せているだけ」はないか、ということが透けて見えてしまうと、イメージダウンや信頼に関わります。

「内容からみて、紹介を誇張しすぎ」「言っていることとやっていることが違う」などの理由で、「結局はやっている『フリ』をしているだけではないか」と感じられてしまうのです。

SDGsはポーズであってはいけません。ましてや、宣伝目的で利用すれば、「SDGsウォッシュ」となってしまうのです。

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SDGsの不都合な現実

国連がSDGsで目指しているのは、下の17のゴールです(図1)。このカラフルな図は、目にしたことがある人も多いでしょう。


図1 SDGsの目標(出典:「持続可能な開発目標(SDGs)活用ガイド」環境省0
http://www.env.go.jp/policy/SDGsguide-honpen.rev.pdf p2

環境問題といったわかりやすいものだけでなく、貧困などの理由で学校に行けない子供たちが生まれないような取り組み、強靭なインフラ整備、国内や各国間の不平等の是正、など幅広く設定されています。

ひと昔前から「フェアトレード」という言葉があります。先進国で消費される食料品、例えばカカオやコーヒー豆といったもののは、生産地の低賃金の人たちによって生産されている、この格差を無くそう、といった取り組みです。

これもひとつのSDGsでしょう。

SDGsは2030年までに目標を遂げたいとしていますが、2019年に国連が公表している進行状況はこのようなものです(図2)。

図2 SDGsの現状(出典:「持続可能な開発目標(SDGs)報告」国連広報センター)
https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agenda/sdgs_report/

誤解を恐れずに言えば、「あまりにもお粗末」な状態です。

解消されていない、目処が立っていない、達成できるペースに及んでいないどころか、むしろ状況は悪化しているという項目まであります。
国によって取り組みの度合いは様々とはいえ、「本気度がさっぱりわからない」とも言えるでしょう。
「最初からやる気がない」「やっているフリ」という国が増えれば増えるほど、解決どころか問題はさらに悪化するでしょう。

これを企業レベルでやってしまうと、批判の対象になるのは当然です。

例えば、
金融機関が「CO2削減に取り組みます」と言って節電や緑化をしたところで、一方で石油や石炭を大量に燃やす企業に大規模融資をしていたらどうでしょう。
言っていることとやっていることが違うと批判を浴び、オフィスビルの緑化程度で相殺できるCO2排出量でないのは明らかです。

そして、「緑のカーテン」も非常に多い取り組みです。CSRとしての色が強いのでしょう。地域の施設に設置する活動に取り組む企業もあります。
しかし、「自社施設に設置して」「自社の従業員が持って帰った」「自社の食堂で提供した」というレベルに止まる活動はどうでしょう。
やはり多くの人には、肯定的に捉えられることはないでしょう。

もちろん、CSRとしての取り組みで、従業員というステークホルダーからすれば「職場がちょっと涼しくなった」「ゴーヤがもらえてよかった」、環境問題として捉えるならば「緑化によるCO2吸収」とも言えるのでしょう。

もちろん、ゴーヤを植えることそのものは無意味ではありませんが、企業の取り組みとしてはコストを掛けて批判を招く火種にもなりかねません。

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SDGsの事例紹介

少し考えれば、ハードルは高くない

SDGsに関して言えば、中小企業への浸透はまだまだのようです。

その理由はこのようなものです(図3)。


図3 SDGsに対する認識(出典:「2019年版中小企業白書」中小企業庁)
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2019/PDF/chusho/00Hakusyo_zentai.pdf p344

「余裕がない」「何から取り組んでいいのかわからない」というのはとてもわかりやすい現実でしょう。いきなり地球規模と言われても、戸惑うほうが当然です。

では何かやらねば、と余裕がないところで従業員に長時間残業を強いる、これも本末転倒です。経費のかかるものでもあり、「国際社会でやってくれ」「大企業がやってくれ」となるのも頷けます。

しかしここで、面白い例をひとつ紹介しましょう。

奈良県のあるトンカツ屋では「無料食堂」を実施しています。

様々な事情で代金を払えない貧困家庭や子供に、無償でトンカツを提供するというものです。希望する客には詳細な理由を聞かず、「コソッと」無料にしています。
中には、事前に電話で事情を伝えてから来店する人もいるといいます。

同じ店の中でお金を払っている人とそうでない人が混在することになりますが、それで客足が遠のく様子はありません。

何も「地球」「世界」という大上段に立っている訳ではありませんし、結果的にという部分もあるかもしれませんが、「誰ひとり取り残さない」というSDGsの最終理念そのものであり、実際日本国内にも貧困問題は存在しているのです。

無料食堂を利用した客が、のちになってから代金を支払いに来ることもあるといいます。

このトンカツ屋の場合、大きな初期投資を必要とした訳ではなく、現在はこれを発展させたシステムを作っています。
「コロッケスポンサー」というもので、地元企業を巻き込んだ取り組みを始めているのです。

このような仕組みです。

必要な人にはコロッケを半額で提供し、そのために必要になるお金を地元企業の有志から募ります。そして店内に「今日のコロッケスポンサーはこの会社」と掲示することで、お金を出した企業も貢献者として参加できる、というものです。

企業の負担は1日あたり5,000〜10,000円です。
中小企業や小規模事業者どうしが手を組んだ「スモールSDGs」とも言えるでしょう。

「やっているフリ」をしている大企業よりも、どれほど価値があることか、と考えさせられます。

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まとめ SDGsウォッシュにならないために

自社の強みの延長でこそ、はじめて効果を生む

「地球」「社会問題」などといきなり言われると、確かによくわからなくなってしまいます。
しかしどんな企業にも「持てるもの」はあるのではないでしょうか。
そのほうが、変に見栄えの良いものよりも、はるかに社会的責任を果たしていることでしょう。

先のトンカツ屋の場合、「なんのために」やっているのかが明確ですし、まさに飲食店ならではの行動です。
世間の流れに同調して「こういうのが流行っているみたいだから」「いいことっぽいから」という理由で門外漢のところに手を出すのではなく、まず自社の強みを探してみましょう。

明確な目的や対象がなければ、突っ込みどころが出てきて「SDGsウォッシュ」となってしまいます。

資金的に厳しければ、無理して始める必要もありません。ムダ金の流出でしかないからです。普段顧客と接する中で見えてくる世の中の問題と自分たちの関わり、それを探してみる必要があります。

「これだ!」という取り組みを見つけた時、それは企業理念の一つとしても確立され、従業員の士気を高めることにもなるのではないでしょうか。

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