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新卒社員の離職率の平均は?離職を抑える方法とあわせて解説します

新卒社員の離職率の平均

入社したばかりの新卒社員がすぐに会社を辞めていくことに、多くの企業の人事担当者や現場社員が頭を痛めています。

新卒社員の離職率が高まりつつあることについて、「最近の若い人は根性がない」という声も聞かれますが、はたして新卒社員側の問題なのでしょうか?

この記事では、新卒社員の平均的な離職率に関するデータや、特に離職率が高い業界はどこか、そして新卒社員の離職する背景にある「本当の理由」と離職を防ぐ対策などについてお話ししていきます。

関連記事:日本企業の離職率の平均はどれくらい?【離職率を改善する方法も紹介】

新卒社員の3割は3年以内に辞めている!離職率の平均について

まず、新卒社員の平均的な離職率について知っておきましょう。

よく「石の上にも三年」と言われるように、ファーストキャリアについて語る上では嘘か真か、「3年以上は在籍しておいたほうがいい」と言われていますが、キャリア上の節目と見なされがちな「3年」という期間の間に辞める新卒社員はどれぐらいの割合なのでしょうか?

厚生労働省が2022年に公表した広報資料によると、平成31年(2019年)に就職した新卒社員が3年以内に離職した割合は、大卒社員で31.5%、高卒社員が35.9%と、ほぼ3割が入社から3年を待たずに退職しているという結果が示されています。

離職率は就職して3年以内の時期が特に高く、それから年数を経るごとに下がっていくようです。

つまり、自社の定着率を高めるためには、やはり「就職したばかりの新卒社員へのフォロー」が最重要となります。

就職したばかりの時期は、やはり「こんな仕事内容だとは思わなかった…」というふうに、「ミスマッチ感」を抱きやすい時期ですので、この時期を乗り越えられるよう気遣っていくことが重要です。

新卒社員が辞めることの問題は?

新卒社員の退職は、時として経験を積んだベテラン社員の退職以上の痛手を組織にもたらす場合があります。

以下、新卒社員が辞めることで生じる可能性のある問題についてご説明します。

追加的な採用コストの発生

新卒で人材を採用するのにかかるコストは一人あたり50万〜100万円にのぼります。

つまり、5人の新卒採用者が1年以内に退職してしまった場合、その5人の穴を埋めるために、単純計算で250万〜500万円の追加費用が必要となってしまうことを意味します。

もちろん、採用した後も新人向けの研修や教育にコストがかかり、戦力化してそれらのコストが回収できるまでには時間がかかってしまいます。

このように、新卒採用者が採用・教育コスト以上の利益を生み出してくれる前に離職してしまうのは少なくない金銭的損失を生み出してしまいます。

既存社員の士気が低下する

新入社員は仕事の面では未熟でも、職場にフレッシュな雰囲気をもたらして活性化させる役割があります。

高齢者ばかりでなく若い人も多くいる街のほうが活気があるのと同じで、大学を卒業したばかりの新卒社員は会社にとってのムードメーカーとして欠かせません。

そんな新卒社員が次々と辞めてしまって会社に残らない状態だと、職場からフレッシュな雰囲気がなくなると同時に、「若い人たちに見放されているこの会社は大丈夫なのだろうか?」と将来をも疑うことになりかねません。

こうなると、既存社員たちの士気も落ちてしまい、仕事のパフォーマンスが落ちてしまうのはもちろんのこと、「もっと活気のある会社へ移ったほうがいいかもしれない」と、既存の社員たちまで転職を考えるようになってしまう可能性があります。

将来を担うベテラン社員の育成が難しくなる

特定のスキルを持った人材は中途採用市場を通じて適宜調達できますが、自社のことを知り尽くしたプロパーのベテラン社員を育てようと思えば、やはり新卒で採用した社員を長期間かけて育成していきたいものです。

新卒がすぐに離職してしまう会社では、こうした将来を担うベテラン社員を育てるのが難しく、長い目で見れば幹部となりうる人材が不足してしまうことになります。

たとえ今すぐ会社の役に立つ即戦力を持つ人材でなくとも、ないがしろにせず丁寧に見守っていく度量が求められます。

サービス業は新卒の離職率が最多!離職率が高い業界はココ

厚生労働省のまとめた『新規学卒就職者の離職状況』によると、業種別の離職率の高さでは、サービス業が新卒の学生の離職率でトップとなっています。

同資料によると、平成31年に「宿泊業・飲食サービス業」についた大卒学生の3年以内の離職率は49.7%と、なんとほぼ半数が退職していることがわかります。

次いで、「生活関連サービス業・娯楽業」が47.4%、「教育・学習支援業」が45.5%と、これらの業種も新卒社員の退職率が半数近くとなっています。

関連記事:離職率の高い・低い業界ランキングTOP5!【共通点も紹介】

新卒社員が離職する理由とは?具体的な対策法も紹介

ここでは、新卒社員が会社を離れてしまう理由についてお話しするとともに、早期離職を防ぐための対策についてお話ししていきます。

関連記事:離職率が高い会社の特徴とは?傾向と対策について

1.現場で新卒社員の冷遇・パワハラが生じている

社員を採用した担当者や人事部、経営陣としては、新入社員が長く勤めてくれるよう大切にしていきたいと考えている場合が多いですが、現場の既存社員たちがその思いを汲んでくれているとは限りません。

日々、自身の業務をこなすのに必死な既存社員の中には、すぐに仕事をこなせない新卒社員が邪魔者に見えてしまったり、「最近の若者は甘えている」「大学に入ったやつは頭でっかちで使えない」といった偏見を持って接する場合も少なくありません。

また、「学生気分を叩き直してやる」とばかりに、無意味に理不尽な接し方をしているケースもいまだに見られます。

そうした場合、本人たちは「パワハラをしている」という感覚はなく、むしろ正義感のつもりでそうした行為に及んでいる場合も多々あるのが実情です。

こういった現場での問題について、立場の低い新卒社員は遠慮して上層部に伝えてこないことが多く、彼(女)らが辞めるタイミングになって初めて発覚するケースが多くなっています。

たとえ上層部が新入社員を大切にしようと考えていたとしても、現場で「ひどい扱いを受けた」と感じた新入社員たちは、会社全体にネガティブな印象を抱く傾向があります。

結果として、辞めた後に「あの会社はブラック企業だった」という評判をあちこちで振りまいてしまう可能性も少なくありません。

こうした事態を防ぐためには、新入社員たちが異常を報告してくるのを待つのではなく、会社側から積極的に面談を実施し、「現場で嫌なことはありませんか」と聞いていく姿勢が大切です。

新卒社員と既存社員とのトラブルは、立場の弱い新卒社員側の相談に乗るだけでは解決せず、トラブルの相手となっている既存社員側に対しても毅然とした対応を行っていく必要があります。

また、冒頭で書いたような「最近の若者は根性がない」「良い大学に通ってた学生は頭でっかち」などといった、学生側を萎縮させかねないワードは社内で禁句にするなどのルールをあらかじめ定めておくことも、現場の雰囲気によっては必要です。

2.新卒社員が希望を持てるキャリアプランを提示する

新卒社員の中には高い理想を持っていて、給料の高さや充実した福利厚生だけでは満足できないというタイプも存在します。

こうした人材は、たとえ不満がなくても「キャリアアップしたいから」という理由で転職を考える傾向があります。

こうした人材をつなぎ留めるためには、不満のもととなるマイナス要因を潰すだけでなく、彼(女)らの向上心に応えられるようなキャリアプランを示してあげる必要があります。

特に大企業の場合、新卒社員は下積みの仕事を任されることが多いため、意識が高い人材ほど「こんなことを続けていて意味があるのだろうか?」と疑問を持ってしまいがちです。

そこで、「私も新人の頃は苦労したよ」と語れるベテラン社員を活躍例として新卒社員と交流できるようにし、会社の掲げるキャリアプランとセットでアピールするのも有効です。

「社内座談会」のようなものを定期的に開催したり、社内報に登場させるとよいでしょう。

まとめ

3年以内に辞めてしまう新卒社員の割合は、平均で3割にものぼります。

た、最も新卒社員の離職率の高いサービス業界では、5割近くの新卒社員が3年以内に離職してしまっています。

新卒社員は会社の将来を担う幹部候補でもあり、新卒社員が早々に離職してしまう職場だと採用コストの損失以外にも既存社員の士気の低下など、広範囲で問題が生じてしまうので、真剣に対応する必要があります。

新卒社員が辞めてしまう要因として、「現場での冷遇・パワハラ」という不満要因のほかに、「意識の高い新卒社員が希望を持てるキャリアプランが存在しない」というケースもあることに注意が必要です。

近年は「ホワイト企業すぎて成長できない」と漏らす若者がいることが話題になったことを見てもわかるように、不満の要因を潰すだけでなく、プラスアルファとして呈示できるものを企業が持つ必要があります。

どのようなキャリアプランを掲げれば新卒社員が希望を持てるか、他社の例も参考に考えてみるとよいでしょう。

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