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社員を「正しく」評価する組織へ

社名:株式会社フリースタイル

代表取締役 近藤 研太郎 氏

識学コンサルタント 橋本潤也

千葉県船橋市に本拠を構える株式会社フリースタイル。

2014年の設立以来、足場の設置工事を手がける会社として成長を続けてきた。

ただ、同社を率いる近藤研太郎社長は、会社を切り盛りするなかで社員との接し方に悩みを抱えていたという。同社の社員が、以前勤めていた職場の先輩であったためだ。

近藤社長は現状を打開すべく識学の導入を決断。トレーニングを終えた今、社員との関係性やマネジメントの仕方はどう変わったか。近藤社長と担当コンサルタントの橋本潤也が語り合った。

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社員をどう評価すれば良いか分からなかった

識学コンサルタント 橋本潤也(以下、橋本)改めてとなりますが、フリースタイル様の事業概要をお聞かせいただけますでしょうか?

代表取締役 近藤 研太郎 氏(以下、近藤)

当社は、足場の組み立てや解体、リースの仕事をしています。これらに加え、近年は外壁の塗装や屋根の張替え工事も手がけるようになりました。

橋本  ありがとうございます。塗装や屋根の張替え工事にも手掛けるようになったのは、なにか理由などあったのでしょうか?

近藤  はい。我々から見て、塗装や張り替えの仕上がりが十分でないのに、「足場を外していいよ」と言われることが多くありました。「それはよくない。自分たちの地域は自分たちで守らなければ」という思いで、外壁塗装及び屋根の張り替えを始めたのです。

私たちは職人が会社の顔だと考えていますから、お客さまと職人が直接やり取りします。他社だと、職人ではない責任者がお客さまと打ち合わせを行った上で現場に指示を出すというスタイルでしょう。当社では、お客さまから、「これはどうなっているんですか」と工事に関するご質問を頂いたとき、職人がすぐにご回答できるのです。

橋本 その体制は、お客さまも安心できますね。

そんな中、識学を始める前は、組織をマネジメントする上ではどのような課題を感じていたのでしょうか?

近藤  社員をどう評価すればよいか分かりませんでした。私は社内で一番若く、社員の多くは自分のかつての上司だったため、「なんとなく頑張っているように見えるから高い給料を払う。手当を付けてあげる」という状態だったのです。「給料を上げないと辞めるぞ」と突っかかってくる社員ばかりでした。

「私の方が頑張っているのに、なぜあの人の方が給料が高いのか」と不満を抱いていた社員もいたはずです。だからといって、一度上げた給料を下げることは難しい。いずれ社員の数が増えていったら会社を守れないかもしれないという危機感がありました。

売り込むのではなくただ識学の価値を示してくれた

橋本 そんな中、どこで識学を知っていただけたのでしょうか?

識学社の安藤広大社長が、SNSで「足腰の強い社員を育てましょう」と述べているのを見たのです。まさにその通りだと思いました。

当社の社員は足腰が弱い。それまでは、私が社員を養ってあげればよいと考えていましたが、もし、私が倒れたら社員は路頭に迷ってしまいます。これは、本当に社員を大切にしているとは言えません。私がいなくなっても何とかできる力を一人ひとりに持たせたい。そう考えたのです。

橋本 安藤のことを知って頂けていたのですね。

近藤 はい、その後CMを見てさらに興味を持ち、『リーダーの仮面』を読みました。「これを読めば組織の課題を解決できる」との触れ込みでしたから。

とても参考になる内容でしたが、実践の仕方が書かれているわけではないため、言っていることは分かるけれども自分では使えない。自分たちの組織に理論を落とし込むには、方法を習わなければと、識学社の無料相談に申し込んだのです。

橋本 そこで、私が担当させていただくことになり、初めてお会いしましたね。

近藤 あのとき、私は「きっとすごく売り込まれるのだろうな笑」と思っていましたが、そんなことはなく、橋本さんは識学を活用することでどんなよいことが起こるか、識学がない組織はどんな状態になりやすいかを分かりやすく教えてくれましたよね。しかも、私たちの状態や他のマネジメント理論を大げさに否定するのではなく、ただ識学の価値を示してくれました。

橋本 評価制度について詳しくご説明させていただきました。我々が推奨していない定性評価が多分に入っていたので、「これだと誤解や錯覚を招きやすいかもしれません」とお伝えした記憶があります。それと、「マイナス評価」の重要性も強調しました。仮に、識学を導入することがなかったとしても、評価制度に関する考えはぜひ使っていただきたかったのです。

近藤 橋本さんとは2回面談しましたが、「大体このくらいです」と示された金額が、予想を上回っていたので、少し悩みました。ただ、橋本さんの人柄にほれてしまいまして。橋本さんに教えてもらいたいとお願いしましたよ。

橋本 ありがとうございます(笑)

組織体制がシンプルになり余計なことを考えなくなった

橋本 識学を導入してよかったと思うことは何でしょうか?

近藤 ルールを明確にしたことで組織体制がシンプルになり、仕組みの通りに皆が動くので、余計なことを考える必要がなくなりました。例えば、「片付ける」とはどういう状態か、写真で撮影して貼り付けておけば、この通りにすることは誰にでもできます。いちいち説明する必要がありません。

それと、識学を入れてから離職者はゼロです。

橋本 それはよかったです。時間はかかりましたけど、評価制度も完成しましたね。

近藤 おかげさまで、遅くまで頑張っているだけで評価される人や、テキパキ効率的に仕事をしているはずなのに評価されない社員がいなくなりました。社員の頑張りを正当に評価できるようになったと思います。

もう「給料を上げてほしい」という交渉をしてくる社員はいません。一人ひとりの役割と目標が定まり、何をどうすれば給料がどの程度になるか、はっきり分かっているからです。

職人ですと、「破損トラブルを0件にする」と「親方時間に帰る」の二つが大きな目標になっています。「親方時間」というのは、その現場の責任者が定める目標時間のこと。それをクリアすべく各職人が知恵を絞るようになり、〇と×が付くことで成長を実感できます。

橋本 まさに識学ですね。

近藤 はい。会社が勝手に目標を立てて、「皆で頑張ろう」と言っても、自分事だと捉えられる人は少ないでしょうが、今の我々は全く違います。全員が自分の仕事に集中できるようになっています。

当たり前の徹底が大事故を防ぐ

橋本 トレーニング開始前後で、識学に対する印象の変化はありましたか?

近藤 もっと難しいことを習うと思っていましたが、そんなことはなかったです。

橋本 識学では、当たり前のことしか言いませんからね。

近藤 ただ、その当たり前すら意外にできない、そして当たり前にすごく価値があり、当たり前ができる組織は強いのだと気付かされました。

ルールや仕組みの設定を、「面倒だから」という理由で後回しにしていたら、それが大事故につながる恐れがあります。見方を変えれば、当たり前を徹底すれば組織のエラーを防げるということです。

橋本さんはその事実を、私たちに分かるような伝え方をしてくれるから本当にありがたいんですよ。愛情を持って接してくれます。

橋本 近藤社長が一生懸命吸収しようとしてくださいましたから。近藤社長は、ものすごくバイタリティがあり、変化をいとわない人。経営者として一番大事な要素をお持ちです。

ただ、近藤社長の元ご友人や先輩たちが部下であったため、「友達、先輩」と「上司部下」という関係性が混在してしまっていた。ナンバーワンである近藤社長が伝えた話を、現場の社員がその通りに行動しないという事態が起きていましたね。識学が説く「位置のずれ」です。まずはそこを直さなければなりませんでした。

それと、近藤社長はトッププレーヤーで仕事ができる分、一人で責任を負い、社員の方は頑張っても頑張らなくても報酬が変わらないという状態でした。会社として、一人ひとりに責任を落として、評価と連動させる形が大切です。それがうまくいけばすぐに変わるだろうなと思っていました。実際、歯車がばちっとはまった感覚がありまよね。

近藤 はまりましたね。もらった宿題が手に付かないときもありましたが、橋本さんは常に伴走してくれました。

元々友人だった社員たちの成長をサポートしたい

橋本 識学に対する社員の皆さんの反応はどうでした?

近藤 思っていたよりも反応がよかったです。ある若い社員が「週報やってよかったです」と言うんです。「どうして」と聞くと、「何となく過ごす1週間と、目標に向かって仕事をこなし、上司にフィードバックをもらう一週間は質が全然違います」と。「こんなこと言う子だったかな」と驚いています(笑)

ただ、ベテラン社員のなかには、変化を嫌がる人もいます。週報を出さなかったり、日報を出しても行動変化を書かなかったり。変化に対する不安があるのでしょう。

これに関しては、本当は駄目かもしれませんが、私が不安を取り除いてあげねばと思っています。もともと私を助けてくれた先輩でもありますしね。

私よりもはるかに優秀で、器も大きい方たちですが、職人気質なためか、営業や書類作成などを苦手としている人も多いです。しかし、「見て覚えろ」でやってきた職人たちが、ルールに則って発揮するパフォーマンスは目を見張るものがあります。「お前なんか嫌いだ」と言われるまではサポートしたいです。

橋本 最後に、どんな企業や社長に識学がフィットすると思いますか?

近藤 フィットしない会社はないと思いますが、特に有効だと思うのは介護施設や病院です。やるべきことが決まっているので、識学で仕組みを整えればすごく機能するはずです。

それから、やはり建設業界ですね。建設業界には評価制度や仕組み、ルールの構築を面倒がる経営者が少なくありません。「気合と根性があればそんなものは不要だ」という理屈です。しかし、組織として成長したいのであれば、まずはこれらの整備に取り組むべきでしょう。

橋本 貴重なお話をありがとうございました。

インタビュイープロフィール

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代表取締役          近藤 研太郎 

高校卒業の3カ月前に中退し、土木、警備員などのアルバイトを経て、19歳で大工に弟子入り。その後、建築会社で足場仮設工事の仕事に就くも、足に腫瘍が見つかり入院生活を余儀なくされる。手術とリハビリで病気を克服し、再び足場仮設工事の世界に戻り、2014年11月に株式会社フリースタイルを設立。1987年生まれ、千葉県船橋市出身。

会社紹介文

株式会社フリースタイル。千葉県船橋市に拠点を置き、住宅用足場工事事業、塗装工事事業、建築工事仲介業などを手掛け、現場の安全を守る。一軒家、マンション、商業施設ほか規模は問わずあらゆる場面に対応可能。「日本の文化を守る職人の命を守り、最高品質の工事に貢献し続けること」を使命として掲げる。

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