日本経済を取り巻く環境は大きく変化していますが、それに比してなかなか変わらないのが評価制度ではないでしょうか。
多くの評価制度が、実際の経済環境や労働環境に十分適合しなくなってきたばかりでなく、本来の評価制度の役割を十分に果たせてさえいません。
本記事では、どのような評価制度が望ましいのかをお伝えします。
目次
評価制度の役割とは
評価制度の役割とは、「組織の構成員を組織が目指す方向に進ませること」。
なぜなら、そもそも組織自体が発展成長しなければ、構成員の給料を増やすことは難しいからです。
評価制度がない、あっても不十分な組織では、何を達成すれば評価を獲得できるかが分からず、社員の集中力が散漫になります。
(参考)従業員規模別に見た、人事評価制度の有無
評価制度がある組織においては、時代に応じたものにするために人事部主導で改善がなされているところも多いでしょう。
ただ、ここにも落とし穴があります。
それは、語弊を恐れずに言えば「人事部のための評価制度」になりやすいことです。
正しい評価制度を作るには、組織がどの方向に進むのかといった、KGIやKPIと連動していく考え方が必要になりますが、これらは一般的には人事部が得意としているものではないことが多いからです。
(参考)従業員規模別に見た、導入している人事評価の手法
KGIとKPI
評価制度が、組織の構成員を組織が目指す方向に進ませるためのものであるならば、組織が目指す方向を端的に示すものは何でしょうか。
それがKGI(Key Goal Indicator=重要目標指標)になります。
会社で最も重要な指標ですから、まずは経営陣がKGIを設定しなければなりません。
そして、それらを組織に落とし込んでいく際に、KPI(Key Performance Indicators=重要業績評価指標)を設けることになります。このKPIの設定が上司の采配、つまり腕の見せ所です。
例えば、一般的な営業におけるKPIとは、売上目標に対する成約数、提案数、訪問数など工程に分ける方法と、年間売上目標に対する四半期目標、月間目標、週次目標など期間で分ける方法があります。
間接部門においても、いかに定量的に目標設定するかのノウハウが識学にはありますが、本記事では割愛します。
(参考)従業員規模別及び人事評価制度の有無別に見た、売上高増加率(中央値)
(参考)人事評価制度の見直し状況別に見た、売上高増加率(中央値)
注意:評価制度を導入すれば業績が上がるというのは落とし穴
しかし、評価制度を導入したから業績が上がる、見直したから売上高が上がるというのは錯覚です。
設定したKPI目標を上司部下の間で、適切な期間で(週次がお勧めです)、正しく管理できているかがポイントだからです。
ここが多くの組織で上手くいっていません。理由は上司がマネジメントを学んでいないからです。
評価とは評価制度のみを指すのではなく、日々の上司部下間のマネジメント手法も含んだものを指します。言い換えるならば、日々の上司による評価の延長線上に評価制度がないといけないわけです。
そうでなければ、社員も評価を入力するタイミングでしか評価項目を思い出せない状態になってしまい、到底組織の構成員を組織が目指す方向に進ませることはできません。
評価制度は、上司による適切なKPI設定と短い期間における管理があってはじめて機能するということをご理解いただけたかと思います。マネジメントと評価制度が連動してはじめて「組織の構成員を組織が目指す方向に進ませるためのもの」になるということです。
識学の評価制度構築サービスは、単に制度をつくるだけでなく、マネジメントを改善することで、組織と個人の成長を実現していきます。ご興味のある方はぜひお問い合わせください。