人事評価において目標設定は非常に大切です。
また、職種別の目標設定例をあらかじめ頭の中に入れておけば、部下の目標設定をスムーズにサポートできるようになるでしょう。
本記事では人事評価における職種別の目標設定例を紹介しています。
また、目標設定で役立つSMARTの法則も解説しています。
ぜひ最後までご覧ください。\\ 人事評価のモヤモヤは「評価の○○が曖昧」が大多数 //
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本記事で紹介しているのは、目標設定の一般的な考え方です。
識学で否定している「1on1」などの考え方もポジティブに記載していますので、ご注意ください。
なお、識学独自の考え方を知りたいという方は、下記の記事をご覧ください。
関連記事:【識学講師記事】管理職必見! 人事評価のポイントはここだ
目次
人事評価において目標設定が大切な理由
人事評価において目標設定が大切な理由は以下の通りです。
- 評価材料になるから
- 従業員のモチベーション維持に繋がるから
- 信頼関係を構築できるから
それぞれ解説していきます。
理由①:評価材料になるから
人事評価で目標設定が大切な理由の一つに、評価材料になることがあげられます。
例えばメディア運営で「年間100万PV」という目標を設定したとしましょう。そして仮に年間80万PVしか達成できなかったとします。
そうすると、目標達成度80%という形で評価することができます。
目標設定が何も無い状態だと、目標達成度を計測することはもちろんのこと、そもそも何を基準に評価すべきかわからなくなります。
あらかじめ目標を設定しておけば、その達成度を従業員の評価材料にすることが可能です。
可能な限り数値化できる目標を設定するのがいいでしょう。
関連記事:社員への人事評価制度の問題点は?導入・見直し方法を解説!
理由②:従業員のモチベーション維持に繋がるから
人事評価で目標設定が大切な理由として、従業員のモチベーション維持があげられます。
例えば経理部門の業務は売上に直結しにくい仕事です。この場合にただミスをしないように…などの目標を用意してはモチベーションが下がってしまうこともあるでしょう。
そこで用意するのが「時間生産性を上げる」ような目標です。
ミスを減らしながらも、時間生産性を上げるような目標を立てることで、社員のモチベーションが上がる可能性があります。
従業員のモチベーションが高い状態でキープされれば、生産性向上や業績改善に繋がります。
人事評価を実施するのであれば、目標をしっかり定めて、従業員の仕事に意味を見出すようにしましょう。
関連記事:パフォーマンスを向上させる人事評価項目とは?設定のコツまで紹介
理由③:信頼関係を構築できるから
人事評価で目標設定が大切な理由として、信頼関係構築が挙げられます。
そもそも、人事評価における目標は、評価者と被評価者の話し合いによって設定されます。
評価者としては組織と個人の目標を結びつけることが求められるでしょう。
対して被評価者は自分のキャリアに繋げられる目標を設定したい気持ちもあります。
こでお互いの意見をしっかり伝えることができれば、それは信頼関係構築に大きく繋がります。
評価者は被評価者の進捗具合を見極めて、適切なタイミングでアドバイスを投げることになります。
これも、信頼関係構築のための大きなチャンスの一つです。
このように、人事評価の目標設定は、上司と部下の信頼関係を構築するためのきっかけになり得ます。活用しない手はありません。
関連記事:人間関係もマネジメント職の重要課題!問題の原因と解決法を伝授
職種別の人事評価の目標設定例
ここでは営業職、バックオフィス、技術職の3つの職種別に、人事評価の目標設定をまとめてみました。
営業職の場合
営業職の人事評価の目標設定を実施する際のポイントは以下の3つです。
- 具体的な数字を目標設定に組み込む
- 数字に根拠を持たせる
- マイルストーンを設定する
それぞれ解説していきます。
具体的な数字を目標設定に組み込む
営業職の目標設定では、具体的な数字を組み込むようにしましょう。
「営業成績を前年より20%アップさせる」というようなイメージです。
逆に「営業成績を前年よりアップさせる」というような曖昧な目標だと、具体的な行動改善に繋げることが難しくなります。
これが「20%アップ」であれば、逆算して「アポの回数を前年より20%増やそう。そのための時間を確保するには……」というように具体的な行動を導き出すことができるのです。
営業職は結果が全てです。具体的な数字を目標に組み込んで、部署内の競争心を煽るのもいいでしょう。
数字に根拠を持たせる
ただ具体的な数字を組み込むのではなく、その数字に根拠を持たせることが大切です。
例えば「営業成績を前年より20%アップさせる」といっても、「なぜ10%でも50%でもなく20%なのか」を説明できなければなりません。
例としては以下があげられるでしょう。
- 株主の期待に応えるために20%アップが最低限必要だと判断したから
- ライバル企業の売上が前年より15%増えているから
- 新規事業開発で一定の資金が必要だから
このように根拠のある数字を示せば、部下も目標に納得して業務に取り組んでくれるはずです。
具体的で根拠のある数字を目標に組み込むようにしましょう。
マイルストーンを設定する
長期的な目標だけでなく短期的な目標も適度に挟み込んで、マイルストーンを設定するのもポイントです。
例えば年間目標を設定するのであれば、それに合わせて月間目標を、月間目標を設定するのであれば週間目標も設定し、それに合わせて日々の目標も設定できれば、具体的な営業活動が明確になります。
このように年間目標達成のための行動を逆算して導き出すことができれば、「この調子だと目標が達成できない」ということもわかりやすくなり、リアルタイムで改善策を提示することが可能です。
これだけ細かくマイルストーンを設定できれば、目標達成確率もグンと高まるでしょう。
バックオフィスの場合
経理や法務など、バックオフィスの人事評価の目標設定を実施する際のポイントは以下の3つです。
- コスト削減を目標にする
- 数値化が難しい場合は貢献度を目標に組み込む
- タスクごとの難易度をランク付けする
それぞれ解説していきます。
コスト削減を目標にする
経理部に限った話ではなく、バックオフィスではコスト削減を目標にすべきです。
基本的にバックオフィスは、売上増大に直結する業務内容ではありません。
しかしコスト管理することができる領域でもあります。
そして、コスト管理は利益増大に直結するため、従業員のモチベーションを維持するという意味で、コスト削減は良い目標になるのです。
また、利益に直結しない業務を扱うバックオフィス業務の中でも、コスト削減は数値化できる数少ない要素の一つです。
コスト削減であれば具体的な数字で目標設定できるため、業務改善にも繋げやすいでしょう。
数値化が難しい場合は貢献度を目標に組み込む
しかし、書類作成やデータ入力、カスタマー対応などは数値化が難しい領域だといえます。
このような領域は、貢献度を目標に組み込むのがいいでしょう。
具体的には、企業にどれだけ貢献しているのかを数値化して、目標に組み込むことがあげられます。
- 他部署とのやりとりで「ありがとうございます」のメールを10通もらえるようにする
- ピアボーナスを10回もらえるようにする
- 他部署交流ランチ会を月1回の頻度で企画する
少々強引ですが、このように貢献度を数値化して目標に組み込んでみると、そのための具体的な行動が見えてきます。
数値化が難しい場合は、貢献度合いを目標に組み込んでみるのがいいでしょう。
タスクごとの難易度をランク付けする
タスクごとの難易度をランク付けするのも大切です。
例えばデータ入力であれば、「データ入力したファイル数」という形で目標を数値化させることができます。
しかしそれだと、扱っているファイルの難易度によって公平性が失われてしまいます。
そこで、ファイルによってランク付けを行うのです。例えば「行が〇〇以上の場合はBランク」や「Excelのマクロ機能が必要な場合はAランク」というイメージです。
これであれば、より明確で公平性のある目標を設定できます。
技術職の場合
技術職の目標設定のポイントは以下の3つです。
- 数値化できる目標を設定する
- 期限を決める
- スキル習得を目標にする
それぞれ解説していきます。
数値化できる目標を設定する
営業職ほどではありませんが、技術職でも数値化できる目標はあります。
例えばソフトウェア開発チームであれば、開発件数、バグ発生率、導入実績などが数値化可能です。
これらを目標に組み込めば「年間開発件数の目標が5件なのに、第三四半期時点で3件しか開発できていない。
第四四半期はアウトソーシングも検討しよう」というように、具体的な業務改善に繋げることもできるでしょう。
技術職でも、まずは数値化できる目標を設定してみるべきです。
期限を決める
現在開発中の製品やサービスの場合、バグ発生率や導入実績を目標にするのは少々無理があります。
その場合は期限を目標に組み込むのがいいでしょう。
例えば「2年後に製品を完成させる」という目標を設定できれば、「開始2ヶ月で設計図を完成させ、1年半後には量産体制を確立させる……」というようにマイルストーンも設定できます。
期限を目標に組み込めれば、それを逆算する形でスケジュールが策定可能です。
また、従業員の集中力が上がるメリットもあります。開発チームの目標には期限をしっかり組み込むようにしましょう。
スキル習得を目標にする
技術職になりたての従業員に対しては、スキル習得を目標にしてみるのもいいでしょう。
スキル習得は短期的な戦力増強はもちろんのこと、長期的な人材育成の観点で見ても効率の良い投資です。
例えばソフトウェアエンジニアであれば、プログラミング言語の習得を目標にするのが良いでしょう。「
PHPやC#を取得する」というようなイメージです。
ただしそれだけだと実践力が身につかないので、特定のプログラミング言語を活用したサービス開発のコンテストを開催する、というのもいいでしょう。
そうすれば従業員の独学力・企画力向上にも繋げられます。
もちろん資格取得を目標に組み込むのもいいですが、先ほども述べた通り、実践力が身につくようなアプローチを意識すべきです。
人事評価の目標設定はSMARTの法則を活用する
人事評価の目標設定はSMARTの法則を活用するのがいいでしょう。
SMARTの法則は以下の5つの単語の頭文字を取った造語です。
- Specific(明確性)
- Measurable(計量性)
- Achievable(達成可能性)
- Relevant(関連性)
- Time-bound(期限)
それぞれ解説していきます。
Specific(明確性)
目標を設定する際はSpecific(明確性)を意識するのがいいでしょう。
例えば「イノベーションを起こせるサービスを開発する」という目標を立てたとします。
しかし具体的にどのようなイノベーションを起こすのかを明確にしなければ、具体的な行動も浮かんできません。
この場合は「在庫管理でイノベーションを起こせるサービス」というように、どの領域でイノベーションを起こすのかを明確にすべきです。
そうすれば、「まずは在庫管理の実態を調査しよう」というように具体的な行動に繋がります。
実際に行動に繋がる目標を設定したいのであれば、明確性を意識すべきです。
Measurable(計量性)
Specificに続いて、Measurable(計量性)も意識しましょう。
例えば「部下ともっとコミュニケーションを取る」という目標ではなく、「1日に30分、部下とコミュニケーションを取るようにする」という目標が、計量性のある目標です。
数値化する、とも言い換えられるでしょう。
このように計量性を意識すると、目標をどれだけ達成できたかを可視化することができます。
Achievable(達成可能性)
目標は高ければ高いほど良いというわけではありません。
Achievable(達成可能性)のある目標を設定するようにしましょう。
例えば「1年後までにユーザー登録者数を10万人から1億人に増やす」という目標は、現実的ではないでしょう。
達成可能性がなければ、目標達成のための戦略が立てられなくなるため、結果的に何も生まれない状況になってしまうのです。
壮大なミッションを成功させるにしても、まずは堅実な目標を設定して、少しずつビジョンを実現させていくのが有効でしょう。
Relevant(関連性)
企業が掲げる目標は、ほとんどの場合、1つのみではありません。
もちろん最終目標は1つだけかもしれませんが、その最終目標を達成するための中段階の目標が複数存在するはずです。
そしてそれらの目標にRelevant(関連性)があることが大切になります。
例えば「ユーザー数を2倍にする」という目標があったとしましょう。
しかし、何のためにユーザー数を2倍にするのかが明確になっていなければ、意味がありません。
これが「売上を2倍にするという目標達成のために、ユーザー数を2倍にする」であれば、説得力が増します。
このように目標に関連性を持たせることで、目標達成の意義を見出すことができるのです。
Time-bound(期限)
どれだけ美しい目標でも、Time-bound(期限)が定められていなければ、従業員のモチベーションを高く維持するのは難しいでしょう。
皆さんも「いつかやれればいいかな」と考えている目標に、全く手がつかなくなった経験が一度はあるはずです。
期限を設けることができれば「いつかやれればいいかな」が「いつまでにやらなくてはいけない」という意識に変わり、結果として業務効率が高まります。
また、期限に合わせてマイルストーンやスケジュールを設定できるのもメリットです。
まとめ
それでは本記事をまとめていきます。
- 人事評価において目標設定は大切
- 人事評価の目標設定は職種別で実施する
- 目標設定はSMARTの法則を活用する
人事評価において目標設定は非常に大切な要素です。目標があれば評価材料にできますし、従業員のモチベーションも向上します。
まずはSMARTの法則を活用して、部下の目標設定をサポートしてみてはいかがでしょうか。