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従業員が「ここで働き続けたい」と思う職場の特徴

2023年度新卒の求人倍率は1.58倍とのことです。

国内の生産年齢人口の減少により採用の難易度は今後ますます高まっていくでしょう。こうした状況下では、社員の離職を防ぐことができないと、企業の成長は難しくなってきます。

そこで、今回は「社員が長く働きたいと思える職場づくり」について考察したいと思います。

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長く働きたいと思える職場のイメージ

「社員が長く働きたいと思える職場」と聞いて皆さんはどのような職場を連想しますか。社員一人ひとりが心の底から過ごしやすいと感じられる職場でしょうか。

動物園であれば、多種多様な生き物たちが快適に過ごせるような環境の整備には意味があるでしょう。動物園は来場者を楽しませる目的で作られていますので、できるだけたくさんの人を集めなければなりません。

ただし、そのために莫大な費用がかかります。来場者は快適に暮らす動物を鑑賞して楽しむ代わりに入場料を払っているのです。

一方、会社は会社そのものにお客さんを集める必要はありませんので、そこにコストをかける必要はありません。にもかかわらず、そこにコストをかけてしまうとすれば、それは企業の競争力を失っていくことにつながります。

そうなると、個々が快適に過ごすための環境をつくるためのコストをかけられなくなります。

何が言いたいかと言いますと、社員が長く働きたいと思える職場をつくるためには、会社に存在する人の種類を可能な限り絞ることが必要になります。

まずは採用

そこで重要になってくるのが採用です。

動物園の生き物たちそれぞれが好む環境というものを求職者に例えると、それは求職者たちが新たな職場に何を求めるかということになってきます。

それについてさまざまな企業がアンケートを行っていますが、おおむね「収入」「福利厚生」「やりがい」「人間関係」「成長・スキルアップ」「地位」ということになります。

これらを仕分けせず、「人手が足りない」という理由から面接での印象のみで採用を行っていったとしたら職場はどうなるでしょうか。

「他よりも高い収入が得られる環境」を好む人にはそれを用意しなければならない、「良好な人間関係」を望む人へはその配慮を徹底して行わなければならないとなっていき、とてもではないですが事業に集中ができません。

採用の段階でどれにするかを絞らなければいけないのです。

成長・スキルアップ」を望む求職者に合わせた環境を整備しよう

どの環境が最も用意しやすいかという視点を持つことが大事です。ただ単に種類を絞っただけではいけません。求められている環境を用意する際のコストを考えましょう。

例えば、用意しにくい環境として一番分かりやすいのは「高い収入が得られる」という環境です。収入は働いたことによる対価ですので、どこの企業に行っても仕事をすることで得ることはできます。

ですからこれを「この会社に勤める理由」にまで昇華させるには、「同業他社よりも高い収入」でなければならないということになります。

給与は本来その人が発揮した貢献度に合わせて支払われるものですが、この会社にいる理由として無条件に「同業他社よりも高い収入」を求めている人には、それによって給与を上下させることができません。

つまり高コストになってしまうのです。

「他社よりも充実した福利厚生」を求めている方も同様のことが起こります。また、「良好な人間関係」や「やりがい」を求めている方に環境を合わせることも大変です。

その人の望む環境をつくることと会社が目指す姿が必ずしも合致しないからです。

ということは、会社は残る「成長・スキルアップ」を望む求職者に合わせた環境を整えればよいわけです。これによって会社が困ることは全くありません。なぜなら会社も社員の成長を期待しているからです。利害が一致します。

その点で言うと、新たな企業に自分の地位の向上を求める方とも利害は一致します。「よい会社で働きたい」とか「自分の後ろ盾になってくれるような企業に属したい」という希望と、会社が成長してそのような会社になろうとしていることが合致するからです。

当然それに応えるために必要なコストもありますが、それは後々回収できるので広義では投資になるわけです。

採用する際には「この会社で成長したい・スキルアップしたい。そして企業の成長に貢献したい」という方に絞り、そしてその方々にとって快適な環境を築いていけばよい、ということになります。

快適な環境とは

では、個人の成長や自分が属する企業の成長を望む人たちにとって快適な環境とはどのようなものでしょうか。

成長とは「できなかったことができるようになること」ですので、できないことが常に明確であり、それをできるようになったことが正当に評価されなければなりません。

そのために、評価は結果でのみ行われる環境をつくる必要があります。結果での評価とは売り上げ・利益・件数など、達成できたかどうかに解釈の余地がないものだけの評価ということです。

例えば「積極性」「主体性」「協調性」のようなもので評価が行われているとすればどうでしょうか。「あなたは主体性が足りない」と言われても、何が不足しているかが分かりませんよね。

できていないことが明確にならなければそれができるようになることもなく、成長できないのです。

また、できるようになった事実が正当に評価されることも大切です。誰かの好き嫌いなどの感情で賞罰が行われるようではいけません。なぜ良い評価が獲得できたのか、にも明確な根拠がなければならないのです。

会社が成長を志向し続けることが重要

それからもう一点重要なことがあります。それは会社が成長を志向し続けることです。

その会社のなかにいる人は会社の成長以上には成長できません。

もし組織の成長が個人の成長を下回ってしまうと、成長を求める人材はそこで得られるものがなくなりますので、離脱することになります。それを防ぐためにも、会社は成長を志向し続け、そして実際に成長していかなければならないのです。

このように、どこまでも成長できる環境を望む人に絞った採用を行い、その人たちが快適に過ごすことができる環境を構築し、維持し続けること。これにより、自然と従業員が長く働きたいと思うようになってきます。

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