会社のトップである社長の資質がその会社の業績に大きく影響することは言うまでもありません。
ただ、世の中には自分自身の何がダメなのか、どう変わればよいのかを認識できていない社長がいます。
社長になればダメな点を指摘される機会も減ってくるでしょう。
今回は、ダメな社長の特徴と、そんな社長がどう変わるべきかを解説します。
目次
目標を明確にしない
社長が会社の目標をはっきり定めていないとどんなことが起きるでしょうか。
この状態では、仕事の結果に対しての不足が明確になりません。
不足が明確になるからこそ改善のための打ち手が出せるようになるのですが、そのままでは一向に正しい方へ進めないのです。
また、会社の目標が明確でないと、部下に対する目標設定もできないため、評価も給与アップのルールも曖昧になります。
そうすると、目標を達成したい、成長したいと思っている部下から先に離職してしまう恐れがあるのです。
「コロナ禍の影響もあって目標を明確にできないんだよね」と言い訳してしまう社長もいますが、トップが目標を明確にすることから目を背けないでください。
成長とは「できなかったことができるようになること」です。目標を明確にすることで結果との差を認識し、目標を達成していくことで人は成長できます。
約束が守れない
- 約束した日時に伺っても約束したことを忘れている
- 会社をよくするためにルールを作りますと約束したにも関わらず何もしていない
- 明日連絡しますと約束しても連絡がこない
上記のような、約束を守れない社長がときどきいます。
外部の人間との約束が果たせていないため、部下と約束したことも管理できていない、部下に指示した内容を覚えていないという状態になっている可能性が高いです。
識学のコンサルティングを進めていて、約束したことを一つひとつ実行していく社長の会社は漏れなく成長しています。
そういった社長は、もし約束を果たすことが難しい場合でも、事前に相談をして次の約束を再設定することができるのです。
優秀な人ほど目上の人だけでなく、取引先の業者でも部下とでもしっかり約束を果たそうという意思と行動力があると言えるでしょう。
識学を導入する際には、「カルテ」という質問を社長にぶつけていきます。
そのなかに「自分自身に対して守るべき約束はありますか」という質問があります。
ダメな社長は自分自身に対して守るべき約束も曖昧です。
信頼とは約束を守った数が一定以上の基準に達したときに生まれます。
一つひとつの約束を果たしていくと、結果として社内外からの信頼を勝ち得ることができるのです。
他人のせいにする
自責の人と他責の人のどちらが成長できるでしょうか。
こうシンプルな質問をすると、皆さん「自責で捉えている人が成長できる」と間違いなく答えてくれます。
ただ、日々の思考や言動がそうなっていないようではいけません。
会社が成長していない理由を、「少子化のせい」「コロナ禍のせい」「市場が落ち目だから」「人を募集しても来ないから」「最近の人はすぐ辞めるから」などと自分以外のせいにしてしまう社長がいます。
もちろん、外部環境の変化により厳しい経営状況に追い込まれてしまうこともあるでしょう。
しかし、自責で捉えている社長は、厳しい外部環境のなかで自らがどう成長すればこの状況を乗り越えられるかを考えて常に行動しています。
例えば、新たな事業展開を模索する、部下に対しての教育体制を改善する、集客方法を変えてみるなど、自ら変化しなければいけないことを明確にして、うまくいったのかどうかチェックするポイントを設けるのです。
うまくいかなければ自らの不足を認識して新たな行動を起こそうとします。
その繰り返しでしか会社は成長していきません。
ルールを明確にしない
ダメな社長はルールを設定せず、感覚で組織を動かそうとしてしまいます。
例えば、「お前のあいさつはなってない」と、昨日まで何も言わなかったのに突然指摘をして部下を迷わせてしまうような社長がいませんか。
社長も人間なので、その日の気分や感覚が異なることはるでしょう。
ただ、社長そのものがルールになると、社員は社長の顔色ばかりをうかがって仕事をすることになるのです。
それは見えない地雷の中を歩くようなもの。
自由を制限するような感覚があるためか、ルール設定を避けようとする社長がいるのですが、ルールが見えない方が部下にとってはストレスです。
まずは、会社のビジョンを実現するために最低限どんなルールが必要なのかを決める必要があります。
識学を導入する企業には、必ず「姿勢のルール」という社員全員が守るべき決め事を作ってもらうようにしています。
組織の一員として最低限守るべきルールです。これは、守るために能力を必要としないもので、あいさつ、報告、整理整頓、身だしなみなどが該当します。
ルールが守れない組織は帰属意識もチームとしての一体感も希薄化します。
学生の部活動をイメージしてください。みんなで時間は守ろうと決めているのに、ずっとルールを守らない部員がいたら、他の部員はその人を同じ仲間だと思えないでしょう。
また、ルールが守れない組織は、経営の意思決定をしてもそれを実行する認識が従業員にない状態のため、正解にたどり着く前に多大なロスタイムが生まれます。
社長は自分の頭のなかにあるルールを明文化して部下に誤解なく認識させること、部下にルールを守らせることが最低限の役割であることを理解し、ルール違反に対しては根負けせずに言い続けるように指導していかねばなりません。
ルールをずっと守らないような人は会社で働き続けることはできないと明確に伝え、そこで会社を去る人が現れても追うことはやめましょう。
それを引き留めてしまうと、今度はルールを守れている人が辞めてしまう危険性があるためです。
部下に任せられない
- 「部下を信頼して任せている」と口では言っているのに、実は部下のやり方に口を出している
- 部下が決めるべきことを自分で決めてしまう
- 社員から相談が上がったときに自分で考えさせないといけないことに対してアドバイスをし過ぎている
上記に当てはまる社長は要注意です。
こうした社長に限って、「部下が成長しないんだよね」という愚痴をこぼしています。
部下に責任を持たせようと思ったら、同等の権限を与えること、結果が出るまでは口出ししないことが鉄則です。
経験不足の部下であれば、最終結果に至るまでのチェックポイントを作って、少しずつ段階を踏んでゴールに至ることができるようにする管理をしていきます。
そのための報告フォーマットや会議のあり方もルール化するとよいでしょう。
部下に任せて成長できる環境をつくるのも社長の仕事です。