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有給休暇の定義とは?法改正や罰則、注意点など労働基準法をもとに解説

労働基準法と有給休暇

労働基準法第39条により定められている年次有給休暇(有給休暇)は、発生条件や与えなければならない日数など、さまざまなルールがあります。

また、2019年の法改正によって有給休暇の確実な取得が義務付けられるなどの変化もあり、企業側はそれらの法律に則って運用していかなければなりません。

有給休暇について正しく把握していなければ、知らないうちに法律違反となり、罰則が科されるリスクがあります。

そこで本記事では、労働基準法における有給休暇について、

  • 概要やルール
  • 法改正による変化
  • 法律違反による罰則
  • 企業側の注意点

などを解説していきます。

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労働基準法における有給休暇とは

まずはじめに企業側が最低限把握しておくべきことを、労働基準法をもとに見ていきましょう。

有給休暇とは

有給休暇は正しくは「年次有給休暇」といい、賃金を受け取りながら休むことができる休暇であり、法律で定められた労働者の権利です。

通常、従業員が休む場合は賃金を支払う必要はありませんが、労働基準法第39条で定められているように、有給休暇の場合は賃金を支払わなければなりません。

下記の要件を満たしていれば雇用形態を問わず、アルバイトやパートタイム労働者でも取得することができます。

  • 雇入れの日から6ヶ月経過していること
  • その期間の全労働日の8割以上出勤したこと

参考(FAQ(よくある質問)― 労働基準行政全般に関するQ&A丨厚生労働省

法改正による有給休暇取得の義務化

2019年4月1日以降、働き方改革関連法案の施行により、企業は従業員に対して年5日の有給休暇を確実に取得させることが義務付けられました。

背景には、ブラック企業の存在や長時間労働による過労死・過労自殺など、日本企業が抱える問題があります。

有給休暇制度があるだけでは、実際に休暇を取って休むこともなく働き続ける従業員が多いため、企業に確実な取得が義務化されました。

有給休暇が発生するタイミングと日数

労働基準法第39条では、有給休暇の付与について下記のように定められています。

業種、業態にかかわらず、また、正社員、パートタイム労働者などの区分なく、一定の要件を満たした全ての労働者に対して、年次有給休暇を与えなければなりません。

(引用:年次年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています丨厚生労働省

「一定の要件」とは上記で示した通りですが、下記のように勤続年数によって付与日数が異なるため確認しておきましょう。

通常の労働者の場合

継続勤務年数(年) 0.5 1.5 2.5 3.5 4.5 5.5 6.5以上
付与日数 10 11 12 14 16 18 20

アルバイトやパートタイマー(週の所定労働時間が30時間未満の労働者)の場合

週所定労働日数 1年間の

所定労働日数

継続勤務年数(年)
0.5 1.5 2.5 3.5 4.5 5.5 6.5
付与日数(日) 4日 169~216日 7 8 9 10 12 13 15
3日 212~168日 5 6 6 8 9 10 11
2日 73~120日 3 4 4 5 6 6 7
1日 48~72日 1 2 2 2 2 3 3

有給休暇の取得義務を果たすには

従業員数が多い場合、年5日の有給休暇を取得させることが困難なケースがあります。

原則として有給休暇は従業員が請求する時季に与えなければなりません。

しかし、年10日以上の有給休暇が付与される従業員の場合、年5日までは企業側が時季を指定することが可能で、これを「時季指定権」と呼びます。

時季指定権を行使することで企業が取得時季を決め、半ば強制的に取得させることができるため、取得義務を果たすことが可能です。

違反した場合の罰則とは

前述したとおり、有給休暇は法律で定められた労働者の権利であり、労働者からの請求を拒んだり、年5日の取得義務を怠ったりした場合、労働基準法違反となります。

有給休暇に関する法律違反の罰則は下記のとおりです。

内容 罰則
年5日の有給休暇の取得義務を怠った 違反者1人につき30万円以下の罰金
就業規則に記載のない時季指定権の行使 30万円以下の罰金
請求通りの時季に有給休暇を付与しなかった 6ヶ月以下の懲役または違反者1人につき30万円以下の罰金

罰則においては、罰金について注意しなければなりません。

「違反者1人につき30万円以下の罰金」ということは、仮に年5日の有給休暇を取得させなかった従業員が10人いれば300万円以下、100人いれば3,000万円以下の罰金になるということです。

有給休暇の決まりとは

ここまで有給休暇に関する基本的な決まりを見てきましたが、これ以外にも決まりがあるため見ていきましょう。

時季指定権の行使について

時季指定権を行使する場合は、就業規則に下記の2点を記載しなければなりません。

  • 時季指定の対象となる労働者の範囲
  • 時季指定の方法等

(参考:年次有給休暇の時季指定について就業規則に記載しましょう。丨厚生労働省

請求通りに取得させる必要がある

原則として、有給休暇は従業員が請求する日に取得させる必要があります。

また申請があった際に、従業員に対して無理に取得する理由を聞くことはできず、また、取得に理由は必要ありません。

理由を聞くこと自体に違法性はありませんが、「理由を言わずに申請する場合は取得させない」という措置を取っている場合、労働基準法違反となります。

まとめ:社員に気持ちよく有休を取得してもらうために

有給休暇は社員からするととてもいい制度です。

しかしながら、企業経営者の方には以下のように考えてしまう方もいるのではないでしょうか?

  • 有休を取得するなら仕事をしっかりとやってほしい
  • 引き継ぎが完了してから有休を取得してほしい
  • 同じ部署の人間は同じ日に休まないでほしい

上記のお悩みはルール設定と、生産性の向上で解決できます。

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