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過労死ラインとは?20年ぶりの改定による変更点や企業ができることを解説

過労死ラインとは、労災認定の基準です。労働者が病気になったり亡くなったりした際にこの基準を越えていると、原因が働きすぎによるものだと認定されます。

2021年、この過労死ラインが20年ぶりに見直されました。

本記事では過労死ラインの改訂ポイントや、事業主ができる過労対策を解説していきます。

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過労死ラインとは

私たちが身体的・精神的な病気になる際、考えられる要因はいくつもあります。

そのなかで長時間労働や劣悪な労働環境が原因として労働災害(以下「労災」)認定されるには、一定の基準が求められます。

その基準となるのが「過労死ライン」です。

過労死ラインは健康障害のリスクが高まる時間外労働の時間を示しており、仕事と病気・過労死とが因果関係にあるのかを判断する際に用いられます。

過労死ラインの定義

現在の過労死ラインは、

  • 健康障害の発症前1ヶ月間に100時間以上の時間外労働があること
  • 健康障害の発症前2ヶ月~6ヶ月間で、1ヶ月あたり80時間以上の時間外労働があること

のどちらかとなっています。

一般的に6ヶ月間で平均45時間以上の時間外労働があると、健康リスクと仕事の因果関係が認められやすく、さらに長くなることで結びつきが強くなっていきます。

過労死ラインの改訂ポイント

2021年、厚生労働省は過労死ラインの見直しを行いました。

2001年に定められた過労死ラインは20年間大きく改定されることはありませんでしたが、昨今は働き方や労働環境が変化しているため、現在の状況に合わせて見直しが進められていたのです。

それでは、今回の見直しのポイントを見ていきましょう。

(参考:「過労死ライン」 20年ぶりに見直しへ認定基準案示す 厚労省丨NHK

過労死ラインの変更はなし

今回の見直しでは、上述した過労死ラインそのものに変更はありませんでした。

しかし、WHO(世界保健機関)とILO(国際労働機関)は「時間外労働が月65時間を超えると脳・心臓疾患のリスクが高まる」としているため、過労死ラインを引き下げるべきだという指摘もあります。

過労死ライン以内でも労災認定の可能性がある

過労死ラインに変更はありませんでしたが、見直しによって過労死ライン以内でも労働時間以外の要因が認められる場合は、労災認定されるようになりました。

例えば要因として深夜勤務などがありますが、負荷の有無を判断する基準は発症した本人ではなく、同じ職場で業務や立場などの条件が類似する従業員の状態から鑑みるというものになっています。

過労死ライン以外の労災認定基準の追加

これまでも過労死ライン以外の負荷要因として「不規則な勤務」や「出張の多い業務」がありましたが、今回、新たに下記の4つの負荷要因が追加されました。

  • 休日のない連続勤務(連続して勤務した日数と発症の関連性を判断)
  • 勤務間インターバルが短い勤務(勤務間インターバルが11時間未満かどうかが判断基準となる)
  • 身体的負荷を伴う業務(業務量や強度、環境などから身体的負荷となるかを判断)
  • 事業場外における移動を伴う業務(出張以外の移動が多い業務について判断)

(参考:脳・心臓疾患の労災認定基準 改正に関する4つのポイント丨厚生労働省

過労死ラインを守るために事業主ができること

今回の見直しで事業主が注意するべき点は、「過労死ライン以内でもその他の負荷要因が認められると労災認定となる可能性があること」です。

したがって、事業主は従業員の長時間労働だけではなく、それ以外の負荷要因を取り除くことにも取り組まなければなりません。

そこで、ここでは厚生労働省の資料を参考にしながら、従業員の過労死や健康障害リスクを避けるために事業主ができることを解説していきます。

(参考:STOP!過労死丨厚生労働省

従業員の労働時間を把握する

時間外労働には、原則として月45時間・年360時間の上限規制があるため、事業主は従業員の労働時間を正しく把握しなければなりません。

また、従業員に時間外労働・休日労働をさせる際は、労働基準法36条に基づいて36(サブロク)協定を締結する必要があります。しかし、臨時的な特別な事情がある場合でも、

  • 年720時間以内
  • 2~6ヶ月平均80時間以内
  • 月100時間未満

の上限規制があり、これに違反すると6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金となる可能性があります。

(参考:時間外労働の上限規制丨厚生労働省

ワークライフバランスがとれる職場環境を整える

過労死等を防ぐには従来の働き方を改めて、ワークライフバランス(仕事と生活の調和)がとれた働き方が可能な職場環境を整えることが重要です。

長時間労働や休日労働、休みのない連続勤務が続くと心身ともに疲弊するだけではなく、生産性も低下してしまいます。

したがって事業者は従業員と適切にコミュニケーションをとって、計画的に年次有給休暇の取得を促進していきましょう。

従業員のメンタルヘルスケアを行う

従業員の健康において気をつけるべきは身体的な病気だけではありません。

仕事によって強い不安やストレスなどを抱えている労働者は5割以上であり、事業者は従業員のメンタルヘルス対策を積極的に行っていく必要があります。

そのためにも厚生労働省は、年に1回はストレスチェックを実施することを推奨しています。

まとめ:過労死ラインを守るために

過労死は決して許されるべきものではありません。

その一方で、会社の生産性と業務時間、双方のバランスをとる必要性が管理職には求められます。

双方をバランスよく実現するためにはどうすればいいでしょうか?

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