いまではさまざまなメディアでも目にするようになった「クラウドファンディング」。資金調達の方法として、既に一般的になりつつあります。しかし、その種類は投資型と非投資型に分類できることをご存知でしょうか?
本記事では、現在、非投資型のクラウドファンディングとして有名で売上を伸ばしている、株式会社マクアケのサービス「Makuake」をわかりやすく解説をします。
目次
Makuakeとは?
Makuakeは株式会社マクアケが運営する、クラウドファンディングのサービスです。新商品を打ち出したい企業は、Makuakeのプラットフォーム上で商品を宣伝することで、顧客から資金を集めることができます。
「世界をつなぎ、アタラシイを造る」をミッションとするマクアケは、2019年12月に東証マザーズ市場に上場してからは、着々と売上を伸ばしており、2019年の第一クオーターで3億円だった売上は、2022年第一クオーターでは11億円となっています。
Makuakeを利用することで、テストマーケティングからPR、販路拡大までを一貫して実施できるため、新商品の販売をする際に利用をする企業が増加しているプラットフォームです。
参考:2022年9月期 第1四半期 決算説明会資料 | 株式会社マクアケ
Makuakeの3つの特徴
Makuakeを理解する上で、基本となる3つの特徴を解説しましょう。
- 投資型のクラウドファンディングとは異なる
- 集客効果が高い
- マーケティング機能が高い
それぞれについてわかりやすく解説します。
投資型のクラウドファンディングとは異なる
クラウドファンディングには投資型のクラウドファンディングと、非投資型のクラウドファンディングがありますが、両者はリターンが異なります。
投資型のクラウドファンディングは、不特定多数の個人からクラウドファンディング会社が資金を集め、企業に対して融資や出資を行うものです。このため、クラウドファンディングに参加した個人は、後ほどリターンとして利息や分配金を受けることができます。
非投資型のクラウドファンディングに代表されるものとして、商品購入型のクラウドファンディングが挙げられます。が、非投資型では、投資に対して商品やサービスのリターンを受けられます。
このうち、Makuakeのサービスは非投資型のクラウドファンディングに該当します。今後展開される新商品・サービスに対して先行的に商品の代金を支払うことで、支援者はリターンとして完成した商品を受け取ることができます。
このため、Makuakeのサービスでは、投資という言葉を使わずに「応援購入サービス」という言葉を用いています。参加者は日本のものづくりの支援ができることに魅力を感じ、商品を先行購入するのです。
集客効果が高い
Makuakeの2つめの特徴として、集客効果が高いことが挙げられます。1,000万人(※)を超えるユーザーがいるため、Makuakeのプラットフォームだけでも大きな集客効果が見込めるのです。
また、プラットフォーム力が高いだけではなく、メディア掲載数は月平均で10,000件(※)ほどと、個別でのメディア掲載数が高いことも掲載企業にとっては大きなメリットです。追加費用なしで、個別メディアへのアプローチができます。
具体的な提携先としては、AbemaTV、ITmediaNEWS、GoodsPress、週刊アスキーなどのメディアが挙げられます。
(※)2022年2月時点で公開されている数値を参照
マーケティング機能が高い
資金を調達しながらも、ユーザーのニーズを汲み取ることができる仕組みがMakuakeには整っています。プロジェクトの実行者は、サポーターの属性(性別、年齢、居住地、職業)などを確認できるため、デモ グラフィック分析を実施することができます。
仮に自社がある特定のターゲットを設定している場合に、ズレはないかを確認することができるのはもちろん、さらに支援者を増やすためにどうすればいいかの施策を、取得したデータから検討することも可能です。
このように、Makuakeを利用することで、資金調達から販路拡大に向けた施策まで検討できるのが特徴です。
Makuakeが注目される理由
Makuakeが注目される理由として挙げられるのは、マーケティングのみならず、ブランディングまでを織り込んだ資金調達になっているということです。
ものが溢れ、すぐに購入できる今の時代においては、マーケティングを意識した商品の販売戦略が必要となります。そしてもう一つ大切になるのが、ブランディングです。
ブランドとは、生活者の心の中にある商品・サービス・企業へのイメージのことです。そしてブランドには生活者の感情移入が必要となります。
Makuakeでは商品一つ一つに対するこだわり、生産者の思いが綴られた商品紹介がされています。
これを実現しているのが、キュレーター(Makuakeの担当者)と呼ばれる存在です。業界に精通した担当者が、客観的な視点で商品の魅せ方のアドバイスをくれるため、支援者の感情に訴求する商品紹介ページが出来上がっているのです。
支援者の感情を強く揺さぶるブランディングを実現しているため、Makuakeは企業からも支援者からも注目されているのです。
<内部リンク:ストーリーブランディングとは?>
Makuakeで実現したプロジェクト:アニメ映画『この世界の片隅に』
興行収入25億円の快進撃を遂げたアニメ映画『この世界の片隅に』はMakuakeで資金調達に成功したプロジェクトのひとつです。太平洋戦争中の主人公「すず」の生活を描いた本作品は、スポンサー集めに難航したという過去がありました。
「映画の制作メンバー」になれるなどのリターンを用意した本プロジェクトは、開始8日後には目標の2,000万円に対し、3,912万円を達成。10,000円以上の寄付金に対して、「完成した映画に名前を残す」としたリターンには2,000名以上が該当したため、圧巻のエンドロールとなりました。
作り手の情熱がMakuakeを通して支援者に伝わり、支援者はSNSを通じて映画の放映情報を拡散。当初メディアにも大きく取り上げられていなかったアニメ漫画が興行収入25億円を達成する一助となりました。
まとめ
本記事では、Makuakeの特徴と成功要因をわかりやすく解説しました。商品が溢れる現在においては、顧客の感情に訴えかけるブランディングやマーケティングが重視され始めています。
その一助となるのが非投資型のクラウドファンディングです。Makuakeが成功したのは、資金調達という側面だけでなく、ファン獲得という側面があったからでしょう。