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離職者を減らす誤解や錯覚の取り除き方

近年少子化が顕著になり、人材不足の時代となりました。20~30年前に比べて転職が当たり前になってきた環境のなかで、社員の離職に頭を悩ませる経営者の方も増えています。あなたの会社では、こうした問題に対しどのような施策を講じるか明確になっているでしょうか。実は、社員の離職に限らず組織で起こる問題の多くは誤解や錯覚が原因です。今回は、離職を防ぐための対策について、誤解や錯覚という観点から考えていきます。

採用前の誤解・錯覚

社員の離職を防ぎたいのであれば、まずは採用前の段階における誤解や錯覚から取り除かなければなりません。

人材募集の広告に「やりがいがあります」や「明るく楽しい会社です」、あるいは「アットホームな職場です」などという言葉を使っていませんか。「やりがい」や「楽しい」などの曖昧な表現で求職者を誤解させるのはやめましょう。そもそもこれらを決めるのは働く側の社員です。

組織が市場から評価される立場である以上、働く社員全てが「やりがいがある」と感じるポジションで仕事ができるわけではありません。入社してから「やりがいがないな」と思った社員は、騙されたような気になってしまうこともあります。

会社のよさをアピールしたいのであれば、この会社は社会や地域にとってどんな有益性があるのか、5年後の会社の変化イメージは明確か、他社との違いは何かをはっきり打ち出すことをお勧めします。

面接時の誤解・錯覚

面接時に優秀だと感じた人材に対しては、何とか入社してほしいと考え、「君の力を十分に発揮できるように、よいと思ったことはどんどん実行して欲しい」といったニュアンスの言葉をかけ、入社させてしまうケースがあります。また「うちは自由な会社だから」とアピールをすることもあります。これが誤解や錯覚の原因となってしまうのです。

「会社のためにこれをやるべきだと進言したら時期早々と言われた」

「まずは結果を出しなさいと言われた」

結果的として、「この会社では自分の力を発揮できない」と、せっかく入社した有望株が退職していくわけです。面接の際は、

  • 会社は何を求めているのか
  • 採用後に就くポジションでは何をどこまで決定する権限があるか
  • どんな結果を出せば給与が上がっていくのか

を明確にし、その上で入社をさせることが重要です。

また、自由な会社といっても、暗黙のルールが存在しているはずです。部下が納得できないことでも上司の指示であれば実行するという原則については、必ず認識合わせをしましょう。

入社後の誤解・錯覚

ここからは、入社後に社員がしてしまいがちな誤解について述べていきます。以下の三つです。

会社から評価されてはじめて給与が生まれる

まずは、評価の方向性に関して、社員の誤解や錯覚を排除しなければなりません。

というのも、どの会社に応募するかを決めるタイミングでは、応募者は会社を評価している状態です。また、面接の際は会社が応募者を評価していますが、同時に応募者も会社を評価しています。つまり、応募者は最低でも2回は会社を評価して入社してくるわけです。その経験が誤解を生んでしまうことがあるのです。

入社後は会社が社員を評価するのみです。社員の自己評価からは価値は生まれません。「頑張っているのになんで評価してくれないのだろう」という思考は、自己評価の誤解から抜け出せていない状態です。会社から評価されたから給与が生まれる(上がる)という原則を認識させるような研修を、入社時に実施してください。

ルールを守り所属意識を高める

次は、ルールに関する誤解・錯覚です。ルールを守らせようとすると離職が多くなるのでないかと思ったことはありませんか。それは間違いです。実は社員がルールを守れていない会社の方が離職者は多くなります。

皆が同じルールを平等に守っていると、所属意識を高める効果があります。ルールが守られていない、あるいは守られていなくても指摘されないという会社ではルールを守っている社員から離職していきます。所属意識も薄れてしまい、社員は自己利益を優先する思考が強くなります。それゆえ、ルールを設けて、それを徹底して守らせることをするようにしてください。

ただ、ルールを作って守らせようとすると、一時的に会社の価値観と合わない人が浮き彫りになり、最初は離職者が発生することがあります。しかし、510年と長い目で見たときには、ルールを明確にして守れる会社にした方が離職率は低くなります。

明確な目標を設定しよう

目標を曖昧にすることもNGです。目標がはっきりしているからこそ迷わずに努力できるのです。何を達成したら評価されるか分からずに疲れ果て、離職の決断をしてしまうといった社員を出さないようにしましょう。

また、「みんなで頑張ろう。チームの結果がよければ一律で平等に評価します」というのは、社員にしてみれば責任も問われないので気が楽に感じるときもあるかもしれませんが、成長感を認識できず、よい結果を残している社員から辞めてしまうことにつながります。

おわりに

私が入社した2017年9月頃識学は社員が30人ほどの会社でした。今では株式上場も果たし、グループ全体で240名以上の組織になっています。

識学に入社する前、周囲に識学のことを知っている人は誰もいませんでした。まだ上場していないときであり、認知度はありませんでしたが、会社が将来上場を目指していること、モチベーションマネジメントが流行するなか社員のモチベーションなど気にせず合理的な組織運営を実践し、コンサルティング先でも成果を上げている事実を知ったときには、「この会社は間違いなくこれから成長する」と確信することができました。

離職を減らし社員を成長させて組織が強くなるためには、組織内の誤解や錯覚をなくしていくことです。今回お伝えしたことが今後の組織運営の参考になれば幸いです。

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