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リーダーに必要な要素とは? 5つのリーダーシップスキルを磨こう

一般的に、プレイヤーとして成果を上げた人が、マネジメント層に選ばれることが多いと思います。マネジメント層には部課長から役員、経営者までそれぞれの段階に分類できますが、マネジメント層になれば段階に応じたリーダーとしての役割、つまりリーダーシップが求められます。

後述しますが、マネジメント知識を左脳的要素とすれば、リーダーシップは右脳的要素と言え、人間的な力とも言えます。マネジメント知識を用いた業務は他の者に分担することはできますが、リーダーシップを分担することはできません。リーダーと称させる者は、リーダーシップのスキルを理解し、不断の努力でスキルを磨いていく必要があります。


本記事ではリーダーシップの条件、つまりスキルを明確化し、各スキルの活用について述べています。これからリーダーシップを発揮する立場の方はご一読頂ければ幸いです。

 

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リーダーシップに必要なスキル

 

マネジメント層のトップ、経営者に必要なスキルは下記のように大別できます[1]
・科学系スキル(左脳系): マネジメント知識、ロジカルシンキング
・アート系スキル(右脳系): リーダーシップ

マネジメント知識とはビジネススクールなどで学ぶ理論であり、戦略、マーケティング、経済学、会計、財務、オペレーション、HRM(人事・組織)、組織行動論などがあります。ビジネスシーンで得た経験や知識をルール化、法則化された理論と言えます。ロジカルシンキングはマネジメント知識をベースにして、思考によって意思決定するためのスキルです。事象を要素に分解する、要素の相互関係(トレードオフの関係)を明確化する、個別要素を積み上げて統合する際に必要なスキルです。

マネジメントにおける科学スキルは実際の組織運営に必要不可欠であることは言うまでもありません。しかし形式知として学習できることができるので、一部は他の人に委譲することが出来ます。しかし、アート系スキルであるリーダーシップは人間的な力であり、他の人に委譲出来ません。また、科学的スキルの限界や短所をカバーするために重要なスキルです。本記事ではリーダーシップのスキルと活用について説明します。

 なお、リーダーシップを発揮すべき者は経営者だけでなく、マネジメント層に属するすべての者に求められます。マネジメント層の段階によって求められる責務が違うため、リーダーシップにも違いがあって当然です。リーダーシップに必要なスキルは同じで、求められるスキルの程度が違うと考えることができます。

前置きが長くなりましたが、リーダーシップに必要なスキルをさらに細分化すると、以下のように分類することができます。[1]

スキル① 強烈な意志

スキル② 勇気

スキル③ インサイト(洞察、発想)

スキル④ しつこさ

スキル⑤ ソフトな統率力(組織構築などのハード面に対比して、共有やコミュニケーション、人間的魅力)

リーダーシップを発揮する者は、マネジメント層の段階に応じて、①~⑤まで一定のレベルに達している必要があり、どれ1つとして欠かすことができません。つまり、リーダーの条件と言えます。次にそれぞれのスキルを説明します。

 

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リーダーシップに必要なスキルの説明

 

リーダーシップを発揮する立場として経営者を想定し、リーダーシップに必要なスキルについて個別に説明します。[1]


スキル① 強烈な意志

どんな状況にあっても、「何が何でも結果を出す」という強烈な意志で、リーダーに必要な他のスキルの根幹を成すスキルです。特に組織のトップである経営者の場合、結果を出すことが絶対条件であり、予期できなかった環境変化ですら言い訳に使えません。結果を出すためには面子やプライドも投げ出す状況もあるでしょう。

強烈な意志の源泉は「高い志」と「責任感」です。「高い志」とは、例えば「このサービスは世のため、人のためになる。絶対に実現させたい」という志です。また部下や従業員を路頭に迷わせないために、何としてでも業績を上げないといけない、成果を出さないといけないとい信念が「責任感」です。

 

スキル②勇気

リーダーには意思決定を行う勇気が必要です。プロジェクトを立ち上げゴーサインを出す意思決定と比較して、やめる意志決定、変える意志決定には大変なエネルギーが必要です。また、意思決定が遅れることのダメージを考慮し、不完全な情報で意思決定すべき状況もありえます。さらに、必要ならば人を切る決定もしなくてはなりません。

このような勇気ある意志決定のためには、強いメンタル、判断を間違えた場合のリスク管理、及び倫理観が必要です。そうでないと勇気ではなく蛮勇となってしまいます。

 

スキル③インサイト

インサイトとは「洞察力」「発想」「ひらめき」と呼ばれるものです。例えば、リーダーはインサイトのスキルによって、ロジカルシンキングに囚われた状況を正すこともあれば、経営課題を見る視点を大きく変化させ、競合他社が着眼していない方向性を示すこともあります。

  このスキルは天性でなく、日ごろからの習慣で身に着けることができます。「一歩引いて本質を探す」、「二極性で考える(短期・長期、ミクロ・マクロなど両極端の方向から考える)」、「現在の思考パターンで良いのか」、「どこかのタイミングで定石を壊して進化させる」、「他人の頭を使い、自分の思考の外の意見を求める」ことを習慣付けることにより、客観性を高めて、インサイトのスキルを磨きます。

 

スキル④しつこさ

「考えるしつこさ」と「実行するしつこさ」の2つのしつこさが必要です。「考えるしつこさ」は、先の「インサイト」の源泉となります。しつこく考えるほど、他人の意見に謙虚になります。自分の思考の枠を広げるには他人の意見を取り入れる必要があるからです。

  「実行するしつこさ」は「考えるしつこさ」よりはるかに大きな労力が必要です。「成功する」にはさらに大きな労力が必要です。つまり、「実行するしつこさ」が事業の成功や結果を出すポイントです。

 

スキル⑤ソフトな統率力

組織を作り指揮することによる統率をハードな統率力と呼ぶとすれば、ハードな統率力はリーダーシップでなく、マネジメント力と言えるものです。ソフトな統率力とはハードな統率力に対比した表現で、実現したいビジネス(ビジョン)の魅力、リーダー自身の魅力により、組織の構成員(部下)の心をつかみ、やる気や自発的な意思決定を促す力です。魅力的なビジョンを掲げ、それを共有するためのコミュニケーションを継続し、ハードな統率と並行させます。

  人間的な魅力とは、心優しく倫理観の伴った人であることからにじみ出るものです。なお、ここでの人間的な魅力とは、いわゆるカリスマ性とは違います。カリスマ性によるリーダーへの過剰な尊厳が組織を弱くするリスクがあるからです。

 

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リーダーシップの各スキルの活用場面

 

この章では、ビジネスシーンを例に挙げたうえで、リーダーシップのスキルの活用場面を説明します。

 

プロジェクト後半で組織を引っ張るのはリーダーの役目

どんな状況にあっても、「何が何でも結果を出す」という「強烈な意志」がリーダーシップの根幹であることを説明しました。例えばプロジェクトの後半について考えてみましょう。プロジェクトの後半では、具体的な問題が発生しているでしょうし、新規性も薄れてきます。希望にあふれたプロジェクト初期と比較して、進捗やモチベーションが減速しがちです。そこでプロジェクトの成果を最大限にするためには、リーダーが組織を引っ張る必要があります。

  状況に応じて引っ張り方を考えます。例えばプロジェクトのゴールの先を示し、組織の目線をゴールの先に延ばすことができないでしょうか。現在の業務が新規プロジェクトを起こすための布石になることが示せれば、新たなモチベーションを創出することができます。またこれまでの成果を定量的に示し、もっと成果を大きくするポテンシャルを示す方法もあります。

 

決断から逃げないために考える事

上司に対する部下の不満で必ず挙がるのが「決断してくれない」というものです。決断には責任を伴いますので、利己的な意志が働けば、決断を出来るだけ避けたいという心理が働きます。これに打ち勝つには、「決断しなければどうなるか」、「決断が間違っていた場合、どうリカバーするか」まで「しつこく考える」ことです。また「決断は自分の成果のためでなく、公のため」という倫理観が必要です。

もちろん判断が間違うことがあります。面子を捨てて失敗から学ぶメンタルの強さも心掛ける必要があります。朝令暮改をしても周りが納得してもらえる説明を考えておく必要があるでしょう。

 

3C、4P、SWOT とインサイトを連動させよう

よく利用されるフレームワークである、3C、4P、SWOTは有効な分析手法であることは言うまでもありません。経営上の課題や発案を効率的に行うことができます。しかし、これらは座学で学べ、かつ繰り返し行うことによって、誰でもそれなりに上達します。また、綺麗に分析できるとある種の満足感が発生し、さらなる課題の発掘が減速するリスクがあります。また、これらのフレームワークは予想外の事象を十分に記載できないことがあります。

ここでインサイトのスキルが必要となります。既に作成したフレームワークは、時間が経てば再作成する必要があります。フレームワークに埋め込んだキーワードが現実と微妙に違い、違和感を覚えることがあるでしょう。また、他社との差別化のため、考え方の方向転換を行うこともあるでしょう。この初動においては、右脳的アクションであるインサイトの力を発揮する必要があります。これはリーダーの役目です。これを部下と共有できれば、部下は左脳的アクション(ロジカルシンキング)をフル活用して、フレームワークを再構築することができます。

 

 地味なことをどれだけ継続できるか

奇抜な方法で短期的に成果を出すというケースがないとは言えません。しかし、多くの成功例は地味で派手さがないことの積み重ねであることを認識すべきです。地味な事をどれだけ継続できるかが成果の大きさに反映されます。先に説明した通り、「実行するしつこさ」は「考えるしつこさ」よりはるかに大きな労力が必要です。つまり、継続できることが能力であると言えます。地味なことを5年10年続けて築き上げた成果こそ、他社との差別化となっていることはないでしょうか。この事実を部下に示し続けるのもリーダーの役割です。

 

冷酷な決断も人間性的魅力があってこそ

大きな決断は勇気がいるものですが、新プロジェクトの立ち上げや新企画の承認など、ポジティブな決断はある種の快感があります。逆に、プロジェクトの中止、変更などネガティブな決断は不快なものです。しかし、どちらの決断もリーダーしかできない役割ですので、避ける訳にはいきません。また、上司が部下に対して、厳しい処置(異動、査定)を行う場合もあるでしょう。そのようなネガティブな判断は当事者だけでなく、周りの人、組織からも見られていることが多いです。平たく言うと「悪者」として見られてしまう状況です。そのような時にも、これまで、どれだけ「ソフトな統率力」を発揮してきたかが重要です。人間的魅力があってこそ、辛い決断をしても人がついてくるのです。

 

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まとめ

 

マネジメント知識(戦略、マーケティング、経済学、会計、財務、オペレーション等)は、ビジネスシーンで得た経験や知識をルール化、法則化された理論と言えます。つまり、形式知として学習することができます。

一方、リーダーシップは人間的な力であり、経験や勘に基づく知識、つまり暗黙知に属すると言えます。よってリーダシップに関する記事・書物は、事例の列挙による説明が多いと思います。

本記事ではスキルという形での分類を紹介し、ビジネスシーンにおける活用場面を説明しました。

ここで言っておきたいことは、リーダーシップは先天的なものでなく、経験と習慣で磨くことの出来るスキルということです。右脳的スキルであることから、座学ではきっかけを得ることはできても、磨くことができません。不条理な状況、退路を断たれた状況の方が、習得が早く深いように思います。

最後にファーストリテーリング会長 柳井正氏の言葉を引用しておきます。[1]

「あまりにも心の弱い人は向いていないけど、みんなが考えるほど経営者に向いている人の幅は狭くない。100mを9.9秒で走るためには超人的な才能がないといけないが、凡人がやって自分の長所を生かし、短所を克服してやっていけるのが経営です。たから普通の人間だけでチームを作っても立派な経営はできる」

 

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参照
[1]「経営者になる経営者を育てる」菅野寛著

 

 

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