近年、政府が働き方改革を推進していることもあり、自らの働き方を見直す人は増えているでしょう。
しかし、適当に転職先を探している人は、転職後になって「こんなはずでは」と後悔する恐れもあります。
今回は、転職を検討中の方に向け、企業を選ぶ際のポイントについて解説します。
目次
成果視点に陥らないように
転職を考えている方にとって大切なことは、成果視点に陥らないことです。成果視点とは、不必要な心配に捉われたり、現実から目を背けたりする思考の状態を指します。
例えば、不振にあえいでいる人気野球球団のスター選手がいるとしましょう。
彼は、活躍すれば英雄としてメディアに取り上げられますが、少しの失敗でもメディアから厳しい批判を受けてしまいます。
ゴシップ紙だと、「戦犯」などと書かれることがあるかもしれません。
スター選手といえども、成績が振るわずに悩んでしまうと、本来は相手ピッチャーの投球に対していかにヒットを打つか(結果視点)に集中するべきですが、打てなかった場合の翌日のスポーツ紙を想像し、パフォーマンスの質を落としてしまいます。
この状態を成果視点の思考と言います。
未来の質を上げることが最も重要
では、転職活動における成果視点とはどんなものでしょうか。
それは、「現職から解放される」という思考や、「何となく面接官と話が合う」、「必要とされていそう」と安易に判断してしまうといったものです。
転職を志す方は、大きく分けると、現職を辞めたいか、ステップアップを望んでいるかのどちらかでしょう。このうち、現職を辞めたい気持ちを否定するつもりはありません。さまざまな事情があることでしょう。
ただ、転職をする上で最も重要なことは、未来の質を上げることにあるはずです。
現職からの解放に捉われてしまうと、未来の質に対して思考が働く量が減ってしまいます。
その結果、確認すべき内容や本当の自分の願いを軽視してしまう恐れがあるのです。
識学ではこれを、「視点スライド」と説明しています。目の前に問題があると、つい人の視点はその問題に集中してしまいます。
しかし、それでは判断を誤る可能性が高まってしまうのです。自分はどのような働き方をしたいのか、未来を点で捉え、そこから逆算して企業選びをして下さい。
感情的に判断しない
次に、面接官と話が合うから入社するというのも要注意です。正確に言うと、必要以上に話を合わせる面接官に注意してほしいという意味です。
本来、面接はお互いに選び合う場であるはずです。ただ、世の中にはとりあえず人手が欲しいという単純な理由で採用を行っている企業も少なくありません。
こういった企業は人材を消耗品と考えている場合が多いです。
「辞めてもまた採用すればよい」とか、「ある程度人数を確保して何人か残ってくれたら儲け物」のように採用を考えているのです。
だから、手っ取り早く勢いで採用を済ませようとするのです。
ステップアップを望んでいる転職希望者にも適当な未来を見せ、その気にさせてしまいます。
採用戦略として全否定することはできませんが、そういった企業が本当に社員を大切にするでしょうか。私にはそうは思えません。
本来の面接は、採用する側もされる側も真剣勝負の場であるべきなのです。
ですから、相手の言葉を安易に信用するのではなく、評価制度の有無や内容、キャリアプランを確認するなどして、事実を把握してください。そういった説明ができない企業は要注意です。
求人情報の見方
面接を受けることは、当たり前ですが自分の貴重な時間を費やすことです。
「直接話を聞いてみないと何も分からない」という思考に偏ってしまうことは危険です。
あらかじめ求人情報などで確認すべきことは確認し、面接では重要な点に的を絞って話をする必要があります。
では、入社前に確認すべき点は何かというと、下記の4点です。
同業他社と比較して待遇が同水準かそれ以上であること
これは、その会社が社員をどういう位置付けで見ているかが分かるポイントです。当然優秀な社員にはそれに見合った対価が必要です。
例えば、
- 「残業代ありきで他社と同程度の給与水準になっている」
- 「給与は同水準だが休日が少ない」
などは危険信号です。従業員を安く使いたいと考えている可能性がありますし、そもそもビジネスモデルが適切ではないのかもしれません。長時間労働が前提のビジネスモデルは長続きしません。
「アットホーム」「風通しいがよい」「自分らしい」という文言が多くないか
企業自体が成果視点を呼び込んでいます。
また、これらの言葉は、聞こえはよいものですが、あくまでイメージのみの話で、具体的な内容がありません。
こういった文言を信用してしまうと、入社後に「話が違う」と後悔してしまいかねません。
全てとは言い切れませんが、こういった文言をふんだんに盛り込む企業は、求める人物像を考えていないか、自社分析を怠っている可能性が有ります。
待遇の説明ばかりで仕事内容の記述が少なくないか
待遇の説明ばかりで、肝心の仕事内容に関する記述が少ない企業も要注意です。
待遇はもちろん重要な内容ですが、待遇だけを見て会社を選ぶ方は少ないはずです。
見方を変えれば、そういった求人記事を書いてしまう企業は、社員が自社に何を求めているかを見抜く能力が欠けている可能性があります。
面接だけでなく適性検査などがあるか
識学社でも、採用活動では「識学サーベイ」という思考の癖を測るシステムを使用しています。いわゆる適正検査ですね。適正検査には、有名なものだとSPIがあります。
サービスによって特性は違うものの、ポイントは、こういったサービスを使う企業は、採用にコストを掛けているということです。
つまり、よい人材を採用することに本気になっている可能性が高い、入社後も育てる意識が強い企業だと考えられます。
以上の4つは、すぐにでも確認できるポイントですので、採用情報を見てください。また、採用する側であれば、よい人材を採用するにはロジックが必要ということを覚えておいてください。
より良い社会人生活を送るために
最後に、転職希望の方に、心に留めておいてほしいことがあります。
それは、3年後の自分の姿を思い描くことです。石の上にも3年と言うように、一般的には仕事を覚え、自ら価値を発揮し評価を得るまでに3年程度の時間を要します。
成果視点にならず、3年後の自分の成長を見据えられる企業を選んでいきましょう。
これは、採用する企業側で考えると、3年後の組織の型を想定した採用活動を行うべきだということです。
人材が足りなくなってから慌てて採用するのではなく、育成期間も考慮した採用活動が必要です。
ある程度、プロダクトが固まってきたならば、人材育成と採用活動にリソースを注ぎ、成長の角度を上げていきましょう。