突然ですが、下記のようなことを感じたことはありませんか?
- 「ゆとり世代の人は仕事ができない」
- 「ゆとり世代の人の考えていることがわからず、どう接すればいいか知りたい」
- 「ゆとり世代の人の特徴を知りたい」
「これだからゆとりは……」といわれることも多く、何かとマイナスな印象があるゆとり世代。ゆとり世代の人の考えていることがわからなかったり、働くうえでの接し方に悩んだりする先輩社員や上司は少なくありません。
しかし、一緒に働くなら相手のことを理解して、より良い結果を出せるよう協力する必要があります。ゆとり世代はそれまでの世代と比べて考え方や物事の捉え方が異なるため、始めはコミュニケーションに苦労するかもしれません。
そこで本記事では、ゆとり世代の特徴、コミュニケーションをとるポイント、さとり世代との違いなどを解説します。ゆとり世代への理解を深めるための参考にしてください。
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ゆとり世代とは?
ゆとり世代とは、一般的に1987年4月から2004年4月に生まれた世代のことです。2022年時点で、18歳から35歳の世代を指します。
ゆとり世代の「ゆとり」は「さまざまな経験を通して、人間性を豊かにするゆとりを取り入れる」というゆとり教育の目的からきています。
こうしたスローガンのもと、文部科学省によって教育指導要綱が改定され、2002年から2011年の間に義務教育をうけた世代がゆとり世代です。
ゆとり教育では学習内容を30%減らして、週休二日制を採用するなど授業時間が大幅に削減されました。
ゆとり教育によって生じた学力低下
しかし、当然ながら学習時間を減らしたことは学力低下につながりました。また、ゆとり教育の教育方針でもあった「人と比べない」や「ナンバーワンよりもオンリーワンを目指す」などの個性を大切にする方針によって、競争意識の低下も学力低下の一因とされています。
さらにそれだけではなく、学力低下に危機感を抱いた家庭では子どもを私立の一貫校へ入学させる家庭が増加し、教育格差につながりました。
これを受けて2011年以降はゆとり教育をやめて、新たな教育方針が掲げられるようになりました。その頃ゆとり世代は就職を迎え、新人として企業に入ることで、ゆとり世代を部下にもつ上司が悩むケースが増えたのです。
ゆとり世代が育った環境や時代
バブル経済が崩壊した1993年前後に生まれたのがゆとり世代であるため、その後に起きたリーマンショックやITバブルの崩壊などを経験しています。
つまりゆとり世代の多くは、生まれてから景気のいい時代を経験したことがほとんどなく、人生のほとんどが「景気の悪い時代」でした。
さらに、ゆとり世代の多くが学生だった2011年には東日本大震災が起こり、自然災害の恐ろしさも肌で感じました。多感な時期にこのようなさまざまなネガティブな出来事を経験していることが、後述するゆとり世代の特徴につながっていると考えられます。
ゆとり世代とさとり世代の違い
ゆとり世代のあとに生まれて、ゆとり世代からの脱却を試みる教育を受けてきた世代が、さとり世代です。1996年から2005年に生まれ、2022年時点で17歳から26歳の世代が当てはまります。
さとり世代もゆとり世代と同様に、不景気で不安定な社会で育ちました。共通した特徴が多く見られますが、ゆとり世代との主な違いは以下ものがあげられます。
- 他者に振り回されない
- 自分にとって必要なものへの判断がシビア
- 自分の興味のあるものへの投資は惜しまない
さとり世代のこうした特徴が生まれた背景には、ゆとり世代が政治的取り組みによって生み出された経緯や、長い不景気のなかリストラの頻発や就職率の低さを見て、育ったことが影響したといわれています。
そういった時代背景から、さとり世代は他者に流されることが非合理的であり、社会は自分たちを守ってくれないと感じたのでしょう。
そうして、さとり世代は自分に必要なものは自分でシビアに選び、安定を求め、合理的なお金や時間の使い方を選ぶようになりました。また、そういった特徴から「悟っている世代」と捉えられ、さとり世代と呼ばれています。
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ゆとり世代は何かとマイナスのイメージを抱かれていますが、その行動や考え方には理由があります。それでは、ゆとり世代に共通する特徴を見ていきましょう。
- 消極的
- ハングリー精神やチャレンジ精神に欠ける
- ステータスに興味がない
- 仕事よりもプライベートを優先する
- 打たれ弱い
ひとつずつ解説していきます。
消極的
ゆとり世代は仕事においてもプライベートにおいても消極的であり、あまり熱心になにかに打ち込むことがありません。仕事においてはいわゆる「指示待ち人間」となり、指示を受ければやるものの、誰かに言われるまでは率先して行動を起こすことが少ないといわれています。
具体的には、以下の特徴があげられます。
- 目の前の電話が鳴っても指示がない限り出ない
- 自らアイデアを出さない
- 指示がなければ動けない
しかし、これはゆとり世代に限った話でなく、社会人になってすぐの頃は自ら動く勇気が出なかったり、何をしていいかわからなかったりといったことも影響しているでしょう。
ハングリー精神やチャレンジ精神に欠ける
ゆとり世代の特徴として、ハングリー精神やチャレンジ精神に欠けることがあげられます。
仕事でいえば、昇給や昇進に対するモチベーションが低く、積極的に成果をあげようとしません。
もちろん、すべてのゆとり世代にあてはまるわけではありませんが、ステータスや物欲を重視してきたバブル世代と比べると「チャレンジ精神がない」と感じることもあるでしょう。
ステータスに興味がない
「チャレンジ精神に欠ける」と重なる部分もありますが、ゆとり世代はステータスに対する興味が薄い傾向にあります。バブル世代の社会人は出世や高級外車・ハイブランドアイテムの所有がステータスであり、それらを手に入れるために一生懸命働いていました。
一方でゆとり世代からすると、そういったものは「ただ無駄に値段が高いもの」でしかなく、ステータスに興味がありません。それよりも実用性があり、コストパフォーマンスに優れたものにお金を使う傾向にあります。
仕事よりもプライベートを優先する
日本の経済成長を支えたバブル世代の社会人はよく働き、よく稼ぐことが良しとされていました。また、就業後も仕事の延長で「飲みニケーション」が一般的だった世代です。
しかし、ゆとり世代は仕事よりもプライベートを優先するため「稼ぎは少なくてもいいから自分の時間がほしい」という働き方をします。
したがって、バブル世代の社会人では当たり前だった飲みニケーションを疎んでおり「仕事は定時で終わらせてさっさと帰りたい」と望む傾向にあります。
このような考え方をする理由としては、好景気で努力すれば報われる時代とは異なり、景気が低迷して努力が報われないケースが多い時代に生きてきたことが原因です。会社のために働いても報われるとは感じないため、ワークライフバランスを重視するようになりました。
打たれ弱い
ゆとり世代がもたれているイメージとして、代表的なものが「打たれ弱さ」です。
ゆとり教育においては個性を尊重する教育が施され、競争の要素を排除されていました。また、親や教師が叱ることも少なく、他人に叱られる経験が少ない人も多いとされています。
これによりストレスや挫折に弱くなり、上司に叱られると会社を休んだり、最悪の場合は辞めてしまったりするケースもあります。
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上記で見てきたように、ゆとり世代には仕事に対してネガティブな傾向があります。その一方で、仕事上有利になる特徴があることも把握しておきましょう。下記のような特徴をうまく引き出すことで、ゆとり世代と上手に付き合えるはずです。
- 素直で真面目
- 理由を教えることでうまく動ける
- 創造力に富んでいる
それではひとつずつ解説していきます。
素直で真面目
ゆとり世代の特徴で、仕事上もっとも大きな利点は「素直かつ真面目」であることです。
前項では「消極的であり、指示がなければ動けない」という特徴を解説しましたが、裏を返すと「指示があれば素直に動く」ということでもあります。つまり、ゆとり世代を相手にする際はわかりやすく的確な指示さえ出せば、テキパキと真面目に働いてくれるのです。
理由を教えることでうまく動ける
ゆとり世代は合理的なことを好み、非合理的なことに対して抵抗感を感じます。しかし、実際に会社で働くとなると合理的なことばかりではなく、一見すると非合理的に思える状況もあるでしょう。
そういった場面では、ゆとり世代のパフォーマンスが下がってしまうため、上司がその仕事の意義や意味、合理性をわかりやすく説明する必要があります。
仕事に対して納得感をもつことができれば、ゆとり世代は的確に仕事を進められるようになるでしょう。
創造力に富んでいる
ゆとり世代は、個性を尊重するゆとり教育を受けて育ってきているため、自身の興味や関心に素直です。
そして、これによりアイデアやデザインなどに関する創造力に富んでいる人が多く、そのような仕事を任せることも、ゆとり世代の才能を活用する方法のひとつでしょう。
ゆとり世代と仕事でうまく付き合っていくポイント
ここまでゆとり世代の特徴を見てきましたが、これらの特徴を踏まえて、仕事でゆとり世代とうまく付き合っていくためのポイントを見ていきましょう。
- 明確でわかりやすい目標を設定する
- 理由の説明や指示を明確・具体的に行う
- 理性的に接する
- プライベートにあまり踏み込まない
ひとつずつ解説していきます。
明確でわかりやすい目標を設定する
ゆとり世代の人に仕事を任せる際は、明確でわかりやすい目標を設定してあげましょう。
上記で解説したように、ゆとり世代は消極的でチャレンジ精神があまりありません。その理由のひとつは、成長や成功、昇進といったことへの欲求が弱いことがあげられます。
これにより、ゆとり世代は目標を設定することに不慣れであるため、上司が代わりに目標を設定する必要があります。
また、ゆとり世代は高い目標を持つことが少ないですが、明確でわかりやすい目標さえあれば、そこに向かって素直に努力する傾向があるため、的確な目標設定をすることで高いパフォーマンスを発揮するでしょう。
理由の説明や指示を明確・具体的に行う
上記でも触れましたが、ゆとり世代は非合理性や曖昧なことに対して抵抗があります。
したがって、仕事を任せる際は以下のようなことを、明確かつ具体的に説明してあげましょう。
- その仕事が必要な理由
- その仕事によって達成すべきこと
- 仕事を行う手順
ゆとり世代は指示が抽象的だと何をしていいのかわからず、積極的に動けません。また、自身で合理性を見いだせない業務については、やる気が出ません。したがって、理由や指示を明確に説明することが重要なのです。
理性的に接する
ゆとり世代の人はストレス耐性が低く、打たれ弱い傾向にあります。したがって、ゆとり世代とコミュニケーションをとる際は、理性的に接する必要があります。
ゆとり世代の部下がミスをしたとしても、感情的に怒鳴ることは逆効果です。怒鳴られた相手からすれば「この人はすぐ怒鳴るから余計なことはしないでおこう」とさらに消極的になってしまいます。
ミスをしたとしても理性的に接して「なぜミスをしたのか?」「どうすれば次はそのミスを防げるのか?」といったことを、論理的に諭すかたちでコミュニケーションをとりましょう。
プライベートにあまり踏み込まない
ゆとり世代はワークライフバランスを重要視し、仕事よりもプライベートに重きを置いています。また、赤の他人に自身のプライベートを語ることも好まず、自身の領域に土足で踏み込んでくる人に抵抗を感じます。
したがって、上司が距離を縮めようとしきりにプライベートについて質問すると、逆に距離を置かれるでしょう。また、親睦を深めようとして、仕事終わりや休日に飲み会に強制参加させることも逆効果です。
ゆとり世代と接する際は極力ドライな関係を心がけることで、ほどよい距離感を保てます。また、ゆとり世代は相手のことを信用・尊敬するようになると、自然と距離を縮めるようになります。ゆとり世代と距離を縮めたいのであれば、信用・尊敬されるように仕事ぶりを見せることが重要です。
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ゆとり世代の特徴や、コミュニケーションの際のポイントを解説しました。
現在30代から40代の人とは育った環境や教育方針が違うため、ゆとり世代とは価値観や考え方が異なります。
そういったことを考慮せずに、自分と同じ考え方だけが正しいと決めつけて接すると、ゆとり世代を理解することは難しいでしょう。
もちろん、ここで紹介したことはあくまでそういった傾向があるということであり、必ずしも全員が当てはまるわけではありません。決めつけて接することは避け、各々の特徴から適切な付き合い方を見つけていくのが理想的です。
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