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レジリエンスとは?高める重要性やメリット、高める方法を解説

ストレス社会が深刻化している現代。さまざまなストレス要素があるからこそ、ひとつひとつに落ち込んでいては、変化が激しい現代ではあっという間に取り残されてしまいます。

そこで注目されているのが「レジリエンス」です。

本記事では、レジリエンスに関する基本的な知識から、高めるメリットや重要性、高め方を解説していきます。

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レジリエンスとは?

レジリエンスとは英語で「resilience」といい、「回復力」や「復元力」「弾性」といった意味をもつ言葉です。

もともとは物理学の世界で用いられていた言葉でしたが、昨今では心理学における「自発的治癒力」や「心の回復力」という文脈で使われることが増えています。

具体的には、「困難な状況や自分にとって不利な状態になったときに、適切に対処しながらしなやかに回復する精神的回復力」を指しています。

また、「虚弱性(vulnerability)」の反対の概念であり、状況に適応できる能力や過程を表す際にも使われます。

仕事に限らず、人生においてはさまざまな困難や挫折が待ち受けています。 「逃げたい」「投げ出したい」と感じるようなシーンでも、いかに自分のメンタルをマネジメントし、適応・回復していくかが重要です。

レジリエンスという概念が注目されたのは、ナチス・ドイツによるユダヤ人の大量虐殺である「ホロコースト」によって生まれた孤児に対する調査がきっかけでした。

ホロコーストという凄惨な出来事によって恐怖やトラウマから立ち直れない人がいる一方で、恐怖を克服し人生に対して前向きにそして活発に生きている人がいることがわかったのです。

この立ち直った人とそうでない人の違いを調べていくと、トラウマを克服した人たちはどのような状況であろうと適応し、生きていける回復力があることが判明し、ここからレジリエンスという概念が誕生しました。

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レジリエンスと混同されがちな言葉との違い

レジリエンスと混同されがちな言葉に、下記の2つがあります。

  • メンタルヘルス
  • ストレス耐性

それでは1つずつ解説していきます。

メンタルヘルス

メンタルヘルスとは、直訳すると「心の健康」となります。WHO(世界保健機関)によると「自身の可能性を認識し、日常のストレスに対処でき、生産的かつ有益な仕事をし、さらに自分が所属するコミュニティに貢献できる健康な状態」と定義されています。

また、「精神的なストレスや悩みを緩和するサポート」を指すこともあり、メンタルヘルスは基本的に他者に対して行うことです。一方でレジリエンスは自分自身の精神的な回復力を指しています。

ストレス耐性

ストレス耐性とは、簡単に言えば「ストレスに対する強さ」のことです。

現代はストレスを抱えやすいことが問題になっているように、ストレスにどれだけ耐えられるかが重要になってきています。

しかし、ストレス耐性が強くとも、自身の許容範囲を超えてしまえばその時点でストレスに押し潰されてしまいます

ここで求められるのがレジリエンスであり、押し潰されたあとにどのように回復するか、どのように適応していくかが重要です。

レジリエンスを高めることで期待できるメリットや効果

レジリエンスを高めることで得られるメリットを、組織の視点からみたものと個人の視点でみたものに分けて解説していきます。

組織の視点でみたメリット・効果

まず、組織の視点で見たメリットは下記の2つがあります。

  • VUCAの時代に対応できる
  • 企業評価指標として用いられる

それでは1つずつ解説していきます。

VUCAの時代に対応できる

現代は、変化が激しくさまざまな要素や出来事が絡み合い、先行きを見通せない予測困難な時代となっています。このような時代は下記の4つの言葉の頭文字をとって「VUCAの時代」と呼ばれています。

  • Volatility:変動性
  • Uncertainty:不確実性
  • Complexity:複雑性
  • Ambiguity:曖昧性

このような時代においては、変化に素早く対応できる、柔軟性のある組織であることの一つの指標ともいえる「組織レジリエンス」を鍛える必要があります。

環境の変化に対処できる力としてもレジリエンスは重要視されているため、従業員をマネジメントする方法として取り入れられているのです。

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企業評価指標として用いられる

近年は、技術革新や新しいアイデアや手法を用いることで、既存のビジネスモデルや事業経営が困難に陥ることが少なくありません。

これにより、投資家が企業への投資をする際に用いる企業評価指標として、どれだけ環境の変化に対する適応力や耐久力があるかという「組織レジリエンス」が重要視されるようになってきました。

組織レジリエンスの高さは、環境が激しい現代においては企業価値の高さを示す根拠として用いることが可能です。

個人の視点でみたメリット・効果

続いて、個人の視点で見たメリットを見ていきましょう。

  • メンタルを健やかにし、ストレスに適応できる
  • ストレスから学ぶことができる

それでは1つずつ解説していきます。

メンタルを健やかにし、ストレスに適応できる

レジリエンスを鍛えることで、健やかなメンタルを保つことができます。

ストレスの多い仕事は心の病や精神的な疲労のもととなるため、人間関係がギクシャクしてしまったり、仕事上でミスを連発してしまうことがあります。

しかし、レジリエンスが高ければストレスが多くても、そこから回復できるためこのような問題を回避できます

ストレスから学ぶことができる

アメリカのスタンフォード大学の健康心理学者であるケリー・マクゴニガル氏は「ストレスは健康や成長、幸福に必要である」という発見をしました。

適度なストレスは心身を引き締め、挑戦する勇気や集中力などを得られるチャンスでもあるのです。

もちろん過度なストレスはよくありませんが、レジリエンスを高めることで適度なストレスからさまざまなことを学び、自分自身を成長させるためのチャンスに変えることができます。

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レジリエンスが高い人の特徴とは

レジリエンスが高い人には下記のような特徴があります。

  • 自尊心や自己効力感が強い
  • 物事を長い目で観ている
  • 自分の思考や感情を観察できる

それでは1つずつ解説していきます。

自尊心や自己効力感が強い

まず、レジリエンスが高い人は、自尊心や自己効力感が強いことが挙げられます。

自尊心とは、何かを手に入れたり何かを成し遂げたりしなくても、ありのままの自分を受け入れ、自分をリスペクトしていることを指します。

また、他人の評価を気にせず、自分に対して肯定的な態度で接することも含まれるでしょう。自尊心が強ければ、失敗したときや困難な状況になっても、自分を信じて前に進むことができます。

そして、自己効力感とは、「自分ならできる」という感覚です。挑戦して失敗したとしても、その失敗から学べる人は「次はこうすればできるはず」と考えて、打ち砕かれずに挑戦することができます。

物事を長い目で観ている

レジリエンスが低い人は、なにか打ちのめされるようなことがあると近視眼的な考え方しかできず、その瞬間が人生のすべてだと考えてしまいます。

その結果、「もう終わりだ」「こんなこともできないなんて自分は無能だ」と立ち直ることができなくなってしまうのです。

一方で、レジリエンスが高い人は物事を長い目で観ているため、なにか失敗したり難しい状況に陥ったとしても「こんなことは大したことではない」や「この失敗が次の挑戦に活きる」と考えられます。

自分の思考や感情を観察できる

レジリエンスが高い人は、自分が何を考えているか、また何を感じているかを観察できます。

これにより、自分がネガティブな思考や感情にハマって抜け出せなくなっていることに気づくことができ、負のループから抜け出せるのです。

また、思考や感情を観察することによって、自分がどのような出来事にどのような考えや感情を持つのかを把握できるため、より望ましい思考・感情に誘導することもできます。

この結果、悩んで不安感が強まっていたとしても、その物事の別の側面を観てポジティブに考え直せるようになります。

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ビジネスにおいてレジリエンスの強化が必要な理由

近年のビジネス環境において、組織と個人のレジリエンスを強化する必要性が高まってきています。その理由が下記の3つです。

  • ストレス下でもパフォーマンスを発揮できるようになる
  • 目標達成力が上がる
  • グローバルで勝てるようになる

それでは1つずつ解説していきます。

ストレス下でもパフォーマンスを発揮できるようになる

厚生労働省の調査によると、現在の仕事や職業生活において強い不安やストレスを感じる事柄がある労働者は54.2%も存在することがわかっており、半数以上がストレスを感じているのです。

そのストレスの内容をみてみると、最も多いものが「仕事の量(42.5%)」、その次が「仕事の失敗、責任の発生等(35.0%)」、そして三番目が「仕事の質(30.9%)」となっています。

このように、ストレスを感じている状況下では、レジリエンスが低いと本来のパフォーマンスを発揮することは難しいでしょう。企業にとっても従業員の半分が本来の能力を出し切れていないのであれば、これほど大きな損失はありません。

したがって、レジリエンスを高めることで、個人にとっても組織にとってもよい成果をあげられるようになります。

(参考:令和2年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況│厚生労働省

目標達成力が上がる

そして、レジリエンスを鍛えることができればパフォーマンスの向上とともに、目標達成力を上げることも可能です。

実績や功績をあげている人には、さらに難しい仕事を与えられることが少なくありません。レジリエンスが高ければ、このような仕事に対して自分を成長させるチャンスと捉え、前向きに取り組むことができるでしょう。

組織レジリエンスの高め方

組織レジリエンスを高めるには下記の3つの方法があります。

  • 心理的安全性を重視する
  • 企業ブランドやオリジナリティを強化する
  • シナリオ・プランニングの活用

それでは1つずつ解説していきます。

心理的安全性を重視する

レジリエンスの高い組織には、心理的安全性が高い職場が求められます。

心理的安全性とは、メンバーが「どのような発言をしても周囲から責められたり罰せられることがない」ということを確信している状態であり、「心理的安全性が高い職場」というのは安心して発言・行動できる職場を指しています。

このような職場であれば、失敗することを恐れず発言・行動を促せるため組織レジリエンスを強化できます。会議での発言方法の見直しなど、身近なシーンから始めて見ましょう。

企業ブランドやオリジナリティを強化する

レジリエンスが高い企業は、企業の独自性やブランドが確立しており、ビジネス環境がどれだけ変化しようと軸がブレることなく適応していくことができます。

例えば、いつの時代も愛され続けてきた製品やサービスというものがありますよね。長く求められるものを提供するには、ブランドやオリジナリティを常に向上させ続け、時代や環境に合わせて適度に変化させていくことが欠かせません。

変えるところは変えて、守るところは守っていく柔軟な姿勢が重要です。

シナリオ・プランニングの活用

シナリオ・プランニングとは、

  • 大局的・長期的な観点から物事を観る
  • 今後、生じる可能性がある事態を想定して備えておく

という2つのポイントを軸にした経営戦略手法の1つです。

視野を広げ、どのような困難な状況に陥っても対処できるように備えておくことで、レジリエンスを高めることができます。何かトラブルが起こってから対処法を考えるのではなく、「何かが起こっても大丈夫」なように土台を作ることが重要です。

一人ひとりのレジリエンスを高める方法

それでは、自身でレジリエンスを高めて、回復力のある人材になる方法を見ていきましょう。

  • 感情や思考をコントロールする
  • ABCDE理論を使う

それでは1つずつ解説していきます。

感情や思考をコントロールする

人にはそれぞれ「思考のクセ」のようなものがあり、なにか失敗した際には自動的に思考や感情が反応してしまい、どんどんネガティブな方向へ進んでしまいます。

自身の感情や思考に敏感になり、自分にどのような「思考のクセ」があるのかを把握するようにしましょう。

そうすることで、自身がその状態に陥った際に、自分自身でその状況に気づくことが可能です。そうすれば、自動的にネガティブな感情にハマることを避けられ、ポジティブな考えへと矯正ができます。

ABCDE理論を使う

ABCDE理論とは、アルバート・エリス博士という臨床心理の権威が提唱した心理療法で、下記の頭文字をとっています。

  • Activating Event:状況、出来事
  • Belief:考え方、受け取り方、ものの見方
  • Consequence:感情、行動
  • Dispute:非合理的な考え方に対する反論
  • Effect:反論による効果

まず何らかの出来事(A)に対する考え方(B)によって、感情が起こり、その感情によって行動します(C)。

考え方(B)がネガティブであれば、不安感やストレス(C)を感じます。しかし、そこで非合理的な考え方(B)に対して反論(D)することで、客観的な考えを取り戻せるのです(E)。

ABCDE理論を活用することで、レジリエンスを鍛えられます。

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まとめ

ここまで、レジリエンスという用語に関してその意味から強化することで期待できるメリット、その方法などを解説しました。

変化が激しいビジネス社会では様々なストレス要因がありますが、だからこそ、レジリエンスを高めて自分自身で乗り越えていかなければ、精神的な疲労もどんどん蓄積されていってしまいます。

まずは自分自身の感情の動きを俯瞰して観察し、うまく矯正できるようになれれば、レジリエンス強化につながっていくでしょう。

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