突然ですが、このようなことを感じてはいませんか?
- 「ファシリテーターってどんな役割?」
- 「会議がだらだらと長引いてしまい、結論がでない…」
- 「もっと生産的な議論をしたい」
近年、会議の場において意見をまとめたり、時間を管理する役割であるファシリテーターが注目されています。雇用形態や価値観の多様化が進む現代においては、多様な意見を取りまとめる存在が欠かせません。
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目次
ファシリテーターとは?
ファシリテーターとは、会議や話し合いの場において中立的な立場から、会議の進行や要点の整理、対立の仲裁などをすることで、より生産的で活発な話し合いにする役割をもつ人のことです。また、このような役割に必要な能力や活動を「ファシリテーション」と呼びます。
一般的には下記のような仕事をします。
- 会議の司会進行
- 参加者に対してまんべんなく発言を促す
- 話し合いの内容を整理し、最終的な結論に導く
このような役割を会議の場に置くことで、会議の内容がまとまらない、参加者が本題とは関係のない発言をして脱線する、発言する人が少ない、などといったダラダラと生産性の低い会議を避けることができるのです。
スムーズに会議を進めて生産的な内容にするためにもファシリテーターの必要性、注目度は近年高まっています。多様な価値観が認められ、人材の多様化が進む近年、さまざまな意見をまとめるために活用する企業が増えているのが現状です。
ファシリテーターと類似している役割との違い
「司会進行役」はよく混同されがちな役割ですが、司会者はただ会議をプログラムに沿って進行していくことだけを担っており、会議をスムーズに進行させることだけが仕事です。
ファシリテーターには参加者の発言を促したり、結論に導く役割がありますが、司会者にはこの役割はありません。
また、「ネゴシエーター」も混同されがちですが、ネゴシエーターは「交渉人」という呼び方があるように、相手を説得しながら交渉を進めて、合意に達することを目指す人を指しています。
ファシリテーターが注目される背景
初めに「ファシリテーション」が用いられたのはアメリカでした。1960年代に体験学習を通して参加者に働きかけるテクニックとして広まり、その後に企業が会議の場に用いることでビジネスの世界にも広まりました。その結果、一般的に用いられるようになります。
ファシリテーターが活用される前の日本では、会議の進行を担っていたのは一般的な「司会進行役」でした。上記で解説したように司会進行役には参加者の発言を促したり、対立の仲裁などの役割はなかったため、「生産的な会議にする」という点においてはカバーしきれていなかったのです。
その結果、話し合いがまとまらずに会議が終わったり、決めた時間をオーバーすることが頻発していました。このような状況を打開するために、会議をまとめあげる役割の必要性が高まっていきました。
現在では多くの会社や組織では議論をする際はファシリテーターを設置して、より生産的な話し合いを実現させています。
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それでは、どのようなメリットが期待できるのでしょうか?
ここでは3つのメリットについて見ていきましょう。
- 設定した時間通りに会議が進められる
- 参加者が発言しやすい空気になる
- 結論を導きやすくなる
それでは1つずつ解説していきます。
設定した時間通りに会議が進められる
時間を決めたにもかかわらず、結論がなかなか出されずにぐだぐだと会議が長引いたことはありませんか? ファシリテーターがいれば会議の時間を管理してくれるため、時間通りに会議を終わらせることができます。
しかし、ファシリテーターは結論に導くといった役割がメインであり、時間管理も任せると負担が大きくなるため、時間を管理するタイムキーパーという役割を別につくることもあります。
参加者が発言しやすい空気になる
経営に関わる決定を下すような重要な会議など、空気が重く発言しにくいこともありますよね。しかし、活発な意見交換や多様な考えを交えることで、より効果的な決定を下すことができるため、参加者にはどんどん発言してもらわなければなりません。
ファシリテーターがいれば、会議をする際に「話しやすい雰囲気」をつくってくれるため、参加者はリラックスして意見を発することができます。
結論を導きやすくなる
会議の場において、多様な価値観を持つ参加者の考えを整理して、1つの結論を出すことは容易ではありません。しかし、ファシリテーターの役割の1つには、参加者の意見を中立的な立場で整理することがあります。
これにより、最終的な結論を出したり合意形成に導きやすくなります。
ファシリテーターとして役割を全うするコツやポイント
活発な会議にするためには実にさまざまなことに気を配らなければなりません。ここでは、役割を全うするためのコツやポイントを紹介します。
- 生産的な会議にするための構成づくり
- 話し合いをより深く・広くする
- 会議の内容をまとめる
それでは1つずつ解説していきます。
生産的な会議にするための構成づくり
生産的な会議にするためには、なんとなく進めたりその場しのぎで対応するのではなく、会議を俯瞰して全体の構成を把握しながら進めることが重要です。つまり、最初に会議の目的を明確にし、メンバーで共有しながらその目的を果たせるように進めていきます。
会議の目的が明確になっていなかったり、メンバーと共有できていないまま話し合いをしても、参加者の足並みが揃わずに会議の方向性がズレていったり、参加者同士の認識が異なるせいで対立が生まれてしまいます。
また、会議の前には「人の考えを否定しない」や「相手が話している最中に発言しない」といった、会議の基本的なルールを設定して共有しておくことも重要です。このように目的やルールを決めておくだけで、会議の生産性がかなり上がるでしょう。
話し合いをより深く・広くする
生産的な会議にするためには、話し合いを活発にする必要があります。では、具体的に何をするのかというと、参加者の発言に対して「それはどのようなことを意味するのでしょうか?」や「そう考えた理由をお聞かせください」といったように、言葉の定義が人によって異なっていないかや、意見の根拠を確かめることが求められます。
また、会議の途中でなかなか意見が出てこなくなった際には、ファシリテーターが問いかけをしたり紙に書いて内容をまとめたりすることで、参加者は新たな視点で考えられるようになるため、話し合いが進むでしょう。
このように問いかけをすることで、より深く広い話し合いが可能になります。
会議の内容をまとめる
会議の最中に参加者同士で意見の対立が起こることもあるでしょう。その際に話し合いが停滞してしまわないためにも、ファシリテーターがテーマを変えたり、別の角度からの問いかけをすることで、対立の仲裁をしなければなりません。
また、数多くの意見が出て議論が活発になるのは良いことですが、出されたアイデアの整理や、意見をまとめたり分類することも重要です。その仕事をするのがファシリテーターであり、意見に偏りがある場合はバランスを考えながら意見を促していきます。
このように意見を集約しつつ会議をまとめていき、最終的には一つの意見を決めたり合意形成をしていきましょう。
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ここまで見てきたように、ファシリテーターには実にさまざまな役割や仕事があり、マルチタスクで同時進行していかなければなりません。つまり、それだけ必要なスキルも多いということです。
ここでは、ファシリテーターが身につけておくべきスキルを紹介します。
- 生産的な会議を構築するスキル
- 多様な意見を促しつつまとめるコミュニケーション能力
- 意見をまとめ合意形成をするスキル
それでは、1つずつ解説していきます。
生産的な会議を構築するスキル
会議をする前に「なぜこの会議を開くのか?」「会議の最終的なゴールはどこか?」といったことを明確にし、メンバーと共有することで生産的な会議にできます。また、設定したゴールを目指すためにも、それに最適なメンバーを集めることも求められます。
そして、会議の最中も参加者が目的に沿った発言をしているかどうかを確認しつつ、脱線しているようであれば本筋に誘導しなければなりません。したがって、ファシリテーターにはこのように会議の全体を俯瞰して、生産的な会議を構築するスキルが必要になります。
多様な意見を促しつつまとめるコミュニケーション能力
活発な会議にするためには、多様な参加者から見た意見を集約する必要があります。それには、それぞれの参加者から意見を引き出したり、誰かの意見に対する別の見方がないかを探らなければなりません。
当然、多様な意見を引き出していると、対立する意見が出てくることもあるでしょう。その際、うまく意見を集約し対立を仲裁する必要があります。さらに、意見の対立がそのまま発言者同士の対立に発展しないように配慮もしていかなければなりません。
したがって、ファシリテーターには参加者の話を深く聴く傾聴や、意見を引き出す問いかけ、そして仲裁といった高度なコミュニケーション能力が求められます。
また、会議の前には発言しやすい空気をつくるために、ちょっとした雑談をするなどのアイスブレイクを設けることも重要です。
意見をまとめ合意形成をするスキル
会議においてファシリテーターは、出されたアイデアを見直しつつ、他によいアイデアがないか探り、アイデアや意見を集約していきます。つまり、意見をまとめながら最終的には結論を出したり、合意形成をするスキルが求められるのです。
意見やアイデアが出揃ったタイミングや設定した時間に合わせて、それぞれの考えを整理しながら議論において重要な点を浮き彫りにしていきましょう。参加者の誰もが納得する結論を目指して会議をリードしていかなければなりません。
この際、強引に会議の結論を出そうとして、意見の対立や異論を残したまま終わらせることがないように注意してください。どのような点において対立しているのかを明確にしながら、お互いの損失や利益に配慮しながらリードすることで、メンバーの納得度が高まり良い結論を導きやすくなります。
ここで、片方に利益があり、片方に損失があるような結論にしてしまうと、結論に対して納得できないメンバーが出てくるため、結論を出したとしてもその後の運用に支障をきたすかもしれません。
したがって、多様な意見をまとめつつ、皆が納得できるように合意形成を促すスキルが必要です。
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ファシリテーターを務める際に最も注意するべきポイントは「中立的な立場を堅持すること」です。いかなる理由があっても、自身の見解や都合・意見を会議に反映させてはなりません。
また、ファシリテーターはあくまで会議を活発にし、意見をまとめる役割であり、何かを決定する権限はないということにも注意しましょう。話し合いが長引き時間内に終わらないことから最終的に結論を決めてしまうというのは、ファシリテーターの役割を逸脱しています。
とはいえ、議論の最中に意見がでなくなり会議が滞っているような状態であれば、新たな視点や別の角度からの問いかけをすることによって、議論の呼び水とすることは問題ありません。そうすることで、参加者自身が気づいていなかった新たな気づきにつながる可能性があります。
ファシリテーターの資格や研修
ファシリテーターを務めるために必要な資格はありませんが、民間による資格は存在します。代表的な資格としては一般社団法人日本プロカウンセリング協会のFTTファシリテーター資格というものがあり、講座も実施されています。
また、日本ファシリテーター協会では、ファシリテーション基礎講座などいくつもの講座があります。さらに、フランクリン・コヴィー・ジャパンによる「社内ファシリテーター養成制度」という制度もあり、7つの習慣などの研修の実施が可能です。
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ここまで、ファシリテーターについて成功させるポイントや必要なスキルを見てきました。
会議は誰かが場をまとめる役割の人間がいなければ、関係ない意見が出て方向性がズレたり、だらだらと会議を続けて時間を大幅にオーバーしてしまうことも少なくありません。したがって、生産的な会議にするためにもファシリテーターは必須な存在といえるでしょう。
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