突然ですが、あなたはこのように感じてはいないでしょうか?
- 「会社が成長するスピードをもっと早くしたい」
- 「環境の変化に対応して強い組織をつくりたい」
- 「従業員のモチベーションやパフォーマンスをもっと高めたい」
これらをすべて解決するには、「組織を強くすること」が有効です。
しかし、「強い組織」と一言で言っても、どのような組織が強い組織なのでしょうか?
本記事では、強い組織とはどのような組織なのか、強い組織にするためにはどうすればよいのかを解説していきます。
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強い組織とは
強い組織とは、どのような組織を指すのでしょうか? 一般的には、下記のような要件を満たしたものが強い組織とされます。
- 大きな利益をあげられる組織
- 的確なマネジメントができている組織
- リーダーシップがある組織
- 事業をつくることができる組織
どれも強い組織であることは確かなのですが、なかでも本質をついているのは「事業をつくることができる組織」でしょう。なぜなら、組織とはそもそも利益をあげるために存在しているのであり、その利益を生み出すのは組織ではなく「事業」だからです。
ということは当然、事業がない組織は利益をあげることはできず、強い組織とはいえません。したがって、強い組織とは、「事業をつくれる組織」となります。
また、組織とは個人の能力を大きく伸ばせるものであり、一人ではできない事業も組織でなら可能になるのです。そして、事業を成功させるには複数人の従業員が協力する必要がありますが、それには強いリーダーシップが求められます。
事業が成長する過程では多くのトラブルや課題が生じるため、メンバーを先導して引っ張っていけるリーダーがいなければ乗り越えることができません。
リーダーシップのある人材が社内に育っていれば、市場の選択さえ正しければ事業が成功する確率は高まるでしょう。つまり、リーダーシップをとれる人材が育っている企業は、事業で成功しやすいため、強い組織になりうるのです。
組織改革について
自社を「強い組織」へと変えるために、組織改革や組織再編といった「組織づくり」に邁進する企業は少なくありません。しかし、「組織づくり」の本質を履き違えると、リソースの無駄遣いで終わってしまう可能性があるため、注意しましょう。
組織づくりと聞いて、社風や職場環境の改善をすることで「生産性向上」や「離職率の低下」につなげる取り組みを想像する方もいるのではないでしょうか。もちろん、これらも大切なのですが、組織づくりにおいては人事や組織の構造といった「仕組み」を構築することで、組織を成長させるように人を動かすことが重要です。
日本の労働人口は減少傾向にあり、いまから約30年後にはさらに40%も減少すると予想されています。このような環境の変化のなかで、企業がそのまま何もせずにいると、危険な状態に陥るかもしれません。
なぜなら、組織づくりに無頓着なままだと新たな、人材の確保が難しくなる一方だからです。しかし、今からでも適切な組織づくりを行っていけば、長期的に存続でき、チャンスを活かせる強い組織になることができるでしょう。
組織をつくる目的や組織の存在意義とは
そもそも、なぜ組織をつくるのでしょうか? 組織が存在する目的や意義という組織の本質を理解しておくことで、強い組織をつくる際に大いに役立つはずです。
組織を運営する人のなかには、強い組織をつくるためには従業員一人ひとりのスキルやパフォーマンスを高めることが重要だと考える人がいます。当然、従業員が優秀であることも大切なのですが、従業員一人ひとりという考え方ではなく、組織全体を考えて強い組織づくりを行うことで優秀な従業員のチームワークが良くなるため、さらに組織としてのパフォーマンスが上がるのです。
ここにこそ組織をつくる目的があります。つまり、組織をつくる目的とは、個人では成し得ない成果を達成することにあるのです。また、これ以外にも強い組織にすることで、従業員満足度があがったり、従業員の定着率の向上につなげられます。
さらに、マネジメントの父とされる経営思想家のピーター・ドラッカーは組織について「組織は人が協力することで、強みを発揮し、さらに相乗効果により弱みを無くすことができる」と語っています。
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強い組織と弱い組織の違いとは?
強い組織は組織のトップが組織全体に対して何か発信した際に、従業員が求められていることを理解し、自分が関わる仕事と関連させたうえで積極的に行動に反映させていきます。
しかし弱い組織ではこのようにはなりません。経営者が何か発信したとしても、従業員は自分ごととして捉えず、行動に変化が生まれないのです。それどころか、組織の体制や仕組み、上司への不満や改善を求める声をあげて、まとまりのない組織となってしまいます。
また、フォーブスジャパンによる「最強のサステナブル企業 100」というランキングで3位になったリコーのCEOである山下氏は、弱い組織を「情報が階層順に落ちていく組織」と表現しました。
階層順に情報が伝わるということは、階層が上の人ほど情報が多く、下の人ほど少ないということになります。お客に最も近いはずの現場の社員が、お客に関する情報を持てないというのは組織として間違っています。また、現代においては、従業員が「上からの指示を待って、指示が来た時にただそれを実行すればよい」という考えを持っている組織は危険だとしています。
山下氏が考える組織のあるべき姿は、経営者による情報発信が従業員に一気に浸透し、従業員自身が「組織がお客にとってどうあるべきか」を考えられる組織です。
参考:デジタルサービス企業へ。リコー山下CEO流「強い」組織のつくり方
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強い組織にするためには、下記の5つのポイントが重要になります。自社で不十分な点がないか確認してみましょう。
- 経営理念やビジョンの浸透
- 組織全体で目的が共有されている
- リーダーシップを発揮する社員の育成
- 円滑な意思疎通ができている
- 行動規範の明確化と浸透
それでは1つずつ解説していきます。
経営理念やビジョンの浸透
まず、強い組織にするために最も重要なことは、経営理念や企業のビジョンが組織全体で共有・浸透されていることです。
従業員がいくら優秀だとしても、組織を構成するメンバーの目指している方向がバラバラであれば、強い組織にはなることはないでしょう。したがって、何度も事あるごとに経営理念やビジョンを発信することで、組織が目指している姿を組織全体に理解させる必要があります。
経営理念を理解していることで、従業員は自分に何を求められているのかや、するべきことを明確化できるため、生産性やパフォーマンスの向上につながります。
組織全体で目的が共有されている
ビジョンの浸透は重要ですが、ビジョンや経営理念は抽象度が高く、具体性に欠けるので理解したところで「この場合はどうすればいいのだろうか」と悩んでしまう従業員もいるはずです。
そこで、長期・中期・短期的な組織目標と、個人目標を設定することが有効です。これにより、どのような場合においても「今、するべきこと」が明らかになるため、具体的な行動ができるようになるでしょう。
リーダーシップを発揮する社員の育成
強い組織には事業を成長させることができる、強いリーダーが必要です。
強いリーダーがいれば、そのチームはモチベーションを維持しつつ活躍してくれることでしょう。しかし、はじめから強いリーダーシップを発揮できる人材がいないこともあります。
したがって、早い段階からリーダーの素質がある人材を見抜き、育成していかなければなりません。ここで注意しておきたいのは、リーダーシップとマネジメントに求められるスキルは異なるため、従業員の能力や特性に合わせた育成体制を整えることです。
円滑な意思疎通ができている
強い組織にとっては、円滑な意思疎通ができる従業員の関係性が重要です。
上記で解説したように、組織は人と人とが協力することで個人ではできないことを可能にするために存在します。その実現には、強いチームワークや円滑なコミュニケーションは絶対に欠かせない要素となります。
したがって必然的に、従業員同士に強い信頼関係が構築できている組織は、そうでない組織よりも良い成果をあげられます。
特に重要な信頼関係は、上司と部下といった上下関係における信頼関係です。ここのコミュニケーションが円滑であれば、部下は自分の意見を出しやすく活発な意見交換が行われ、良いアイデアも出やすくなるでしょう。
行動規範の明確化と浸透
強い組織にするためには、行動規範を言語化し明確にしておきましょう。
経営理念や組織目的が浸透していれば、組織と従業員の足並みを揃えることができますが、それに加えて行動規範を策定しておくことで、従業員がやるべきこととそうではないことをすぐに判断できるため、さらに組織力が上がります。
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強い組織にするためには、誰を育てるべきか迷いますよね。
しかし、育成するべき対象は個人単位で絞る必要はありません。つまり、組織力を上げるためには、全ての従業員を対象に、能力の階層に分けて育成するべきなのです。
ここで重要な法則となる「2・6・2の法則」をご紹介します。
優秀な人材もそうでない人材も育成する
「2・6・2の法則」をご存知でしょうか?
この法則は、組織のように人が集まると、必ずそのなかでは上位20%の非常に優秀な人材、中位60%の平均的な能力の人材、そして下位20%の能力が低い人材に分かれるという法則です。
つまり、この法則をもとに強い組織づくりをしていく必要があるため、個人単位で育成する人材を選ぶのではなく、この階層ごとに適切なアプローチをする必要があるのです。
効率的に組織の成果をあげたいのであれば、上位20%の優秀な人材を育てるべきかもしれません。しかし、組織全体の成長を促し「強い組織」にしたいのであれば、中位、さらに下位20%も含めて育成し、組織力の底上げをすることが重要になります。
なぜなら、下位20%の人材をそのまま放置しておくと、組織全体に悪影響を与えてしまうからです。
強い組織をつくるために経営層や人事がするべき施策
強い組織をつくるために経営層や人事が動く必要があります。そこで、経営層や人事がするべき施策が下記の3つです。
- 人事評価制度を見直すことでモチベーションを高める
- ビジョンや経営理念の再検討
- チームを再編成してみる
それでは1つずつ解説していきます。
人事評価制度を見直すことでモチベーションを高める
従業員のモチベーションを高めることは組織を強くするためには不可欠です。
そして、社員のモチベーションを上下させる要因は人事評価制度であるため、公正公平な評価が下される必要があります。もし従業員の働きが正当に評価されなければ、モチベーションが下がるどころか離職率が上がりかねません。
したがって、人事評価制度と事業戦略を結びつけて的確な目標を設定することで、従業員は意欲を持ちつつ、仕事に取り組むことができるでしょう。
ビジョンや経営理念の再検討
先程、強い組織にはビジョンが組織全体に浸透していることが重要であると解説しましたが、もし浸透していないなら2つの原因が考えられます。
まず1つ目の原因は、単純に発信不足で組織に周知されていないことが考えられます。
そしてもう1つが、ビジョンや経営理念に共感が得られていないというものです。この場合には、そもそものビジョンを再検討する必要があります。組織を取り巻く環境は日々変化しており、気がつけば経営理念やビジョンが時代錯誤になっているかもしれません。
そうならないためにも、従業員に共感してもらえるように時代に合わせて刷新していく必要があるでしょう。現場の従業員の声も参考にしつつ、再検討してみるのも一つの手段です。
チームを再編成してみる
チームの再編成をしてみることも有効な施策となる場合があります。
もし、現在のチームがあまり成果をあげられていない場合は、チームメンバーの相性が悪かったり、個人の強みを活かせないチームになっているのかもしれません。この状況が長く続くと、チームメンバー全員のモチベーションが下がってしまいます。
定期的にチームを再編成してみることで、より成果をあげられる可能性があります。メンバーそれぞれに聞き取りを行うなど、チームの声を参考にしながら検討することが重要です。
まとめ
ここまで、強い組織をつくるために欠かせないポイントや組織の本質的なつくり方などを解説してきました。強い組織とは事業をつくることができる組織であり、事業を成長させるには強いリーダーシップが欠かせません。
近年は、環境が目まぐるしく変化するため、組織の強さが以前に増して求められています。
強い組織をつくる仕組みやシステムが自社に揃っているのか、確認しつつ改善していくことが重要です。
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