突然ですが、下記のようなことを感じてはいませんか?
- 「組織図ってどうやってつくるんだろう?」
- 「組織図はどうして必要なの? 本当に要るの?」
組織図は、ただ組織の構造を表すために存在しているわけではありません。数々のメリットがあり、必要だからこそ多くの企業が手間暇をかけて作成しているのです。
本記事では、組織図について基本的な知識やメリット、そして作成方法まで解説しています。ぜひ組織図について理解を深めて、自社のさらなる成長のために参考にしてみてください。
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経営にとって重要な組織図とは?
組織図とは、会社や団体など組織の内部構造をわかりやすく図で示したものです。組織の指揮命令系統などが可視化され、従業員の名前や写真などをまとめているものもあります。
組織図は、会社のステークホルダー(株主や顧客)に向けて組織の簡単な内部構造を示すために作成される「外部」向けのものと、会社の社員に対して組織のおける立ち位置や関係性を理解してもらうために作成される「内部」向けのものがあります。
また、組織図があることで業務フローが可視化されるため、業務の振り分けがしやすくなり、業務効率化が可能となるため、組織構造の最適化に活用されることもあります。
従業員の数が少ないといった理由から、中小企業では組織図をつくっていないケースもありますが、組織の大小にかかわらず業務効率化などのメリットがあり、従業員の顔が全員わかるという規模の組織でも、組織図があるだけで、業務を把握しやすくなります。
組織図をつくる目的
組織図は、ステークホルダー向けに会社の構造を示すため用いられたり、社内の従業員に向けて自分のポジションを認識してもらう目的で用いられます。
またこれ以外にも、組織が戦略を遂行する際に、「現在の布陣で目標を達成できるのか」といったことを検討するためにも、組織図が必要とされます。
つまり、組織図をつくったり組織構造を設計するということは、自社が持つ経営資源の活用方法や、自社の戦略に影響を与えるため、経営において重要なことなのです。
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組織図をつくることで自社のリソースや強みのパフォーマンスを最大限に活用できるようになる以外にも、数々のメリットがあります。
組織図をつくるメリットが下記の6つです。
- 指揮命令系統の明確化
- 組織構造を俯瞰できる
- 権限が特定の箇所に集まっていないか確認できる
- 業務の効率化や改善ができる
- 組織の健全性をPRできる
それでは1つずつ解説していきます。
指揮命令系統の明確化
組織において、誰が誰に指示を出すべきなのか、誰が責任や権限を持っているのかが明らかになっていることは欠かせません。この点が明確になっていない場合、業務に悪影響を与えます。
例えば、ある部署で新しい戦略を実行しようとしても、そのために必要な予算や実行の判断を誰がするのかがわかっていなければ、戦略の実行が非効率的になってしまいます。また、経営層がトップダウンで組織全体に何か情報を共有したいときは、組織構造が曖昧になっていると、共有が遅れたり共有されていない部門がでてきたりと、問題が生じるでしょう。
しかし、組織図を作成しておくことで、部署や部門の誰がどのようにつながっているかがわかり、組織の指揮命令系統が明らかになるため、上記のようなトラブルを回避できるようになります。
組織構造を俯瞰できる
2つ目のメリットは、組織の構造を視覚的に俯瞰できるため、組織の全体像を把握しやすくなることです。
特に経営者にとっては、各部署がどのような役割を持っていて、どのような関係性にあるのかや、業務や従業員の数を把握することは、組織を効果的に運営していくためには欠かせません。
また、従業員にとっても自分が働く組織について全体像を把握しやすくなり、自分が組織においてどのような仕事をしているのか自覚を持つことができます。また、それだけではなく、部署の関係性を把握することで連携がしやすくなり、業務効率化が可能です。
新入社員にとっては、組織全体の構造を理解しておくことはキャリアプランを考える上で参考になるでしょう。
権限が特定の箇所に集まっていないか確認できる
組織図は権限や指揮命令系統がどのようになっているのかを可視化できます。その結果、権限が一箇所に集中しているかどうかがわかり、その場合は最適に配分することができます。
規模が小さな会社やベンチャー企業の組織構造では、社長や一部の経営層がいくつもの部門の責任者になっていることで、権限が集中してしまっているところは少なくありません。このように権限が特定の人物や役職に集まっていると、業務効率化を阻む原因になります。
また、権限が一人に集中している場合、規模が小さいうちは問題はないかもしれませんが、会社が成長して大きくなるにつれて、仕事を回すことができなくなっていくでしょう。さらに、キャリアアップができないと諦めてしまう従業員が出て、モチベーションの低下につながる可能性もあります。
組織図で権限がどこにあるのかを明確にしなければ、把握できないこともあるため、組織の規模の大小を問わず組織図は必須と言えるでしょう。
業務の効率化や改善ができる
組織図を作成すると、部署が担当する業務や役割を可視化できるため、組織全体の業務やその工程を俯瞰することができます。この結果、業務に対する経営資源の過不足を把握でき、修正をすることで業務の効率化や改善が可能になるのです。
また組織において、業務を円滑に進めるためには「報告・連絡・相談」が欠かせません。しかし新入社員にとっては、まだ誰に「報・連・相」をしていいのか把握しきれておらず、間違えてしまうことがあり業務が滞ってしまいます。
しかし、組織図で自分のポジションと周囲の役職との関係性を把握することで、「報・連・相」などコミュニケーションが円滑に行われるため、この点でも業務効率化が図ることが可能です。
組織の健全性をPRできる
組織図には従業員など「内部」向けにつくられるものと、ステークホルダーのために作成する「外部」向けのものがあると解説しました。
ステークホルダー向けの組織図をつくることで、組織が健全にマネジメントされていることを理解してもらえます。実際に、コーポレートサイトなどで組織を公開している上場企業も少なくありません。
例えば、組織図に監査役や監査等委員会を記載しておくことで、組織の不正に対して監視しているという姿勢をアピールすることができます。
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組織図にはいくつか種類があり、ここでは下記の5種類をご紹介します。
- 階層型組織図
- 事業部制組織
- 機能別組織
- マトリックス型組織図
- フラット型組織図
それでは1つずつ解説していきます。
階層型組織図
組織図で一般的に用いられているのが「階層型組織図」です。おそらく多くの方が「組織図」と聞いてイメージするタイプのものかと思われます。
階層型組織図は、組織図のトップに置かれるのが経営者や代表取締役、株主総会など1つのグループや人物で、その下にマーケティングや営業部門といった組織の各グループが権力順に置かれていき、ピラミッド型の組織構造を成すものです。
階層型組織図では、組織を構成するメンバーは複数の部下、または直属の上司とコミュニケーションをとることになります。また、指揮命令系統が1つだけしか存在せず、責任の所在がわかりやすいことがメリットです。したがって、「報・連・相」のレポートラインを誰もが把握しやすくなるため、明快さと安定性が長所といえるでしょう。
しかしその一方で、階層が多くなりすぎるとトップからの情報伝達に時間を要することや、現場で動く従業員の声が経営層に届かなくなることが課題としてあげられます。また、組織構造の柔軟性が失われ、必要に応じて構造を臨機応変に変えることができない点もデメリットです。
事業部制組織
2つ目は、事業ごとに部署を分けて作成する組織図です。
いくつもの事業を展開していると、それぞれの事業で必要な業務が生じるため、手続きが煩雑になってしまいます。そこで、事業ごとに部署を設置して、部署のなかで自由に活動できるようにする組織構造が「事業部制組織」です。
スピーディーな意思決定ができることや、いくつもの事業があるなかで全体像を把握して相乗効果を把握できることが、事業部制組織のメリットとなります。
しかしその一方で、各事業部が自分の業務に集中してしまい、他部署との交流やコミュニケーションが少なくなってしまうデメリットがあります。
機能別組織
3つ目は、営業や生産、企画など特定の機能を有する部署ごとにつくる組織図です。
機能別組織では、同じスキルや専門性を持つ従業員が集まるため、スキルやノウハウの蓄積がされやすく、独自の技術などの専門性を高められる点がメリットとなります。
しかし一方で、業務に関する責任の所在が経営層に集まってしまうため、各部署の責任が不明瞭になってしまうというデメリットがあります。
マトリックス型組織図
マトリックス型組織とは、上記で解説した事業部制組織と機能別組織を組み合わせたような組織図です。事業やエリア、職能、プロダクトなどいくつかの業務遂行要素を組み合わせた組織図となります。
例えば、エリアとプロダクトを組み合わせた場合、従業員はどちらにも所属することになり、それぞれの上司の指示に従って仕事を進めます。
規模が大きい企業でも組織全体を漏らすことなく把握できる点がメリットです。しかし、上司が複数人になることがあるため、指示が食い違っている場合があるなど部下が混乱するといったデメリットもあります。
フラット型組織図
一般的に用いられている組織図である階層型組織図では、経営者から部長、課長といったようにピラミッド型の組織構造になっており、経営層と現場にいる従業員との距離が遠くなっています。
しかし、「水平型組織図」とも呼ばれているフラット型組織図は、中間管理職が少ない、もしくは存在しないため、経営層と現場の従業員の距離が近くなることが特徴です。一般的に階層が少ないか、経営層と従業員の2つの階層しかないため、規模の大きい組織にはあまり向きません。
ですが、チームワークが重視されているような規模の小さい組織や中小企業においてはよく用いられています。経営層からの情報伝達が速いことがメリットですが、中間管理職が少ないため、従業員一人ひとりのマネジメントが疎かになる点がデメリットです。
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それでは、ここからは下記のステップに沿って、組織図を実際につくるための基本的な流れをご紹介します。
- 組織を構成する役割を整理する
- 部署や課などの関連性を洗い出す
- 組織図に落とし込んでいく
- 必要な情報を加えていく
それでは、1つずつ解説していきます。
組織を構成する役割を整理する
まずやるべきことは、自社を構成している部署をすべて把握することです。
多くの組織では部署をもとに課、係、担当といったような構造をもっています。まずはこの構造を正しく洗い出すことからはじめましょう。構造だけでなく、役割や機能も把握しなければならないため、このステップには時間がかかります。
組織図は組織の役割や部署などを漏れなく記載する必要があるため、組織図の作成においてはこのステップが最も重要です。したがって、時間がかかっても一つひとつチェックしながら、正しい情報を集めましょう。
部署や課などの関連性を洗い出す
続いて、役割を含めた部署や課などの情報が揃ったら、次はそれぞれがどのような関係にあるのかを洗い出します。
一般的には、組織図のトップには経営層である経営者や取締役が置かれ、その下に各組織が置かれていくかたちになるでしょう。しかし、組織構造は組織によってバラバラであるため、自社がどのような構造で機能しているのかを正しく分析することが求められます。そのうえで、各部署や課の関連性を洗い出していきましょう。
組織図に落とし込んでいく
各組織の関連性がわかったら、次はいよいよ組織図として書き出していきます。
上記で解説したように組織図には複数の種類があるため、自社に適したフォーマットを利用しましょう。
一度で完璧に完成させる必要はなく、何度も修正しながら完成させることが重要です。
必要な情報を加えていく
上記で解説した3ステップで基本的な組織図はできあがりますが、必要であれば追加情報を加えていきます。
例えば、組織図として正式に掲載するようなものではないが、重要な役割を持っている職位などがある場合は記載しておくと良いでしょう。
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まとめ 組織図について
組織図を作成することで、企業にとっては数々のメリットがあります。
しかし、組織図をただ漫然とつくるだけでは、効果的な活用はできないでしょう。したがって、もし組織図を作成するのであれば、「組織図をつくる目的」をあらかじめ考えておくことをおすすめします。
そうすることで、組織図を最大限活用することができるでしょう。
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