突然ですが、あなたはこのようなことを感じてはいませんか?
- 「CRMってなんだろう?」
- 「CRMを導入するとどんなメリットがあるの?」
- 「なぜ最近になってCRMが注目されているの?」
この記事ではこれらの疑問に答えるべき、CRMについて解説しています。
ぜひ、この記事を読むことでCRMへの理解を深め、導入検討に役立ててみてください。
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CRMとは
CRMとは「Customer Relationship Management」の略称で、直訳すると「顧客との関係を管理する」という意味のマネジメント手法の1つです。また、こういったことを簡単にするためのシステムやツールのことを「CRMシステム」と呼ぶこともあります。
従来は特定の顧客を対象とはせず、不特定多数の相手を対象にした「マス・マーケティング」が用いられていましたが、CRMでは特定の顧客にあわせたマーケティングを展開していきます。なぜなら現代は多様な価値観が混在しているため、不特定多数を対象にしたマーケティングでは効果が出にくくなってきたからです。
例えば、パソコンを購入する場合、従来は同じスペックで大量生産されたパソコンを買うのが当たり前でした。しかし、顧客が求めるスペックは一人ひとり異なります。そこでDELL社は、顧客が自分でスペックを選んで購入できるようにすることで、顧客一人ひとりに最適なパソコンを提供し、さらにコストカットにも大成功しました。
このように、顧客との関係性を強化し管理することで、自社が抱える顧客についてより深く知ることができ、顧客満足度の向上につなげたり利益の最大化につなげられます。
さらに、顧客について集めたデータをもとに商品開発やサービスの改善が行えるだけでなく、経営の方向性を左右するデータとして用いられることもあり、注目度が高まっている手法です。
このように、CRMはビジネスにおいて顧客を中心にした営業活動を可能にする方法であり、そのシステムやツールを指しています。
CRMを導入する目的とは?
CRMを導入する目的は、顧客とのコミュニケーションを重視し、関係性を強化することによって、商品やサービスを顧客にとって最適なものに改善することです。その結果、売り上げが伸びて利益が上がります。
顧客により良い商品やサービスを提供するためには、顧客についてより深く知る必要があります。CRMを導入することで顧客の購入履歴や、どのような問い合わせをしたのかといったデータをもとに、顧客のニーズに合致したものを提供できるようになるのです。
この結果、顧客満足度の向上につながり、ライフタイムバリューを伸ばせるようになります。ライフタイムバリュー(顧客生涯価値)とは、一人もしくは一社の顧客が生涯を通して自社にどれほどの利益をもたらすのかを指す指標のことです。
長い期間顧客であり続け、何度も商品やサービスの購入、利用をしてくれるほどライフタイムバリューが高いということになります。
CRMが必要になった理由
CRM以外にも、さまざまなマネジメントの手法はありますが、なぜ多くの企業でCRMが導入されるのでしょうか?
CRMが多くの企業にとって、必要になった理由が下記の4つです。
- 価値観の多様化と社会の変化
- 顧客の流出を止めるため
- 業務効率化とコストカット
- ライフタイムバリューの向上
それでは1つずつ解説します。
価値観の多様化と社会の変化
2000年代以前は、不特定多数に網をかけるようにマーケティングを仕掛ける「マス・マーケティング」が効果をあげてきました。しかし、2000年代以降になると効果が挙がらなくなってきたのです。
その理由は、スマートフォンとインターネットが広く一般的に普及したからだと考えられています。誰でもインターネットで欲しい情報が手に入れられるようになったため、顧客は自分が欲しいものを選び取って買えるようになり、マス・マーケティングが効かなくなってきました。
また、消費者の価値観やニーズの多様化も一気に進み、それまで当たり前のように用いられてきたマーケティングも効果がなくなります。この結果、顧客との関係性を強化するCRMの必要性が高まりました。
簡単に言うと、自社の商品やサービスが、「どのような顧客に、なぜ求められているのか」を理解していないと利益を挙げられない時代になったのです。
顧客の流出を止めるため
ビジネスにおいて現代の環境は、顧客の流出が簡単に起きるようになっています。だからこそ、CRMを用いて顧客がどのような状況にあるのかを理解・把握して、顧客が離れないようにアピールし続けなければなりません。
顧客の流出が起きるようになった原因は、価値観の変化と技術革新の速さです。価値観が変わることにより、これまで必要とされてきた商品やサービスがすぐに求められなくなることがあります。また、技術革新によっても同じことが起きるのです。
また、現代は製品自体の品質で差別化することが困難であるため、顧客が具体的になにを求めているのかを把握することの重要性が高まりつつあります。これにより、既存顧客が流出することのダメージは、以前に増して大きなものとなりました。
したがって、現在抱えている顧客が魅力的だと感じる価値を、常に提供し続ける必要があり、それがCRMによって可能となるため、必要性が高まっているということなのです。
業務効率化とコストカット
企業の規模が大きくなると、顧客の管理にかかるコストや労力は日に日に増していきます。エクセルなどを用いて手入力で顧客情報を管理していると、それこそリソースの無駄遣いです。エクセルで分析するとなると手間と時間もかかり効率的ではないうえに、誤入力などのミスが生じることもあります。
したがって、顧客情報の管理や分析を自動で行えるCRMシステムを導入することで、業務効率化とコストカットにつなげることがベストなやり方でしょう。
ライフタイムバリューの向上
新たな顧客を得るには、今抱えている顧客のおよそ5倍もの販売コストが必要になるとされています。これまで解説したように、価値観が多様化し、社会が大きく変化する環境のなかで、新規顧客の獲得をしていくのは簡単なことではありません。
したがって、顧客一人あたりから得られる利益を最大化するために、ライフタイムバリューの向上を目指していくことが重要になります。そのためにもCRMによって顧客との結びつきを強めていかなければならないのです。
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One to Oneマーケティングとは?その考え方や企業における活用事例を徹底解説!CRMが持つ主要な機能
ここではCRMシステムが持つ主要な機能について解説していきます。
システムやツールによっては異なる点もありますが、ここでは代表的なものを挙げています。
顧客情報の管理
まず1つ目は顧客の情報を管理する機能です。
この機能では、顧客それぞれの下記の情報を管理します。
- 会社名
- 氏名
- 年齢
- 生年月日
- 性別
- 連絡先
- 購買履歴
- キャンペーン履歴
- サポート履歴
- SNSアカウント
こうした情報を連携させて一元管理できる機能があります。
メール配信
メールの配信やお知らせなどを配信できる機能です。
顧客のセグメントに合わせて一斉送信ができたり、顧客の状況を観察しながら個別に送信することができます。
また、メールの開封率を分析できるため、送信する最適な時間やタイトルなどの検証が可能です。
顧客情報の分析
収集した顧客情報を様々な視点で分析することができる機能です。
分析結果から、その後に新たな戦略を立てることができます。
キャンペーン・プロモーション管理
顧客がいつ何をどれだけ買ったかという情報をもとに、キャンペーンやプロモーションをベストなタイミングで配信したり、優良顧客に対して割引券などを送ることができる機能です。
問い合わせ管理
それぞれの顧客がどのような問い合わせをしたかをデータとして残しておけるので、二重対応などのトラブルを防げる機能です。
またトラブル防止以外にも、これまでに問い合わせが多かった内容について「よくある質問」というかたちで対応することができ、業務効率化を図ることができます。
CRMとSFAとの違いとは
CRMは顧客との関係をマネジメントする手法ですが、よく混同されるツールにSFAがあります。
SFAと一緒に用いることでより高い効果を期待できるので、ここではSFAツールの簡単な概要と両者の違いについて解説していきます。
SFAとは
SFAとは「Sales Force Automation」の略称で、直訳すると「営業活動の自動化」となり、一般的には「営業支援システム」と呼ばれています。つまり、営業活動を成功に導くためのシステムやツールがSFAです。
SFAでは、営業活動で集めた見込み顧客の情報や取引の進み具合などを、数値や文章として保存することができます。
そしてそのデータは自社の従業員とすぐに共有ができるうえに、自社にいなくても社外から情報のチェックや保存も可能です。
営業活動は個人個人のスキルや能力によって成績が異なることが多く、属人的なものでした。しかしSFAにより、営業活動で得られるデータを蓄積・共有することで営業活動の業務効率化が可能になるのです。
CRMとSFAの違い
CRMもSFAも、どちらも顧客情報を管理するためのシステムという点では同じであるため、よく混同されがちです。
両者の違いを端的に言うと、CRMはマーケティングの手法で、SFAは営業活動のためのツールといいうことになります。また、SFAは見込み顧客を顧客にするために用いますが、CRMは顧客との結びつきを強めるために用いられるため、順番で考えると先にSFAがあり、その後にCRMとなるのです。
そして、何より蓄積した情報の使い方に大きな違いがあります。
CRMでは顧客のデータはマーケティングのためにも用いられ、経営戦略にも関わります。したがって、CRMは「経営のためのシステム」と呼ばれることもあるほどです。
しかしSFAで顧客情報を用いるのは、営業効率を良くするためであったり、営業ノウハウを体系化するためです。そもそもSFAが生まれたのは、属人化する営業ノウハウをまとめるためだとされています。したがって、SFAは「営業のためのシステム」だと言えるでしょう。
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SFAとは?主な機能やメリット、おすすめツールの選び方を解説!CRMを導入するメリット
CRMが必要な時代となり、顧客管理が重要な意味を持つようになりました。
しかし、CRMには他にもメリットがあります。そのメリットが下記の3つです。
- 顧客情報の一括管理ができる
- 顧客満足度を高められる
- PDCAサイクルを素早く回せる
それでは1つずつ解説していきます。
顧客情報の一括管理ができる
営業の担当者が独自に顧客情報を管理している場合は、その扱いが属人的なものとなり管理が不十分になる可能性があります。
そこでCRMを用いることで顧客情報を一括して管理できるため、情報の可視化ができます。その結果、適切な管理・フォローアップができるようになるのです。
顧客満足度を高められる
顧客情報を組織内で広く共有できるため、営業やマーケティングといった部門を超えた連携が可能になり、組織全体で顧客に対して最適な対応ができるようになります。
また、顧客情報の可視化により、顧客の潜在的な欲求やニーズを捉えることができるため、それぞれの顧客に適した提案やアプローチが可能になります。この結果、顧客満足度の向上につながるのです。
これは自社のみならず顧客にとっても良いことがあります。それは以前に買った商品やサービスに関する情報や、サポートなど自分にとって有益な情報を受け取れることです。
また、担当者が変わった場合でも、顧客情報が共有されているため、以前と同じアフターサービスを受けられます。
PDCAサイクルを素早く回せる
CRMでは顧客の活動や動向の履歴を分析できるため、PDCAサイクルを素早く回せるようになります。
PDCAサイクルとは、下記の単語の略称であり、業務効率化を目指すフレームワークです。
- Plan :計画
- Do :実行
- Check :評価
- Action :改善
効果的なアプローチやプロセスを分析・改善することで、戦略がより洗練されていきます。
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オムニチャネルとは?意味や事例をわかりやすく解説CRMを導入するデメリット
CRMにはいくつものメリットがあることがわかりましたが、その一方でデメリットも存在します。
例えば、CRMを導入したとしても直ちに効果がでるわけではない、というのはデメリットのひとつでしょう。CRMシステムを導入する場合、効果が表れるまで時間がかかるということは認識しておくべきです。
CRMの効果としてあらわれるのは顧客満足度の向上やライフタイムバリューの向上であるため、長期的に見ていくしかありません。
効果を実感することが難しいと投資に消極的になってしまいますが、的確な運用をしてシステムが定着するまで継続することや、試行錯誤をしていく体制をつくりあげることが重要です。
まとめ
CRMは顧客との関係性を強めて、利益を上げたり顧客満足度の向上につなげるのに役立つツールです。しかしCRMを導入することですべてがうまくいく、というような魔法のツールではないということも、覚えておきましょう。
CRM以外にも組織にとって有用なツールやシステムは数多くありますが、導入したはいいものの使い勝手が悪いと利用頻度が下がっていきますし、慣れるまでに時間がかかるとやりにくさを感じてしまいます。
導入の前に、本当に自社にそれが必要なのかどうかや、何の目的で導入するのかを明確にしておかなければ、ツールやシステムを導入しても宝の持ち腐れになってしまいます。
CRMの導入を考えている場合は、導入することでなにを実現したいのかという明確な目標や目的を設定しておきましょう。
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