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目まぐるしく変化する現代。社会で活躍するためには、知識のアップデートが必要な時代になりました。
その中で注目されているのが「リカレント教育」です。しかし、具体的に何を学べるのかやその中身については知らない方もいらっしゃるでしょう。
本記事では、以下についてわかりやすく解説します。
- リカレント教育とは何か
- なぜリカレント教育が注目されているのか
- リカレント教育を受けるメリットは何か
- 実際の大学ではどのような学び直しを受けられるのか
したがって、「今後リカレント教育を受けたい」と考えている方にもおすすめの記事になっていますので、ぜひご覧ください。
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リカレント教育とは?国も推進している制度!
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リカレント教育とは、高等学校・大学での学びを経験した後に、再度各々のタイミングで学び直しをすることです。
厚生労働省も、経済産業省・文部科学省と連携をしてリカレント教育を広めようとしており、各種補助金制度も整えられています。
したがって、今後ますますリカレント教育は広まっていくでしょう。
まずはリカレント教育について、以下2つの切り口から説明します。
- リカレント教育の意味
- リカレント教育と生涯学習との違い
それぞれわかりやすく解説します。
リカレント教育の意味
ITの進歩が著しい昨今において、高等・大学教育のみでは社会や新技術に適応していくことが難しくなったため、社会人になってからの学び直しが必要不可欠になっています。
リカレント(Recurrent)は「再発する・周回して起こる」という意味の英語で、リカレント教育とは、何度も繰り返し受ける教育のことを指します。
具体例としては、文部科学省の取り組みとして挙げられるマナパスというサイトが挙げられます。さまざまな過程があり、仕事に役立つ知識をサイトを通じて身につけることができます。
リカレント教育と生涯学習との違い
リカレント教育と生涯学習は似ている言葉ですがニュアンスが異なります。
生涯学習とは、人生で培い、学んでいく全ての学習のことを意味しています。仕事に役立つ知識というよりかは、人生をより豊かにする知識を示す場合が多いです。
したがって、キャリアアップ・仕事のスキルアップに繋がる知識はリカレント教育で学び、自身の趣味や興味のあることへの学習は生涯学習だと認識しておきましょう。
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リカレント教育が重要になる理由3つ
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リカレント教育は、今後複雑になる社会のなかで必要と言われていますが、具体的にどういった面で必要になるのか、ピンとこない方がいることでしょう。
なぜリカレント教育が重要視されるのか、その理由として挙げられるのが以下3つです。
- リカレント教育とSociety5.0
- リカレント教育と人生100年時代
- リカレント教育とSDGs
それぞれわかりやすく解説します。
リカレント教育とSociety5.0
リカレント教育はSociety5.0と深い関連性があります。
サイバー空間やデジタルデータを活用し未来社会を実現するSociety5.0の中で生きるためには、相応のITリテラシーが必要になります。
ただ利用する側でいるのであれば、そこまでの知識は不要かもしれません、しかし、イノベーションを起こす側のビジネス人材であるためには知識のアップデートが不可欠です。
国が推し進めるSociety5.0の社会で活躍するには、学び直しを繰り返すことで最新のデータ・知識を活用する能力が必要です。それを身に着けるためにリカレント教育は推進されています。
リカレント教育と人生100年時代
人生100年時代構想も、厚生労働省が掲げる未来の社会予想図です。2007年以降に生まれる日本人は100年以上の長い時を生きる可能性があると研究で言われています。
ただでさえ社会のイノベーションのスピードが進んでいるなかで、今までよりも長い期間生きることになるわけですから、知識のアップデートをしなければ時代に取り残されてしまう可能性があります。
特にビジネスパーソンとして生きていくことを考えると、新しい技術を用いた商品開発やサービス構築からは逃れることができません。
リカレント教育とSDGs
世界ではSDGsの重要性がしきりに叫ばれています。「持続可能な開発」と表現されるSDGsは社会的意義が大きく、企業がCSRに取り組む姿勢もステークホルダーから見られています。
「ただ利益を生み出す企業」ではなく、今後は環境にも優しく、社会的意義がある企業がステークホルダーからも重要視されると言っても過言ではありません。
リカレント教育は、SDGsの項目の中でも4つ目「質の高い教育をみんなに」と深い関連があり、このなかで、地域の課題へ取り組むビジネスパーソンのリカレント教育が重要視されているのです。
したがって、SDGsの観点から見ても、リカレント教育の位置付けは高い位置にあるといえます。
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リカレント教育の重要性は高まっているのですが、実際に進めていくに当たってはまだまだ課題が残っているのも実情です。
したがって、リカレント教育のメリットと課題をわかりやすく以下6点で、わかりやすく説明します。
- 【メリット】企業は従業員のスキルアップを図れる
- 【メリット】従業員は生涯働けるスキルを身につけられる
- 【メリット】世界で活躍する人材を目指せる
- 【課題】大学の卒業生しか受けられないことがある
- 【課題】必ずしも学びたいことが学べるとは限らない
- 【課題】費用が膨大になる可能性がある
【メリット】企業は従業員のスキルアップを図れる
企業は従業員のスキルアップを図れることが大きなメリットです。
従業員が自発的にリカレント教育で学ぶことで、従業員のスキルアップが図れ、結果的に企業の業績に直結する可能性は高いです。
したがって、企業内部での福利厚生としてリカレント教育を促進する動きは、さまざまな企業に広まっています。
【メリット】従業員は生涯働けるスキルを身につけられる
従業員が生涯働き続けることができるスキルを身につけられるのもメリットです。
終身雇用制度体系が崩壊した今、現在属している企業で最後まで働けるかはわかりません。
「どこでも活躍できる人材」となるためには、知識のアップデートが必要不可欠なのです。
したがって、将来転職をする際、またシニア世代になっても活躍するためには、リカレント教育で学ぶ姿勢が大切になります。
【メリット】世界で活躍する人材を目指せる
日本企業で働いている方の中には「将来は世界で活躍したい」という思いを抱くビジネスパーソンもいらっしゃるのではないでしょうか。
海外で働くためには英語が必要と言われますが、結論それがスタンダードであり、優位性はありません。
世界で活躍できる人材になるためには、より高度な知識や体験を持ち合わせ、世界の他の優秀な人材と戦う必要があります。
したがって、リカレント教育の学び直しは必須になります。
【課題】大学の卒業生しか受けられないことがある
リカレント教育の課題は、大学が行っているリカレント教育の対象者が卒業生のみに指定されている場合があることです。
リカレント教育という言葉の広がりにつれて、各大学でもリカレント教育の講義を用意する流れは進んでいます。その一方で、一般公開ではなく限られた人しか講義を受けられない可能性があるのは課題です。
【課題】必ずしも学びたいことが学べるとは限らない
講義の数は増えてきていますが、必ずしも学びたいことが学べるかというと、そこまで講義や講座が用意されていない可能性があります。
今後、より一層の拡充が期待されますが、現状は受けたい講座が見つからない可能性もあると考えておきましょう。
【課題】費用が膨大になる可能性がある
費用が膨大にかかる可能性もあります。後ほど説明しますが、リカレント教育には国からの補助金が出ていることもあれば、会社からの福利厚生で補助されるケースもあります。
ただし、全てのケースに対応しているわけではないため、中には費用が膨大にかかってしまい、金銭的な要因でリカレント教育を受けられないという可能性もあります。
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リカレント教育は主に大学が実施していることが多いです。ここからは、実際にリカレント教育にはどのようなものがあるのかをわかりやすく解説します。
女性のための再就職支援プログラム:日本女子大学
日本女子大学では、女性のための再就職支援プログラムを実施しています。講義で学べるのは即戦力になれるITリテラシー・金融・会計知識などです。
この他にも各学部の授業も履修ができる特典つきのプログラムを実施しており、その後の再就職までも引き続きフォローする試みがなされています。
MBAプログラム:グロービス経営大学院
グロービス経営大学院では、学び直しの場としてMBAプログラムなどを提供しています。
既に活躍しているビジネスパーソンで、1つ上のステージに進みたいという方や、「ひと・もの・金」をより深く知りたいという方が受講をするようです。
企業から補助金が出る場合も多く、リカレント教育を検討するのであれば知っておきたい講座の1つです。
スマートキャリアプログラム:明治大学
明治大学でも女性のためのスマートキャリアプログラムを実施しています。
昼間のコースと夜間のコースに分かれており、仕事を続けながらでも勉強ができるのが特徴です。
社会での経営人材を育成するためのプログラムで、マーケティングやファイナンス、ブランディングなどを学ぶことができます。
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リカレント教育で大切なこと
リカレント教育と聞いてすぐに受けようと思った方もいらっしゃるかもしれませんが、実は注意点が2つあります。
- 何を学ぶのかを明確にする
- 自己分析をしっかりとする
上記はリカレント教育を検討する上で最低限おさえておく必要があります。
「目的もなく受講してしまい、結局何を学んだのかわからずに終わった」というのはよくある失敗例です。
こうした事態を避けるためには、目的とビジョンを明確に言語化しておく必要があります。
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リフレクションとは?フィードバックや反省との違いも解説リカレント教育を推進している企業
以下、実際にリカレント教育を推進している企業の具体例を3つ説明します。
- ヤフー株式会社
- 株式会社ミキシィ
- サイボウズ株式会社
ヤフー株式会社:サバティカル制度
ヤフー株式会社ではリカレント教育を実践しています。
勤続年数10年以上という縛りはあるものの、上限で3ヶ月もの休暇を取得し、自己研鑽や内省の機会に当てられる仕組みです。
休暇取得のためには目的を明確にし、その後自社でどう役立てることができるかを明言する必要はあります。ただし、リカレント教育ではそもそも目的を明確化して取り組むことが大切なので、理にかなっている制度といえます。
株式会社ミクシィ:スキルアップ支援プログラム
株式会社ミクシィでは、英会話や資格取得、プログラミング教育の機会を特別価格で利用できるスキルアップ支援プログラムを、福利厚生として提供しています。
ヤフー株式会社と同様に、リカレント教育で学んだことを日々の業務に役立てることが目的ではありますが、福利厚生として学びの場を得ることができる事例です。
サイボウズ株式会社:育自分休暇制度
サイボウズ株式会社では2012年から育自分休暇制度を取り入れています。
育自分休暇制度とは、退職した後、最長で6年間の復職を可能にする制度です。希望者には「育自分パスポート」が渡されます。
一度社外に出て本格的にリカレント教育を受けスキルアップを図れる制度です。
最長6年という長期間の中で、企業としていつ戻ってくるかわからないという面はありますが、スキルアップした従業員を確保できる点では有用な施作といえます。
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リカレント教育で利用できる補助金・支援
リカレント教育の広まりに伴い、利用できる補助金や支援が増えています。
具体的には以下のような補助金・支援があります。
- 教育訓練補助金
- キャリアコンサルティング
それぞれ、わかりやすく解説します。
教育訓練補助金
教育訓練補助金は厚生労働省が指定する教育訓練を終えた後に、一部受講費用が返金される制度です。
教育訓練の実践内容によって、返金額は変わってきます。
実践内容としては、専門実践訓練など専門性が高い実践内容から、大学での一般教育訓練などさまざまです。
キャリアコンサルティング
キャリアコンサルティングは、職務経歴から今後の転職先を決定したいという方にぴったりの、ハローワークが運営元となったプログラムです。
無料で受けることができるので「今後転職をしたいと考えているが、まだどこの分野に行けば良いかわからない」方におすすめです。
また、今後どの分野のリカレント教育を受けるかで悩んでいる方も利用できるプログラムなので、積極的に利用すると良いでしょう。
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まとめ リカレント教育について
本記事では以下を説明しました。
- 今後リカレント教育の重要性は高まる
- リカレント教育にはまだまだ課題がある
- 各種補助金やサービスもある
時代に取り残されないビジネスパーソンであるためにも、リカレント教育をうまく活用する姿勢が今後必要になります。
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