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コミュニケーションが取れない部下の改善方法とは?

上司と部下のコミュニケーションは、どのように活性化させたらいいのでしょうか。仕事をさせる側とする側の息が合っていないと業務に支障が出ます。コミュニケーションを深めれば気持ちが通じ合い、仕事が円滑に進むようになります。

したがって、コミュニケーションが下手な部下がいたら、上司は、部下のコミュニケーション能力を向上させる施策を打ち出さなければなりません。

 

もちろん上司のコミュニケーション不足によって部下が困っているケースも少なくないでしょう。しかし本稿では、「コミュニケーション能力が足りない部下を、上司はどのように導いたらいいのか」に着眼してみます。

 

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コミュニケーションがなければ2人をつなぐことはできない

コミュニケーションがなければ2人をつなぐことはできない

そもそも上司と部下は、年齢差、キャリアの差、価値観の差があり、コミュニケーションが取りづらい間柄です。

しかも上司は部下を選べず、部下も上司を選べません。上司と部下は、普通に出会っていたら会話すらしない仲かもしれないのに、それでも一緒にプロジェクトを遂行しなければならないのです。

 

つまりビジネス・コミュニケーションは、不仲になっていたかもしれない2人を協調させて業務の完了という目標に向かわせるためのツールでもあるのです。

だとすると、上司が部下のコミュニケーション能力を向上させることは管理業務のひとつと考えることができます。

つまり上司が「まったく、コミュニケーションすらろくに取れない奴だ」と部下の愚痴をいうのは正しくはなく、「部下のコミュニケーション能力を向上させるのは私の責務」と認識すべきなのです。

 

コミュニケーション能力がない部下は職場の「お荷物」なのか

早稲田大学研究戦略センター講師の齊藤絵理子氏は、ビジネス・コミュニケーションの性質について次のように述べています[1]。

 

  • ビジネススキルのなかでも最も重要なもののひとつである
  • ビジネス上の多くの問題はコミュニケーションの問題に依拠している
  • コミュニケーション能力に欠けたビジネスパーソンは、仕事で成果を出すことが難しくなる
  • コミュニケーション能力に欠けたビジネスパーソンは、成長するのが難しくなる

 

職場のなかに最も重要なビジネススキルが欠けている人物がいるので、上司はチームのパフォーマンスを上げづらくなります。

したがってその部下は、職場の「お荷物」になってしまうかもしれません。

 

そこで、上司の力量が問われるわけです。部下のコミュニケーション能力を高めれば、「お荷物」を「貴重な戦力」に変身させることができるのです。

 

ただ上司が取りうる選択肢は限られている

ただパワハラが社会問題になっている現代は、上司が部下にコミュニケーションを「叩き込む」ことは禁じられているも同然です。

日本メンタルヘルス講師認定協会代表理事の見波利幸氏は、上司が部下を飲みに誘うことも、上司が部下の話にじっくり耳を傾けることも、逆効果になりかねないと指摘しています[2]。いずれの行為も、メンタルが弱くストレス耐性が低い部下の心を折ることになりかねないからです。

つまり現代の上司は、部下にコミュニケーションを教えるとき、強硬手段も懐柔作戦も禁じられているのです。

 

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「最近の若者はコミュニケーションが下手」は本当らしい

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若者のコミュニケーション能力については、一般的に次のことがいわれています[3]。

 

  • 最近の若者はSNSなどを駆使してバリエーション豊かにコミュニケーションを取ることは得意だが、ビジネス・コミュニケーションはそれほど得意としていない

 

経済産業省は2006年に、「若者が仕事をしていくためには社会人基礎力が欠かせない」との有識者の考えをまとめ、発表しました。このことを受けいくつかの大学が「社会人基礎力」を教える講義を実施しました[4][5]。

社会人基礎力とは、具体的には次のことができるスキルです。

  • 自分の意見をわかりやすく伝える
  • 相手の意見を丁寧に聴く
  • 意見や立場の違いを理解する
  • 自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する
  • 社会のルールや人との約束を守る

 

これらのことを大学で教えなければならないほど、若者のコミュニケーション能力は落ちているのです。

 

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仕事ができない部下のコミュニケーション能力をどう高めるか

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仕事がそれほどできず、コミュニケーション能力も足りない部下を、上司はどのように導いてあげたらいいのでしょうか。

先述の見波氏は、上司は、部下の気持ちに焦点をあてた会話と、課題解決が図れる会話をすべきであると述べています[2]。

要するに、上司は部下にソリューションを与えよ、ということです。

また、見波氏は、部下がある仕事を完遂できないとわかったら、上司は実際に手助けすべきだと述べています。仕事に行き詰まった部下が真に必要なものは、上司の実際の支援だからです。

 

見波氏は次のようにアドバイスしています。

部下が、水があふれるくらい入っている大きな桶(おけ)を両手で抱え、さらにその桶に水が注がれているとします。このとき上司が、部下に向かって「水道の蛇口を閉め、桶のなかの水を捨てなさい」と助言するのは正しい対応ではありません。

正しい対応は、上司が水道の蛇口を閉め、桶のなかの水を減らしてあげることです。桶のなかの水が十分減った段階で、上司は「あとは自分で水を捨てなさい」といえばいいのです。

 

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仕事ができる部下のコミュニケーション能力をどう高めるか

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それでは次に、仕事ができる部下のコミュニケーションを高める方法を検討してみましょう。

仕事ができる部下は、「成果を出しているのだから、同僚とのコミュニケーションが欠けていても問題はないはず」と考えているかもしれません。つまり意図的にコミュニケーション頻度を低くしている可能性があります。

 

Yes・But方式

そのような部下には「Yes・But」方式が有効かもしれません。つまり「君の主張には合理性がある。それはいいよ。でもね~」というアプローチです[6]。

上司としては、部下がいま好成績を残していても、「やり方を変えたり、別のスキルを身につけたりすればさらに業績を上げられる」と考えます。

そこでまずは、すべて肯定することから始めるのです。部下を承認して褒め称え、そして十分心を開いたところで、「でもね」と本題を告げるのです。

 

この「Yes・But」方式を、「部下にへつらうようで嫌だ」と考える必要はないでしょう。なぜなら仕事ができる部下は、仕事がしやすい環境を歓迎するからです。自分の上司がよい仕事環境を提供してくれる人物であると認めれば、部下のほうから業務改善の提案をするようになるかもしれません。

そこまで部下から信頼されれば、それ以降のコミュニケーションは、上司も部下も自然体で進めることができるでしょう。

 

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まとめ コミュニケーションの実利を教えてあげる

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上司は自分の管理職の仕事として、部下にコミュニケーション能力を授けなければなりません。なぜなら、部下がコミュニケーションを身につけると、上司にも部下本人にも実利がもたらされるからです。

かたくなにコミュニケーション能力を身につけようとしない部下には、その実利を説いてみてはいかがでしょうか。

コミュニケーション能力を獲得したときに見えるビジネスシーンを教えてあげれば、部下は自分の仕事としてコミュニケーションを身につけるようになるはずです。

 

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参照

[1]グローバルビジネスコミュニケーション上級(早稲田大学、齊藤絵理子)https://www.wsl.waseda.jp/syllabus/JAA104.php?pKey=9S910100160120179S910100169S&pLng=jp
[2]勘違いメンタルヘルスで部下の「心が折れる」時(日本メンタルヘルス講師認定協会代表理事 見波利幸)https://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20160907-OYT8T50053.html?page_no=1
[3]第2部 特集 共生型ネット社会の実現に向けて(平成23年版 情報通信白書)http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h23/html/nc213100.html
[4]社会人基礎力を育成する授業30選(経済産業省)http://www.meti.go.jp/policy/kisoryoku/kisoryoku30sen.html
[5]なぜ若者はLINEでは饒舌なのに面接で話せないのか(ダイアモンドオンライン)https://diamond.jp/articles/-/86044
[6]コミュニケーション力(1)危機的な上司と部下のコミュニケーション、解決法は?(日経ビジネススクール)https://school.nikkei.co.jp/news/article.aspx?aid=MMSCe9000001122016

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