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識学の導入でボラティリティの低い芸能ビジネスを目指して|株式会社ティーンスピリット 代表取締役社長 宮地 俊充 氏

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概要

2018年2月、テクノロジーを強みとした芸能プロダクション・作家事務所・音楽出版社・レコード会社が一体となった新世代型のエンターテインメント企業・株式会社ティーンスピリット が創業された。

同社の代表を務める宮地俊充氏は異色の経歴の持ち主。大学を卒業後、公認会計士に合格し、世界最大の会計事務所や独立系M&Aファーム、EC系ITベンチャーのCFOを経て、2011年に英語4技能対策オンライン英会話スクールを運営する株式会社ベストティーチャーを創業。大手教育系企業と提携し、革新的なオンライン学習サービスを開発した。

宮地氏が2017年末に同社を退任後、2回目の起業をするにあたって狙いを定めたマーケットは、「芸能・エンタメ」。自身がクリエイションに関わりながら、アーティストのコンセプトメイクやプロモーションまで担当しているという。2019年3月には第一弾プロデュースアーティストの新年号世代の女性ダンスボーカルグループ「SPECIAL NIGHT」がデビュー予定。

全く新しい試みに挑み続けている宮地氏は、「2回目の起業の前に識学と出会ったことで、会社経営に対する考え方が180度変わった」と語る。識学を受けるに至った経緯や、アーティストの育成やマネジメントなどの組織運営にどのようにご活用いただいているのだろうか。詳しく伺ってみた。

「組織づくり」や「コミュニケーション」の悩みに対し、明確な答えを持っている講師に初めて出会えた

まずは識学を知った経緯についてお聞かせください。

最初に存在を知ったのは、キープレイヤーズ(ベンチャー/スタートアップ転職求人の専門エージェント)の代表の高野さんがFacebookで識学のことを激推ししていたのがきっかけです。よく導入事例などの記事をシェアされていたので、何となく気になっていました。でも、最初は正直、「識学」というサービス名にもロゴマークにもいまいちピンと来なかったです(笑)。

その中で、問い合わせをしてみようと思われたきっかけは何だったのでしょうか。

1社目を退任してから2社目を創業するまでの間に何か学びたいな、と思ったのがきっかけです。僕は自分のことを「学び番長」だと自称しているくらい、勉強が大好きです。それが高じて公認会計士に合格できたし、マーケティングや営業、ブランディングに関しても全分野勉強して、ある程度のレベルまで持っていくことができていると思います。

でも、「組織づくり」や「コミュニケーション」に関してだけは、今までどれだけ勉強してもしっくりくるものがなかったんです。何度かコーチングにまつわるセミナーを受けに行ったり、体験型のワークショップにも参加したりしたのですが、どれも「社長を経験したことのない人が、それっぽいこと言ってるだけで重みがないな」という気持ちになってしまって……それで、講師を論破したりしていて、これはまずいなと。

とはいえ、今までの社会人人生で人間関係にまつわるあれこれに関して散々悩んだし苦しんできたので、2社目はもっと組織運営やコミュニケーションを円滑にしたいと思って、以前から目にしていた識学に問い合わせてみたんです。識学ってどんな会社なんだろうというのも気になったので、本社のある五反田まで足を運んで講師の方にお会いしました。

仕組みに問題を求める、識学

課題を取り除くために、識学の理論・考え方をどのように取り入れ、組織を変革されたのでしょうか?

どれも目から鱗が落ちるような話ばかりでびっくりしてしまいました。僕は必ずメモを取っているので、その日に講師の方から聞いたお話を記録してあるのですが、初回だけでも「今まで知らなかった学び」が山ほどメモに残っています。「あ、僕が悩んでいたことに対して生まれて初めて明確な”答え”を持っている人に出会えた」という気持ちが湧くくらいの衝撃だったので、その場で契約を決めました。

特に印象的だったのは、「管理職のAさんが経営者の期待している仕事ができなかった場合、多くの会社は『Aさんを外してBさんに代えましょう』となる。でも、管理職が機能しない原因が”人”にフォーカスしている時点で物事は一向に解決しません。

そうではなく、Aさんの役割や評価基準を明確化できていたのかを問う、というのが識学の考え方」という話です。「人」に問題を求めるのではなく、「仕組み」に問題を求める、というのが非常に興味深かったですし、今まで経験した失敗と重ねると胸が痛む話も多かったです。

アーティストの評価体系や育成に識学の理論を応用

創業前でマネジメント対象がいない状態で識学のトレーニングを受けることに迷いなどはなかったのでしょうか。

確かに「法人を作ったばかりで社員やアーティストがいるわけでもないのに学んでも、現在進行形の具体的な悩みが出てこないからもったいないかもな」と思う部分はあって、少しだけ申し込むかどうか迷いました。でも、結果的に先に受けておいて良かったです。

人って、最初から「これがルール」と決まっていたら素直に入ってくるんですよ。ところが、後から新しいルールができてそれを守りましょうとすると、必ず一部からハレーションが起きるんですよね。実際に、僕より先に識学を導入していた親しい経営者さんからも、識学のやり方に変えたら長く働いていたメンバーが数名退職することになった、という話を聞きましたし。

やっぱり、「会社の考えに合わない人がそのまま在籍していてもお互いにとって良くない」ということは頭で分かっていても、ハレーションは痛いんですよ。だから、マネジメント対象がいない状態から講師の方に識学の理論を教わって、ルール・仕組みを整えた状態で、そのルールをいいと思う人を所属アーティストや仕事のパートナーに選んだ方が結果的にスムーズだなぁ、と。

現在、識学で学んだことを組織づくりにどのように生かされているのでしょうか?

まず、何を任せるか明確でない人の採用は一切辞めました。ダンストレーナーや映像クリエイターなど、プロジェクトに関わる人のすべての役割・機能を明確にして、それの役割を満たせるかどうかを基準にメンバーを集めています。

それと、「姿勢のルール」の徹底ですね。例えばIT業界に、優秀なスキルを持ったクリエイターやエンジニアがいたとします。彼らは平気で出勤時間に遅れてくるし、「家で作業したい」というわがままも許されるし、納期もだいたい守らない。

それでも、いい成果物が用意できるなら年収数千万円という報酬が与えられる……というのが、この業界の一般的な考え方。でも、識学のトレーニングを受けてからは、「ルールが守られないことによって生じるロスタイムの大きさを考えると、そういう人が組織に存在する必要はない」と割り切れるようになりました。

所属アーティストの育成や今後の戦略にも識学の要素を取り入れていらっしゃるそうですね。

これは僕の中である種の「革命」だと感じたのですが、芸能ビジネスって一般的にはボラティリティ(資産価格の変動の激しさを表すパラメータ)が高いと思われていますよね。つまり、当たるか当たらないかわからないし、どこから米津玄師さんやHIKAKINさんのような逸材が現れるかわからない、と。でも、そんな運任せに頼っていたら仕事にならないじゃないですか。

それで、今僕が思っているのは、例えば「武道館をワンマンで1万人集めていっぱいにしよう」という目標があった時に、そのために必要な要件を全部ブレイクダウンして、それを「いつまでに」「誰が」「どうやるか」っていうのを決めて徹底する、というやり方です。識学でいうところの「目標を設定して、それを達成するための結果点を置いて管理する」という手法ですね。そこに着目して、2019年3月にデビュー予定の「SPECIAL NIGHT」のメンバーにはいつまでに何をやるか伝えるのが僕の役割だと思っています。

例えば、彼女達にはデビュー後一人ひとりにTwitterのアカウントを用意して個々に情報発信をしてもらおうと思っていますが、当面は1万人のフォロワーが目標です。でも、いきなり1万人なんて絶対に無理なので、まずは1,000人という結果点とフォロワーを増やす考え方やお作法を集約したマニュアルを用意して、その運用方法に沿って実行しています。

あとは、「評価者が誰なのかを明確にする」という識学の考え方も活用しています。芸能ビジネスやインフルエンサービジネスは、「タレント側が直接お客さんと触れ合うことが多いため、所属会社の社長や社員よりもお客さんから評価を意識してしまう」というのが特徴なんです。

でも、お客さんというのは「自分にとって一番都合のいいこと・気分の良いこと」を求めるので個別最適になりがちで、すべてのニーズを満たすことはできないため、個々のお客さんからの評価を気にしだすとみんなアンハッピーになってしまいます。

なので、目の前の人を楽しませたい・喜ばせたいという気持ちはもちろん大事ですが、アーティストを最終的に評価するのはお客さんではなく所属会社であるべきだと考えています。全体最適されたお客さんの評価が、会社からの評価と一致するような評価体系を設けています。

経営者だけでなく、これから起業を目指す人にも勧めたい

識学のトレーニング全体を通して気づいたことや、今後識学に期待することなどがあればお聞かせください。

識学の理論では、経営者の評価者は「市場」。何をしたら市場から評価を獲得できるかをブレイクダウンして、それをメンバーが実行しますよね。
じゃあ、もし仮にメンバー全員が経営者が求めているものを100点満点の状態で出したとして、それが市場から評価されなかったら、それは全て社長の責任になります。それが個人的にすごく面白いというか、興味深いなと思っていて。

だから、もし仮に日本の企業がみんな識学を導入して組織づくりに落とし込んでも、上手くいく会社と上手くいかない会社が出てくるんじゃないかと思います。それは、経営者のブレイクダウンのセンスとか、PDCAのサイクルの回し方や速さとか、上手くいかなかった時にどれだけ行動変化できるかによって違ってくるのではないでしょうか。

そこまで踏み込んだコンサルティングができると、識学はさらに進化していくんじゃないかと個人的に思っています。トレーニングを受けてからまだ1年も経っていませんが、自分の頭の中で色んな理論を加えて識学をアップデートしています。

最後に、どんな人に識学を勧めたいかお聞かせください。

まずは、現在会社を経営されている方ですよね。人のことで悩んでいる方は何を差し置いても受講をお勧めしています。識学にすべて賛同できなくても、識学の理論を知っていて識学を使う使わないを判断しながら組織づくり・マネジメントをするのと、知らない状態で経営しようするのとでは大きな違いがあると思います。

特に、「コミュニケーションが下手だよね」とか、「尖ってるよね」「もっと徳を上げて社長力を磨いた方がいいよ」「社長っぽくないね」みたいな人格否定に近い経験をされたことがある方にお勧めしたいです。組織づくりやマネジメントに必要な要素は、明確に定義できない人間性のようなものではなく、仕組み作りのスキルなんだ、と気づくことができます。

それと、僕のようにあらかじめ起業することが決まっていて、これから組織を一から作ろうとしている方は、起業前に受けておくと、その後が楽になると思います。……とは言え、初めて起業する方が識学のトレーニングに投資する余裕があるかというと、そこは難しいところですよね。でも、前職でマネジメントを経験して、失敗を味わったことのある人なら「あの時の原因はこれだったのか!」と刺さる部分が必ずあると思いますので、初めての起業前でも充分に学びがあると思います。

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