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気の利かない部下は、どうして「+αの仕事」をやってくれないのか?

少し気の利く部下なら、こちらが指示をした仕事に対して、「お、こんなこともやってくれたのか。助かるよ」と言いたくなる+αを加えてくれるものです。

しかし、指示をした仕事はきっちりやるものの、いつまでたっても+αをやってくれない部下も当然存在します。

ではどうすれば「+αができる部下」にできるのでしょうか。ここでは「なぜ+αができないのか」という視点から、「+αができる部下」に成長させるためのヒントを紹介します。

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「熱狂する社員」を作り上げよう

シロタ・コンサルティング創業者、名誉会長のデビッド・シロタ氏ほか2名の共著として発表された『熱狂する社員』は、高いモチベーションを持って仕事に向き合い、会社と自分を同一視して、自発的に「求められる以上の仕事」をするような社員を「熱狂する社員」というコンセプトにまとめています。このコンセプトによれば、部下が+αの仕事をやらないのは会社や仕事に熱狂できていないからということになります。

同著によれば熱狂する社員の高いモチベーションを得るには、「公平感」「達成感」「連帯感」の3つの要素が必要です。これらの要素は直属の上司のマネジメントのやり方においても重要ですが、どうしても組織的な施策や枠組みの変更が求められる場面がやってきます。例えば以下のような見直しが必要となります。

「公平感」:現在の評価制度は社員が納得できるようなものか?適切な尺度で能力が測られているか?
「達成感」:簡単すぎる仕事や、難しすぎる仕事を与えていないか?本人がやりがいを感じているか?
「連帯感」:他部署や他チームと連帯できるような体制が整っているか?人間関係をマネジメントできているか?

この3つの要素を満たすことは、部下が「もっと頑張りたい。自分に何かできることはないだろうか!」と考え始めるための素地を作ることです。つまりその素地を整えてやれば、今は気の利かない部下でも「+αができる部下」へと成長する可能性が高まるというわけです。

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+αに「自分が想像もつかないような何か」を求めてはいけない

「識学」というマネジメント理論に基づけば、部下が+αの仕事をしないのは「上司が何を求めているか」を明確に理解できていないからです。

上司が求める+αの仕事はあくまで「自分が求めていることの延長線上の仕事」でなくてはなりません。もし「自分が想像もつかないような何か」を期待しているのであれば、それは結局「自分が何を求めているか」を明確に示すという上司の機能を放棄しているのと同じです。「自分が想像もつかないような何か」を部下に期待するというのは、部下が自分で目標を設定し、部下の判断基準で仕事をするということです。これを求めたり、評価したりすれば、組織の正常なあり方が保てなくなります。

組織における上司の機能は「自分が何を求めているか」を明確に示し、それに対して部下が出した結果を評価することです。このとき、+αの仕事とは「上司が何を求めているか」を100%達成したうえでの「+○%」を指します。したがって「上司が何を求めているか」を明確に理解できていなければ、+αのやりようがないというわけです。

部下が「上司が何を求めているか」を明確に理解していると、その延長線上にある+αの仕事がどんなものかも予想がつくようになります。さらに上司がこの+αの仕事をきちんと評価すれば、部下は上司がなぜその結果を評価するのかより深く理解できるようになり、+αの仕事を見つける力も高まっていきます。

参考リンク:『伸びる会社は「これ」をやらない! 』

他者の中で「+αの仕事」のやり方を学ばせる

東京大学教授の中原淳氏が提唱する「職場学習論」に基づけば、部下が+αをしない原因は「+αの仕事の意味や、やり方を知らない」ことにあると考えることができます。

「職場学習論」は社会人が職場の中で学び、行動や認知を変化させていくという前提に立っています。これはつまり社会人は職場の他者とどのように関わるかで、どう成長していくが決まるということです。このうち職場の他者としては「同僚・同期」「上司」「上位者・先輩」が、関わり方については「業務支援」「内省支援」「精神支援」を挙げられています。

このうち+αの仕事の意味や、やり方を知るきっかけになるのは、内省支援でしょう。内省支援とは仕事について客観的なフィードバックを与え、反省を促すことを指します。中原氏の研究によれば、「上司」「上位者・先輩」「同僚・同期」すべての他者による内省支援が本人の能力向上につながるとされています。したがって上司の立場にある人は本人の仕事を客観的に分析しつつ、「君の仕事は周りからこういうふうに思われている」といった評価や「○○(上位者・先輩など)のように+αの部分まで考えて仕事をすると、こういうふうに見てもらえる」といった手本を提示するなど、おりにふれて内省支援を行ってみるといいでしょう。

また「上位者・先輩」「同僚・同期」が内省支援を行いやすいような雰囲気を作ったり、そうした雰囲気作りのためのコミュニケーションも、上司の仕事のひとつといえるかもしれません。

本人は他者からの内省支援を受ける中で、徐々に「喜ばれる+αとはこういう仕事」という学びを得ていくはずです。そうした学びが積み重なれば、自ずと「じゃあ自分はこんな+αを加えてみよう」という発想になり、同僚・同期以外の他者に対しても+αの仕事ができるようになっていくと考えられます。

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