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働き方改革とは?目的やメリット、事例をわかりやすく解説!【三本柱と11の施策】

2019年4月1日から一部施行が始まった働き方改革は、日本が直面している数々の労働問題を解消・改善するために作られた法案です。

働き方改革は大手企業だけでなく、中小企業を含む国内すべての企業に適用されるため、現在はどこの企業も働き方改革への取り組みを進めています。

企業によっては大幅な経営・労働環境の見直しを迫られているところもありますが、そもそもなぜ働き方改革が必要なのでしょうか。

今回は、働き方改革の基礎知識や、実施に至った背景、今後の取り組みなど、働き方改革に関する情報をまとめました。

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目次

働き方改革とは

働き方改革とは

働き方改革とは、働く人々がそれぞれの事情に応じて、多様かつ柔軟な働き方を選択できるようにするための改革のことです。

正式名称は「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(働き方改革関連法)」で、2015年に働き方改革を軸にした労働基準法等改正案が国会に提出され、翌年には働き方改革実現会議が発足されました。

一時、廃案になったこともありますが、2018年には優先的に取り組むべき最重要法案として審議され、同年6月に成立。翌2019年4月1日から、順次施行されることとなりました。

働き方改革では、「長時間労働の是正」「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保」「多様で柔軟な働き方の実現」を三本柱とし、11の施策が提示されています。

中には罰則規定が設けられているものもあるため、国内企業は働き方改革の施策をもとに、社内制度の見直しや労働環境の改善などへの取り組みを進めています。

具体的な適用時期は施策によって異なりますが、一部はすでに施行が始まっているため、働き方改革への取り組みが十分に行われていない場合、早急な対策が求められます。

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働き方改革の目的

働き方改革の目的

働き方改革の目的は、すべての労働者にとって働きやすい社会を作り、「一億総活躍社会」を実現することです。

労働者の意思や能力、事情はひとりひとり異なるため、すべての労働者が働きやすい環境を作るには、多様かつ柔軟な働き方を労働者自らが選択できる仕組みを整える必要があります。

働き方改革の推進によって一億総活躍社会が実現すれば、国にとっては国内の雇用促進および労働者の増加による税収増につながり、日本経済を大きく発展させることができます。

一方、企業にとっては単に法令遵守の義務を果たすというだけでなく、従業員が働きやすい環境を作ることで、労働生産性の向上や労働力の確保を期待することができます。

そして組織で働く人たち、または働く意欲のある人たちにとっては、公私の両立・充実の実現につながり、イキイキとした毎日を過ごせるようになります。

このように、働き方改革は国だけでなく、企業や働く人たちにとってもメリットの多い施策であり、実現すれば日本全体の発展と成長につながると言われています。

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働き方改革が実施された社会的背景

働き方改革が実施された社会的背景

政府が2015年より働き方改革の成立・施行に注力してきた背景には、現代日本が抱える社会的な問題があります。

少子高齢化にともなう生産年齢人口の減少

我が国の労働力の中核を担う生産年齢(15~64歳)の人口は、近年減少の一途をたどり、令和2年4月1日現在では7,476万3千人となっています。[※注1]

[※注1]総務省統計局/人口推計(令和2年(2020年)4月確定値,令和2年(2020年)9月概算値)
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/new.html

生産年齢人口のピークとされる1995年の8,726万人と比べると、実に約1,250万人も減少していることになります。

生産年齢人口は今後も右肩下がりに減少し、国立社会保障・人口問題研究所の推計では、日本の生産年齢人口は2029年には7,000人を下回り、2056年には5,000万人未満まで落ち込むと予想されています。[※注2]

[※注2]国立社会保障・人口問題研究所/日本の将来推計人口 平成29年推計」
http://www.ipss.go.jp/pp-zenkoku/j/zenkoku2017/pp29_ReportALL.pdf

労働に携われる人間が減少すれば、どの業種も労働生産力が低下し、日本経済の衰退につながっていきます。

限られた人口で一定の労働生産性を維持するために、働く意欲のある人全員が貴重な労働力として活躍できる社会づくりが求められています。

長時間労働の常態化

ワーカーホリックと揶揄される日本人は、諸外国に比べて長時間労働者の割合が多い傾向にあります。

一般的に、週あたりの労働時間が40時間を超えると「長時間労働者」に該当しますが、イギリスやフランス、ドイツの長時間労働者が20~40%台に留まっているのに対し、日本の長時間労働者は全体の約6割を占めています。[※注3]

[※注3]厚生労働省/我が国における時間外労働の現状」[pdf]https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11201000-Roudoukijunkyoku-Soumuka/0000136357.pdf

特に週49時間以上働いている人の割合は全体の2割を超えており、長時間労働が常態化している実態が伺えます。

過剰な長時間労働は、労働者の心身に大きな負担をかけ、時として精神障害や過労死、自死などを招く原因となることがあります。

特に精神障害に関しては、平成11年の労災請求件数がわずか155件だったのに対し、平成27年度には1,515件と、約10倍に跳ね上がっています。[※注4

[※注4]厚生労働省/過労死等の現状[pdf]
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/karoushi/16/dl/16-1-1.pdf

労災の支給決定が認められた精神障害を時間外労働時間数別(月平均)にチェックしてみると、「20時間未満」が最多で86件、次いで「160時間以上」が65件、「20時間以上から40時間未満」が50件と続いています。

たとえ短時間であっても、時間外労働が労働者に与える負担は大きく、人によっては休職や退職に追い込まれたり、過労死、自死に至ったりするケースもあります。

働き方改革は単純に労働生産性を高めるだけでなく、働く人の健康を守る防衛策としての役割も期待されています。

労働生産性の低さ

日本人は諸外国の労働者より長く働いていますが、そのぶん労働生産性が他国より高いかというと、必ずしもそういうわけではありません。

2019年度の日本の時間あたり労働生産性は、OECD加盟36ヶ国中21位に相当する46.81ドルで、主要先進7ヶ国中では最下位となっています。[※注5]

[※注5]公益財団法人 日本生産性本部/労働生産性の国際比較 2019[pdf]
https://www.jpc-net.jp/research/list/pdf/comparison_2019.pdf

長時間労働者数が日本より少ないイギリスやフランス、ドイツにも及ばず、かつOECD平均(56.1ドル)にも満たないことから、日本の労働生産性は世界的に見ても著しく低いことがわかります。

将来的な働き手不足が懸念されている現代日本では、労働者1人あたりの労働生産性を高めることは最重要課題とされています。

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働き方改革で変わること【三本柱と11の施策がポイント!

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働き方改革は、現代日本が抱える社会的問題を踏まえ、「長時間労働の是正」「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保」「多様で柔軟な働き方の実現」の3つを柱とした11の施策を提示しています。

働き方改革の施行によって、労働の現場ではどんなことが変わるのか、具体的な施策とその特徴、施行時期についてまとめました。

1.時間外労働の上限規制(大企業:2019年4月~ 中小企業:2020年4月~)

残業時間の上限を、原則として月45時間・年360時間とする規制です。

残業時間については、これまでも大臣告示による上限として月45時間・年360時間という基準が設けられていましたが、上限を超えても行政指導の対象となるだけで、法律上は残業時間の上限が定められていませんでした。

しかし、働き方改革の施行後は、月45時間・年360時間の残業時間を法律による上限とし、これを超える残業は原則として禁じられます。

臨時的かつ特別な事情がある場合は、例外として単月100時間・複数月平均80時間(いずれも休日労働含む)で、年720時間までの残業が認められますが、それ以上の残業は理由の有無や内容を問わず、法律で禁止されています。

また、月45時間を超えて残業できるのは年間6ヶ月までで、一年通じて長時間労働を強いることができない仕組みになっています。

なお、上記に違反した場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられるおそれがあります。

2.年次有給休暇の時季指定(大企業・中小企業ともに2019年4月~)

年次有給休暇は、半年間継続して雇用され、かつ全労働日の8割以上を出勤している労働者すべてに与えられる権利です。

働き方改革の施行後は、労働基準法に則り、使用者(事業主または事業の経営担当者)は法定の年次有給休暇付与日数が10日以上の労働者に対し、毎年5日、時季を指定して年次有給休暇を与える必要があります。

違反した場合、労働基準法第30条および第89条に基づき、罰金や懲役等の罰則を科せられることがあります。

3.労働時間の客観的な把握(大企業・中小企業ともに2019年4月~)

すべての労働者の労働時間を、客観的な方法で確実に把握する必要があります。

出勤時間や退勤時間を、タイムレコーダーや勤怠管理ツールなどを使って適切に管理し、違法な長時間労働の常態化などを防ぎます。

4.フレックスタイム制の拡充(大企業・中小企業ともに2019年4月~)

これまで、労働者が始業および終業時間を自由に決められる「フレックス制度」の清算期間は1ヶ月が上限とされていました。

働き方改革施行後は、フレックスタイム制の清算期間が3ヶ月に延長され、労働者は個々の事情やライフスタイルに合わせて柔軟な働き方を選ぶことが可能になります。

5.高度プロフェッショナル制度の導入(大企業・中小企業ともに2019年4月~)

高度プロフェッショナル制度とは、高度な専門的知識等を持ち、職務の範囲が明確かつ一定の年収要件を満たす労働者を対象に、労働時間に基づく制限の適用を除外することです。

制度の導入には労使委員会の決議など所定の手続きが必要になりますが、制度を活用すれば、対象となる労働者は時間の使い方の制約を受けず、「所定の業務を終えたら勤務時間内でも帰宅できる」など、自分の裁量で働けるようになります。

6.勤務間インターバル制度の普及促進(大企業・中小企業ともに2019年4月~)

前日の終業時刻から翌日の始業時刻までの間に、一定のインターバルを確保する取り組みです。

たとえば前日に残業で退勤が遅くなった従業員には、翌日の始業時間の繰り下げを認めるなどの対応を行う必要があります。

従業員に十分な休息を取らせて、心身の負担を軽減させるのが狙いです。

7.産業医・産業保健機能の強化(大企業・中小企業ともに2019年4月~)

産業医や産業保健機能に対する権限や情報提供を充実・強化させる取り組みです。

独立性・中立性の高い産業医が面接指導や健康診断等を行い、従業員の心身の健康維持に努めます。

事業者は産業医による労働者の健康管理の内容を衛生員会に報告する義務を負います。

8.残業の割増賃金率の引き上げ(中小企業:2023年4月~)

従来は、月60時間を超える残業に対し、大手企業は50%、中小企業は25%の割増賃金を支払う規定になっていました。

働き方改革施行後は、月60時間を超える残業について、中小企業も大手企業と同じく50%の割増賃金を支払うことになります。

9.正規雇用者・非正規雇用者間の待遇差の解消(大企業:2020年4月~ 中小企業:2021年4月~)

非正規雇用労働者(パートタイムや有期雇用労働者、派遣労働者など)の職務内容や人事異動の範囲が正規雇用労働者と同一である場合、待遇に差をつけることは禁じられます。

派遣労働者の場合も、派遣先の正規雇用労働者と業務内容が同一であれば、同等またはそれ以上の待遇を確保しなければなりません。

10.待遇差に関する説明義務の強化(大企業:2020年4月~ 中小企業:2021年4月~)

非正規雇用労働者は、正規雇用労働者との間の待遇差について、事業主に説明を求めることができます。

非正規雇用労働者への説明は事業主の義務であり、不当にこれを拒否することはできません。

11.行政指導・裁判外紛争解決手続の整備(大企業:2020年4月~ 中小企業:2021年4月~)

業務内容が同一であるにもかかわらず、非正規雇用労働者と正規雇用労働者の間に待遇の格差が生じた場合、「裁判外紛争解決手続(行政ADR)」を利用することができます。

行政ADRでは、無料かつ非公開の場で、都道府県労働局の支援を受けながら紛争解決を目指すことが可能です。

また、都道府県労働局による行政指導の規定も整備・強化されます。

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働き方改革の取り組み事例を紹介

働き方改革への取り組み方は企業によってさまざまですが、ここでは3つの柱をもとに、具体的な取り組み事例を5つご紹介します。
これから働き方改革に取り組む方や、自社が抱える課題の解消方法を模索されている方は、ぜひ参考になさってください。

1.出産・育児のサポート制度

女性の社会進出が活発になっている現代において、夫婦共働きはごく一般的なスタイルとなりつつあります。
しかし、「育児は女性がするもの」という風潮が根強い日本では、一度妊娠・出産で職場を離れると、社会復帰しにくいのが実状です。
妊娠・出産で職場を離れてしまう女性の年齢は20代前半~40代前半までに集中しており、キャリアを積んだ女性社員に離職されるのは企業にとって大きな痛手です。[※注6]

[※注6]厚生労働省/平成30年雇用動向調査結果の概況[pdf]https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/19-2/dl/gaikyou.pdf

そこで近年、多くの企業が導入しているのが、出産・育児をサポートする制度です。
たとえば事業所内に保育所を設立して親子で出勤できるようにしたり、育児休暇を取得した女性の職位を保障したりする制度を導入すれば、出産・育児で一時的に休職した女性も、職場に復帰しやすくなります。
既存の女性社員の離職を防ぐと同時に、「女性が働きやすい職場」として対外アピールできるため、女性社員の新規雇用確保にもつながります。

2.介護との両立を支援

少子高齢化が進む現代日本では、親や祖父母の介護に携わる人が増えてきています。
介護は心身への負担が大きいことに加え、経済的な問題で介護福祉施設への入居が叶わない場合、身内が自宅で介護や看護を行わなければなりません。
そのため、40代~50代という働き盛りの年代が、体力的・時間的な問題でやむなく離職するケースも目立ちます。[※注7]

[※注7]厚生労働省/平成30年雇用動向調査結果の概況[pdf]https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/19-2/dl/gaikyou.pdf

そんな介護離職の問題を防ぐには、時短勤務やフレックス制の導入が有効です。
訪問介護サービスや、デイサービスを利用している間だけ勤務し、サービスの終了時間に合わせて退社できるよう勤務時間を調整すれば、介護と仕事を両立しやすくなります。
また、ある企業では、従業員の介護問題を企業全体の問題ととらえ、介護体験セミナーや介護ボランティア活動などを実施しています。
介護への漠然とした不安・悩みを払拭すると同時に、介護問題を相談しやすい環境を作ることで、介護離職の防止に取り組んでいます。

3.テレワーク制度の導入

育児や介護に携わっている方は、朝に出社し、夕方に退社するという定刻通りの出勤スタイルを続けるのは困難です。
既存従業員はもちろん、働く意欲のある方も、自宅を長時間離れるのが難しいという理由で、なかなか仕事に就けない、戻れないという現実があります。
そんな問題を解消する手段として、近年注目を集めているのがテレワークの導入です。
従業員が自宅でパソコンやインターネットなど必要な環境を整え、在宅で仕事できるようになれば、育児や介護中の人も自分のペースやライフスタイルに合わせて働けるようになります。
ただ、テレワークでは業務時間の管理が難しく、業務量で評価するパターンが主流ですので、テレワーク専用の就業規則やマニュアルを設けるといった工夫や準備が必要です。

4.定年年齢の引き上げ・再雇用

日本では、生産年齢を15~64歳と定義し、それ以降の年代は「高齢者」に分類しています。
しかし、現代は医療の発達や健康への正しい理解の広まりなどにより、心身ともに自立し、健康的に生活できる「健康寿命」が延びてきています。

日本における健康寿命は、男性約72歳、女性約74歳といずれも70歳を超えており、60歳で定年退職を迎えた後も、現役として社会で活躍できる人は少なくありません。[※注8]

[※注8]公益財団法人 生命保険文化センター/健康寿命とはどのようなもの?https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/oldage/3.html

少子高齢化が進む日本では、今後高齢者の人口がどんどん増えていくことが予想されますので、定年制の見直しや、高齢者の再雇用を検討しておくのもひとつの方法です。
ただ、高齢者は現役世代に比べて身体能力や体力が低下していますので、任せる業務の内容や、勤務時間には十分配慮しなければなりません。
ベテラン社員ならではの知識や経験をもとに、新人社員の教育を任せるなど、適材適所の人員配置を意識すれば、シニア社員にとっても既存の従業員にとってもウィンウィンの環境を作り上げられるでしょう。

5.有給休暇を取得しやすい職場づくり

「休まずバリバリ働くこと」を良しとしてきた日本では、労働者の権利である年次有給休暇の取得すら満足に言い出せない状況にあります。
働き方改革の施行により、年次有給休暇が10日以上の労働者には、毎年5日、時季を指定して休暇を与えることが義務づけられましたが、周囲に気兼ねしたり、遠慮したりしながら休暇を取得しても、素直に喜ぶことはできません。
従業員が快く権利を行使できるよう、気楽に有給休暇を取得しやすい環境を作ることが大切です。
ある企業では、年次有給休暇の取得を促進するため、有給休暇の取得を義務づけると共に、事前に休暇取得計画を提出させたり、休暇取得の目標を設定させたりする取り組みを行っています。
一方で、経営陣から有給休暇の取得を促すメッセージを配信し、「有給休暇は取得して当たり前」の意識を定着させるなど、独自に工夫をこらしています。

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働き方改革に取り組む時は助成金を活用しよう

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働き方改革への取り組みは、法令の遵守および企業の労働生産性アップに欠かせないものですが、新たな制度や施設の整備・導入にはそれなりのコストがかかります。

従業員数が301~1,000名の中小企業は、大手企業ほどの資金力がなく、かつ300名以下の小規模事業者に比べると取り組みが大がかりになりやすいせいか、全体の2割以上が働き方改革の推進における課題として「予算確保・コスト負担」を挙げているともいわれます。
そこで国では、働き方改革に取り組む中小企業事業主を対象に、各種助成金の給付を行っています。
ここでは働き方改革の取り組みに活用できる助成金を3つご紹介します。

1.働き方改革推進支援助成金

労働時間の縮小や年次有給休暇の取得促進のための環境整備等に取り組む中小企業に対し、実費の一部を助成する制度です。
支給対象となる事業主の要件を満たし、かつ支給対象となる10個の取り組みのうち、1つ以上実施していれば、取り組みの実施に要した経費の一部を助成してもらえます。

2.業務改善助成金

中小企業・小規模事業者の事業場内で最も低い賃金の引き上げを支援する制度です。
機械設備やPOSシステムの導入などを行い、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合、設備投資にかかった費用の一部を助成してもらえます。
助成金の上限額はコース区分によって異なりますが、最大で450万円の助成を受けることも可能となっており、既存従業員の待遇改善に取り組みたい企業におすすめです。

3.キャリアアップ助成金

パートタイム労働者や有期契約労働者、派遣労働者など、いわゆる非正規雇用労働者のキャリアアップ促進のためにかかった費用を助成する制度です。
たとえば非正規雇用労働者を正社員に転換したり、賃金規定等を改訂したりした場合に、コースや助成内容に応じた助成金が支給されます。
非正規雇用労働者のキャリアアップ施策により、実際に生産性の向上が認められた場合は助成金が上乗せされるため、非正規雇用労働者の待遇改善や、労働生産性向上に取り組む企業に適した制度となっています。

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まとめ 働き方改革への取り組みは、企業と労働者の両方にメリットがある

まとめ 働き方改革への取り組みは、企業と労働者の両方にメリットがある

働き方改革は、すべての企業が遵守しなければならない法律であると同時に、企業と労働者の双方にメリットのある取り組みでもあります。

少子高齢化にともなう生産年齢人口の減少や、長時間労働の常態化、介護離職、出産・育児を経験した女性の社会復帰の難しさなど、現代日本を取り巻くさまざまな問題に焦点を当て、すべての労働者が働きやすい社会を作るための施策・指針が盛り込まれています。

日本社会の働き手不足は、今後ますます深刻化することが予測されていますので、今働いている人や、働く意欲のある人が自分のペースに合わせて無理なく働けるよう、積極的に働き方改革に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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