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極限状態におけるリーダーのあるべき姿とは?リーダーの役割を徹底解説!

パンデミックの中、世界中で「リーダーシップ」の価値が問い直されています。
国はもちろん、多くの会社や個人が難しい決定を強いられています。

休業するか? リモートワークするか? 解雇するか? いっそのこと廃業するのか? どうやって顧客の安全を守るか?

人々の心理状態が悪化し、先がまったく見えない中で、物事を素早く決定し、チームをまとめるのは並大抵のことではありません。

極限状態に置かれると、集団は一気に混乱に陥ります。

極端な言説に走る人、デマを広める人、私利私欲に走る人、パニックになる人と、いろんな人が出てくるからです。
先が見えない、なんのセオリーも前例もない中で、みんなをまとめてリーダーシップを発揮するのは難しい。
今回は、最も過酷な状況を生き抜いた歴史の人々に学んでみます。

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もっとも過酷な状況とは?

 

有史以来、人類はさまざまな危機を乗り越えてきました。
例えばこんな状況ではどうでしょうか。

乗っていた飛行機が雪山に墜落。
あなたと仲間たちは奇跡的に生き残りました。
パイロットは死亡し、現在位置もわからない。
当局は悪天候のため捜索を打ち切ってしまいました。

冬服も、登山の道具もありません。
食料はわずかで、周囲には雪しかない。
しかも、高山の薄い空気の中で、怪我をしている数十人の仲間と、医療品もない中、一緒に生き抜かなければならないとしたら?

こんな強烈な状況を生き抜き、有名になったのが、ウルグアイのビジネスマンであるナンド・パラードです。

彼は、1972年、ウルグアイからチリに仲間と一緒にラグビーの遠征旅行に行く途中、飛行機の墜落事故に遭います。
アンデス山脈の4200mという高地です。

彼は頭蓋骨骨折し、しばらく意識不明で死にかけていました。
その後、意識を取り戻し、飛行機の残骸の中で70日を生き抜き、最後は10日間かけて自力でアンデス山脈を越えて脱出します。
さらに、自らヘリに乗り、最終的に生き残った16人の仲間を救出することに成功しました。

食料がなかったため、仲間の肉を食べ、猟奇的な面ばかり取り沙汰されるこの事件ですが、二回も映画化され、書籍にされました。

彼らの書籍を注意深く読んでみると、生き残った本質は彼らのチームワークにあります。

ナンドは後日、ビジネスマンとして成功し、現在ではリーダーシップを教えるスピーカーとして有名です。
彼は「僕はとても若いときに、人生で何が大事かを学べた。それはラッキーだった」と話しています。

 

過酷な環境ではチームワークが全て

 

ナンドは「生き抜いたのはチームワークのおかげ」とTED[1]で言っています。過酷な環境ではパニックになって仲間割れが始まるとあっという間にチームは崩れます。

彼は、墜落して3日間は頭蓋骨を骨折し、昏睡状態でした。
さらに事故で母親を失い、妹も怪我をして亡くなってしまいます。
ほとんど自暴自棄になっていた彼ですが、そんな中、当時のリーダーであったラグビー部のキャプテンが、彼を励まします。

「賢くなれ。自分を無駄にするな。僕たちはチームだ。そして僕たちには君が必要だ」[2]と。

ところが、キャプテンはあまりに「救出」に望みをかけすぎていました。
「必ず助けがくるはずだ」という彼の強い信念は、「捜索が中止になった」というラジオのニュースによりポッキリ、折れてしまいます。

その後、なぜ怪我が酷かったナンドがリーダーになったのでしょうか。
彼は自身の「西へ脱出しよう」という計画が、最終的に皆に希望を持たせたからではないかと語っています。

ナンドさんはリーダーは恐れてはいけない、といいます。

「リーダーはリーダーになるように生まれついているわけではなく、途中でスキルを伸ばします。行動によって彼らは成長するのです。これは今日のビジネスマンにとって重要な教訓です。経験と実行、そして結果があなたをリーダーにするのです」[3]

 

リーダーは構成員を注意深く観察し、大事にする

 

実際に取材した書籍や彼の手記[4]には、「チーム」の重要さがあちこちに出てきます。

最初のリーダーだったキャプテンは少年たちを「怪我をしている者」と「元気な者」にわけ、それぞれに仕事を与えます。
仕事の始まりは、遺体を飛行機から運び出し、壊れた飛行機の間口を塞ぎ、寒さを防ぐためにトランクを重ねてバリケードを作ることでした。

みな、高山の薄い空気の中でフラフラになりながら、リーダーに従います。

その後も、医療を学ぶ学生が医者となり、電気工事が得意な人がラジオを組み立て、裁縫が得意な人が遠征用の寝袋を作り、一番体力と精神力がある人が遠征に行ってるわけです。
そうでない人も、他人を笑わせたり、人を明るい気持ちにさせたりしています。

後半では、ナンドが、一人ひとりの少年たちの得意・不得意をじっくり観察し、人を注意深く選んでいることがわかります。

とくに最後にアンデス越えの危険な登山にのぞむときは、精神的・肉体的なタフさは重要でした。

真のリーダーは、チーム全体が機能するために、各メンバーが経験に貢献できるようにするそうです。

 「私たちはお互いに協力的で、利己的ではありませんでした、それは非常に重要なことです。アンデスにいたときほどチームでうまく働いたことがありませんでした」と彼は言います。[5]

 

リーダーの役割は「決定を下す」こと

 

とはいえ、揉めごとは出てきます。
少ない情報、数少ない食べ物の配布、寒くない場所で寝る権利、死体を食べても生き抜くべきか?
働くものと働かないものの間で、緊張感が高まったこともありました。

全員が、恐怖と絶望に支配されている極限状態では、強力なリーダーシップがないと、チームが上手く纏まらなくなります。

山から降りるかどうするかを決めるときにも、
「装備も知識もないのに無理だ」
「ここを動かない方がいい」
「自殺行為だ」
といろんな意見が出るのです。

危機が迫っている場合は、民主的に多数決で決めることが、必ずしも良いとはかぎりません。

ナンドは、自力で山の頂上を越え、脱出する計画を皆に話します。
最初は「無茶だ」と、ほとんど同意を得られなかったのですが、捜索打ち切りをラジオで知った辺りから、皆の空気が変わり始め、ついに「遠征隊」を作ることになります。
この遠征隊のために皆が協力するのです。

彼らは屈強なラグビーチームのメンバーですが、登山の経験はありません。
そんな中、何度も遠征し、山の厳しさや生き残るためのレッスンを少しずつ習得していきます。

 

絶望的になるメンバーを励ます

 

最後には二人が彼に同行することを決めてくれます。

その10日、飛行機の残骸で作った寝袋とありったけの衣類、少量の食料を持って、遠征隊二人は山をひたすら西の方角に向かいます。

しかし酸素も、山の装具も、まともな服すらありません。
彼らの国ウルグアイは平坦で、山登りの経験も大してない上、雪をみるのが初めてというメンバーもいたほどです。

地図もなければ、登山道具もない、現在地もわからないままの山行は、「もう無理だ」という絶望との闘いだったようです。
そもそも事故の原因は、パイロットが現在地を見誤ったことにありました。

視界を隔てていた山頂にようやく登頂。
そこに期待していた緑の谷ではなく、雪山の山脈が見えたとき、全員がガッカリします。

しかし、ナンドは、
「死ぬなら歩きながら死のう」
「必ず緑の谷に出られるはずだ」
とチームを励まし、できるだけ先のことを考えないようにしながら、目の前の氷に取り組んでいきます。

そして、なんと9日も歩き続け、最終的にチリの村にたどり着くのです。最初に人の痕跡である空きスープ缶を見つけ、蹄鉄が見え、「助かった」と理解します。

「民主的に決定を下すことがうまく作用することもあります。しかしときにグループで決断するのが難しいこともあります。そんなときは、誰かが決定しなければなりません」[6]

方向を示し、全員をまとめて同じ方向に向けるのがリーダーの力です。
未曾有の状況では、歴史が教えてくれることがたくさんあるのです。

この事例から何を学び、そして今のコロナ危機にどう活かすか。
それぞれの立場で、お考えになってみてはいかがでしょうか。

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参照

[1] 出典 TED (英語)
https://www.youtube.com/watch?v=yd0V_6fgDcA
[2]出典:書籍「Alive: The Story of the Andes Survivors (English Edition) 」(英語)
[3]出典:「The Andes Accident official site」 (英語)http://www.viven.com.uy/571/eng/EntParrado102001.asp
[4]出典:書籍「Miracle In The Andes: 72 Days on the Mountain and My Long Trek Home (English Edition) Kindle版」
[5]出典:The Andes Accident official site  (英語)
http://www.viven.com.uy/571/eng/EntParrado102001.asp
[6]出典:The Andes Accident official site  (英語)http://www.viven.com.uy/571/eng/EntParrado102001.asp

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