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離職率が高い会社の特徴とは?傾向と対策について

離職率の高い会社の特長

社員が離職してしまうと、新たに人材を探すために非常に多くの時間と手間がかかってしまうことになります。

ひとたび、社員が「辞めたい」と意思表示してしまうと、たとえ慰留して一時的に思いとどまらせたとしても、一度「辞める」と言ってしまった手前、何かのタイミングで再度退職を申し出る可能性が高まります。

したがって、「会社を辞めます」と社員が言い出す前に対処することがとても重要になってきます。

この記事では、離職率が高い会社の特徴を挙げ、「退職を未然に防ぐために何ができるか」についてお話ししていきます。

離職率とは?

ここで、そもそもの「離職率」の意味について正確に把握しておきましょう。

ニュースなどで流れる「離職率」は、厚生労働省が定義する「常用労働者(週に20時間以上働き、1年を超えて雇用される見込みの者)」に着目し、「離職率=離職者÷1月1日現在の常用労働者数×100%」の式で計算します。

つまり、「1月1日現在時点で在籍している常用労働者」がその後一定期間(「1年」や「3年」など)が経過した時点でどれだけ辞めたかを計算したものです。

もともと1年未満で退職する予定の短期雇用者や労働時間が週20時間未満のアルバイトなどは計算から除外されています。

離職率は業界別や性別・年代別に数字が出ているので、統計上の数字と自社の離職率を性別・年齢ごとに比較していくと、自社の離職率が業界の平均値と比較してどの程度の水準なのかを把握することも可能です。

関連記事:離職率の計算方法を具体的に解説【離職率を下げる方法も紹介】

若手の離職率が増加傾向にある背景

「最近の若手社員は根性がない」などの声が聞かれることもありますが、若い世代を中心に、離職率が高まっている傾向があるのは事実のようです。

ただ、それは根性の問題というよりは、終身雇用を前提としたキャリア観が変化し、「いくつもの会社を経験しながら個人の能力を高めていく」というキャリア観が広まりつつあることが背景にあります。

さらに、労働者の価値観の変化を受けて、転職の仲介に関わるエージェントは格段に増えた上に、企業の間でも中途採用者への窓口を広げている状況です(実際、若い世代のみならず、ミドル世代でも転職者の割合は従来より高まっています)。

かつてであれば、「一時的に会社や仕事に不満があっても、耐えて会社に寄り添っていくことで報われる」という価値観でした。

しかし、現在では転職エージェントを中心に「会社や仕事が自分に合わないと感じれば、我慢せずに辞めるべき」「自分に合った会社を探そう」というスローガンを掲げるようになり、労働者側にもこの価値観が浸透しつつあります。

また、例え会社に強い不満がなかったとしても、「転職してキャリアアップする」という感覚で会社を辞めるという離職理由も珍しいものではなくなってきました。

したがって、会社側としては社員が不満や違和感を溜め込むことのないようこまめに気遣うつつ、会社に長期的にコミットすることのメリットについて絶えずアピールする努力を重ねなければ、社員の長期的なコミットメントを維持することが難しくなりつつあります。

関連記事:日本企業の離職率の平均はどれくらい?【離職率を改善する方法も紹介】

社員の離職率が高まる3つの要因

社員の離職率が高い会社には共通点があるようです。

ここでは、社員が定着しにくい会社にありがちな「社員が離れる要因」についてお話ししていきます。

関連記事:離職率の高い・低い業界ランキングTOP5!【共通点も紹介】

1.直属の上司との関係に問題がある

特に新入社員にとって、直属の上司は会社を辞める原因の筆頭と言って過言ではありません。

新入社員の立場からすれば、どれだけ上司に不満を抱いていたとしても、指示をあおいだり報告をする必要があるので、苦痛が蓄積していくことになります。

たとえ会社全体が新人を大切に扱おうと努力していたとしても、直属の上司一人が新人をないがしろにしている状況が続けば、それだけで会社全体での努力は水の泡と化してしまいかねません。

「こんな会社辞めてしまいたい」と決意する理由の中でも最も代表的なものといえるでしょう。

逆に、業務に不慣れであったりストレスを感じてしまっている状況であっても、直属の上司との関係さえ良好であれば、踏みとどまってくれる可能性は高まります。

ゆえに、新人と直属の上司との関係が良好かどうか、上司側の接し方が適切かどうかは会社側が絶えずチェックし続けなければなりません。

(特に日本企業の場合)社員の側から会社へ上司の不満を伝えてくる事は稀なので、会社側から積極的に確認することが重要です。

2.公正性に欠けた人事評価制度

業績以外の要素で人事評価を左右されていると感じると、社員は不満を抱きやすくなります。

たとえば、飲み会をはじめとした社内イベントへの参加が少ないことが原因で人事評価が不利になっていると感じさせたり、上司と親密な関係にある社員が優遇されていると感じさせる雰囲気が職場にあると、社員側は不満に感じます。

仮に評価側がえこひいきを一切せず、業績のみに基づいた公正な評価をしたとしても、低い評価をつけられた一部の社員が「公正な評価でないのでは?」と疑念を持つこともあるかもしれません。

そういったことを避けるためにも、少なくとも実際に公正さを欠いた扱いが行われないよう徹底することが重要です。

3.長期的なキャリアプランが見えない

近年は良好な人間関係や十分な給料だけでは満足せず、「スキルの向上」「キャリアアップ」といった面を重視する上昇志向の強い労働者も増えつつあります。

いわゆる「失われた30年」の間に、かつては絶対的に安全視されてきた大企業が凋落していく様子を目の当たりにして、「企業に頼らず、個の力を高める」ことが多くのビジネスパーソンにとっての新たな正解となりつつあります。

特に、いわゆる「衰退産業」と呼ばれる業界に属している会社の場合、意識の高い若手社員が離れやすい傾向にあります。

たとえ衰退産業の中にあって比較的業績が安定している“ホワイト企業”であっても、成長志向の強い人材ほど「今はよくても将来はどうなるか分からない」と考え、転職に向けた準備を検討するケースが多くなっています。

ゆえに、業績の安定や福利厚生の充実、人間関係の安定などといった「安心感」を与えるだけでなく、「自社だからこそのキャリアプラン」を提示し、成長意識が高い人材にも長期在籍してもらうことに魅力を感じてもらう試みが必要です。

離職率を抑えるための3つの対策

以下では、離職率を低く抑えるために取り組むべき具体的な対策についてお話ししていきます。

関連記事:離職者を減らす誤解や錯覚の取り除き方

1.人事評価の透明化

社員から「この会社の人事評価は公正だ」と感じてもらうために、人事評価の数値を渡す時期に評価対象の社員と上席との面談を実施します。

人事評価を数値化したものだけを渡されても、社員がその評価に納得していない場合、会社に対する不満を溜め込んでしまう可能性がありますが、上席との面談を通じて数値の根拠を伝えることで、不満を緩和する効果を期待できます。

面談の際のポイントは、「この数値を改善するためにこれからどうすべきか」と未来に目を向けさせることで、人事評価の中に低い数値が含まれていても「自分の将来のことをきちんと考えてくれているんだ」と感じてもらうことです。

ただし、社員の側が面談を「説教される時間」と感じるようになってしまっては逆効果になるので、フィードバックをする上司の側が高圧的と感じられる態度をとってしまわないよう、十分に注意する必要があります。

2.社員へのヒアリングを定期的に実施

社員が会社を退職しようと考えるに至る、最大の原因はやはり「上司への不満」です。

ゆえに、直属の上司ではなく会社自体が「社員にヒアリングし、不満を持っていないかどうかを引き出す」ことが極めて重要です。

特に会社に入ったばかりの新入社員はただでさえ社内での地位が低いこともあり、直属の上司との折り合いが悪いと会社全体に不満を感じてしまいがちです。

第三者から見れば一見良好な関係に見えても、新入社員と一対一で話を聞くと「実は上司との関係にストレスを感じていて・・・」ということは往々にしてあります。

社員に対しては、遠慮して不満を隠すことがないよう、人事部などのヒアリング担当者のほうから「上司に対して不満とかはない?」というふうに水を向けておくなどの工夫をしたいところです。

また、ヒアリングの結果、上司側の指導方法や社員との関係に問題がある可能性があると判断した場合には、必要に応じて上司との面談もセッティングする必要があります。

3.長期的なキャリアプランの提示

不満が原因ではなく、成長欲求や将来性への意識が高いゆえに会社を退職しようと考える社員を踏みとどまらせるためには、「社員が成長できる環境」であると感じてもらうことが大切です。

たとえば、今いる社員の中でも花形のプレーヤーに関する社内インタビューなどを実施し、社内で発信するなど、「この人のようになりたい」という憧れの社員像を掲げることで、社員の在籍意欲を高めることに成功している会社もあります。

他にも、社内公募による希望部者への異動制度なども、キャリア意識の高い社員にとっての魅力となるので、検討してみるべきでしょう。

まとめ

離職率が高い会社には、やはりある程度の共通点があります。

上司にあたる社員の問題や、会社の人事制度の問題など、「社員が不満を持ちやすい環境」があることも一つの要因です。

しかし、社員のタイプによっては「不満はなくても“キャリアアップ”のために転職を考える」こともあるので、そうしたキャリア意識の高い社員にとっても魅力を感じてもらえる社内環境を整えることが大切です。

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