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離職率の計算方法を具体的に解説【離職率を下げる方法も紹介】

離職率の計算方法

就職活動で企業情報を見る際に必ず確認するのが離職率です。

求職者は離職率を見ることで「この企業がどのような労働環境なのか」を推測します。

では具体的に、離職率はどのように計算し、どのように扱うのがいいのでしょうか。

本記事では離職率の計算方法を徹底的に解説していきます。

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離職率とは?

離職率とは、従業員全体の中でどれだけの離職者が出ているかを示す割合のことを指します。

ただし、厳密な算出規定があるわけではありません。

一般的には、一定期間内の離職者数を元に、離職率を算出します。

また、一見すると離職率は、高ければ高いほど悪い印象を抱きます。

しかし人材の流動性を高める動きがある現代では、必ずしも悪い数字というわけではありません。

単純に離職率が低ければ低い方が良いというわけではなくなっているので、しっかり見極める必要があるでしょう。

関連記事:離職率とは?計算方法や平均値、離職率の高い企業、低い企業の特徴を解説!

離職率の計算方法は複数存在する

離職率には厳密な算出規定があるわけではありません。複数存在します。

ここでは、各組織や使用目的に応じた計算方法を紹介していきます。

厚生労働省の計算方法

最も指標にすべきだと考えられるのが厚生労働省の計算方法です。

厚生労働省は年に2回「雇用動向調査」を実施しており、そこで離職率を算出しています。

計算方法は「離職者数 ÷ 1月1日現在の常用労働者数 × 100(%)」です。

例えば離職者数が10人で、1月1日現在の常用労働者数が550人だとすると「10 ÷ 550 × 100」で、約1.82%となります。

企業の計算方法

企業の計算方法は、厚生労働省の計算方法とは少し異なります。

厚生労働省の計算方法は「1月1日現在」というように、起算日が定められていました。

一方で企業は、起算日を自社で自由に設定することができます。

例えば「1月1日」ではなく「6月1日」にすることができます。

また、離職者数を算出する「一定期間」も企業側で自由に設定できます。

例えば離職率を算出する期間を「1年間」にすることもできれば「半年間」にすることもできるのです。

先ほども述べたように、離職率を計算するのに厳格な規定はありません。

ただし一般的に、離職率を提示する際は、計算方法をキャプションとして追記しておくのがベターです。

3年以内離職率の計算方法

では、就職活動でよく見受けられる「3年以内離職率」は、どのように算出されるのでしょうか。

これは、一定期間を「3年間」に設定することで算出可能です。

例えば2018年4月1日時点で新卒社員が20人いるとして、3年以内に2人離職したとします。

この場合の3年以内離職率は「2人(3年以内の離職者数) ÷ 20人(2018年度の新卒社員) × 100」で10%です。

なお、今回の例は2018年度の新卒社員の3年以内離職率であり、全社員の離職率ではないことに注意してください。

定着率の計算方法

離職率と一緒に覚えておきたい数字として、定着率が挙げられます。

定着率とは、どれだけの従業員が残っているかを示す割合のことです。

計算方法は「100% − 離職率」となります。

人事情報をプレゼンする際に、離職率と定着率を使い分けることで、印象を大きく操作できます。

覚えておいて損はないでしょう。

離職率をある程度操作できる点に注意!

離職率は、ある程度操作することが可能です。

「意図的に起算日をずらすことで離職率を一時的に低下させる」という芸当もできます。

そのため、他社の離職率を参照する際は、どのような方法で計算しているかを十分に確認しましょう。

もし計算方法を提示していないようであれば、その離職率はあまり参考にならないかもしれません。

平均勤続年数と平均離職率

ここでは、離職率の参考として、日本企業の平均勤続年数と平均離職率を紹介していきます。

まず平均勤続年数についてです。

厚生労働省が発表した令和2年度の「賃金構造基本統計調査」によると、労働者の平均勤続年数は11.9年となっています。

仮に一生涯の勤続年数が40年だとすると、3、4回は転職する計算になりそうです。

次に平均離職率についてです。

厚生労働省が発表した令和3年度の「雇用動向調査結果」によると、平均離職率の推移は以下の通りとなっています。

  • 2017年:14.9%
  • 2018年:14.6%
  • 2019年:15.6%
  • 2020年:14.2%
  • 2021年:14.0%

以上の通り、近年の平均離職率は14〜15%で推移しているようです。

関連記事:日本企業の離職率の平均はどれくらい?【離職率を改善する方法も紹介】

離職率の高い企業の特徴

離職率の高い企業の特徴は以下の3つです。

  • 労働環境が悪い
  • 人材の流動性が高い
  • 実力主義の傾向が強い

それぞれ解説していきます。

関連記事:退職理由ランキングTOP5!本音と建前はどう違う?社員の離職防止策も解説!

労働環境が悪い

離職率の高い企業は、労働環境が悪い傾向にあります。

具体的には、以下のような労働環境が挙げられるでしょう。

  • 業務内容が過酷な割に給与が低い
  • 休みが非常に少ない
  • 不規則な勤務体系が続く

上記のような労働環境で長く働きたいという人は、あまりいないでしょう。

実際に労働環境の悪い業種としては、接客業が挙げられます。

接客業は、消費者が休みとなる平日夜や土日の出勤が多いです。

また、あくまでも事業の歯車として使われることが多いため、単純作業が多く、かつ給与が低い傾向にあります。

人材の流動性が高い

離職率の高い企業の特徴として、人材の流動性が高い点が挙げられます。

離職率が高いということは、それだけ人材が動いているということなので、人材の流動性が高いのは当然です。

なお、人材の流動性が高いということは、必ずしも悪いことだとは言えません。

一般的に、流動性が高ければ高いほど、価格は市場価格に近づきます。

つまり、流動性の高い職場は、給与が適正なものに近づいている可能性が高いということです。

また、変化の激しい現代社会では流動性が高まっているため、企業の生存戦略として、人材の流動性を高める動きが顕著になっています。

その点を踏まえると、離職率が高いということは、決して悪いことだとは言えなさそうです。

実力主義の傾向が強い

離職率の高い企業は、実力主義の傾向が強いと言えます。

具体的な業界を挙げると、IT業界、コンサル業界、金融業界は、実力主義の傾向が強く、かつ離職率も高いです。

これらの業界は、実力に応じて給与が決定されます。

そのため、自身の給与に納得のいかない従業員が、キャリアアップのために転職するということが、当たり前のように行われているのです。

また、IT業界やコンサル業界などは、将来的に独立する人材が多い業界だと言えます。

必ずしもネガティブなものではなく、将来を見据えて退職する従業員が多いということでしょう。

離職率の低い企業の特徴

離職率の低い企業の特徴は以下の3つです。

  • 労働環境が良い傾向がある
  • 人材の流動性が低い
  • 社内業務がマンネリ化している傾向がある

それぞれ解説していきます。

労働環境が良い傾向がある

離職率の低い企業は、労働環境が良い傾向にあります。

なぜなら離職率が低いということは、従業員が現状の労働環境に満足しているからです。

良好な労働環境の具体例としては以下が挙げられます。

  • 人間関係のトラブルがない
  • ワークライフバランスが整っている
  • 業績に見合った給与が提示される

常に強い刺激を求める人材でない限り、上記のような労働環境は、非常に理想的なものです。

また、離職率が少ないために採用コストなどが削減され、その分の費用が福利厚生に回っているという好循環も形成されます。

人材の流動性が低い

離職率の低い企業は、人材の流動性が低い傾向にあります。

可能な限り転職したくない人材にとっては、人材の流動性が低い傾向にあることは、ありがたいことでしょう。

しかし成長意欲の高い人材からすると、人材の流動性が低い環境は、あまり魅力的ではありません。

また、人材の流動性が低い企業は、年功序列型の給与方式を採用してる可能性が高いです。

だからこそ、キャリアアップのために「若手社員が離職しない」という選択を選んでいる可能性があります。

これがはたして現代的かどうかは、何とも言えないところです。

社内業務がマンネリ化している傾向がある

離職率の低い企業は、人材の新陳代謝が促されないため、社内業務がマンネリ化している可能性があります。

良くも悪くも、変化が起きない環境ということです。

これがもし昭和の時代だったら、一定の業務内容であり続けることは良いことだったかもしれません。

しかし現代は、平成を飛び越えて、変化の激しい令和の時代です。

変化を拒む姿勢は、後になって足を引っ張ることになりかねません。

良くも悪くも、風通しの悪い職場環境になっている可能性が高いと言えます。

離職率を下げる方法5選

離職率は必ずしも高ければ高いほど悪いというわけではありません。

しかしイメージ的には、まだまだ離職率は「悪い指標」として見られています。

では、実際に離職率を計算した結果、あまり良い数字が出なかった場合、どのようにすれば離職率が低下するのでしょうか。

ここでは、離職率を下げる方法をまとめて紹介していきます。

具体的な手段は以下の通りです。

  • 退職理由をヒアリングする
  • 労働環境を改善する
  • 柔軟な働き方を提供する
  • 長期的なキャリア構築をサポートする
  • 従業員の自己裁量権を大きくする

それぞれ詳しく解説していきます。

退職理由をヒアリングする

まず、退職理由をしっかりヒアリングしましょう。

この際、建前の退職理由だけではなく、可能な限り本質的な理由を聞き出すのが有効です。

そのため、仕事上のヒアリングだけではなく、お酒の場を活用するのが良いかもしれません。

やはり原因が明らかになっていない状況では、どんなに優れた対策を打ち立てても意味がありません。

これから退職する従業員はもちろんのこと、以前退職した従業員にもアポを取って、退職理由をヒアリングするのが良いでしょう。

労働環境を改善する

退職理由の大半を占めるのが、従業員に合わない労働環境です。

ただし、一口に労働環境と言っても、複雑な要素が絡み合っていることがほとんどでしょう。

具体的には以下の要素が挙げられます。

  • 労働時間
  • 給与
  • 人間関係
  • 職場の雰囲気
  • 福利厚生
  • やりがい

特に、真っ先に改善しなければならないのが労働時間です。

パッションに満ち溢れているスタートアップでない限り、労働基準法の鉄則である「週5日の1日8時間労働」をまず守るようにしましょう。

タダ働きの残業は控えた方がいいです。

また、人間関係の改善にも着手しましょう。

この際、とにかく親睦を深めるのではなく、1人の時間を上手く作り出す方向で対策を考えた方がいいかもしれません。

オフィスのレイアウト設計でも、1人で業務に集中できる環境を用意するのがいいでしょう。

柔軟な働き方を提供する

実際に退職する理由として多いのが「出産」です。

もし出産による退職が多いのであれば、産休・育休の制度をしっかり整えるのがいいでしょう。

特に現代はジェンダー差別に敏感な時代なので、企業のブランディングも兼ねて、女性に優しい働き方を提供した方が無難です。

また、優秀な従業員に対しては、週3日労働やリモートワークなどの柔軟な勤務体系を提示すると良いでしょう。

長期的なキャリア構築をサポートする

離職率を低下させたい時に有効なのが、長期的なキャリア構築です。

「この会社に居続けてもキャリアアップが見込める」という印象を抱かせるのがいいでしょう。

具体的には、キャリアアップのための研修を無料で提供するのがいいかもしれません。

また、従業員のキャリアプランニングをサポートすることで、自社に長く留まってもらえるようになるかもしれません。

離職率を低下させたいのであれば、一蓮托生の精神で、人材育成に力を入れた方がいいでしょう。

従業員の自己裁量権を大きくする

神戸大学社会システムイノベーションセンターが2万人を対象に実施したアンケートによると、所得や学歴よりも「自己決定」が、幸福に強い影響を与えていることがわかっています。

どういうことかというと、良好な労働環境で毎日を過ごすよりも、自分の意志で自分の行動を決定づけられることが、幸福に繋がるということです。

このデータを活用するのであれば、従業員の自己裁量権を大きくするのがいいでしょう。

業務の意思決定権の大半を、部下に与えるのです。もちろん何かあった時の責任も、部下に取ってもらいます。

このように自己裁量権を大きくすることができれば、従業員が主体的に行動し、同時にやりがいを感じるようになるはずです。

まとめ

それでは本記事をまとめていきます。

  • 離職率は従業員全体の中でどれだけの離職者が出ているかを示す割合のこと
  • 離職率の計算方法は自社で決定することができる
  • 離職率は必ずしも低い方がいいわけではないが、やはり離職率が高いと印象が悪い

離職率を提示する際は、必ず計算方法を提示するようにしましょう。

離職率は意図的に操作できる数字なので、具体的にどのような数字を用いてどのように計算したかをしっかり示さなければ、信用してもらえません。

採用のミスマッチを避けるためにも、オープンな形で離職率を計算するようにしましょう。

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