人材採用において、より優秀な人材を確保することは重要なミッションです。
しかし、採用活動においては条件や勤務内容などのミスマッチが発生したり、採用方法によってはコストが高くなったりすることが大きな課題です。
その中でもリファラル採用は、従来の採用手法よりもミスマッチが少なく、コストを抑えつつ優秀な人材を確保できることから、注目を集めています。
この記事では、リファラル採用の定義とメリット・デメリットについて解説します。
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目次
リファラル採用の定義とは?
リファラル採用とは、自社の従業員や関係者に友人・知人などを紹介してもらう採用方法です。
リファラル(Refferal)は「紹介」「推薦」といった意味で、主に欧米諸国の採用活動で取り入れられています。
転職サイトに募集を出したりするような従来の採用方法では希望する人材が確保できなかったり、採用コストが高くなったりするといった課題がありました。
そのため、採用活動における課題を解決できるリファラル採用を取り入れる企業が増えています。
関連記事:リファラル採用の目的と重要なポイントとは?費用や実施方法も解説
リファラル採用と他の採用方法との違いは?
ここでは、リファラル採用と他の採用方法との違いについて解説します。
縁故採用
リファラル採用と似た採用方法に「縁故採用」があります。
縁故採用とは主に、社長や経営幹部、関係者の親族、取引先などから紹介してもらう採用方法です。
いわゆる「コネ入社」で、紹介の時点で採用を前提にしているのが特徴です。
リファラル採用との大きな違いは2つあります。
1つ目は、縁故採用はあくまで人間関係がきっかけで紹介を受けるのに対して、リファラル採用は優秀な人材を確保するために戦略を立てて実施する採用活動です。
2つ目は、縁故採用では被紹介者に対して選考や採用試験などは実施せず、本人のスキルや性格と自社との相性はあまり考慮しません。
一方で、リファラル採用は選考や採用試験を実施し、被紹介者と自社との相性を判断した上で、採用するか否かを決定します。
そのため、縁故採用はリファラル採用よりも人材のミスマッチが起こりやすいでしょう。
求人サイトからの採用
求人サイトからの採用は、サイトに自社の求人を掲載して、転職活動をしている人たちに見てもらう方法です。
不特定多数の人に認知してもらえる一方で、掲載費や採用した際に費用がかかります。
また、自社が求める人材だけにターゲットを絞れないので、ミスマッチが起きやすいというデメリットがあります。
一方で、リファラル採用は、求人サイトを経由しないため掲載コストなどが発生せず、直接やりとりすることからミスマッチのリスクも回避しやすくなります。
転職エージェントからの採用
転職エージェントとは、転職活動をしている人と企業の間に、転職を専門としたエージェントが入る採用方法です。
登録者に対して、エージェントがおすすめの企業の紹介から、面接対策や書類の添削といった採用に向けたさまざまなサポートをします。
企業が転職エージェントを使って人材を募集する場合、掲載費やエージェントへの手数料などを負担しなければなりません。
また、間にエージェントが入るため、候補者と接触するまでに時間がかります。
それに対して、リファラル採用では掲載費や手数料はかからず、すぐに候補者と接触できます。
ハローワークからの採用
ハローワークからの採用は、求人掲載費も採用時の手数料もかかりません。
ハローワークが直接、転職活動中の求職者に紹介するため、認知度を高められます。
ただしハローワーク主導で紹介するため、自社が求める人材にターゲットを絞れないことに加え、求職者側にスキルのバラツキがあるため、ミスマッチが起こる可能性が高いです。
また、管轄地域にしか求人が載せられないこと、広告文にフォーマットがあるため他者との差別化が難しいなどのデメリットもあります。
一方でリファラル採用は、自社に合ったスキルや特性を持った人に絞って採用活動ができるため、ミスマッチを最小限にできるのです。
従業員からの紹介のため、自社の魅力を候補者に伝えやすく他社との差別化も図れます。
自社サイトからの採用
自社サイトで求人を掲載する採用方法です。掲載費も手数料もかからないため、採用コストを削減できます。
しかし、自社サイトを検索した人にしか応募してもらえず、別の媒体と併用して自社の認知度を高めなければ人材確保が困難です。
一方でリファラル採用は、従業員の人脈を使って認知度を高められるため、検索に依存せず訴求できます。
リファラル採用のメリット
ここでは、リファラル採用を取り入れる3つのメリットをご紹介します。
- 採用コストを削減できる
- 自社の理想にマッチした人材を確保できる
- 転職活動をしていない人にもアプローチできる
採用コストを削減できる
求人誌やサイトに求人を掲載する方法では、その際に費用や手数料がかかりますが、リファラル採用ではそういった費用は発生しません。
必要なコストは、従業員に対するインセンティブのみです。
インセンティブは自社で設定するので、追加でかかる費用もなく、採用コストを大幅に削減できます。
関連記事:【導入設計】インセンティブ制度とは?メリットや具体例を徹底解説!
自社の理想にマッチした人材を確保できる
さまざまな求人媒体での採用活動は認知度を高められますが、不特定多数の人から応募があるため、自社に合っていない人からの応募が増えてしまう可能性もあります。
リファラル採用は、自社の理想にマッチした人材にターゲットを絞って採用活動を実施できます。
従業員は候補者が採用されればインセンティブを獲得できるため、優秀な人材を紹介してくれる可能性が高まり、ミスマッチのリスクを下げられるのです。
転職活動をしていない人にもアプローチできる
求人サイトやハローワークに登録する人は、すぐに転職したい人がほとんどです。
転職を考えていない人や、今はまだ転職活動していない人にはアプローチできません。
しかし、リファラル採用は「将来的には転職したい」「今は特に転職は考えていないが良い会社があれば仕事を変えたい」と思っているような潜在層にもアプローチできるのです。
社員のアプローチによって自社に興味を持つ人も少なくありません。
他社にいる優秀な人材を集められるので、効率的に採用活動ができます。
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リファラル採用のデメリット
リファラル採用は、さまざまなメリットを享受できる反面、問題点もあります。
ここでは、リファラル採用のデメリットを2つご紹介します。
紹介者と被紹介者の人間関係への配慮が必要
リファラル採用の候補者は、従業員の人間関係の中から紹介されます。
そのため、不採用だった場合に「紹介で選考を受けたのにおかしい」「紹介したのにインセンティブがもらえなかった」などの理由で、人間関係が悪化してしまうことがあるのです。
評価基準の差異や役職の違いなどで、双方のモチベーションが低下してしまう場合もあります。
ほかにも、同じ価値観の人ばかりが集まることで人材が同質化してしまうリスクや、採用された人が辞めづらいなどの問題もあるため、人間関係への配慮が必要です。
採用までに時間がかかる
紹介者である従業員は自分の仕事があるため、休日や終業後などの空いた時間を利用して候補者を探さなければなりません。
また、現職者にアプローチできるメリットはありますが、内定を出しても、本人が会社を説得したり退職の手続きをしたりする必要があるため、採用、入社までに時間がかかります。
リファラル採用の課題解決策とは?
リファラル採用における課題の解決策は、従業員や候補者が納得できる仕組みをつくることです。
採用した場合は双方にインセンティブを設けたり、スキルや会社への貢献度などを数値化して評価制度を可視化させたりするのが良いでしょう。
不採用の場合は、なぜ採用しなかったのか双方に伝えることで、人間関係の悪化を防げる場合があります。
また、従業員の負担も軽減させる必要があります。
プライベートの時間を使って候補者を探す必要があるため、リファラル活動の日を特別に設けたり、リファラル成功時に報奨金を用意するなどの仕組みを会社側が用意することも重要です。
リファラル採用の効果を上げるために、専用ツールやアプリを使うのもおすすめです。
スマートフォンやPCでリファラル採用ができるツールで、候補者を簡単に紹介できたりデータ分析できたりするので、検討してみるのも良いでしょう。
まとめ
リファラル採用は、採用活動における課題を解決できるおすすめの採用方法です。
コスト削減や効率的に優秀な人材を確保できるなど、さまざまなメリットがあります。
デメリットもありますが、従業員と被紹介者が納得できるような仕組みづくりや専用ツールの導入などで、リファラル採用の効果を最大化させられるのです。
現状の採用活動に課題を抱えている場合は、リファラル採用の導入を検討してみてはいかがでしょうか。