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漫画「宇宙兄弟」に学ぶ現代社会の組織マネジメント術を徹底解説!

宇宙兄弟

『宇宙兄弟』は、2007年から漫画雑誌モーニングで連載中の「宇宙飛行士」を題材にした漫画です。

絶大な人気を誇り、アニメ化や実写映画化も行われています。

2022年にはJAXA(宇宙航空開発機構)が行った宇宙飛行士候補者募集とのコラボでも話題になりました。

宇宙兄弟は漫画としての面白さはもちろん、作中で登場するキャラクターの考え方やリーダーシップも魅力で、組織づくりにおいて参考になることばかりです。

本記事では、漫画「宇宙兄弟」の登場人物の発言や行動から組織マネジメント術を解説します。

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宇宙兄弟とは?ストーリーをあらすじと共に紹介【ネタバレあり】

本作品は主人公である「南波六太(なんばむった)」が弟「日々人(ひびと)」と小学生の時に結んだある1つの約束から始まります。

31歳の六太は自動車会社の設計士として働いていましたが、上司に頭突きしたことが原因で会社をクビになります。

前向きに転職活動を行うものの、頭突きをされた上司の圧力によって同業種での転職が難しくなっていました。

そんなある日、転職活動を行う六太のもとにJAXAから宇宙飛行士選抜試験の書類合格通知書が届きます。

これは、幼い頃に「お互い宇宙飛行士になる」という約束のために、すでに宇宙飛行士となっていた日々人の図らいによるものでした。

書類合格通知が届いたことで、幼い頃の夢を思い出した六太は、宇宙飛行士になることを再度目指し始めます。

宇宙兄弟が映画化されるほどの人気を博したのはなぜ?

宇宙兄弟はリーダー論やチームづくりについてビジネス書の題材にされるほど、現代のチームづくりで参考にできる内容が詰め込まれています。

宇宙飛行士選抜の第三次試験に挑んだ六太は、他4人の計5名と試練を乗り越えていました。

試験の最終日「5名の中から宇宙飛行士にふさわしい者を2名選べ」という最大の試練が与えられます。

暗い雰囲気でそれぞれが考える中、六太は「じゃんけんで決めよう」と提案します。

反対意見が上がるものの、六太は「じゃんけんを超える公平なものはない。グーみたいな奴がいて、チョキみたいな奴がいて、パーみたいな奴もいる。誰が一番強いか答えを知ってるやつはいるか?」と問い、全員を説得しました。

結果、六太は負けてしまいます。

チームメイトの個性は多様であれど、優劣をつけるものではないという六太の想い。

一度諦めた夢に向かって再度努力をしている六太への共感、そして、上記のようなチームマネジメントに通ずるセリフやストーリーが、社会人、特に現代のチームづくりを行う方の共感を誘い、人気に拍車がかかったのではないでしょうか。

漫画「宇宙兄弟」から多くの組織マネジメント術を学べる理由とは

宇宙飛行士は、1人で宇宙に行きミッションを完了させられるわけではありません。

同じチームの宇宙飛行士はもちろん、ロケットを作る方、飛ばす方、地上でサポートを行う管制塔の方など、数多くの方の仕事があり、宇宙飛行は成し遂げられます。

物語に登場する全てのキャラクターが「宇宙飛行」という1つの目的のために奮闘し、自分にできる方法で組織のためにできることを精一杯に行っています。

JAXAという大きな組織の中にあるいくつものチーム、各チームのリーダーや一員まで、組織全体の様子から1人1人の想いまで丁寧に描かれていることが、宇宙兄弟が組織マネジメント術に役立つ漫画であることの理由です。

注意点|マネジメントとリーダーシップは似て非なるもの

本記事では、組織の成果を上げる「マネジメント」と「リーダーシップ」にフォーカスして解説しています。

意味を混同しやすい2つの言葉ですが「目標に対してのアプローチ方法」に明確な違いがあります。

マネジメントとは、組織が成果を上げられるための方法を考え、管理する能力です。

長期的な目標を細かくして短期的な目標に落としこんだり、メンバーそれぞれの個性や特性に合わせたりした管理を行います。

一方、リーダーシップは組織の方向性を考え、ビジョンなどを明確にしメンバーを引っ張っていく能力です。

目標設定も重要ですが、メンバーに信頼される「誠実性」や将来を見通す「先見性」も必要です。

組織が成果を上げるという目的は同じですが、目的を達成するまでのアクションが異なっています。

関連記事:リーダーシップを発揮する方法とは?

宇宙兄弟のキャラクターに学ぶ新しい形の組織マネジメント術

宇宙兄弟で描かれている組織づくりやマネジメント、リーダーシップは、これまで是とされていた考え方とは大きく異なります。

物語の中には、

  • リーダーらしからぬキャラクターながら天性のリーダーシップを発揮する六太
  • ミスマッチ人材をあえて集めてチームを作らせた室長 ジェーソン・バトラー
  • 崩れたチームの再建を行うリーダー エディ・J

など、チームメイキングの核を担う様々なキャラクターが登場します。

それぞれのリーダーシップについて確認をしてみましょう。

リーダーの概念を覆す主人公・難波六太(ムッタ)の天性のリーダーシップ

一般的な組織では、リーダーが全ての権限を持ち、メンバーへ指示を行ったり方向性を考えたりするスタイルがとられています。

六太自身も従来のリーダー像を持ちながら業務に当たっていましたが、想定していた立ち振舞ができず、四苦八苦するシーンがあります。

しかし、六太は目の前の課題に全力を尽くし、リーダーとしての自信がないからこそ素直に人に助けを求めます。

加えて、敵を作らない姿勢を徹底しており、先輩宇宙飛行士であるビンセント・ボールドと自身の「敵」について語りあうシーンでは「俺の敵は、だいたい俺です」と答えました。

実際、愚直に自身と向き合いながら課題を解決していく姿は、周りの心を変えていき、六太を中心としてチームが動き始めていきます。

トップダウンの組織ではあり得なかった、今までの概念を覆す共創型のリーダーシップを、六太は天性の才として持っていたのです。

クセの強い人材を「あえて集める」采配を振ったジェーソン・バトラーのチームメイキング術

リーダーが円滑に仕事を行う上で行われることの1つに「協調性のあるメンバーでチームを組む」というものがあります。

しかし、NASA宇宙飛行士室長であるジェーソン・バトラーは、月面ミッションの正規クルーの控えを用意する際、宇宙飛行士の中でも異端児である5人を寄せ集め、チーム「ジョーカーズ」を編成しました。

考え方や人生経験、スキルがバラバラで、チームを組むのにはおよそ適していないメンバーです。

ただし、チームメイキングの観点からは問題解決能力や解釈の違いなど「多様性」のあるチームは化学反応を起こし、素晴らしいパフォーマンスを生み出す可能性があるといわれています。

当然、闇雲に個性が強いメンバーを集めればいいわけではありません。

どういう反応が起きるかを綿密に想定すること、想定した反応を起こし、まとめられるリーダーの抜擢が肝要です。

バトラーは、ベテラン宇宙飛行士エディ・Jをリーダーに抜擢しました。

結果、チームはまとまり、個性の強い5人の集まりは立派な「チーム」へと昇格したのです。

「多様性」のあるチームを成功へ導くためには、不確定要素の多いメンバーをまとめられるリーダーの存在が不可欠です。

関連記事:生産性と結果につながる「チームマネジメント」とは?実践方法も解説

「指示」ではなく「共に作る」エディ・Jのチームビルディング

従来のチームビルディングでは、あくまでトップダウン的な統制が行われ、リーダーが全ての権限を持ち統制を行ってきました。

一方、物語の中で、多様な個性を持つチーム「ジョーカーズ」のリーダーに選ばれたエディ・Jは、真逆の方法で統制を行っています。

当初ジョーカーズはランニングもペースをあわせず、バラバラに走っておりチームとしての団結力はありませんでした。

しかし、エディ・Jがリーダー就任後に行われたランニングでは、チーム全員で数キロ離れた場所へ移動し目標地点へ向かって走るというスタイルに変えました。

その際エディ・Jはメンバーに「目標時間ぴったりに到着する」という課題を課し、同じ目標に向かわせる工夫を行います。

時計はエディ・Jしか持っていないという条件も重なり、メンバーは必然的に全員が同じ速度で走ることになりました。

また、エディ・Jは直接的な指示を出すわけではなく「一緒に」「共に」などの言葉を多用します。

メンバーの上ではなく、同じ位置に立とうとする、新しい形のリーダーであることが伺えます。

関連記事:目標を達成する組織に必要なチームビルディングやマネジメントとは?

宇宙兄弟の名言から学ぶ、組織マネジメントの極意

宇宙兄弟では目標に向かって努力を続ける六太を始め、組織づくりを行うNASAやJAXAの上層部など、様々な立場のキャラクターが描かれています。

そのため、六太だけでなく様々な役職の方が発言しており、多くの名言を残しています。

ここからは、組織マネジメントを行う上で参考になる名言を見ていきましょう。

兄とは常に、弟の先を行ってなければならない。それが兄としての務め

物語の冒頭、兄の威厳を保つために六太が日々人に対して心の中で言う言葉です。

実際には先に宇宙飛行士になったのは日々人であり、先を越されている形になっていますが、作中では要所で似たような発言が何度もされています。

これはある意味、従来のトップダウン組織にありがちな発想ですが、真逆のキャラクター性でリーダーシップを発揮する六太でも、このような価値観を持っています。

もちろんチームによっては従来のリーダーの方が相性が良い場合もあり、リーダーたる人のキャラクター性によって、理想のリーダー像をコントロールすることも必要です。

情をはさむなってんならパソコンにでも決めさせりゃいい 人を選ぶのは結局「情」の部分でしょう

JAXA職員で、子供の頃つくば宇宙センターに訪れる六太と日々人を見守っていた星加正が、宇宙飛行士選抜試験で六太を不合格にしようとした職員へ向けての発言です。

チームづくりやリーダーを選出する際、能力が高い者を選べば必ずしも成功するわけではありません。

能力以外の部分で評価し「リーダーはこの人がよい」と感じる、つまりチームの感情にも着目する必要があります。

もちろん能力が高いことは悪いことではないため、感情だけで選んでいると結果が伴わないかもしれません。

組織づくりは、能力に加え人柄やチームとの相性など、バランスを考えながら決める必要がある、ということです。

もっといつもみたいに バラバラに走ってもいいんだぜ?

先述したチーム「ジョーカーズ」でランニング時にバラバラに走っていたクセの強いチームが初めて同じペース、方向を向いた際の発言です。

リーダーであるエディ・Jが仕向けたことではありますが、強制したわけではなく「そうするのが良い」とメンバーそれぞれが考えて行った結果です。

従来のリーダーであれば、指示を出し強制的に同じ方向を向かせることもあります。

しかし、指示を強制しているとメンバーにストレスがたまりチーム自体が崩壊する可能性も考えられます。

リーダーがきっかけを作り、自然と同じ方向を向かせられる状況、そしてメンバーそれぞれに「自分は自発的に動いている」と自覚・納得してもらえる状況を作ることが重要です。

まとめ|宇宙兄弟は現代の組織づくりを学べるマンガだった

宇宙兄弟は、一度諦めた夢に向かって再度努力をしている六太の姿が共感・感動を与えてくれるだけでなく、他の登場キャラクターの発言や行動から、現代の組織づくりを学ぶ多くのヒントが得られる作品です。

従来通りのチーム編成やリーダーシップでは上手くいかないことが増えてきたと感じる方は、現チームの問題点を洗い出してみましょう。

本記事を参考にした「新しい組織づくり」で解決できるかもしれません。

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