上司のやるべきことは、部下と仲良くすることや、雰囲気のよい職場環境をつくることではありません。部下に結果を出させて、稼ぐ力を身に付けさせることです。
そのために、上司は成長できる環境を部下に用意し、目標を与え、部下を管理していかなければなりません。本記事で具体的なやり方をお伝えします。
目次
ルールを定めて部下を自由にする
上司は、自組織を勝利に導く責任があります。そのために、チームとしての目標や、各メンバーの役割、目標を明確にし、そこに向けて一切の迷いがなくなる環境の整備が必要です。それを理解せぬままマネジメントを行ってしまうと、結果的に部下を成長させることができず、嫌われる上司となってしまうのです。
「赤信号は止まる。青信号は進む」
上記は、皆さんも当たり前のように理解している交通ルールでしょう。信号機がなかったら、あるいは赤は止まる、青は進むのようにルールが定まっていなかったらどのようなことが起きるでしょうか。
間違いなく事故は増えるでしょうし、車に乗る人はスムーズに運転できなくなるはずです。このようなことが起きないように、世の中にはルールが定められています。ルールがあるからこそ、我々はこのようなリスクを考えずに自由に生活できるのです。
皆さんの組織のなかで交通事故は起きていないでしょうか。部下を自由にするあまり、統制が取れなくなってしまったなどという事態になっていないでしょうか。
上司が行うべき管理は、組織内で事故が起きないようにルールを定め、ルール通りできているか取り締まりをすることです。例えば、1日の終わりに業務報告を上司が部下に求めていたとします。部下全員できているでしょうか。
上司:「業務報告まだではないですか」
部下:「今から出そうと思っていました」
このような会話が発生していないでしょうか。または、「彼は最近業務多忙だから今日は提出を求めずに帰らせよう」などという対応をしてはいないでしょうか。
絶対にダメです。
上司の役割は、「1日の業務報告は〇時までに完了すること」というようにルールを定め、1分でも過ぎたのであれば指摘をし、取り締まることです。そうでなければ、統制が取れず、ルールがルールでなくなってしまいます。
よくあるケースは、
・Aさんは業績がよく、Aさんに指摘をすると反発されるからとAさんには甘くする。
・BさんやCさんにはいつも声を荒げて指摘をする。
このようなことを繰り返すことで、BさんやCさんは疑念を持ち、組織の雰囲気は悪くなってしまいます。上司は、個別対応するのではなく、ルールをマネジメントしていく。この感覚を身に付けてください。
「頑張っている姿を評価してあげたい」は危険
ルールをマネジメントし、個別対応をなくした後は、明確な評価をしましょう。好き嫌いや感覚で評価するのではなく、正しく客観的に評価することを徹底していく必要があります。つまり、プロセス、経過、頑張りを評価するのではなく、結果だけを評価するのです。
結果が出ていない部下の頑張りを評価したとしましょう。確かに部下は、「この上司は、私のことをしっかりと見てくれている」とか「よい上司だ」と思うかもしれません。
しかし、よく考えてみてください。結果が出ていないのですよ。この部下の給料の財源はどこから持ってくるのでしょうか。
また、結果でなくても過程や頑張りを評価してくれると部下側が認識してしまったら、どのようなことが起きるでしょうか。目の前の目標が困難であればあるほど、すぐに諦め、しまいには頑張りアピールをし始め、残業しながら頑張っているふりをする可能性も考えられます。
そうなったら、組織としても結果が出なくなり、部下のためを思い経過を評価していた上司が、更に上の上司からは結果を出せない上司と言うことで評価されず、減給・降格となることも考えられるのではないでしょうか。
結果のみを評価することが最終的には皆の幸せにつながります。現在、部下の経過を評価しているのであれば、ぜひこの機会に見直してみてください。
成長とはできなかったことができるようになること
成長とは、「できなかったことができるようになる」ことです。つまり人は、できないことを認識し、改善した結果、できるようになることで成長していきます。そのために上司は、明確な目標を設定する必要があります。
目標は簡単でも難しすぎても駄目です。その人が一歩踏み出さなければできないような目標を設定することが上司に求められます。目標を設定したら、その目標に向けて実行させましょう。
期日を迎えたときに結果は出るため、〇であればそのまま進めさせれば問題ありません。×だったときに到達できなかった原因を分析させて、次の目標への改善点を明らかにし、実行させることで、できるようになっていきます。
できなかったことができるようになった瞬間、人は達成感や自己肯定感に溢れます。これが繰り返されることでモチベーションは高まり、また頑張ろうと次の目標に向かっていくのです。
ここで上司が手を貸したり、感情的に怒鳴ったりすることでこの成長感は激減していきます。上司はルールを定め、交通整備をしたら、部下に目標を与え、ゴール時点で〇×を判断し、次に向けた行動変化を出させ承認し実行させる、これに徹してください。
自身の目標と向き合い続けることで人は成長していき、結果的にできなかったことができるようになり、個人の成果が最大化され、上司が受け持つ組織の成果も最大化していくのです。