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部下にルールを守らせるためには

管理職になると、チームの方針をルールという形で作る場面が増えてきます。現場の管理職の方に話を聞いていると、

「部下がルールを守らないんです」

「何回、注意しても直らないので、諦めてます」

「そもそも、ルールなんて、ない方がよいのでは」

などと悪戦苦闘している声が聞こえてきます。これを見ている皆さんも、同じように悩んだ経験があるかもしれません。今回はこうした悩みの解決方法をお伝えします。

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そもそもルールって必要?

皆さんは、「ルール」という言葉を聞いて、どんな印象を持ちますか。

「窮屈」「縛られる」「面倒」といったネガティブな印象を抱く人が多いのではないでしょうか。

一方で「自由」という言葉にはどんな印象がありますか。「伸び伸びできる」や「気が楽」といった、ポジティブなイメージがあるでしょう。

では、想像してみてください。急遽、明日から道路交通法がなくなったとします。そして、国土交通省から「皆さん、自由に運転してください」というアナウンスがありました。

どうでしょうか。晴れ晴れした気分で運転ができそうでしょうか。

信号機がなくなりますので、大半の人は周りから車が来ないかを今まで以上に慎重に確認して運転するはずです。

事故を起こしてしまったら、信号無視、スピード違反などのルールもありませんので、誰が悪いのか判断できず、当事者同士の言い争いが多発するでしょう。

同様に、刑法から窃盗罪について定めた個所の記述がなくなったとします。

すると、自宅に泥棒が入っても、「盗む方が悪い」のか「盗まれた方が悪い」のか、意見分かれるでしょう。なぜなら、法律という基準がなく個人の主観になるからです。日々安心して過ごすなど土台無理な話です。

ルールは「縛る」ものではありません。むしろ、ルールが適用される人たちを「守る」ものということができます。

二つのルール

では、どんなルールを設ければよいでしょうか。最初に考えるポイントは、ルールの種類を以下の二つに分類することです。

①人によって、できるできないが存在しないルール

②人によって、できるできないが存在するルール

まずは、①は、挨拶や整理整頓、身だしなみなどであり、②は売り上げや継続率、採用数など、能力が関係するものです。よく、この二種類のルールを混同しているケースがあるため、注意してください。

その上で、ルールの設定の仕方が重要です。

例えば、整理整頓をルールにしたのに部下が全然守れていないということがあります。これは、上司と部下の間で整理整頓の定義がずれていることに原因があります。綺麗好きな人とルーズな人が整理整頓した部屋を想像すれば、お分かりいただけるかもしれません。

このとき、注意しなければならないことがあります。それは、「整理整頓しました」と報告に来た部下に対して、上司が「全然駄目じゃないか。普通はもっとこうするだろ、やり直し!」などと感情的に指摘してはならないということです。

部下としては、「自分なりに整理整頓したのに、怒られるなんて心外だ」と上司に嫌悪感を抱く恐れがあります。

これを防ぐために、ルール設定の際には、「期限」と「状態」を明確にしましょう。

整理整頓であれば「退社時には、机の上に何も置かない」といった形にすれば、社員の間でずれは生じません。このように、合格かどうか部下が迷わないようなルールの設定は上司の役目です。

ルール策定後に重要なこと

さあ、ルールができました。これで一安心、ではありません。この後、どんな問題が発生するでしょうか。

そうです、形骸化です。これまで、「ルールはあります」という会社はたくさん見てきましたが、形骸化してしまっている会社も非常にたくさんありました。なぜ、ルールが意味をなさなくなってしまうのでしょうか。

「ルールが明文化されていない」とか「どこにルールが載っているか分からない」も原因としてありますが、最も大きな原因は「ルールを守らなくても指摘されない」です。

部下はルールを守らずに許された経験が何度もあると、「ルールは守らなくてもいいんだ。自分の気の向いたときだけ守ろう。

今日は上司の機嫌が悪そうだから守っておこう」と、ルールを守るかどうかの選択権が自分にあると勘違いしてしまいます。

部下がそんな態度を取る原因は、ほかでもない上司にあります。それゆえ、管理職の皆さんは、部下が会社に所属している以上、できるできないが存在しないルールを守らないことを許してはなりません。

部下がルールを守らないときは

ルールを明文化し、認識がずれないように整え、上司が何度指摘しても、ルールを守らない部下がいるという相談もよくあります。

この場合は、特定の部下に対する管理を強化します。

すなわち、一度に多くのルールを守らせようとはせず、上司が特に守らせたいルールに限定し、それを日々部下から「完了しました」と報告させます。本来は全てのルールを守らなければならないのですが、このようなケースでは、ルールの数を絞って、とにかく100%遵守させるという状態を継続することが、今後のマネジメントに効いてきます。

ほかには、会社として指定されたルールの違反者チェックを一定期間行い、違反が多い社員には都度上司から指摘及び改善策を報告させるなどの対策も有効です。

部下がルールを守れない理由を、ついつい部下側の責任だと考えてしまいますが、実は、ルールが曖昧だったり、指摘できていなかったりするなど、上司側の責任ということも多くあります。

その点を理解した上で、今回ご紹介した内容を実践してもらえたらと思います。

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