近年、転職サイトや人事領域において「HR」という言葉をよく見聞きするようになりました。
労働人口の減少による人材獲得競争の激化や、新型コロナウイルスの感染拡大によるリモートワークの普及、働き方改革の推進など、さまざまな変化を背景に、HRへの注目が年々高まっているのです。
しかし、「HRとは?」という質問に明確に答えられる人は多くありません。
そこで本記事ではHRについて、
- 概要
- 人事部との違い
- 役割
- 業務内容
- 今後のトレンドや動き
などを解説していきます。
目次
HRとは
HRとは、「Human Resource」の頭文字をとった言葉です。
「Human Resource」とは「人的資源」という意味で、「人材」のことを指しています。
企業経営において欠かせない代表的なリソースは「ヒト・モノ・カネ・情報・時間・知的財産」が挙げられますが、なかでももっとも重要なものは「ヒト」、すなわち「人材」です。
このような背景から「HR」という言葉が生まれました。
関連記事:「ヒトモノカネ」「情報」は経営とマネジメントに必須!組織が成長するために必要なこととは?
人材に関する領域全般を指す
人材に関する領域全般を指して「HR業界」や「HR」と呼ばれることがあります。
「人材業界」は一般的に人材採用に関連するものを指しますが、「HR業界」や「HR」という場合は人材採用のみならず、人事や人材教育、人材配置など人材に関わる内容全般を指しています。
HRの目的や役割とは
HRは企業において単一の「機能」というよりも、「使命」や「ミッション」として語られるケースも少なくありません。
具体的には、労務管理や人材育成といった一面だけではなく、企業に貢献するためにどのように人的資源を活用するかを考えて、人材戦略を策定・実行することがHRのミッションとなります。
HRは「ヒト・モノ・カネ・情報」などのリソースのうち、「ヒト」を徹底的に活用するという役割を担う部署ともいえるでしょう。
HRと人事部はどのように違う?
HRはその内容から「人事部」と混同されがちですが、どちらも異なる意味を持っているため注意しなければなりません。
人事部は、企業において人材の処遇に関わる部門を指しています。
採用や人材育成などが人事部門の代表的な業務であり、日本においては「人材を管理することで、企業を支援する立場」という認識が一般的です。
一方でHRは、特定の部門や業務を指す言葉ではありません。
HRは、企業経営において重要な人的資源を有効活用することを指しており、これにより企業に貢献する施策を実施するという意味合いがあります。
HR業務の領域とは
HR業務の領域は幅広く、人的資源に関することはほぼ全てカバーしています。
ここではどのような業務があるのかをみていきましょう。
人事戦略の策定と実行
従業員のパフォーマンスを最大化して事業活動を進めていくには、人事戦略を立てることが重要です。
戦略に必要な人材や人数はどのくらいかという採用計画から、それぞれの部門の人員調整を行う配置転換、幹部候補となる人材を育成する人材開発計画などが含まれます。
経営戦略を部門別の戦略に落とし込み、人的資源の観点からどのような戦略が求められるのかを検討し、策定・実行することがHR業務の1つです。
関連記事:戦略人事が注目される理由とは?そのメリットや役割、経営戦略と違いのを解説
人材採用
正社員やパートタイマー、アルバイトなど人材採用に関する内容もHR業務の1つです。
経営戦略に沿った人材要件の調整から、採用人数の決定、理想的な人物像の設定、採用プロセスの検討と実施、内定者フォローなど、採用といってもそのなかには幅広い業務があります。
人材育成
HRでは、ただ企業が求める人材を集めるのではなく、人的資源の価値を最大化する必要があります。
つまり、採用した後に人材育成を行い、事業活動により貢献できるようにしなければなりません。
採用時はポテンシャルの高さを見込まれていた人材でも、育成を疎かにしたことでパフォーマンスを発揮できなかったり、意欲が低下したりするという失敗を避けなければなりません。
関連記事:人材育成とは?役割や必要なスキル、課題などを事例も含めて解説!
HRテックとは
HRという言葉に並んで「HRテック」という言葉を見聞きすることはありませんか?
HRテックとは、「HR」に「Technology(技術)」を組み合わせてできた言葉です。
最近は、人工知能やビッグデータの解析技術などの先端テクノロジーが急速に発展していることから、あらゆる分野で「フィンテック」や「エドテック」という言葉が誕生しています。
HRテックはITによって人事業務の効率化をする技術
HRテックとは、先端テクノロジーを活用して人材育成や採用活動などの人事領域全般の業務を効率化・生産性向上を目指す技術のことです。
蓄積したデータを人工知能を用いて解析することで新たな知見やナレッジを生み出し、それを人事業務に活かすことで新たな価値を創出できます。
このように、テクノロジーによってHRの業務の課題解決を行ったり、人的資源の強化を行うサービスや技術がHRテックです。
関連記事:HRテックツールとは?導入のポイントやメリット、注目の理由を解説
まとめ:HRテックを正しく活用しよう
HRテックは今後もしばらくトレンドとなることでしょう。
WEB3領域とHRテックが融合する未来は、もうそこまできています。