労働法規とは、労働者を守ることや地位の向上を目的に規定される法律の総称です。
労働基準法をはじめ、労働者に関する法律は多岐にわたり、企業は正しく理解しておかなければなりません。
そこで本記事では労働法規について
- 概要
- 労働基準や労働保険、労働市場に関する法律
- 企業が注意するべきこと
を解説していきます。
目次
労働法規とは?
労働法規とは、労働者や労働に関する規定を定めた法律の総称です。
主には下記の「労働三法」が挙げられます。
- 労働基準法
- 労働組合法
- 労働関係調整法
重要性
労働法規の重要性は、労働者を保護し、地位の向上を目指す点にあります。
企業と労働者が結ぶ契約は、原則として双方の合意によって決定します。
しかし、一般的に労働者は企業に対して立場が弱く、不利な条件の契約になる可能性があります。
そのため、賃金や労働時間について最低基準を定めた法律が必要なのです。
関連記事:労働基準法とは?基本的な要点・ポイントをわかりやすく解説
労働者を雇用する際に注意するべきポイント
企業が労働者を雇用する際に最低限知っておくべきポイントをみていきましょう。
労働契約の締結時
企業が労働者を雇用する際は、労働条件を書面で示さなければなりません(労基法第15条)。
また、下記のような事項を含む労働契約は禁じられているため、注意する必要があります。
- 労働契約に違反した際に違約金を支払わせることや、その金額を定めること
- 賃金を前貸しして、毎月の給与から差し引く形で返済させる
- 労働者から積み立てるお金を強制的に徴収する
関連記事:労働契約法とは?ポイントや目的、労働基準法・就業規則との関係を解説
就業規則
就業規則に記載する事項は、下記の2種類があります。
項目 | 内容 |
絶対的記載事項 | 必ず記載する必要がある事項。
などが挙げられる。 |
相対的記載事項 | 企業が任意で記載する事項。
などが挙げられる。 |
労働基準における労働法規とは
労働基準とは、労働者を守るために定められた最低基準のことです。
労働基準における代表的な労働法規とその内容は、下記のようになっています。
労働法規 | 内容 |
労働基準法 | 下記のような労働条件に関する最低基準を定めている。
|
労働安全衛生法 | 職場における労働者の安全と健康を確保し、快適な職場づくりを目的とした法律。
事業者は下記の危険に対策措置を講じなければならない。
|
最低賃金法 | 企業は、国が定めた最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度。 |
労働契約法 | 労使間の合意によって労働契約が結ばれ、適宜変更されることで、双方の良好な関係を目指す法律。 |
男女雇用機会均等法 | 労働者が性別によって差別されることなく、男女ともに平等に扱うことを定めた法律。
企業は労働者を募集・採用する際に性別をとわず均等な機会を与えることが義務付けられている。 |
育児・介護休業法 | 雇用形態を問わず、育児・介護が必要になった際に、仕事と両立できるように支援することを目的とした法律。 |
(参考:労働基準に関する法制度丨厚生労働省)
(参考:労働安全衛生法とは丨一般社団法人 安全衛生マネジメント協会)
(参考:最低賃金制度とは丨厚生労働省)
(参考:労働契約法のあらまし丨厚生労働省)
(参考:雇用における男女の均等な機会と待遇の確保のために丨厚生労働省)
(参考:育児・介護休業法について丨厚生労働省)
関連記事:育児・介護休業法とは?改正のポイントや取得率向上のメリット・デメリットを解説
労働保険における労働法規とは
労働保険における労働法規とその内容は、下記のようになっています。
労働法規 | 内容 |
労働者災害補償保険法 | いわゆる「労災保険」。
業務中や通勤中の出来事に起因する労働者の傷病等に対する保険給付を行い、社会復帰の促進を目指す制度。 |
雇用保険法 | 労働者の生活・雇用の安定と就職の促進を目的に、失業者に対して失業等給付を支給する制度。 |
(参考:労災補償丨厚生労働省)
(参考:雇用保険制度丨厚生労働省)
関連記事:労働保険とは?対象者や加入・計算方法、労災・雇用保険の違いを解説
労働市場における労働法規とは
労働市場とは、労働力の取引が行われる市場のことです。
労働市場における労働法規は、下記のようになっています。
労働法規 | 内容 |
雇用対策法 | 完全雇用の達成を目的に、労働者の職業の安定や、経済・社会的地位の向上などを目指すための法律 |
職業安定法 | 求職者が職業に就けるように支援することや、企業が必要な労働力を確保できるように支援するための法律 |
労働者派遣法 | 派遣事情の健全な運営と、派遣労働者の雇用の安定などを目的とする法律。
何度も法改正されており、施行当初とは大きく内容が変わっているため注意が必要。 |
高年齢者雇用安定法 | 2012年の改正では労働者が65歳まで働けるような環境が整備され、2020年の改正では70歳まで就業機会を広げることが企業の努力義務となった。 |
(参考:労働者派遣法が改正されました丨厚生労働省)
(参考:高年齢者雇用安定法改正の概要丨厚生労働省)