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社員思いの社長がやりがちな誤った行動とは

社員が指示した内容とは違う動きをしている」

「常に社員のことを思っているが、社員が思うように育ってくれない」

「社員も頑張っていると思うが、自分の望む方向に会社が進んでいない」

それぞれの事象には異なる原因がありそうに思えますが、実は全て社長のマネジメントに原因があります。

社員に対してよかれと思ってやっていることが実は社員のパフォーマンスを落とし、会社の業績を下げてしまっているのです。

今回は、社長がやってしまいがちな五つの誤った行動をご紹介します。

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社員と同じ目線を持ってはならない

 「社長はいつまでも現場目線を持つべき。そのためには現場に出向き、社員の意見を率先して聞く必要がある」

一見正しいことのように聞こえるかもしれませんが、これは誤りです。

社長は現場ではなく市場に目を向け、会社をよりよい方向へ導かなければいけません。

「だからこそ、もっとも市場の近くで活動している現場の社員に話を聞くべきではないか」と思いがちですが、これも間違いです。

社員は会社の一部として市場にアクセスしているに過ぎず、どのようにアクセスするかは会社が与える業務で規定されています。

そのような立ち位置の社員は市場全体を見る視点を持っていませんので、社員の意見をそのまま聞き入れることは避けるべきなのです。

社長が現場の社員と同じような目線を持ち、市場全体を見渡せなくなると、会社が進むべき方向を見誤ることになってしまいます。

そうならないためには、管理職を通じて社員から情報を報告させ、社長はその情報をもとに常に市場全体を見渡せるポジションにいる必要があるのです。

社員の失敗を慰めたり原因を一緒に考えたりしない

社員の失敗を慰めたり原因を一緒に考えたりしていませんか?

これも社員思いの社長のように見えるかもしれませんが、実は逆で、社員のことを本当に考えていない社長ほどやってしまいがちなミスです。

仕事で失敗し、落ち込んでいる暇があるなら挽回のためのアイデアを考える時間を確保した方がよいですよね。

それなのに、社長が社員の失敗を慰めることは、失敗の意識を薄れさせ、挽回のためのアイデアを考える邪魔をすることになるのです。

原因を一緒に考えることもいけません。

挽回のアイデアを考えるには自分に落ち度がなかったかという失敗の原因分析をしっかり行うべきです。

経験量の多い社長が一緒に原因を考えると、おそらく社長から多くのアイデアが出ることになり、結果的に部下が自ら考え行動する経験を奪うことにつながります。

社員に成長する機会を失わせないためにも社長は社員の失敗には付き合わないのが正解です。

失敗した際は、励ましたりアイデアや答えを与えたりするのではなく、社員自らが原因分析し、挽回のアイデアを考えなければいけない環境を用意することこそが社長の仕事です。

社員に納得を求めない

社員に対し、仕事の意味や必要となる理由を延々と説明していませんか。

「社員が仕事に納得してくれず、取り組もうとしない」などという悩みを抱えていませんか。

もちろん仕事内容を伝えることは重要ですが、腹落ち、納得するまで説明する必要はありません。

なぜなら社長と現場社員では獲得している知識や経験の性質や量が異なるので、社長の理屈を社員が理解できることは少ないからです。

人は経験していないことは本質的に理解できないので、未経験の事柄を腹落ち納得させることは難しいでしょう。

そうならないためにも、いち早く経験させて、「なるほど、そういうことか」と本人自らに気付いてもらい理解してもらう方が正しい考え方です。

納得してから仕事をする習慣が付くと、納得しなければやらなくてもよいと勘違いを引き起こすことにもなり、初動までに時間がかかり、結果を出す上で逆効果になります。

ある程度説明した後は、社員に行動することを求めてください。

成長のため社員にはストレスを与えよう

成長とは、できなかったことができるようになることであり、そのためにはストレスが必要になります。

ストレスを避けていると、何事も今以上にできるようにはなりません。

例えば、ランニングでも今よりも長い距離を走れるようになるまでには負荷を感じながら走る時期が必要です。

そして、その負荷を感じなくなったときこそ長い距離を走る体力が身に付いた(成長できた)瞬間になります。

ルールの不備や人間関係、コミュニケーション上のストレスなど、排除しなければいけないストレスはありますが、そのようなストレスと区別し、成長のための負荷としてのストレスはしっかり社員に与えなければいけません。

長期的な視点から社員のためになる行動を選択しよう

人はそれぞれ別々の価値観や考え方を持っています。

その価値観を誰も否定することはできませんが、社員の多様性を優先することは組織内では誤った行動になるときがあります。

個人と同様に、組織にも固有の考え方があります。

会社にはもともと存続する目的があり、その目的達成ための一員として社員自らの考えで入社した以上、組織活動に参加している間は、個人は組織の目的達成の方向性に合わせなければいけません。

なぜなら、会社は集団であり、一つの集団の中で複数の価値観を同時に優先させることは不可能だからです。

組織活動中も個人の価値観を優先させることは会社の価値観を意識しにくくさせ、それぞれが利己的な行動をすることになり、結果的に組織の成果は最大化しません。

そのようにならないためにも、社員には組織の価値観を理解してもらい、会社から与えられた役割や目的達成の方向性の枠内で、自分の価値観や考え方を生かすという意識を持たせることが重要です。

社長が社員を思い良かれと思いやっている行動の中で、社員のパフォーマンスを下げる誤った5つ行動を紹介しました。

反対に社員が正しく行動するための社長の正しい行動は以下の5つです。

  • 社長の目線をキープする
  • 社員の失敗には付き合わない
  • 社員にはまず行動をさせる
  • 社員には成長のための負荷を与える
  • 社員には組織の価値観を理解してもらう

これらの正しい行動をする社長は一見すると、社員にとって厳しい社長に感じるかもしれません。

一方で、誤った行動をする社長は、現時点では、社員思いの優しい社長に映るかもしれません。

しかし、長期的にみると、誤った行動をする社長の下で働いた社員は成長できず、正しい行動をする社長の下で働いた社員は成長します。

社員の将来の成長につながる行動ができる人が、本当の意味で社員思いの社長と言えます。

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