将来のキャリアのために管理職を目指したいけど、どのような能力が求められているのかイマイチわからない、という人は多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、マネジメント職に求められる素養や能力について解説していきます。
ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
そもそもマネジメントとは?
そもそも、マネジメントとは一体どういう意味があるのでしょうか。
マネジメント論で有名な経営学者のピーター・ドラッカーは、マネジメントの意味を「組織に成果を上げさせるための道具、機能、機関」であると定義しています。
つまり、組織で成果を上げるための手法がマネジメントということになりそうです。
例えば、組織の生産性向上のための仕組みを作ったり、メンバーのパフォーマンスを引き出したり、成果を上げるための明確な目標を設定したりすることが、マネジメントと言えます。
マネジメント層の種類には何がある?
マネジメント層にあたる役職には、以下の3種類が挙げられます。
- 係長
- 課長
- 部長
それぞれ詳しく見ていきましょう。
係長
係長は、組織的な業務における最小単位である「係」の管理職です。
課長や部長に比べて現場での業務の割合が大きいため、チームの中でも最高の業務遂行能力が求められます。
チームの誰よりも難しい業務を引き受けるべきです。また、部下の指導もしっかり行います。
特に現場での業務の場合、何もわからない新入社員を指導することも珍しくないため、プロセスまで丁寧に指導する必要があるでしょう。
課長
課長は係長の一つ上の管理職だと言えます。
また、現場とトップの板挟みになることもあるので、中間管理職のひとつという解釈もできるでしょう。
課長以上になると、現場での業務遂行能力ではなくマネジメント能力が期待されるようになります。
トップの意見を現場に反映させつつ、現場の意見を抽出してトップに伝える業務も必要です。
部長
部長は課長よりもさらに経営サイドに近い職種です。
課長は戦略を適切に実行するマネジメント能力が求められますが、部長は戦略そのものを策定する力が必要となります。
そのため、意思決定力も必要となり、責任もより重大となるでしょう。
また、部長クラスになると外部との交渉も増えていきます。
時には億レベルの重要度の高い案件の責任者になる可能性もあるでしょう。
どちらにせよ、非常に高いマネジメント能力が求められます。
関連記事:中間管理職とは?役割や必要なスキル、優れたミドルマネジメントの育成方法を解説
マネジメント層に求められる3つの素養
マネジメント層に求められる3つの素養は以下の通りです。
- 責任感
- 部下をマネジメントする力
- 仕事をやり遂げる力
それぞれ紹介していきます。
責任感
マネジメント層は、プロジェクト全体の責任者になることが多いため、強い責任感が必要不可欠です。
また、部下のミスに対しても責任を取る必要があります。
そして、職位が高くなればなるほど、責任感も増していきます。
企業規模にもよりますが、部長クラスになると数百人レベルの部下を抱えることになることもあります。
その重圧に耐えられない人に管理職は厳しいでしょう。
そのため、マネジメント層には責任感だけでなく、器の大きさも必要になります。
責任者になってしまった以上、誰かに責任を押し付けることはできなくなるため、ミスを許容できる器の大きさが必要です。
部下をマネジメントする力
マネジメント層には、部下をマネジメントする力が必要となります。
アプローチとしては大きく2つ。
1つめは、とにかく数字を重視する方法です。
数字をベースに人材を配置したり、能力を数値化したりすることで部下をマネジメントしていきます。
数字という客観的な指標は、間違いなくマネジメントに役立つでしょう。
そしてもう1つのアプローチは、部下の意志を尊重する方法です。部下が何をやりたいのか、どのような働き方をしたいのかを尊重しながら、マネジメントを進める方法です。
これにより従業員エンゲージメントが高まり、結果的に数字が伸びる可能性もあります。
どちらにせよ、管理職は部下のパフォーマンスを最大化させるマネジメント能力が求められるといえます。
仕事をやり遂げる力
マネジメント層はプロジェクトの責任者になることが多いため、仕事をしっかりやり遂げる力が求められます。
現場で働く一般社員は目の前の仕事に集中させるべきなので、プロジェクト全体の進捗状況は管理者であるマネジメント層が担当すべきでしょう。
その中で仕事が間に合いそうでなければ、タスクの割り振りを変更したり、係長・課長であれば自らが業務に参加したりすることも考えられます。
マネジメント層に求められる能力
マネジメント層に求められる能力は、以下が挙げられます。
- コミュニケーション能力
- テクニカル能力
それぞれ詳しく見ていきましょう。
コミュニケーション能力
マネジメント層は、コミュニケーション能力が求められます。
ここで取り上げるコミュニケーション能力とは、会話術と同義ではありません。
自分の考えを適切な形で正しく伝え、逆に相手の考えをしっかり理解する必要があります。
くわえて、相手の意見・考えの意図を理解する能力も求められるでしょう。
また、マネジメント層は社内の部下だけでなく、社外のステークホルダーの方々と会話・交渉する機会も多く、多種多様な人々とやり取りする必要があります。
そのため、柔軟性のあるコミュニケーションが必要となるでしょう。
テクニカル能力
マネジメント層には、テクニカル能力が求められます。
テクニカル能力とは簡単に言えば業務遂行能力のことです。
また、テクニカル能力は以下の3つのスキルに区分されると言われています。
- 汎用スキル
- 専門スキル
- 特化スキル
汎用スキル
汎用スキルには、ビジネスマナーやPC操作が挙げられ、一般的に言われる社会人基礎力と同義だと考えていいでしょう。
社会人として必須なスキルですが、マネジメント層はさらに高い社会人基礎力が求められます。
専門スキル
次に、専門スキルは専門性の高いスキルのことを指します。
例えば、プログラミング、デザイン、会計などが挙げられるでしょう。
これらの専門性の高いスキルは、部署によってニーズが大きく変わります。
例えば経理部門であれば数字に強い必要がありますし、法務部門であれば法知識が豊富であることが求められるはずです。
そしてマネジメント層はそれらの部門でリーダーを努めなければならないので、一定以上の専門スキルが要求されます。
特化スキル
そして最後に特化スキルは、その業界においても追従することが難しいぐらいに特化したスキルです。
例えば製造業であれば、製造における基礎知識だけでなく、素材の特質、工場における生産方式の違い、海外製品の動向など、ネットでもそう簡単に見つからない非常にマニアックな知識がそれにあたります。
職位の高いマネジメント層になると、他の人にはないような人脈や知識が求められるので、可能な限り特化スキルを身につけておくべきです。
関連記事:管理職に求められる3つの能力と役割とは?魅力的な管理職になるために必要なことを解説!
部下マネジメントに役立つ3つの伝え方
マネジメントで役立つ情報伝達の手法は3つ挙げられます。
以下の通りです。
- 求める結果と期限を明確にする
- SMARTな目標にする
- 目を見て伝える(非言語部分にも気を付ける)
それぞれ詳しく解説していきます。
求める結果と期限を明確にする
まずは求める結果と期限を明確にする必要があります。
これがなくては、部下を動かすことはできません。
例えば「営業実績を向上させる」と言われても、どれほどの結果と期限なのかがわからないため、具体的な行動に移せません。
その一方で「年末までの営業実績を30%向上させる」であれば、結果と期限から逆算する形で適切な行動を導き出すことが可能です。
また、求める結果と期限がチーム全体で明確になっていれば、メンバー同士で自発的に協力するようになります。
その上、進捗状況を客観的に判断できるため、適切なタスク調整を実行することも可能です。
管理職に就いて、まず初めにやるべきことは結果と期限の明確化だといえます。
関連記事:目標管理とは?メリットとデメリット、取り入れる際のポイントやツールも紹介
SMARTな目標にする
目標を設定する際は「SMARTの法則」を心がけましょう。
SMARTの法則とは、米国で活躍していたコンサルタントであるジョージ・T・ドランが提唱したもので、以下の5つの要素で構成されています。
- Specific(具体的な)
- Measurable(測定可能な)
- Assignable(誰がやるのか割り当て可能な)
- Realistic(現実的な)
- Time-related(期限が明確な)
現在はRの部分が「Relevant(関連性のある)」となっていたりと一部内容が異なりますが、ジョージ本人が紹介した要素は以上5つです。
簡単にまとめてしまうと、SMARTの法則は『明確かつ実現可能な目標を設定すべき』としたものです。
SMARTな目標を設定しようと思うと、必然的に数字が必要になってくるでしょう。
また、自社がどのようなポジションに位置していて、どれだけのリソースを活用できるかを数値化しなければ、実現可能かどうかを測定することができません。
このように数字を活用して具体的な目標を設定することができれば、部下が自発的に業務スケジュールを組めるようになります。
目を見て伝える(非言語部分にも気を付ける)
部下に対して情報発信する場合は、しっかり目を見て伝えるようにしましょう。
コミュニケーションは、会話の内容だけではなく、印象がとても重要になるからです。
少しイメージしてみてください。こちらに目を合わせもせずに、ボソッとした声で上司から指示されても仕事のやる気が出ないはずです。
逆に、体をしっかりこちらに向けて、目を見ながら爽やかに話しかけてくれた方が、仕事のやる気が出ることでしょう。
このように会話や文字だけでなく、表情やボディランゲージを意識することで、情報の伝わり方が全く違ってきます。
目標達成のためにも、気持ちのいいコミュニケーションを意識していきましょう。
関連記事:非言語コミュニケーションとは?ビジネスへの活用法や具体例を解説
マネジメント層はプレイヤ―と争ってはならない
マネジメント層は、現場で業務をこなしていくプレイヤー層と争うべきではありません。
なぜならマネジメント層は、プレイヤー層の業務遂行によって存在価値が認められるからです。
そもそも、チームメンバーを効率的に動かすためにマネジメント層が必要なわけですから、その点を履き違えるべきではないでしょう。
それに加えて、感情的な論争は何も生みませんし、全く建設的ではありません。
もし現場のメンバーと意見が衝突してしまったら、一旦冷静になって、論理的な方法で妥協案を模索しましょう。
まとめ
それでは本記事をまとめていきます。
- マネジメントには責任感、部下をマネジメントする力、仕事をやり遂げる力の3つの素養が求められる
- マネジメントには高度なコミュニケーション能力とテクニカル能力が求められる
- 具体性のある目標を設定することで、メンバーの自発的な行動を促すのが、マネジメントのコツ
マネジメント層には、現場で働く人々とは違う能力や素養が求められます。
それらはどれも、後天的にある程度まで改善させることができるものばかりです。
管理職を目指している方や既に管理職になっている方は、これからのキャリアのためにも、自己研鑽に励むべきだといえます。