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従業員一人ひとりが経営課題に目を向ける組織へ

社会福祉法人伸こう福祉会は、神奈川県内で介護サービスや認可保育園の運営などを手がけている。

1999年の設立以来利用者や従業員数は増えているものの、同法人の理事長である高田益江氏は日々経営に悩みを抱えていたという。

そんな高田氏は、2021年10月に識学の導入を決め、トレーニングを開始した。

識学によって組織改善を図るべく歩み出した高田氏に話を聞いた。

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直属の部下との間に横たわる隔たり

事業内容について教えてください

当法人は、大きく三つの事業を行っています。

一つ目は高齢者のための介護サービスです。入居型施設と通所型のサービスを合わせ、40の事業があります。

二つ目は9カ所の認可保育園の運営です。

三つ目は障害者事業ですね。これは、障害がある方に働く場所と住まいの両方を提供する事業です。

いずれの事業も神奈川県内、特に横浜市、川崎市、藤沢市、鎌倉市で行っています。

識学を受講しようと思った理由は何でしょうか

NPO法人で活動している大切な友人から識学のことを紹介されました。

その後、識学社の安藤広大社長にお会いし、非常に魅力的な方だと感じて、そんな安藤社長が教えている識学をぜひ受けたいと思ったのです。

安藤社長はセールスをしたわけでもないんですよ。それに、自分のことを積極的に話すような方でもないと思いますが、内側に秘めた熱い思いを感じました。

私は、これまで大勢の経営者にお会いしてきましたが、安藤社長は素晴らしい方です。かっこいいなと思いましたね。

だから、受講の決め手というのは安藤社長です。

何か経営課題があったというわけではないんですか

いえ、そんなことはありません。むしろ、経営課題にいつも囲まれています。

経営に関する本は乱読しますし、いつもそのことしか頭にないですね。

最近は、利用者や従業員数こそ増えているものの、業績は伸び悩んでいます。

コロナ禍のせいもありますけれども、それを理由にはしたくない。皆さん条件は同じですからね。

我々のような社会福祉法人は、事業所ごとに収入の天井が国によって決められているため、従業員が増えたからといってその分収入が増加するわけではないのです。

増収を期すには事業所を建設していく必要があります。といっても、それも簡単ではありません。

一般的な会社だったら部長が課長を、課長が係長を、係長が一般社員を育てるという仕組みがありますよね。

我々でも、施設長の上に事業をまとめているリーダーがいて、その上層に4人の部長、そしてその上に理事長である私がいるという階層になっています。

この四人の部長たちと私との間に隔たりがある気がしていたんですよ。

私と意見が違うということではないですし、指示を聞いてはくれるのですが、私が目指しているものに対して、四人の部長はあまり理解してくれていなかったというか、何が何でも一緒に実現させようという結束が、私と部長たちの間につくれていないと思っていました。

これは、完全に私の責任です。

部長のなかには施設長を兼任している人もいますから、そういう部長にとっては経営課題よりも施設に戻ってオムツ交換を待っている人への対応の方が優先度が高い。

経営のことをなおざりにするつもりはなくても、施設内での仕事にどうしても時間を取られてしまうのでしょう。

もともと、現場をうまくマネジメントしていたり、お客さまとのコミュニケーションが得意だったりする人材にそれなりのポジションを任せていました。

従業員たちは皆現場が好きであり、経営者になりたくて当法人に来ている人はあまりいないのです。

我々でも、「エリア長たる者はこうしなさい」といったこと明文化してありますし、お客さまに対するサービスの仕方を手ほどきすることもできます。

しかし、組織を育てる力は誰も持っていないため、そこが非常に弱かった。

「最終ゴールはここだよ」と示しても、どうやってそこへ行ったらよいかが皆分からないんです。

本当によいサービスなら数字にもそれが表れる

従業員のなかには、組織体制がしっかりしていると思い込んでいる人が多くいます。

例えば、人件費にかなりの金額を使っている事業所がありますけれども、それを問題とも思わず放置したまま。

毎日高齢者の方が「ありがとう」と言ってくれますし、子供たちも「バイバイ」って笑顔で皆帰っていきますから、それで満足できてしまう仕事なんですよね。

「ある程度お客さまから評価をもらっている。何が問題なのか。これで十分じゃないか」と考えているのだと思います。

しかし、お客さまの満足度は100%ではありません。仮に70%でよしとしていると、それが段々65%とか60%に下がっていくものです。

そもそも、本当によいサービスをしていたら数字にもちゃんと反映されるはずなんですよね。

結果的に数字に反映されていないということは、よいサービスができていると職員が錯覚しているに過ぎません。

もっと優れたサービスができるはずなのに、その手前が限界だと思い込んでしまっているのです。

いずれにせよ、当法人がここから一皮むけるには工夫が必要だと思っていました。私が年齢的に焦っていたということもあります。

いつまでも理事長の座にいることはできません。このグループを少なくとも次の時代の人たちがしっかり生業にできるようにはしておきたいなと。

識学受講後に、部長たちとコミュニケーションの仕方を変えましたか

完全結果を意識しているので、会話のなかに数字が入るようになりました。

「いつまでに何をするのか」と「誰の責任か」をはっきりさせ、スピード感を持って取り組んでもらうようにしています。

ただ、結果がはっきりする分、目標未達成だと逃げ場がなくなるので、戸惑いもあるようです。

これまで、そういうやり方をしてこなかったため、私は今社内で避けられていると感じますね。はは。

また、今までは施設長がいきなり私に意見を求めてくるとか、逆に私から施設長やリーダーに指示を出すことがありましたが、指示系統の整理をしました。

以前は、そこまで機会は多くないですけれども、私と古い付き合いのある施設長とは個別にやり取りすることもあったのです。

組織内に識学が十分浸透したとはまだ言えません。

だからといって、厳しく言い過ぎて離職者が大勢出ては元も子もありませんから、できるだけ今のスタッフに残ってもらいながら組織改善を進めていくつもりです。

識学は成功への「トリセツ」

識学のトレーニングを受け始め、どのような印象を抱きましたか

他のコンサルティング会社だと、「世の中はこういう流れで、別の会社さんはこの方法でこれだけ儲けているんだからあなたの会社もこうやればいいんだ」ということは示してくれますけれども、当社の社員の誰と誰が、あるいは何人で、どういう順番でそれをやればよいのかについては教えてくれません。

というより、教えられないのでしょう。

その点、識学はそれらを全部区切って段階的に説明してくれます。成功へのトリセツが識学だなと感じますね。

 我々はまだ識学のトレーニングを受講途中であり、どの段階に自分たちがいるかよく分かっていませんが、「これまで曖昧にしていたものを解決していくぞ」という気持ちになり、楽しみにしています。

どのような経営者や会社に識学はお勧めでしょうか

やはり素直な方でしょう。識学理論のなかには、「えっ」と驚くようなものも多々あります。

それらを素直に受け入れられる方が一番向いていると思いますね。

それと、仕事をした分だけお金が稼げるような業態の会社。そういう会社であれば、識学はとても有効だと思いますよ。

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