要員管理とは、プロジェクトの進行や目標達成において必要な人材を管理することです。
適切に運用することで、事業目標の達成や生産性の向上など、いくつものメリットが期待できます。
そこで本記事では要員管理について、
- 概要やメリット
- 人事業務とプロジェクト管理における要員管理
- 注意点や手順
などを解説していきます。
目次
要員管理とは
ビジネスにおける要員管理とは、人的資源を適切に調達・管理・活用することで、プロジェクトの進行や目標達成につなげる取り組みです。
「要員」とは、プロジェクトを進めるにあたって必要なスキルを有する人材を指しており、「管理」はその人材をマネジメントすることを指しています。
重要性
目標の達成や、プロジェクトの効果的な進行には、業務を適切に進めなければなりません。
そしてそのためには、人材をマネジメントする要員管理が重要です。
要員が保有する技術やノウハウを把握し、最適な業務に就かせることで生産性の向上やパフォーマンスの最大化が期待できます。
混同されがちな言葉との違い
要員管理と混同されがちな言葉に「人員計画」が挙げられます。
人員計画は「要員計画」とも呼ばれており、
- 人材配置
- 人材採用計画
- 異動計画
などの事業計画に基づいて決められる人材に関する計画のことです。
一方で要員管理は、「計画」のニュアンスよりも「実行」の意味合いが強いとされています。
関連記事:要員計画(人員計画)とは?採用計画との違いや策定方法、注目される背景などを解説
人事業務とプロジェクト管理における要員管理
ここでは人事業務とプロジェクト管理における、それぞれの要員管理のポイントを解説していきます。
人事業務
人事業務における要員管理のポイントは下記の3つです。
要員調達
要員調達では、必要な人材を過不足なく供給することがポイントです。
人材が足りなければ安定的に製品やサービスを供給できませんが、多すぎても人件費が増大して利益を圧迫します。
したがって、下記の3点に注意しましょう。
- 必要な人材を把握する
- どの雇用形態で人材を確保するか検討する
- 要員の数や業務量を常にウォッチする
人材活用
要員調達の次は、確保した人材がパフォーマンスを最大化できるように、適材適所の人材配置や育成をしていきます。
人材活用のポイントは下記の3つです。
ポイント | 内容 |
人材配置 | 適材適所を実現するために人材の能力や資質を理解する。
ただし能力だけではなく本人の意向を尊重することも重要。 |
人材育成 | OJTやOff-JT、セミナー受講費の援助などで、人材育成を行う。 |
意欲向上 | 給与や賞与など金銭的な外的報酬と、やりがいや人間関係などの内的報酬を駆使して、人材の意欲やモチベーションを引き出す。 |
人材の代謝
要員の確保と活用の次のステップは、人材の代謝です。
業務とスキルにミスマッチが生じていたり、成果をあげられていない人材をそのままにしておくと、生産性の低迷や環境の変化に合わせた最適な人員の確保ができなくなります。
したがって、要員管理においては必要な人材と手放したい人材を確認し、人材の代謝を活発化させることが重要です。
プロジェクト管理
それでは次に、プロジェクト管理における要員管理のポイントを見ていきましょう。
ここでは、プロジェクト管理に関するノウハウや知識をまとめた「PMBOK」に基づくプロセスを解説していきます。
人的資源マネジメント計画
まずは下記のような項目が記載される、人的資源マネジメント計画書をつくります。
項目 | 内容 |
要員調達 | 要員の調達先やコスト |
コンピテンシー | タスクに必要なスキルや資質 |
法令遵守 | 遵守すべき法とその運用 |
役割と責任 | 要員の役割や権限、責任 |
要員ヒストグラム | 作業時間や要員の数などのグラフ |
プロジェクト・チーム編成
次に、作成したマネジメント計画書に基づいて要員を調達し、チームを編成します。
必要なスキルを保有する要員を調達する際は、下記のような方法が用いられます。
- 必要な人材が所属する部署のマネージャーへの相談
- 外部からの調達
- バーチャルチーム(遠隔地から参加するメンバー)
プロジェクト・チーム育成
続いてはプロジェクト・チームを育成していきます。
短期間で高いクオリティを実現するには、トレーニングによって要員の技術や信頼関係を構築する必要があります。
ここでは、心理学者のブルース・W・タックマンが提唱した「タックマンモデル」を活用すると良いでしょう。
プロジェクト・チームマネジメント
最後に、チームの働きぶりをみながら課題を見つけ、解決していく作業に入ります。
報告書を確認して問題や課題の有無を確認しましょう。
もし、要員同士のトラブルが生じている場合、「コンフリクト(衝突)マネジメント」によって解決することが重要です。
要員管理のメリットとは
ここからは要員管理を行うメリットを見ていきましょう。
適材適所が実現する
要員管理によって人材の能力やスキル、資質を把握できるため、一人ひとりの人材に適した業務を与えることが可能です。
これにより適材適所の人材配置が実現し、パフォーマンスを最大限発揮できる組織作りができるでしょう。
関連記事:適材適所とは?ビジネスで重要な理由や実現する方法を解説
生産性・モチベーションの向上につながる
上記のように適材適所の人材配置が実現することによって、人材の生産性やモチベーション向上につながります。
自分が苦手な業務よりも、得意な業務を行える方が、従業員は高いモチベーションで働けるでしょう。
人件費の最適化につながる
適切に要員管理を行うことで、必要な人材だけを最大限活用できるため、人件費の最適化につながります。
ミスマッチが生じていれば代謝を行うことで最適な人材配置が可能となり、成果をあげていない従業員についてはスキルアップや退出を促せるため、無駄な人件費を削減できます。
まとめ:要員管理について
要員管理を適切に行うことで、生産性の向上など、PL費用項目を圧縮し、売上を向上させる手助けにもなります。
正しく管理をし、社内のリソースを適切に使いましょう。