現代社会において「ヒト・モノ・カネ」そして情報はすさまじい早さで飛び交い、それゆえに働き生きていく環境はこれまでにない速度で変化しています。こうした環境変化は豊かさを生む一方、人々は未知のものに対するストレスに直面しているとも言えます。本記事では、現代をいかにして生き抜くべきかについて考えていきます。
目次
ストレスの原因は何か
まずは、どんなときにストレスを感じるか理解することから始めましょう。結論を先に述べると、ストレスと向き合うということは、恐怖と向き合うことなのです。
例えば、以前叱責を受けたことがある取引先へ商談にいかねばならないとき、「また怒られるかもしれない」という恐怖を感じるでしょうし、初めて訪問する会社に自社の商材を売り込みにいく際は、誰もが緊張して恐怖を覚えてしまうものです。これらは社会人が抱えやすいストレスに違いありません。
恐怖という感情は、死や危機を避けるために人間に備わっている機能です。人は恐怖を感じると、本能的に血流が下半身に集中しすぐに走り出せるように身構え、頭はヒヤッとしたように冴えます。そして体は臨戦態勢となり、精神は緊張した状態になります。
人間は、死ぬかもしれないと思ったとき、それを「怖い」や「つらい」という不快感として認識し、回避しようとします。そこで気持ちよさを感じるようでしたらすぐ死を選んでしまいますからね。
この不快感がストレスの正体です。
成長にはストレスが付きもの
成長とは「できなかったことができるようになる」ことです。
そもそも、「できていない」という事実に向き合うこと自体に、人は多大なストレスを感じます。仕事においては、全ての人は成長し続けることを求められるため、働いている限り、そこからはどうやっても逃げられないのです。
そう考えると、ストレスのない働き方を望めば望むほど不幸になることに気付きます。私も以前はストレスのある働き方は悪であると認識しつつ、一方で成長をしたいと思っていました。残念ながらその矛盾に挑んでいるうちに疲弊し、そして不眠症に苦しめられる日々もありました。
そうなったら素直に事実の仕組みに従えばよいのです。ストレスなき成長はありません。
ある詩人が、「鳥が飛ぶためには空気抵抗があるかだ」と言っているのを聞いたことがあります。空に羽ばたいていこうとするのなら、ストレスという空気抵抗をどう利用するかを考えるべきでしょう。
二種類の恐怖
ストレスの根幹にある恐怖は二種類に分けられます。
一つは必要な恐怖です。そもそも危機を回避するための感情としての恐怖を認識できていなければ、すぐに死んでしまいます。
仕事でいえば、成果を出せなければ会社から評価されず、生きていくための糧を得られなくなることに対しては、最低限の恐怖を感じなければいけないということになります。この恐怖に対しては、速やかに回避行動を取るべきです。
もう一つは不必要な恐怖です。これは、死に直結しないことに対してびくびくしてしまい、誤った回避行動を選択してしまうことによって最悪死に至る可能性があります。例えば上司から怒られたくないとびくついて虚偽の報告をしたり、今失敗することが怖いからと挑戦しなかったりするということです。
これは目の前のストレスから目を背けているに過ぎません。今怒られないことよりも、失敗やミスを認め上司に報告し、しっかりと改善策を約束できなければ、逆に会社から評価や信頼を損なうことを必要な恐怖として認識し、それと向き合うべきです。
ひろゆき氏に学ぶ現代社会を生き抜くための恐怖との付き合い方
2チャンネルの開設者であり、メディアでは「論破王」として知られるひろゆき氏は、著書『働き方完全無双』(大和書房 2018年)のなかで、世界における日本の位置について解説し、「このままでは日本はヤバい」と必要な恐怖を認識するように説いています。
その一方で、日本という国家に属しているのであれば、個人としては生活保護でもなんでも権利を行使すれば死にはしないので、必要以上にびくつくなとも述べていました。生きていくだけならできるので、そこに甘んじてもよいし、それ以上になりたい人がいればそういう人はやればよいというわけです。
個人と組織を別に考えるという発想は重要なポイントでしょう。国家の問題や会社の問題と自身を切り離し、冷静に個人としての権利(生活保護や休職等)もときには行使すべきです。
法人をつくってさまざまなものを経費で落として税金を節約する、新しいもので金がかからないものならとりあえず手を出しておく、能力以外で勝てる場所を探せなど、不必要な恐怖をあの手この手で取り除き、本質的な必要な恐怖と向き合うべきときに備えておけば、希望を持って生きていけます。そういったマインドセットで、周囲に迷惑をかけることなく自己責任において行使できる不必要な恐怖を回避するテクニックは取り入れたいものです。
ストレスを感じたら立ち止まり冷静になって考えよう
ストレスを避けることはできません。必要なストレスと向き合う力は重要です。
しかし、必要以上にストレスを抱え込むことはパフォーマンスを下げる原因になります。不必要な恐怖に起因するストレスであれば一度咀嚼して、本質的な必要な恐怖を取り出し、そこに対しての回避方法を速やかに取る冷静な判断が不可欠です。ストレスを感じた瞬間、一度立ち止まり冷静になって考えましょう。
そして、恐怖を克服する方法はただ一つです。恐怖は過去の経験に起因するので新しい経験をしてそれを塗り替えるしかありません。アニメの機動戦士ガンダムの主人公アムロ・レイも言っています。「身構えているときには死神はやってこないものだ」※と。
※『映画機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』