近年、企業や大学、個人がワークショップを開くことが増えてきています。しかし、ワークショップとは正確にどのような意味か、またどのようなことを行うものなのかを正しく把握しているでしょうか?
もし曖昧な認識のままワークショップを開くと見当違いな内容になってしまい、参加者・開催者ともに満足がいかない結果となってしまいます。
そこで、本記事ではワークショップの正しい意味やセミナーとの違い、行うメリット・デメリットなどを解説していきます。
目次
ワークショップとは
ワークショップという言葉には、もともとは製作をする「作業場」という意味がありました。
現代におけるワークショップとは、参加者一人ひとりの積極性や主体性が重視され、テーマに沿ってお互いに意見を出し合ったり協力し合ったりすることで、体験しながら学びや気づきを得るイベントのことを指しています。
企業においてはビジネス研修の1つとして用いられることが増えてきました。参加者の主体性を引き出すことにより研修の効果を上げられるだけでなく、参加者同士の交流も促進され、コミュニケーションの活発化が期待できます。
ワークショップとセミナーとの違いとは
ワークショップと混同されがちな言葉に「セミナー」があります。セミナーもワークショップも、特定のテーマに基づいて学びを深めたり研究を行ったりするという点では共通しています。
しかし、ワークショップでは参加者の主体性が重んじられ、体験によって学ぶ形式がとられていますが、セミナーでは少数の教える側と多数の教わる側に分かれて行われる形式が一般的です。
つまり、ワークショップは双方向型のコミュニケーションが行われますが、セミナーでは一方通行のコミュニケーションになる点が異なります。
セミナーのメリット・デメリット
セミナーでは講師が多数の参加者に対して一方的に教える形式です。したがって、情報や知識の伝達が効率的な点がメリットです。
一方でデメリットとして挙げられるのが、参加者の理解度にバラツキが生じることです。セミナーでは質問する時間が少なく、討論することもあまりないため、参加者のなかには消化不良のままセミナーを終える人も出てくるでしょう。
ワークショップのメリット・デメリットとは
ワークショップを行うメリットには下記のようなものが挙げられます。
まずは開催者側のメリットを見てみましょう。
- サービスや製品のプロモーションが容易
- 参加者の疑問や不安についてすぐに対応しやすい
- 参加者に当事者意識を抱かせることができる
- 参加者の「わかったつもり」を避けられる
一方で参加者側には下記のようなメリットが期待できます。
- 参加者同士が交流するためコミュニケーションが活発化する
- コミュニケーション力が身につく
- 参加者の意見を聞くため様々な価値観と触れ合える
- 体験をもとに理解するため身につきやすい
- 参加者の協調性が育まれる
このように、ワークショップには開催者・参加者の両者にとって多くのメリットが存在しますが、デメリットにも注意しなければなりません。
ワークショップのデメリット
ワークショップのデメリットには下記のようなものが挙げられます。
- 参加者がワークショップに参加しただけで満足する
- 参加者同士の討論がメインになるため、学びが少ない可能性がある
- 参加者の質によっては議論が活発にならない
このようなデメリットを避けるためにも、ワークショップはセミナーよりも入念な準備が必要となります。
ワークショップの種類とは
ワークショップはもともと芸術や社会教育の分野で学びの場として定着していましたが、現代ではワークショップが活用される場は広がっており、さまざまな分野で用いられています。
具体的には下記のような種類が挙げられます。
- ものづくり:オーソドックスなワークショップ。編み物や料理などがある。
- 社会教育:環境や行政などの社会的な課題をテーマにして、参加者同士で様々な意見を交換する。
- ビジネス:会議や戦略立案をワークショップ形式で行うことで生産性向上を狙う。
- 芸術分野:音楽やアートなどのワークショップで、近年はダンスが人気となっている。
ワークショップの注意点とは
ワークショップを行う際に、注意するべきポイントを解説していきます。
まず1つ目は、ワークショップの目的を曖昧にしないことです。目的意識を持つことで、学びや気づきを得やすくなります。また、時間配分や進め方も初めに伝えておきましょう。
2つ目は、ファシリテーターをおくことです。議論がメインとなるため、話し合いをスムーズに進められるファシリテーターがいなければ、脱線したり目的を忘れてしまいかねません。
3つ目は、発言をしやすい環境を整えることです。参加者同士が初対面であれば、異なる意見を出し合うのは気が引けることもあります。したがって、どのような意見でも受け入れられるような雰囲気をつくることが重要です。
識学的視点:ワークショップを効果的に行う方法とは
マネジメント理論「識学」の観点で考えると、ワークショップの効果を最大限引き出す方法は、参加者に、ワークショップ後の行動計画を明確に設定してもらうことです。
多くのワークショップやセミナーでは、参加者は「今日は良い話を聞けたな」と思うだけで、具体的な行動変化につなげません。
そして、1カ月もすれば、そこで何を学んだかもすっかり忘れてしまいます。当然、これでは何も成長しません。
成長とは、自らの不足を認識して、それを埋める作業です。よって、まずは自分の不足を認識するために、とにかく行動する必要があります。
行動した結果、「まだまだ自分はここがダメだな」「次はもっとこうしてみよう」と考え、徐々に出来ることが増えていきます。
したがって、もちろん、ワークショップ自体を充実させることも大事ですが、いかにワークショップ終了後に行動してもらえる設計にするか、ということに気を配る必要があります。