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企業不祥事が起きる理由とは?事例や生じた際の対応方法を解説

ニュースを見ていると時折どこかの企業が不祥事を起こし、そしてその対応を誤り、大きな損失につながっているケースを散見します。

なぜ、企業不祥事は減らないのでしょうか? なぜ、企業不祥事が起きた後の対応を誤ってしまうのでしょうか?

SNSが普及した現代においては、企業が不祥事を起こすことは命取りになりかねない問題となっています。

本記事では企業不祥事に関する基本的な知識から、不祥事の事例やタイプ、起こった際の対応方法、そして予防する方法などを解説していきます。

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減らない企業不祥事

元号が平成から令和に変わっても、未だに企業不祥事が頻発しています。

企業は人が集まって成り立っているものなので、企業不祥事は人のミスや悪意によるものなど実にさまざまなものが存在します。つまり、企業不祥事とは「不正の隠蔽工作や法律違反など企業にとって都合の悪い事件」と言い換えることができるでしょう。

また、会社法では法令遵守体制の整備について、取締役会設置会社等は取締役会の決定事項として義務化されています。しかし、このような大企業において不祥事が発生してしまっているのが現状です。

企業不祥事による影響

企業不祥事が生じると、企業は下記のような悪影響を受けるでしょう。

  • 企業に対する信用の失墜
  • ブランドイメージの低下
  • 業績の低下
  • 経営陣の刷新
  • 従業員のリストラ

このような結果に繋がり、最悪の場合は倒産する可能性もあるでしょう。

しかし、上記のようなわかりやすいダメージの他にも、認識されにくいものが従業員のモチベーションが下がることです。不祥事によって、従業員が自社への愛着や自社の従業員であることの誇りが失われてしまい、働く意欲が低下してしまいます。

その結果、売り上げが下がったり職を辞める人が増えてしまうなどの悪循環が生じます。企業不祥事が生じた際は、社会に対する対応だけではなく、従業員に対しても誠意ある対応をしなければなりません。

企業不祥事の4つのタイプ

企業不祥事には、主に下記の4つのタイプが存在します。

  • 情報漏えい
  • 不正会計
  • 下請代金支払遅延等防止法違反
  • ハラスメントやSNSでのモラルハザード

それでは1つずつ解説していきます。

企業不祥事のタイプ①.情報漏えい

企業が持つ機密情報や個人情報などの重要なデータが企業外部に流出する、もしくはリークされる不祥事が情報漏えいです。流出して問題となるデータは主に下記の2つです。

  • 顧客の名前や電話番号、クレジットカード情報などの個人情報
  • 企業が持つ経営計画や機密技術データなどの機密情報

従来は過失または故意による情報流出やリークが多かったのですが、近年は外国からのクラッキングによってデータが盗まれる事件が多発しています。したがって、企業がセキュリティー対策をすることは必要不可欠となっています。

企業不祥事のタイプ②.不正会計

不正会計といえば東芝による不正会計問題が有名ですが、不正会計とは、企業が財務諸表に意図的な虚偽表示をしたり、計上するべき金額を計上せず、または必要な開示をしないことを指しています。

株式会社であれば会計帳簿を作り、株主に公開する必要がありますが、赤字や黒字であることを隠蔽することを目的に、虚偽の会計帳簿を作ってしまうことが多いです。

企業不祥事のタイプ③.下請代金支払遅延等防止法違反

下請代金支払遅延等防止法(下請法)は、規模が大きい企業(親事業者)と取引をする規模の小さい企業または個人事業主などの下請事業者を守るために制定された法律です。

この法律では、親事業者に下記の行為を禁止しています。

  • 受領の拒否
  • 下請代金の支払い遅延
  • 下請代金の減額
  • 下請事業者に落ち度がない場合の返品行為
  • 買いたたき
  • 親事業者の商品やサービズの購入や利用を強制すること
  • 報復措置をすること
  • 有償支給原材料等の対価を早期決済すること
  • 割引困難な手形を交付すること
  • 不当な経済上の利益を提供するよう要請すること
  • 不当に給付内容を変更してやり直しをさせること

下請事業者の同意を得ていた場合でも、また親事業者が違反であることを認知していなかった場合でも、上記の行為を行った場合は下請法違反となりますので注意が必要です。

企業不祥事のタイプ④.ハラスメントやSNSでのモラルハザード

上記の企業不祥事は企業努力によって予防することができるかもしれませんが、どのような企業においても発生する可能性のある不祥事が、ハラスメント行為やSNSでのモラルハザードが生じることです。

近年では、パワハラやセクハラが増加傾向にあります。都道府県労働局等に置かれた総合労働相談コーナーに寄せられる「いじめ・嫌がらせ」に関する相談は毎年増えており、令和元年が現在トップになっています。

また、近年の特徴としては、TwitterなどのSNSで倫理欠如した投稿がされるパターンです。従業員の悪ふざけやアルバイトの常軌を逸した行為によって、企業のイメージや信用が失墜し、非難が殺到する「バイトテロ」が該当します。

(参考:「ハラスメント基本情報」データで見るハラスメント│あかるい職場応援団

日本企業による不祥事の事例

有名な日本企業が起こした不祥事の事例を3つ見ていきましょう。

  • 東芝による不正会計問題
  • PayPayによる情報流出
  • 三菱電機によるパワーハラスメント問題

それでは1つずつ解説していきます。

事例①.東芝による不正会計問題

上記でも軽く触れましたが、東芝は2015年5月に不正会計を行っていたことが発覚しました。

東芝は2008年度から2014年度にかけて総額1,518億円の不適切会計を行い、社長や取締役のうち半数が引責する結果となったのです。また、下された処分は21億円の課徴金と新規契約業務の3カ月間停止という内容でした。

事例②.PayPayによる情報流出

2020年12月、ソフトバンク系列のPayPay株式会社は不正アクセスによる攻撃を受けて、およそ260万店舗もの加盟店の情報が流出しました。

流出した情報は加盟店舗の名前や住所、連絡先代表者名、売上振込先、営業対応履歴などです。さらに、従業員の氏名や所属、連絡先なども流出した可能性があり、その数は最大で2,007万件以上とされています。

事例③.三菱電機によるパワーハラスメント問題

2020年度、三菱電機のグループ内でパワハラの被害相談が330件あったことが労働組合の調査でわかっています。

指導のために上司が部下を1時間以上も立たせて大きな声で説教するケースや、作業着にゴミを入れたり、「ここまでポンコツだと思わなかった」という発言をしたケースがありました。

330件あった被害相談のうち、8件でパワハラが認められ、加害者の従業員が懲戒処分になっています。

企業不祥事が生じてしまう理由とは

企業が不祥事を起こしてしまう原因には、主に下記のようなものがあります。

  • 集団浅慮
  • 企業の社会的責任の放棄
  • コーポレート・ガバナンスの不十分な整備
  • 事態の評価を誤る

それでは1つずつ解説していきます。

集団浅慮

企業は人の集まりですが、集団が下した決定に従うことを重んじる企業においては、内容を検討するよりも決定に従うことを優先してしまう傾向があります。つまり、どのような内容であろうとも十分に吟味することよりも、集団として一体感のある行動を優先してしまうのです。

これにより、冷静に考えればおかしいとわかるような判断や意思決定がなされることがあります。このような状態は心理学者のアービング・ジャニス氏は「集団浅慮(グループシンク)」と定義しました。

集団浅慮は、

  • 集団の結束力が強い
  • 集団が外部から独立していて意思決定の過程で内容を確認する仕組みがない
  • カリスマ性のあるリーダーが率いている

といった集団において生じやすいことがわかっています。

企業の社会的責任の放棄

企業が「企業の社会的責任」を放棄していること、または理解していないことも原因の1つです。

企業の社会的責任とはCSR(Corporate Social Responsibility)とも呼ばれており、企業が事業活動を行う際に、倫理的観点に立ち、自主的に社会に貢献する責任のことです。

例えば、製造業であれば一定以上の水準をクリアした製品のみを出荷することが、企業の社会的責任を果たすことにつながります。しかし、社会的責任よりも利益や業績ばかりを追い求めるようになると、いつの間にか企業不祥事を起こす危険性が高くなるといった感じです。

コーポレート・ガバナンスの不十分な整備

コーポレート・ガバナンスとは、企業が組織ぐるみの不正や不祥事を起こさないようにするために、社外取締役や社外監査役など、外部に管理者を置くことによって透明・公正な意思決定をする仕組みを指しており、「企業統治」とも呼ばれています。

しかし、家族経営など小規模な会社の場合は、このコーポレート・ガバナンスがしっかりと整備されていないケースが少なくありません。外部からの監視の目がなければ、組織ぐるみの不正や不祥事が生じるリスクに対して、自浄能力に頼るしかなくなるため、企業不祥事が起こる危険性が高くなってしまいます。

事態の評価を誤る

事態の評価を誤ることも、企業不祥事が生じる大きな原因の1つです。

何かしらの問題が起きた際に、その時点で迅速かつ適切な対処をしていれば不祥事につながる前に事態を沈静化することもできます。しかし、その初期の段階で事態の軽視や、過小評価、都合の良い解釈をしてしまうことで、後々大きな不祥事につながってしまうのです。

または、「どうにかなる」や「これは自社以外もやっていることだ」という態度で不祥事に対応することも、より事態を悪化させる要因の1つです。

したがって、トラブルや問題が生じた際は、適切な評価をして迅速に対応していくことが求められます。そして、開き直ることなく謝罪や説明を真摯に行っていくことが重要ですね。

企業不祥事が生じた際に適切に対応する方法

もし、自社で不祥事が生じた際は、下記のような対応をとるのが望ましいでしょう。

  1. 公表するかどうかを検討する
  2. 真摯な謝罪と責任の明確化
  3. 不祥事の原因の追求
  4. 再発防止策を策定し公表する

それでは1つずつ解説していきます。

公表するかどうかを検討する

不祥事を把握したら、まず公表するかどうかを判断することが求められます。一般的にはすぐに公表し、謝罪するのが良いとされていますが、不祥事のなかには公表することによって第三者に被害が及ぶ可能性があるものも含まれるため、慎重に判断しなければなりません。

例えば、建物の安全性に関する不正や偽装された食品などがすでに普及している場合、もしくは社会的注目度が高いケースにおいては公表する必要性が高いでしょう。

また、不祥事を公表しない判断を下した際に、その後に第三者から不正を暴かれてしまうと、「隠蔽していた」というイメージがつくため注意する必要があります。

真摯な謝罪と責任の明確化

不祥事の公表をする際は、真摯に謝罪をして、不祥事の責任がどこにあるのかを明確にします。

ここで注意するべきポイントは謝罪の仕方です。謝罪会見では、謝罪しているにも関わらず「誠意が足りない」や「態度が悪い」といった理由で、さらにイメージが悪くなってしまうケースも数多くあります。

したがって、誠実にかつ真摯に対応することが求められます。

そして責任についてですが、近年では情報をすべて公開せずに、責任の所在が不明瞭なまま責任を回避する企業に非難が集まっています。したがって責任を明確にして、それに相応な施策を打つことが求められます。

不祥事の原因の追求

不祥事が起きた際は、再発を防ぐために根本的な原因を追求しなければなりません。

企業不祥事はいくつもの要因が絡み合って生じるケースが多いため、社内調査や第三者の調査を行うことによって根本的な原因を解明する必要があります。

再発防止策を策定し公表する

そして、最後に再発防止策を策定し、公表します。

不祥事の原因を調べる際にわかった問題点については、すべて何らかの改善策を検討する必要があるでしょう。つまり、同じ間違いを起こさないために徹底的に行動するということです。

企業は常に自社が提供する商品やサービスを通して、社会的責任を果たさなければなりません。

企業不祥事を起こさないための予防策

上記で企業不祥事が起きた際の対応をみてきましたが、何より重要なことは「企業不祥事を起こさない」ということです。

企業不祥事を起こさないためには、内部通報制度の導入が効果的です。実際、内部通報制度によって発見される不正の数は、内部監査のおよそ1.5倍もあります。

この制度は、不祥事のリスクを見つけやすくするために、企業内で不正行為を把握した社員が報告する際に、通常とは異なる報告ルートを設置する制度です。従業員が上司に不正を報告し、その上司が上位者に報告するのではなく、この制度では上司を介することなく不正を通報できる窓口を設置します。

また、内部通報制度を導入している企業は投資先として評価される流れもあるため、導入を検討してみてはいかがでしょうか?

まとめ

ここまで、企業不祥事が生じる理由や起きた際の対応方法について見てきました。

企業不祥事によって企業の信用が失われたり、ブランドイメージの毀損によって業績の低下につながってしまいます。だからこそ、企業不祥事が起こる理由や実際に起きた企業不祥事の事例を学び、企業不祥事を起こさないように徹底していく必要があるのです。

また、万が一にも企業不祥事が起きた際の対応を、前もって把握しておくことも重要でしょう。

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