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全ての部下に経営理念の理解は不可能

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会社の目的でもある「経営理念」は、なぜその会社が存在するのか、そして社会に対してどのような価値を提供するのかを示す極めて重要なものです。

当然どの会社もこの経営理念を持っているかと思いますが、会社の核となるべく考え方故に、働く社員全員にこの経営理念の理解を求めてはいないでしょうか?
言い方を変えると、「うちの会社で働く以上、経営理念を理解して行動することが社員の最低限の努めである」とお考えでないでしょうか?
もちろん、それが出来ればいいのかもしれませんが、実は現実的には不可能なことであり、また求めること自体がナンセンスなことなのです。

では、経営理念は単なる飾りなのかというと決してそうではなく、最初に明記した通り、会社にとってなくてはならない重要なものです。

社員に経営理念をどう理解させるのか、今回はその考え方についてご紹介します。

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経営理念は理解出来なくて当然

会社には規模が大きくなればなるほど様々な役割を持つ階層ができます。
そして階層によって当然やるべきことと責任が異なります。

例えば、社長と新入社員の見るべき未来への視点は全然違いますよね。
おそらく社長は自身が作成した経営理念を基に10年後20年後の会社の未来を見て行動を取らないといけない責任があるのに対して、新入社員はそんな先の未来の責任は課されてはおらず、個人がやるべき責任となる1週間いやもしかしたら今日・明日のことしか見えていないかもしれません。

そんな課された責任の大きさによって見るべき視点が違うにも関わらず、社長の掲げた経営理念を新入社員に正しく理解しろだなんて、幼稚園児に大学受験の問題を解けと言っているのとほぼ同義であり、土台無理な話なのです。

また、「理念経営」と謳われているような経営理念を社員の意識に浸透させていくことには逆に弊害を及ぼします
理念経営をしようとすると、社員は日々の仕事と理念を短期的に結び付けるようになってしまい、やっている仕事と理念が結びつかなければ異を唱え出します。
例えば「今の僕がやっているテレアポ業務は、社会の役に立っていないので企業理念と反することとなり、やる必要がないと思います」といった、上司からすると「え!」と開いた口が塞がらないような部下からの抗議が実際に起こってしまうのです。
よって、そもそも経営理念の正しい理解は作成者(経営者)しか出来ないという事実を認識しておかなければなりません。

部下には目標で落とし込む

では、経営理念の理解が社員には不可能であればどう扱えばいいのでしょうか?
その答えは「目標」にあります。

まず、経営理念は目的です。
目的はその手前にある目標を方向付けるものです。
つまり、社員にはある定点の目標を設定し、それをクリアーすることが会社の目的でもある企業理念に近づいていることを認識させればよいのです。
社員からすると、課された目標をクリアーしたことで、自身から始まり自部署そして会社全体も成長していると実感できれば、目的に向かって一緒に進んでいると感じることができるのです。
そしてこの会社の目的や目標に向かって進んでいるという意識が組織パフォーマンスのエネルギーの源にもなるのです。

皆が同じ目的に向かって進んでいるということを感じるために、的となるべき経営理念が存在し、その的に向かって正しい道を歩むために、目標というものが存在します。

社員に正しい道を歩かせる為に経営者や管理職は目標で落とし込んでいくことが求められます。

まとめ

今回は目的でもある経営理念の会社での運用方法についてご紹介しました。

  • そもそも経営理念は作成者しか正しく理解できないものであると認識すること。
  • 経営理念に向かって社員が正しく進めるように目標で落とし込んでいくこと。

所属する社員が会社の目的に正しく進むために求めることは、目的の理解ではなく共有なのです。

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