ブロックチェーンが発明された事により、企業が集権的にサービスを提供するという常識が崩れ去ろうとしています。
この仕組みを支えるのが、ブロックチェーンにより生み出された「Dapps」です。
本記事では、Dappsとは何か、従来のアプリとの違い、Dappsが生活の中でどのようなシステムに応用されるのかを解説していきます。
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目次
Dappsとは
Dapps(Decentralized Applications)は「分散型アプリケーション」と呼ばれています。
ブロックチェーン(取引や業務を自動的に記録するシステム)上で、事前にプログラムした動きを自動的に行うシステム「スマートコントラクト」を活用した新しいアプリケーションです。
Dapps上で利用される取引や業務は、スマートコントラクトによって自動化されています。
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Dappsと今までのアプリの違い
Dappsは、今までにない新しいアプリケーションです。通常のアプリケーションとの違いは、以下の3点です。
- 非中央集権的である
- オープンソースが利用される
- クールタイムがない
それぞれわかりやすく解説します。
非中央集権的である
Dappsはブロックチェーン上で自動的に取引の全てが記録されるため、管理する人間や組織が必要ありません。
このためDappsは、従来の運営者が必須のアプリケーションとは異なり、非中央集権的なアプリとされています。
上記のため、取引やルール内容もユーザー同士で管理することが前提となっています。
また、誰でも参加、投票できるサービスを組み込むことも可能で、ユーザーの合意が集まればアプリ内のルールを柔軟に変更することもできます。
従来のアプリケーションが運営による鶴の一言で仕様が変わっていたことを鑑みると、従来の中央集権型のアプリケーションよりも、ユーザーに沿った民主的なアプリケーションといえるでしょう。
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オープンソースが採用されている
Dappsではオープンソースが採用されています。
オープンソースとは、ソフトウェアを構成している「ソースコード」を無料で一般公開することです。
ソースコードを一般公開することで、誰でもそのソフトウェアの中身を確認し、改良を加えることができます。
つまり、Dappsは一度公開されてしまえば、世界中のプログラマーが改良を加え続けることができるソフトウェアということです。
また、Dappsはブロックチェーンを使用しているため、変更者や変更内容は自動的に記録され、永遠に保存されることになります。
クールタイムがない
クールタイムとは、サーバーが停止した際に次にアプリケーションが稼働するまでの時間のことです。
従来のアプリでは、サーバーが停止するとサービスの全てが稼働しなくなることがあり、クールタイムが発生することが問題となっていました。
その反面、ブロックチェーンの技術によって稼働しているDappsには、クールタイムがありません。
ブロックチェーンは、ある特定のサーバー上でデータが管理されているのではなく、各個人が保有するパソコン上でデータが分散的に保存されています。
このため、理論的にはブロックチェーンに参加する全てのマシーンが同時に破壊されない限りは、クールタイムが発生しないということになります。
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Dappsの発展が期待される2つの分野
Dappsを使用することで、今後の発展が期待される分野が以下2つあります。
- DeFi(金融系)アプリケーション
- ブロックチェーンゲーム
大きなビジネスになる可能性を秘めているため、それぞれ分かりやすく説明します。
DeFi(金融)アプリケーション
DeFiは、イーサリアムのスマートコントラクトを使用した金融アプリケーションです。
金融サービスは貸付や保険など制度や仕組みが難しく、第三者を介入させることでコストも大きくかかってしまいます。
しかしDappsではスマートコントラクトを使用することで、難解で煩雑な仕組みも第三者を介入させず、サービスを提供することができます。
これまでの金融システムと違い、第三者が介入することでかかる金銭的なコストを削減でき、時間の短縮も図ることが可能になるため、新時代の金融システムとして大いに期待されています。
すでに仮想通貨取引所での取引を自動化するシステムや、仮想通貨を預けることで自動的に利子を支払うシステムができています。
ブロックチェーンゲーム
Daapsは金融以外のゲームにも活用されます。
そのひとつが、暗号資産の基盤の技術「ブロックチェーン」を利用して、ユーザー同士の取引データを分散型に保存するブロックチェーンゲームです。海外のみならず日本でもブロックチェーンゲームへの人気は高まりつつあります。
ブロックチェーンゲームは今までのゲームとは異なり、ゲーム内で使える通貨が仮想通貨です。
このため、ゲーム内で稼いだお金は全て現実世界にも持ち込むことができます。このため、ブロックチェーンのゲームを「Play to earn(稼いで楽しむことができる)」と表現します。
有名なゲームとしては「CryptoKitteis」というゲームが挙げられます。CryptoKitteisでは、猫を売買し、育成して自分だけの猫を育てます。
時には、ゲーム内で育てられた珍しい猫が2,000万円で取引されたこともあるほど、人気が高いゲームです。
参考:クリプトキティーズ、2000万円の売買成立で最高値更新
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Dappsが変える日本の未来
Dappsは今まで紹介したように、ゲームのみならず金融業界などにも広がっています。このため、Dappsが普及することで日本の未来は大きく変化してくことでしょう。
ここからは、Dappsの普及により変わる日本のシステムを具体的に解説します。
決済
Dappsの例として代表的なのが、ブロックチェーン上で売買をする際の「決済」です。
現状、ユーザーが増えることでブロックチェーン上の取引に時間がかかり、手数料が割高になってしまう「スケーラビリティ」という問題があり、ブロックチェーン上での小額決済は普及していません。
しかし、ブロックチェーンやDappsの技術が進歩すれば、スケーラビリティが解決され、少額決済でもブロックチェーンで送金をする未来が訪れる可能性があります。
仮想通貨DEX(分散型取引所)
仮想通貨DEXはスマートコントラクトを利用した、管理者のいない仮想通貨取引所のことです。
現在一般的に使用されている仮想通貨取引所では、コインチェックやビットフライヤーなどの中央管理者が一括で取引所の管理をしています。
このため、仮想通貨を購入するのに、手数料が大きくかかってしまうことがあります。
しかし、今後仮想通貨DEXが今よりも普及・一般化すれば、仮想通貨の購入にかかっていたコストを削減できる可能性があります。
個人情報管理体制
Dappsでは、個人情報を安全に管理することができるようになります。
ブロックチェーン上で取り扱われる情報は全世界に公開され、永久的に記録されるため、情報の取り扱いには気をつけなければなりません。
現在行われているDappsのプロジェクトでは、ブロックチェーンから外れた場所で個人情報を管理し、必要に応じてDappsを使って認証することで個人情報を閲覧可能にするプロジェクトの開発も少しずつ進んでいます。
参考:【イーサリアム】安全かつ超簡単な身分証明を目指す「uPort」の仕組み
小額融資
手数料や審査コストがかかる小額の融資は、今まで割りに合わないという理由でブロックチェーン上での開発が難航してきました。
しかし、Dappsを利用して小額融資を行うことで、今後より一層手数料を抑えることができるようになります。
今後融資の審査が、さらに短くなる可能性があります。
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まとめ
非中央集権の分散型アプリケーション「Dapps」はこれからも研究が進み、私たちの生活を支える新しいサービスが展開されていくことでしょう。
Dappsをはじめとした、ブロックチェーンの創り出す未来に今後も注目していきましょう。