マーク・ザッカーバーグはMeta(元Facebook)の創業者でありCEOです。2021年10月28日の「Connect2021」というカンファレンスで、社名を「Facebook」から「Meta」に変更したことで、ニュースに取り上げられて注目を集めました。
以前はGoogle、Apple、Facebook、Amazonの4社をまとめて「GAFA」と呼ばれていたように、巨大IT企業の一角を担う会社のトップとして今も精力的に活動しています。
しかしマーク・ザッカーバーグ氏や、巨大SNSであるFacebookに対する批判が強まっていることをご存知でしょうか?
そこで本記事では、マーク・ザッカーバーグの人物像や成功した理由、世界一巨大なSNSであるFacebookが批判される背景などを解説していきます。
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マーク・ザッカーバーグとはどのような人物か?
マーク・ザッカーバーグは本名「マーク・エリオット・ザッカーバーグ」といい、1984年にアメリカで生まれて、現在は37歳です。
ハーバード大学在籍中にFacebookを立ち上げて、2010年にアメリカのニュース雑誌「Time誌」の「パーソン・オブ・ザ・イヤー」に選出されています。パーソン・オブ・ザ・イヤーとは良くも悪くもその年の出来事に最も影響を与えた人物を特集する記事です。
また、Google創業者のラリー・ペイジ氏と同様に、ザッカーバーグ氏もユダヤ系であり、世界時価総額ランキングでトップに食い込んでいる企業の多くにユダヤ人が創業した企業が存在します。
37歳で世界で5番目の大富豪に
2021年4月6日にアメリカの経済誌「フォーブス誌」が発表した2021年版の世界長者番付によると、マーク・ザッカーバーグは5位にランクインしています。
1位はAmazon.comの創業者であるジェフ・ベゾス氏で、2位は電気自動車メーカーのテスラや宇宙事業を手掛けるスペースXの創業者のイーロン・マスク氏でした。
しかし、ジェフ・ベゾス氏は57歳、イーロン・マスク氏は49歳ですが、マーク・ザッカーバーグは長者番付トップ10のなかでも37歳という最も若い年齢でランクインしているのです。
また、2010年にはフォーブス誌による「世界で最も若い10人の億万長者」の1位として25歳でランクインしています。
マーク・ザッカーバーグの半生
マーク・ザッカーバーグはアメリカで歯科医と精神科医の両親のもとに生まれました。
高校に入学して2年間を過ごすもあまりの退屈さに耐えきれずに、アイビー・リーグ(アメリカの8つの名門市立大学の総称)への進学が当たり前とされる、エリート進学校の高校に転校しました。
その後は、世界大学ランキング2021で3位にランクインしているハーバード大学に入学します。そして、大学在籍中にザッカーバーグは「Facemash.com(フェイスマシュ.com)」というサイトを開設しました。
Facebookの前身となる「Facemash.com」を開設
「Facemash.com」は、ハーバード大学に在籍している女子学生の顔写真が2枚ずつ表示され、訪問者がどちらがかわいいかを選択させるサイトです。このサイトは、Facebookのルーツとなるサイトでした。
しかし、このサイトはすぐに女性蔑視として問題になり、特定の人種が不当に高い評価や低い評価を受けていることを受けて、人種差別の問題にも発展しています。
これにより、Facemash.comはすぐに大学の管理部職員によってインターネットアクセス権を無効にされてしまいました。
また、マーク・ザッカーバーグはこの問題により、ハーバード大学の半年間の保護観察処分を受けています。
実業家として活躍
その後、マーク・ザッカーバーグはハーバード大学内で学生が交流をすることを目的として「Thefacebook」というサービスを始めます。
その後、スタンフォード大学やコロンビア大学などの学生から、「自分たちの大学にも同じようなサイトをつくってほしい」という要望があったため、アイビー・リーグの学生にも開放しました。
こうして少しずつアメリカ全土の学生に開放されていき、学生にとっては必要不可欠なサイトとなったのです。
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ここまで見てきたようにマーク・ザッカーバーグは学生時代からさまざまなサービスを開発・提供している天才的なプログラマーでもありました。
さらに、Facebookは月間利用者数が世界一のSNSであり、その数は2021年4月時点で28億人を超えています。なぜ、ザッカーバーグはFacebookをここまで巨大なSNSに成長させることができたのでしょうか?
ここではザッカーバーグが成功した秘密や仕事術を見ていきましょう。
- ユーザーの望みをデータから探り続けた
- ユーザーの反応をみながらアップデートを繰り返した
- 歩きながら会議を行う
それでは1つずつ解説していきます。
ユーザーの望みをデータから探り続けた
現代人の望みはお金だけではなくなっており、特に若年層の間ではその傾向が顕著です。若者はお金よりも他者からの承認や「いいね!」を望んでいます。
ザッカーバーグや経営幹部は「人々が何を欲しているのか?」や「どんな欲望を持っているのか?」といったことを、思い込みや偏見、バイアスにとらわれずに徹底的にデータと向き合って追求し続けました。
マーク・ザッカーバーグが成功した理由は、このように変化する「現代人が何を望んでいるのか?」という点を徹底的に追求し続けたからです。
ユーザーの反応をみながらアップデートを繰り返した
さらに、マーク・ザッカーバーグはユーザーの反応をみながら新機能を追加して、反応が悪ければすぐに機能を削除するというアップデートを何度も行っていきました。
頻繁にサービスが追加されたり消えたりすることで変化があるため、ユーザーはサービスのことが気になり、何度もFacebookにアクセスするようになります。
こうして、ユーザーにとって利益があるサービスを提供することで、サービスを提供する側にも利益が生まれる循環をつくりあげていきました。
歩きながら会議を行う
マーク・ザッカーバーグは歩きながら会議を行う「ウォーキング・ミーティング」を習慣にしていました。また、ザッカーバーグだけではなくAppleの創業者であるスティーブ・ジョブズもこの習慣を取り入れていたことで有名です。
スタンフォード大学の2014年の研究では、歩いているときのほうがクリエイティビティのアウトプットが平均して60%も上昇することがわかっています。
また別の研究では、一般的に行われている座りながら進める会議は、立って行う会議よりも34%時間が長いものの、立って行う会議より優れた決定がなされることはありませんでした。
つまり、座って会議をするとムダに時間だけが浪費されるうえに、優れたアイデアもでないということです。
実際、別の研究においても「立ったまま会議を行うほうが、成果の点において座って行う会議よりもはるかに優れている」と断定されています。
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上記のようにマーク・ザッカーバーグやFacebookの経営幹部は、ユーザーの望みや欲求をデータから探ったり、ウォーキング・ミーティングなどを駆使することでMeta(元Facebook)を大きく成長させました。
このような革新的な企業をつくりあげた「マーク・ザッカーバーグ」という人物は、どのような人物なのでしょうか? ここでは、ザッカーバーグのスピーチやファッションから彼の人物像をみていきましょう。
- 目的を持てる世界を創り出す
- 決断疲れを避けるファッション
それでは1つずつ解説していきます。
目的を持てる世界を創り出す
マーク・ザッカーバーグはハーバード大学のスピーチにて、下記のようなことを語りました。
「私は『目的』について話します。ですが『あなたの人生の目的を見つけなさい』といったよく耳にするものではありません。私たちはミレニアル世代ですから、そんなことは自然と行っているはずです。
そうではなく、私が話すのは『自分の人生の目標や意義を見つけるだけでは不十分だ』ということです。ミレニアル世代の課題は『誰もが、人生の目的や意義を持てる世界を創り出すこと』なのです。
この社会を前に進めることがミレニアル世代の課題です。新たな仕事をつくるだけではなく、新しい『目的』を創り出さなければなりません」
多くの人に新たな目的を与える
多くの人は衣食住に不自由することなく物質的にも満たされた生活をしているなかで、これ以上どこを目指すべきかわからなくなってしまいました。その結果、多くの人が人生の目的や意義を失ってしまったのです。
マーク・ザッカーバーグはこのような社会において、多くの人が新たに人生の目的や意義を持てる世界を創り出すべきだ、と語っているのです。
ミレニアル世代以前の世代は、衣食住や物質的に不足している部分が明確であったため、「その不足を補うために頑張る」という目的や方向性がありました。
しかし現代では不足がなく満たされた生活をしているため、何をどのように頑張ればいいのかわからず、その感覚が不幸を生んでいるとザッカーバーグは喝破したのです。
決断疲れを避けるファッション
マーク・ザッカーバーグのファッションと言えば、どのような服装を思い浮かべますか? おそらく多くの人はグレーのTシャツにジーパンといった、カジュアルなスタイルかと思います。
なぜ、長者番付で5位にランクインするような大富豪が、毎日のように同じ質素な格好をしているのでしょうか?
その理由は「決断疲れを減らすため」です。
人は何かを決断する度にエネルギーを使い、決断する回数が増えるほどその決断の質が落ちてしまいます。そのような事態を避けるために、ザッカーバーグは同じ服を着続けているのです。
実際、ザッカーバーグは「フェイスブックを良くすることに全ての時間を使いたい」と公言しており、服装で悩む時間やエネルギーすら惜しんでいます。
また、同じ理由でスティーブ・ジョブズも毎回お決まりの黒のタートルネックにブルージーンズを着用しています。
自分を貫き通す
しかし、マーク・ザッカーバーグがカジュアルなファッションをしているのはそれだけが理由ではありません。
ザッカーバーグは株主総会にスニーカーとパーカー姿で登場し、ウォール街の人々を驚かせています。このファッションで登場したことは、ザッカーバーグがあくまでも自分流を貫き通す人間であることを物語っているのです。
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優柔不断のため会社を失った三代目社長の話を他山の石としようマーク・ザッカーバーグへの批判が強くなる背景とは
近年、FacebookだけではなくGAFAと呼ばれる巨大IT企業への風当たりが強くなってきています。
なかでもFacebookへの批判は強く、Facebookを含むSNSを運営するアメリカのIT企業3社のトップに対する米議会公聴会が開かれています。
Facebookなど巨大IT企業への批判が強くなっている理由には下記のようなものがあります。
- 政治的な広告の扱い方
- メンタルヘルスへの悪影響
それでは1つずつ解説していきます。
政治的な広告の扱い方
Facebookは広告収入によっておよそ95億ドルを稼いでいますが、その広告のなかには政治的な広告も含まれており、これが問題となっています。
例えば2016年のアメリカ大統領選挙の際には、Facebookの顧客情報がイギリスのコンサルティング会社である「ケンブリッジ・アナリティカ」に流れてしまい、誰に投票するか決めていない有権者を狙ってトランプ陣営に有利になるような広告が出された事件が起こっています。
この事件によってTwitterのCEOジャック・ドーシー氏は2019年10月に政治広告を全面的に掲載しない方針を決めました。しかし、マーク・ザッカーバーグはそのような方針をとらず、「広告収入がそんなに大事か」といった批判を受けています。
メンタルヘルスへの悪影響
Meta(元Facebook)が運営するSNS「Facebook」や「Instagram」は、利用するとメンタルヘルスが悪化したり自尊心が傷つけられることがわかっています。
ミシガン大学の調査によると、Facebookの投稿を10分間、ただ受動的に読むだけで「良好な心状態(ウェルビーイング)を損なう」ということがわかりました。
さらに、Instagramを利用すると10代の少女の自尊心が傷つけられることや、Instagramを利用している10代の若者にはInstagramの利用が自殺願望につながる可能性があることが示唆されています。
まとめ
ここまでマーク・ザッカーバーグ氏の人物像や成功の秘密、批判される背景について解説してきました。
ザッカーバーグは学生時代にFacebookを創設し、現在では数十億人ものユーザーを抱える巨大なIT企業となっています。
しかし、昨今では政治広告の扱い方やユーザーのメンタルヘルスなどが問題視され、その動向が注目を集めています。
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