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専門家
「サンクスカード」は感謝を手書きで伝えるひとつの手段です。
オンライン会議、テレワークなどあらゆるものがオンラインで行われることが当たり前になっていくなかで、今サンクスカードに注目が集まっています。
本記事ではサンクスカードについてわかりやすく解説します。
- 職場のコミュニケーション不足に悩んでいる
- 従業員のモチベーションの低下が深刻になった
- サンクスカードを導入したが形骸化してしまった
上記のお悩みをお持ちの経営者、現場のリーダーにおすすめの記事となっていますので、ぜひご一読ください。
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サンクスカードとは?
サンクスカードは「ありがとう」という気持ちを上司、部下、同僚などに伝えるメッセージカードのことです。サンクスカードを活用することで、従業員同士の関係性が向上し、社内全体の仕事に対するモチベーションが高まることがあります。
ただし、その手軽さゆえにサンクスカードを導入したはいいものの継続して使われることがなく、形骸化している企業は多いのが特徴です。
サンクスカードの内容
経営者
サンクスカードに記載する内容は、日々の職場での出来事に対する感謝の言葉です。決して大袈裟なことではなく、当たり前のことでも記載することができます。
例としては以下のようなものが挙げられます。
- この前のフォロー助かりました
- 完璧な事務作業をありがとう
- パワーポイントの資料ありがとう!大変助かりました
ポジティブな内容であれば、気兼ねなく書けるのがサンクスカードの良いところです。
サンクスカードを導入する理由
サンクスカードは従業員のモチベーションの維持、協力体制の構築のために導入されます。
近年ではコロナ影響により、従業員同士のコミュニケーションの機会が減りました。
感謝の気持ちはメールやスラックなどのコミュニケーションツールで代用できますが、より感謝が伝わりやすいのは手書きのカードです。
デジタル化が進む中で、あえてアナログな手書きカードを導入することでもらった従業員のモチベーションアップになるという理由から導入する企業は多いです。
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組織崩壊を引き起こしたモチベーションマネジメントサンクスカード導入のメリット
サンクスカード導入のメリットは以下の通りです。
- コミュニケーションの活性化
- モチベーションの維持
- 企業文化の醸成
- 手書きの場合、気持ちが伝わりやすい
- 感謝以外のメッセージも送れる
それぞれのメリットをわかりやすく解説します。
コミュニケーションの活性化
サンクスカードを導入することで、社内コミュニケーションが活性化します。
サンクスカードに書かれるメッセージはポジティブな内容のため、受け取って嫌な思いをすることはありません。
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モチベーションの維持
感謝の言葉が従業員のモチベーションに繋がることがあります。モチベーションの要因にはさまざななものがあります。
- 人事評価
- 人間関係
- ビジョンへの共感
- 給料
- ワークライフバランス
人によって重視する要因が違うため必ずしも感謝の言葉がモチベーションの維持に繋がるとはいえませんが、少なくとも上記の要因である人間関係にサンクスカードは寄与する可能性があります。
社内の人間関係が原因で退職者が増えている場合は、人間関係を改善することでモチベーションが向上し、問題解決に繋がるかもしれません。
企業文化の醸成
感謝の気持ちを伝えることが当たり前になると、企業文化が醸成する可能性があります。
企業文化をすぐに変えることは一般的に困難だと言われていますが、従業員の価値観が変わることで全体の企業文化に少しずつ変化が訪れます。
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「ありがとう」というメールのメッセージよりも、感謝の気持ちが伝わりやすいのがサンクスカードのメリットです。
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感謝以外のメッセージも送れる
サンクスカードの内容は感謝以外のメッセージでも構いません。例えば「応援している」
「これからも頑張って」など、ポジティブなメッセージでもいいのです。
「メールにするほどではないけど…」という気持ちを伝えることができるのは、サンクスカードの最大のメリットですね。
サンクスカード導入のデメリット
サンクスカードはポジティブな感情を文字にするため、コミュニケーションの改善や企業文化の醸成に役立ちますが、デメリットもあります。
- 集計の負担になる
- 余計な気を使い負担に感じることがある
- 形骸化して無駄になる可能性がある
- マンネリ化する
- 気持ち悪いと感じる人もいる
上記のデメリットをそれぞれわかりやすく解説します。
集計の負担になる
サンクスカードを人事考課や人事評価に利用する場合、サンクスカードを集計する必要がある場合があります。
紙媒体の集計には時間がかかるため、サンクスカードの運営には大きな負担がかかるのがデメリットです。
また、「どのように運営をするのか」「サンクスカードの雛形はどうするのか?」を検討する必要がある場合には、その企画や実際の運営にコストと時間がかかることがあるため、費用対効果が見込めないこともあります。
余計な気を使い、負担に感じることがある
サンクスカードがあることで、社員の精神的な負担になるケースもあります。
「Aさんにサンクスカードを送ったから、Bさんにもサンクスカードを送らなければいけない…」
経営者
形骸化して無駄になる可能性がある
上記のケースとも関わりがありますが、サンクスカードが精神的に負担になると、従業員はサンクスカードを使用することを辞めてしまいます。
また、サンクスカードを運用している部署にも大きな負担がかかり、制度そのものを取り止めにすることもあります。
マンネリ化する
サンクスカードは魅力的な制度ですが「各部で最低何枚は送る」などの数値化した目標を設けてしまうと、結果としてノルマを達成するためにサンクスカード送り合うだけの悪しき文化となってしまいます。
マンネリ化を避けるためには、サンクスカードを導入した意義、目的を運営側で理解し、広報などを活用し会社全体に理解を求める必要があります。
マンネリ化は特に、従業員に十分な説明がなくトップダウンでサンクスカードの導入が下りてきた場合に発生しやすいです。
気持ち悪いと感じる人もいる
サンクスカードを送ること自体に精神的苦痛を感じる従業員は一定数います。
「仕事だから当たり前」と考える従業員に上記の傾向があるため、導入にあたっては十分な説明が必要です。
上記の傾向は、紙のサンクスカードの場合に発生しやすく、アプリなどを利用した場合にはその嫌悪感が和らぐ可能性があります。
したがって、導入に際しては従業員がどれほど賛成をしているのかを事前に把握し、従業員のニーズに合った方法を採択すること大切です。
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サンクスカードのルールを定めておかないと、形骸化したサンクスカード文化が醸成される可能性があります。
こうしたリスクを回避するために、最低限のルールに留意しましょう。具体的なルールとしては以下3つが挙げられます。
- 管理職が積極的に使う
- 内容のハードルを上げない
- 情報は集計する
それぞれについてわかりやすく解説します。
管理職が積極的に使う
サンクスカードを社内に広げるために、まずは管理職が積極的にサンクスカードを利用するのがよいでしょう。
管理職が積極的に活用することで、部下なども利用するようになります。
内容のハードルを上げない
サンクスカードに記載する内容は純粋な感謝の気持ちです。そうした当たり前の正直で純粋な気持ちが社員のモチベーションに繋がります。
一方で、人事考課、評価の面ではより深い内容が欲しいと思うことがあるでしょう。
しかし、サンクスカードの記載内容を増やせば増やすほどメッセージを送るハードルは上がってしまいます。
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情報は集計する
サンクスカードを有効的に活用するためには、情報を収集することが大切です。
サンクスカードの意義は上司や管理職からは見えない活躍の見える化でもあります。
確かにコミュニケーションの向上のために情報を集計することは大切ですが、一方で情報を活用しなければその効果は半減してしまいます。
したがって、情報は必ず集計するようにしましょう。
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社員のメンタルを守りたいなら、「モチベーション」ではなく「成果」にこそ、アプローチせねばならない。サンクスカードを導入する際のコツ
サンクスカードを導入する際のコツは以下の通りです。
- 極力手間がかからないものにする
- 内容は具体的に書く
- インセンティブをつける
それぞれについてわかりやすく解説します。
極力手間がかからないものにする
サンクスカードを導入する際は、極力手間のかからないものにすることが大切です。
最低限以下の要素が含まれていると集計に手間取りやすいですし、書き手としても書きやすいです。
- 所属(差出人/差出先)
- 氏名(差出人/差出先)
- 内容
これ以上の要素を足してより集計をしやすくする方法もありますが、情報の粒度を細かくするほど書き手には負担がますので、自社で導入する際はちょうど良い塩梅を見極めるのが大切です。
内容は具体的に書く
サンクスカードの内容は具体的に書くことが推奨されます。例えば単に「ありがとう」というコメントだけでは、サンクスカードをもらった相手も何に感謝されているのかわかりませんし、集計する側も評価をつけづらいです。
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インセンティブをつける
サンクスカードのサービスを提供している企業の中には、サンクスカードにインセンティブ(ポイントなど)を付与する企業もあります。
大きな金額でなくとも、少しのインセンティブでもサンクスカードをもらった社員のモチベーションの向上に繋がります。インセンティブの導入も検討してみるとよいかもしれません。
サンクスカードを導入している企業:オリエンタルランド
サンクスカードを導入する企業として有名なのがディズニーランドを運営する「オリエンタルランド」です。
オリエンタルランドの従業員の顧客対応には目を見張るものがあります。
ディズニーランドといえば、年に一度開催される「サンクスデー」が有名です。その日だけは普段ディズニーランドに従事している従業員(キャスト)が、役員や社員にもてなされる日です。
こうした文化が根付くディズニーランドでもサンクスカードは導入されています。
たまたまパークに訪れたオリエンタルランドの役職者が、素敵だと思ったスタッフにサンクスカードを渡すことがあることもあります。
また、従業員同士で匿名でメッセージを送り合う文化も根付いています。
徹底した顧客対応の根底には「感謝」の気持ちを伝えるメッセージカードの効果が発揮されているのかもしれません。
サンクスカードをすぐに使えるテンプレート:canva
サンクスカードをすぐにでも自社に導入したい場合には、グラフィックデザインツールを活用しましょう。
おすすめはCanvaというツールで、数多くのテンプレートを無料で使用することができます。
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まとめ
本記事ではサンクスカードについてわかりやすく解説しました。
サンクスカードは人事評価、人事考課に利用されることがありますが、同時に企業文化の醸成に役立つものです。
社内のコミュニケーションが不足している場合には、費用対効果を考えた上で検討を考えてみるとよいでしょう。
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