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360度評価とは?360度評価のよくある失敗と企業例を解説!

経営者

360度評価を導入する意味はある?
有用性と注意点を本記事でまとめています。

専門家

会社の人事制度の見直しで360度評価を取り入れる企業が増えていますが、適切な導入方法を知らないと、意味のない360度評価となってしまいます。

こうした問題を避けるためには、360度評価によって生じるメリットとデメリットそして注意点を理解する必要があります。

本記事では、360度評価についてわかりやすく解説します。

  • 人事評価制度を見直したい
  • 現在360度評価を導入しているがうまくいっていない
  • 評価の客観性を重視したい

上記の問題を抱えている経営者や人事責任者の方におすすめの記事となっていますので、ぜひご一読ください。

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360度評価とは?

経営者

360度評価って何?

360度評価とは、評価対象者を被評価者の周囲にいる人に設定することで、多面的な人事評価ができる制度のことです。

上司のみが部下の評価をする方法では、結果のみにフォーカスされてしまうことがあり、プロセスを評価できない問題がありました。

しかし、360度評価を導入することで、取引先、同僚、先輩社員などからもフィードバックされるため、一定の客観性が担保されることから導入が始まりました。

チームビルディングやメンバーシップ型の働き方という観点からも、従業員同士が協力してひとつの仕事を成し遂げる機会は増えています。

そのため、プロセスの評価が重要視されています

専門家

360度評価の評価者

360度評価に関わる評価者は以下のように纏められます。

  • 上司
  • 同僚
  • 部下
  • 取引先
  • その他利害関係者

したがって、上からの指示には適切に従うものの、部下や同僚に対して非協力的な従業員が浮き彫りになるのが360度評価です。

管理職として適切な人材かを判断する指標としても用いられることがあります。

360度評価が導入される理由

360度評価が導入されている理由の一つとして、コロナ禍によるコミュニケーション不足が挙げられます。

コロナ禍でオンライン会議やリモートワークが広がったことで、成果以外の従業員の行動が見えなくなりました。

もちろん従業員を評価をするうえで、結果を出すことは大切です。ただし、会社において重要なのは成果だけではなく、各チームのメンバーの協力姿勢も欠かせません。

上記のようなプロセスを評価するのに360度評価は有用です。

専門家

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360度評価のメリット

360度評価を導入するメリットは以下の通りです。

  • 評価の客観性が増加する
  • 評価への納得
  • 普段見えない場所での評価をもらえる
  • 評価を自分事として捉えるようになる
  • 管理職の成長に繋がる

それぞれわかりやすく解説します。

評価の客観性が増加する

360度評価は、従前の人事評価よりも客観性が増加する可能性があります。

従来の人事評価では、直属の上司からの評価が一般的でしたが、上司と部下の関係性が極端に悪い場合や、上司が多忙で部下をよく見れていない場合は、適当に評価がされてしまうことがありました。

上記のような客観性を欠く評価が、360度評価を導入することによって漸減する可能性があります。

専門家

評価への納得

評価の客観性が増すことで、従業員が評価に納得することが増えます。

例えば、今までの評価の場合、同じことをしていてもそれを良いと感じる上司がいれば評価は上がりますし、それをよくないと判断すれば評価が下がることがありました。

上司も人間なので、どれだけ評価項目の研修を受けていようとも、判断が主観によることがあります。

このため、評価の甘い上司の下では評価が全体として良くなり、厳しい上司の下ではどれだけ努力しようとも評価が悪くなる傾向があったのです。

360度評価では、評価者は多岐に渡りますので上記のような上司による評価のばらつきが小さくなります。

普段見えない場所での評価をもらえる

「縁の下の力持ち」という言葉があります。縁の下の力持ちは、客観的な成果は目立って出していないものの、チームをまとめたり仕事の基盤を作る人物です。

また成果は出していないが、チームにポジティブな影響を与えている社員もいることでしょう。

このような部下は、上司の目からは成果が出せない社員として認識されてしまうこともあります。

しかし、360度評価を行うことで、上司からは普段見えない部分の強みが見つけることができます。

被評価者も自身の強みに気づき、さらなる成長に邁進してくれる可能性があります。こうした面からも360度評価を導入する企業は増加しています。

評価を自分事として捉えるようになる

多くの部下にとって評価はされるものであり、自身が下すものではありません。しかし、自身も上司の評価をする立場になれば、評価は他人事ではなくなります。

人事評価を通して自身の強みや弱みも客観的に見ることができるようになります。

専門家

管理職の成長に繋がる

管理職になると、部下の評価をすることはあっても、人から評価される機会は減ります。

したがって、自身が今やっていることが正しいのか不安になることもあるでしょう。このような際に上司も360度評価を受けることで、自身が周りからどのように思われているのかが明確になります。

正しいと思っていたことが間違いだったと気づいたり、逆に不安になっているが周りから良い評価をされていることがあることに気づくことができます。

周囲からのフィードバックを受け止め、直していくことで管理職としても成長することができます。

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360度評価のデメリット

360度評価は多面的な評価が可能となりますが、不正が発生してしまえば意味のない評価となります。360度評価によるデメリットは以下の通りです。

  • 工数と費用がかかる
  • 従業員同士の評価の不正が発生する
  • 上司が部下を指導できなくなる
  • 適正な評価が難しい 
  • 悪口や誹謗で落ち込む

それぞれわかりやすく解説します。

費用と時間がかかる

360度評価の環境を整えるためには費用がかかります。自社内のリソースを活用するにせよ、社外に依頼するにせよ、相応のコストがかかるのはデメリットです。

また360度評価の評価基準を明確にするためにも工数がかかるため、費用対効果が悪くなる可能性があります。

従業員同士の評価の不正が発生する

360度評価では、比較的距離感が近い人たちから評価されることが多くなります。

例えば同僚や先輩社員との距離感が近い場合、共同して評価を高め合うことで偽りの評価結果が生まれてしまいます。

すると、正当な評価が出せないばかりか従業員同士の信頼関係が下がり、会社全体の組織風土に問題を引き起こすデメリットも発生しかねません。

このような不正を発生させないためには、厳格な評価制度を作ることはもちろん、正当な評価をよしとする企業文化を醸成することが重要です。

上司が部下を指導できなくなる

評価を悪くつけられたら仕返しをする従業員は一定数存在します。

こうした社員を部下にもつ上司は、自身の評価に傷をつけられるのを恐れ、部下に対し指導ができなくなるケースもあります。

したがって、360度評価はあくまでもひとつの評価方法であって、それだけが全てではないことを従業員に認知させることも重要です。

また、従業員同士が不正をしない文化を醸成することも経営者の役割です。

適正な評価が難しい 

360度評価のメリットは、客観的な評価が可能になることですが、部門によってはばらつきが生じ、適正な評価が難しくなるケースもあります。

例えば、経理部門では正確な仕訳や事務などの保守的な業務が重要になるのに対し、営業部門では積極的な提案が好まれる傾向にあります。

こうした部門間を超えた評価をする場合、適正な評価が取れなくなるため、ただデータを数値化するだけではなく、人事部が間に入り評価の適正さを判断することも必要です。

悪口や誹謗で落ち込む

360度評価は一般的に匿名での調査となります。

調査は定量的な数値化できる欄以外に、普段思っていることを記載する欄もあるため、そこに記載されたコメントによっては社員が落ち込むことがあります。

いくら匿名と言えども、基本的に社内でそうした問題が発生することは少ないですが、そうした誹謗・中傷のコメントがあった際は内容に応じて削除を検討する必要も出てくるでしょう。

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360度評価を実施する際のポイント

360度評価を実施する際は、先ほど紹介したデメリットが発生しないよう注意する必要があります。具体的には以下の点に注意するのが良いでしょう。

  • 基準を明確にする
  • 外部による研修を実施する
  • フォローを行う

それぞれについてわかりやすく解説します。

基準を明確にする

360度評価では基準が明確な設問を用意するのが推奨されています。

例えば「早帰りを心掛けているか」という設問があった際には、人によって基準が異なるため、ばらつきのある回答が発生してしまいます。

この際は「18:00までに退社をしているか」のように、具体的な数値に落とし込むことで基準が明確となり、回答のばらつきが減り調査がしやすくなります。

外部による研修を実施する

既にノウハウを蓄積している企業の研修を受けるのもひとつの手段です。

360度評価を内製化して行う場合であっても、初めて360度評価を導入する場合、自社では気づかない、思わぬ落とし穴があることがあります。

また、そもそもの評価方法自体効果がない設問を作成してしまっては、360度評価を実施する意味がなくなるため、知見のある会社から360度評価について事前に学んでおくのがよいでしょう。

フォローを行う

360度評価を実施して終了では意味がありません。企業の中には360度評価を導入しているのにもかかわらず、調査をしているだけで終了し、結果を有効活用できていない企業は散見されます。

360度評価のプロセスを時間をかけて構築したのに、その結果を活用できていないと本末転倒になります。

評価後には従業員がより成長できるようフィードバックを実施し、次回までに何を意識するのか、何を変えるのかを明確にしておくことが大切です。

経営者

360度評価は、前回の結果を生かし次回につなげて初めて意味があるってことだね。

360度評価のよくある失敗

ここからは、360度評価でよくある失敗例をわかりやすく解説します。具体的な失敗例は以下の通りです。

  • 費用対効果が悪い
  • 人事評価の大幅な変更が必要
  • 現場への説明不足

それぞれわかりやすく解説します。

費用対効果が悪い

360度評価はその有効性が数字になって出るまでにかなりの時間を要します。

なかには、1年以上の時間をかけて初めて、360度評価を実施した意味を見出せたという企業もあるくらいです。

したがって「結果がすぐに出ないから費用対効果が悪い」と判断するのではなく、少なくとも1年間ほどの期間をみて360度評価を実施することが重要です。

人事評価の大幅な変更が必要

360度評価を従業員の成長のための調査と割り切らずに、360度評価を給与や賞与の査定のために利用する場合、既に構築されている人事評価との整合性をとる必要があります。

上記の場合には、時に既存の人事評価の大幅な変更が必要になることもあるため、注意が必要です。

現場への説明不足

常に業務で忙しい現場にとっては、360度評価が煩わしく感じられることがあります。

今までは上司だけがすればよかった評価を従業員全体で実施する必要があるため、その有用性を明確に説明しないと理解を得られないことがあります。

特に現場に丸投げをして360度評価を実施しようとする場合には、従業員からの不満が発生することがあるため、360度評価を実施する意義を丁寧に説明し、現場ですぐ取り組めるレベルまで調査を簡単にする必要があります。

また、何か不明点があった際のために、360度評価の責任者を決定しておき、従業員からの質問に対応できる準備をする必要があります。

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360度評価を実践している企業

360度評価を実施している企業として以下の3社が挙げられます。

  • アサヒビール
  • クレディセゾン 
  • メルカリ

それぞれの事例についてわかりやすく解説します。

アサヒビール 

管理職の育成に360度調査を利用したのがアサヒビールです。アサヒビールは、管理職を公平に評価するためのツールとして360度調査を導入しました。

360度評価を実施することで、自己理解と他者理解との違いに気づくことができ、自身のマネジメント課題を改善するきっかけになっています。

クレディセゾン

クレディセゾンは会社の求める人材を「夢中力」という独自の指標で判断する360度評価を実施しています。

同社の掲げる「夢中力」とは、目標に向かい努力をし、自身と組織を成長させる力のことです。

360度評価を実施し、夢中力を図ることで、自己理解と他者理解との差に気づくことができます。このように、360度評価は自己理解だけでなく他者理解のためにも活用されることがあります。

メルカリ

メルカリもまた360度評価を導入している企業です。

独自の企業文化のため、厳密には360度評価との名称ではありませんが、メルカリは3ヶ月に1度同僚と互いにピアレビューをする企業文化があります。

システムを活用し、「あの時の私の行動にフィードバックをお願いします」という依頼をかけることで、同僚から具体的なメッセージを受け取ることができます。

メルカリでは、ひとりひとりがバリューを生み出すことが重視されていますが、過去の行動に対しフィードバックをもらうことで、内省しその後に活かす仕組みが上手に作られています。

まとめ

本記事では360度評価についてわかりやすく解説しました。

360度評価は適切に導入を進めることで、自社の人材を成長させることができる制度ですが、不正をよしとする企業文化のなかでは有効的に働きません。

ただし、自己理解と他者理解との相違点を明確にすることで、企業のミッションの浸透や上司の育成にも活用できる制度です。

自社の企業文化を確認した上で、360度評価を取り入れてみるのはいかがでしょうか。

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