突然ですが、このようなことを感じてはいませんか?
- 「CoEってなに?」
- 「CoEの役割や効果、メリットってどんなものがあるの?」
- 「DXの推進にCoEが必要不可欠って本当?」
CoEはもともと、ハーバード大学が優秀な人材の流出を防ぐために活用してきたものですが、昨今ではビジネスやIT、医療などの幅広いジャンルの世界で用いられるようになっています。
本記事では、CoEについて基本的な知識から、役割や重要性、DX推進に必要な理由、そして導入する際にしておくべきことを解説していきます。
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CoEとは?
CoEとは「センター・オブ・エクセレンス(Center of Excellence)」の頭文字をとった言葉で、直訳すると「中核的研究拠点」となります。
ビジネスに限らず医療などの世界でも用いられるため、その業界によって詳細は異なる点もありますが、一般的には、優れた人材などを集めた組織やグループのことを指しています。具体的に言うと、組織に点在する優れた従業員や技術、スキル、設備といった経営資源を横断組織として1つにまとめることがCoEです。
これにより、企業の目的の実現や課題解決のために、効率性やスピードを上げることが可能です。
CoEが生まれたきっかけはアメリカの大学の活動
CoEが生まれたのは、1940年代にアメリカのスタンフォード大学で、優れた卒業生が東海岸へ流れてしまうのを避けるための活動がきっかけでした。実際にスタンフォード大学はアメリカ全土から優れた教授を招いたり最新の設備を導入することで、学術界における高い地位を築いています。
それらを受け、さまざまな大学や研究機関がCoEを導入するようになりました。
昨今ではビジネスや医療、IT、製造、金融の世界でも用いられるようになり、優秀な人材やノウハウをまとめた組織のことを「CoE」や「センター・オブ・エクセレンス」と呼ぶようになってきています。
文部科学省による「21世紀COEプログラム」
日本でも2002年から「21世紀COEプログラム」を開始しています。これは、世界的にみて水準の高い研究教育拠点を日本の大学につくり、世界的な地位を高めて世界をリードする人材を育てるために始まりました。
21世紀COEプログラム委員会の審査によって、補助金をどこに交付するかが決まります。また、後継の制度では「グローバルCOEプログラム」が開始されています。
(参考:21世紀COEプログラム│文部科学省)
人事におけるCoEとは
前述したようにCoEはさまざまな世界で用いられており、人事領域でも近代的な戦略として注目されています。ここでは、人事に求められる役割を3つに分けた「3ピラーモデル」を見ていきましょう。
「3ピラーモデル」は人事戦略のなかでも重要視されており、下記の3つの役割を果たせる人事が組織力の強化や価値の向上をもたらすとされています。
- 報酬体系の整備、人材の育成などを専門に行う:Center of Excellence(CoE)
- 経営を人事戦略から支援する:Human Resource Business Partner(HRBP)
- 給与計算や福利厚生などの業務を担当する:Human Resource Shared Service(HRSS)
上記の役割は、効果的な人事業務を実現し、組織の成長にも大きく貢献するでしょう。
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続いて、CoEが果たす役割をみていきます。一般的な企業においてCoEは、特定の部門には所属しておらず、組織を横断して専門性の高い問題や課題に取り組みます。
CoEでは下記の5つに分けられた役割を持っています。
- 社内の知識をまとめ、整理する
- 戦略や企画の立案
- フィードバック
- 業務プロセスの整備
- 社内イノベーションの促進
それでは、これらの役割について1つずつ解説していきます。
社内の知識をまとめ、整理する
社内に点在する知識や情報は、その部門や社員の間でしか共有されていないケースがよくみられます。この場合、経営戦略の立案をする際に、必要な情報やデータを経営陣が参照できず、適切な判断ができなくなるかもしれません。
このようなことを避けるためにも、必要な情報を網羅的に集めて、整理しておくことが重要です。網羅的に情報を集めるためには、経営陣から現場の従業員に対して「このようなことが知りたい」と伝える必要があります。
戦略や企画の立案
CoEは組織が成長するために必要な企画を立案することが求められ、具体的に下記のようなテーマが目的となっています。
- 事業所の統廃合
- 販売網や営業力の強化
- 海外展開
- 新しい商品やサービスの展開
- 新しい技術や設備を取り入れる
このように企業内におけるさまざまなテーマでの企画立案が求められますが、闇雲にこれらを行うのではなく、自社の状況やニーズに最適なものを検討しなければなりません。
フィードバック
新しい設備やシステムの導入はCoEの役割ですが、ただ導入するだけではなく、その後の効果測定やフィードバックも役割の1つです。例えば、顧客管理システムを新たに取り入れた場合は、このシステムによってどの程度生産性が上がったのかなどを調べる必要があります。
各部門に対して必要な調査結果をフィードバックすることで、さらなる業務改善や効率化、生産性向上などを進めます。加えて、従業員自身のやりがいや成長を実感するといった内発的動機付けにもつながります。
内発的動機付けによる意欲向上は、お金などの外発的動機よりも効果が高いとされてるため、フィードバックを行う際は可能な限りモチベーションにつながるようにすることが重要です。
また、各部門単体の測定結果だけではなく、組織全体からみたときに最適化されているかどうかを共有することで、それぞれの部門が組織全体を俯瞰して業務に取り組むことができるようになるでしょう。
業務プロセスの整備
CoEは組織を成長させるために、組織全体の業務改善を実施することも役割の1つです。
横断的に社内の組織や部門を分析し、その結果を踏まえて下記のような施策を行います。
- 要らない仕事や分担を見直す
- マニュアルのメンテナンス
- 業務の可視化
- 部門間の連携強化や効率化などの改善
CoEは組織内を横断的に分析することにより、当事者だけでは気づけない課題や問題を発見することも役割のひとつと言えるでしょう。
社内イノベーションの促進
近年は、1つのスキルや技術に精通しているだけではなく、多岐にわたるジャンルの知識やノウハウを身につけている「横断型人材」の需要が高まっています。
なぜなら、縦割りで構成された組織においては、自身が所属する部門の知識や技術の専門性は高まっていきますが、その他の知識については疎くなってしまい、イノベーションが起こりづらくなってしまうからです。
この課題解決も、CoEの役割のひとつです。
したがって、横断型人材を育てるために、「ジョブ・ローテーション」を実施するのが良いでしょう。ジョブ・ローテーションとは、さまざまな職務や地位を与えることで幅広い知識を身につけていくことを目的としている人材育成法です。
さらに、知識が増えるだけではなくさまざまな部門で働くことにより、それぞれの部門に人脈ができるため、部門間の連携もとりやすくなります。
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それでは、CoEを取り入れることで具体的にはどのようなメリットを期待できるのでしょうか? CoEによって得られるメリットを把握して、自社で取り入れる際に参考にしましょう。
CoEのメリットは下記の3つです。
- 社内の協調性が向上する
- 情報伝達がスムーズになる
- 困難な課題を解決できる
それでは1つずつ解説していきます。
社内の連携が取りやすくなる
CoEを導入することによって、社内で連携が必要な業務がスムーズになります。
CoEを通じて組織を横断的な分析をすることで、部門間での連携の際に不要な業務やムダを省いて効率化でき、連携が強化されるのです。スムーズな連携が可能になれば、生産性の向上にもつながります。
このように、CoEを取り入れることで、1つの施策でさまざまな良い効果が得られます。
情報伝達がスムーズになる
組織の目標を達成したり、予期されるトラブルの回避、または組織が抱える課題の解決をする際には、組織内の情報伝達がスムーズに行われることが欠かせません。なぜなら、伝達が滞りなく行われることで下記のような問題を避けられるからです。
- 情報を発してからしばらく経っても従業員の間で共有状況に差がある
- 共有するべき決まりや環境が整備されなくなる
さらに、CoEを取り入れることで社内で横断的な情報伝達が可能になるため、下記のようなメリットも期待できます。
- 他事業の技術を新規事業で活用できる
- 部門間で重複しているリソースを統一できる
このように、情報伝達がスムーズになったり、横断的な情報共有が可能になることでいくつものメリットが得られます。
困難な課題を解決できる
組織を横断して構成されるCoEによって、社内の知識やノウハウを集約することができます。その結果、これまでは解決することが困難だった課題や問題を解決できるようになるかもしれません。
CoEを導入するまでは、それぞれの部門が持っている知識や技術だけで解決しなければならなかったところを、CoEによってまとめられた知識を活用することで、問題を解消するスピードや質が改善されます。
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昨今は、ビジネス環境が変化するスピードが増し、さまざまな要因が複雑に絡み合うことで、先が見通せない「VUCAの時代」になっています。さらに、近年においてはDXの推進が広まっています。
DX(デジタル・トランスフォーメーション)とは、「Digital Transformation」の頭文字をとった略語であり、デジタル技術を活用してビジネスを変容させていくことを示しています。
DXでは、ただ「ITを活用すればいい」というわけではなく、デジタルツールを活用することによって製品やサービスを本質的に変革することが重要です。
しかし、DXを進めるには経営に関するデータが必要になりますが、縦割り組織においてはデータを集めることが難しくなっています。したがって、CoEによって組織を横断して知識やデータを集約させたうえで、DXの推進をすることが重要です。
このため、DXが求められる時代において、よりCoEが必要になるのです。
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CoEはビジネス以外でも用いられています。例えば、医療の世界では病院の数が従来よりも増加したことにより、それぞれの病院における症例数が減ってしまったという問題がありました。
これにより、数の少ない症例に対する専門家が減り、安定した医療を提供できなくなってしまうのです。
したがって、いくつかの病院から専門性の高い人材を集約した医療組織をつくることで、これを解決しようとしています。この専門性の高い人材をまとめた組織が、医療におけるCoEです。
具体的には、循環器病センターや国立がんセンターなどが挙げられます。
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ここまで、CoEを取り入れることのさまざまなメリットを見てきました。
CoEを取り入れることで社内に点在する優れた人材やスキルを集約化することができます。これにより、組織の成長だけではなく経営に大きく貢献することが期待されるでしょう。
それでは、実際にCoEを導入するには、どのような点に注意する必要があるのでしょうか。あらかじめやっておくべきことが下記の2つです。
- 多様性に富んだ人材を採用する
- 話し合う機会を設ける
それでは1つずつ解説していきます。
多様性に富んだ人材を採用する
まず、CoEを取り入れるなら、多様性に富んだ人材の採用を進める必要があります。そのためにも性別や年齢、国籍に関わらず、どのような人材でも受け入れることができる環境を整えましょう。
また、ダイバーシティ推進のために働き方改革も求められます。これを実現することにより、多種多様な人材が集まる組織となり、CoEの導入が成功しやすくなります。
話し合う機会を設ける
話し合いを行う機会を頻繁に設けることで、課題を解決するスキルやノウハウが培われていきます。また、話し合いを行う前には、議題を決めてメンバー一人ひとりが必要な情報を集めたり、施策を考えておくようにしましょう。
まとめ
ここまで、CoEについてメリットや役割を解説してきました。
CoEは、組織の成長を促すことを目的として組織を横断的に活動する、優れた人材やスキル、ノウハウが集約された集団を指しています。
CoEを取り入れることで、課題を解決するスピードや質が向上するため、ぜひ自社でも取り入れてみてはいかがでしょうか。
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